希望なき<生命>


プロローグ          エピローグ

悩める冒険者


 古代の魔法生物との遭遇を果たしたパーティは、彼らとの対話を続ける。
魔法生物生成実験室

☆From:カヴァレス To:GM
 えっと、目印になるように羊皮紙を咥えます。これなら敵意も無さそうですよね?

☆From:GM To:カヴァレス
 まあ、そりゃあ……しかしそれでは、古代語魔法はおろか話すこともできんと思うが、それでいいのか?(^^;;;)

 コピーを恐れるあまり、呪文にまでは思考が回っていなかったカヴァである(笑)。

☆From:シュウ To:カヴァレス
 ……ねぇねぇカヴァ……。羊皮紙咥えて美味しい??(笑)

☆From:ポム To:カヴァレス
 レス、美味しいか?(美味しければ試してみようと考えている(笑))

 脱線コンビは脇に置いといて、ウィードはここでこれまでのグランディとの対話を仲間に通訳した。

☆From:シュウ To:ウィードバル
学院が、彼らの存在知ったなら♪
きっと喜ぶ、大喜び♪
しかし、あわれなしゅみららら〜♪
彼らの故郷、壊されるぅ?♪
彼らも無力に捕まって〜♪
研究材料しゅみらららぁ〜♪
しゅみしゅみららら、しゅみらららぁ〜♪(ぽろろん)

☆From:ポム
(しゅみららぁ〜と音に合わせて踊っている)

☆From:ウィードバル To:パーティ
 彼らは、そっとしておいてもらいたいそうだ……。
 学院がここを知ったら、魔法生物の研究をするだろう。しかも、当然のように彼らを研究対象にするだろうな。
 それには賛成できないし、後味が悪すぎるよな……。
 みんなはどう思う? キーを渡して扉を封印して、独り身ののおっちゃんには「開かない扉がありました」と報告するという手もある。

☆From:シュウ To:ウィードバル
 開かない扉……やっぱあれって「キー」がないと開かないのかなぁ?
 ってゆーのも、1人身のおっちゃんに「開かない扉があったよ」って報告したとして……魔法学院のヒトタチがここ探索に来た時に、魔法であけよーとしたらどうなるんだろ?? 100%開かないって保証……あるる?
 あと……開けれなかったってので報酬減りはしないかなぁ〜(^^;)

 ……もちろん、減る(笑)。

☆From:ポム To:ウィードバル
 なぁ、グランディとシェリーって、この部屋からでた事ないのかな〜。向こうの部屋でどんな研究やってたんだろ?
 物凄くやなこ事されてたのかな? 作った人殺しちゃうくらいだもんな。でもそんな部屋にずっといて、これからもずっといるなんて、あたしは、あたしだったらイヤだな。イヤな事思い出すし、何よりも退屈だ!
 なんか可哀相だぞ……

☆From:シュウ To:ポム
 こんな部屋にずーっと閉じ込められてただなんて……よく気が狂わなかったなぁ〜〜(@@)。あたしだったら、何しでかしてたかわからないや(^^;)。
 だって、ここにゃぁ草木がない! 同じ閉じ込められるんだったら、泉と木がある洞窟の方があたしは好みだな(って、ズレてる、ズレてる(^^;))。

☆From:シュウ To:ウィードバル
 んで、魔法王国……ってコトは、古いヒト達なんだね♪ って コトは、冒険者を知らなくって当然か……(^^;)。
 ねねね、リーダー。まず彼らに今がどの時代で、あたしらが何をしに来たのか説明したら良くない???
 まず。今の時代は貴方達が造られてから‥‥だいたい500年だっけっか? とにかく、ヒトが9代ぐらい変わるぐらい年代が変わってるってコト。
 ってなぐあいで、しゅみららら達を造ったってゆ〜「くりえいたー」はもうすでにこの世にいにゃいって事教えた方が良いと思うなぁ〜〜(って、もぅ白骨死体君になってるけど)
 あと、冒険者ってのがどんなのも教えておいたら? ただ、「魔法王国の遺物を掻っ攫う者達」って言うと言葉が悪いから……うーん、うーん……なんて言えばいいんだろ……(^^;;;)

☆From:ウィードバル To:シュウ
 そうだな、俺達の事も話してみよう。

☆From:ウィードバル To:グランディ
 グランディ、こんな所に閉じ込められていたから時間の感覚が麻痺してるかもしれないが、実は魔法王国は滅びて久しいんだ。

☆From:グランディ&シェリー To:ウィードバル
 何っ?!

☆From:ウィードバル
 500年ほど前に、魔力の暴走で魔力の塔が機能を果たさなくなってしまった。それで、魔術師は魔法を使えなくなって蛮族…俺達の先祖に滅ぼされたんだ。
 都合よく解釈するならさ、「グランディの復讐は、俺達の遠いじいさん達が代わりにやってくれたんだ」って考えられなくもないよな(^^;)。

☆From:シェリー To:グランディ
 あたし達の心を散々苦しめた魔法王国がねぇ……(心底嬉しそうに)あはは、いい気味だわ! ねえ、グランディ?

☆From:グランディ To:シェリー
 (複雑な表情で)そう……だな。

☆From:シェルナ
(? どうして、あんな表情するの……?)

☆From:ウィードバル
 で、世界各地に魔法王国時代の遺跡が残っているんだけどさ、俺達冒険者の仕事ってのは……まぁ……簡単に言うとだな、「すごい魔力を秘めているのに使われる事のない可哀相なお宝とか財宝」が欲しいけど遺跡に入るのは恐い、って奴の代わりにお宝を探し出してそいつに届けてあげて、代価としてちょっぴりご褒美をもらう。そんな感じかな。

☆From:シェリー To:ウィードバル
 それって要するに、「王国の連中が作ったものを漁って、誰かに売りつける」ってこと?
 それだけ王国の物に価値があるってことよねぇ……もしかして、王国が滅びてから文明が後退してるんじゃないの?

 これに対するウィードの回答、なし(^^;;)。

☆From:ウィードバル To:グランディ
 だからこの遺跡にも宝があると嬉しいんだが……グランディ、なんか知らないかな?

☆From:グランディ To:ウィードバル
 さて……先ほども言った通り、ここは『魔法生物を作るための施設』だ。君たちの望むようなものが、あるとは思えんが……。
 ……まあ、強いて言うなら『私自身』がそれに該当するかもしれんがな……。

 ここでシュウがポソッと一言。

☆From:シュウ To:ポム
 うん、あたしもずっと閉じ込められてるのってヤだな……もぉ少なくとも500年くらい閉じ込められていたんだろ? じゃぁ、その間かれらは何してたんだろ?
 魔法生物なしゅみらららには、時間の概念はないのかなぁ? うにぃ?

☆From:ポム To:シュウ
 お日様もお月様もないから判らないんじゃないか? あたし達だって解んないんだぜ♪
 あっ、お腹が空けば判る、眠くなれば判るか(^^)。グランディとシェリーは、お腹が空いたり、眠くなったりしないのかぁ。
 だったら判んないよな〜(と苦笑)

 こらこら、勝手に決めるな。
 いや、実際その通りではあるんだが(^^;;;)。

☆From:シュウ To:ポム
腹が減ったら飯を食う♪
しかし、ここらのどの辺に♪
食物、隠れているのかな?♪
魔法生物しゅみららら♪
彼らの糧はいずこかに?♪(相変わらず唄う奴)

☆From:ポム To:シュウ
 空気! かもしれないぜ(にゃりん)

☆From:シュウ To:ポム
 空気とな!? そりゃ、燃費がよいな!(にゃりん☆)

☆From:ウィードバル To:シェリー
 たった2人で、500年も過ごすなんて退屈じゃなかった?
 この部屋で何して暇をつぶしてたんだい?

☆From:シュウ
 (ぼそっと)しりとり……(をい)

☆From:ポム
 ……?
(二人の会話は下位古代語だぞシュウ(^^;))

☆From:シェリー To:ウィードバル
 何もしてないわ……何もできなかったのよ、あたし達は!
 わかる?! 人間と違って『死』の訪れないあたし達がどれほど苦しんできたか!!

☆From:グランディ To:シェリー
 落ち着けシェリー! 彼らに当たっても詮無いことだ。

☆From:カヴァレス
(おいおい,妙な事になってきやがったぜぇ?)

 と思いつつ、口の羊皮紙が邪魔で声の出せないカヴァレス。哀れである(笑)。

☆From:シェリー To:ウィードバル
 ……そうね……。
 ウィードだったかしら、さっきの質問に答えて上げる。考え続けていたのよ。とにかく頭を使い続けた。そこに転がってる『オリジナル』の知識から、ありとあらゆる事を探求し続けたわ。
 (自嘲的に)今のあたし達は、アレクラスト1の『哲学者』ね、きっと。

☆From:ウィードバル To:シェリー
 …………辛かったんだな……

 ウィードバル、しばし考え、そして決断。

☆From:ウィードバル To:シェリー
 決めたよ。俺達はあんたらに干渉しないことにする。俺達は仕事を完遂できればそれでいいんだ。

☆From:カヴァレス To:パーティ
(クク,仕方ねぇかぁ……と、咥えていた羊皮紙をしまって)リーダー様は交渉に集中のご様子だぁ、一度しか言わねぇから良く聞いておけよぉ?

 交渉に集中するウィードに代わって、カヴァレスが通訳を買って出た。

☆From:グランディ
 そうか……。

☆From:ウィードバル To:グランディ
 ただ、依頼主に調査で手を抜いたと思われたくないし、何か成果をあげないと無能者扱いされちまう。
 こちらから干渉しないかわりに、そっちからも外の世界に干渉できないよう、鍵(の欠片)をお互い2つずつ分け合うということにしてほしい。

 えっ……? そ、それは……(汗)。

☆From:シェリー To:ウィードバル
 そっ……そんなことしたら、あたし達が未来永劫出られなくなるじゃない!

☆From:グランディ To:シェリー
 それでいいのだ。所詮我々は魔法生物、人間に受け容れられるわけが……

☆From:シェリー To:ウィードバル
 そんなのわからないじゃない! 王国は滅びて、蛮族が台頭してるのよ。
 それに今受け容れられなくても、いつかはその日が訪れるかも知れない。でも、『キー』が分けられてしまったら、あたし達は未来永劫、その機会を失ってしまうのよ!
 ねえウィード、『キー』はあたし達の未来そのものなのよ! お願いだから、あたし達に全部渡して!!

☆From:シュウのプレイヤー To:ウィードバル
 下位古代語が話せるヒト〜ちとシュミラクラグレート(グランディ&シェリー)に聞いて欲しい事あるんだけど……。
 彼らの性能──能力をどのくらいまでコピーできるのか、コピーした後にまた別のものへコピーした場合に前のコピーの能力&記憶は残るのか、魔法は使えるのか、etc──を聞いて欲しいのだが……

☆From:ウィードのプレイヤー
 了解〜。彼らの能力はまだ未知数だもんね。

 というわけで、ウィードが早速シミュラクラに件の質問を投げかける。

☆From:シェリー To:ウィードバル
 (ウィードの質問を聞いて)ちょっと、そんなことを聞いて──

☆From:グランディ To:シェリー
 (手で彼女を静止して)彼らは、我々のことをまだ信用していないのだよ。信用を得るためにも、いくらかは話しておくべきだろう。

☆From:グランディ To:ウィードバル
 シミュラクラについての基礎知識は知っているかね? 相手の肉体的能力をコピーする、というものだ。
 我々と彼らの違いが「自我の有無」であることは既に話したな。この自我は、仮に別のものに姿を変えたとしても残る。もちろん記憶もだ。
 コピーの能力についての明確な回答は避ける……が……
 一般のシミュラクラは肉体的能力のみのコピーしかできない。だが、我々は記憶を含めた精神をもコピーできる。そこから想像してみたまえ。

☆From:ウィードのプレイヤー
 それってドッペルゲンガーじゃん(^^;)。
 記憶もコピーできるなら、入れ替わられても分からないよ〜。

 ……なるほど、ドッペルゲンガーね。言われてみればまさにその通りだな(おいおい(^^;;;))。
(まあ──細かく突き詰めれば、微妙な違いはあるけどね)
 この辺りから、プレイヤー間で「シミュラクラをどうするか」という討論が始まる。このシナリオ、一番の頭の使いどころである。

☆From:ウィードバル
(危険過ぎる……こんなに知能が高いんだ、能力を悪用したら、大変な事になる……。しかも寿命がないなんて……)

☆From:ウィードのプレイヤー To:パーティ
 グランディは、外に出したらヤバイよね?

☆From:シュウのプレイヤー
 自我を持つシュミラクラグレート達を、またこの部屋に閉じ込めたままにするのは……ちと酷なのではない? つーか、自我崩壊しかけそーになった時が恐かったり(^^;)。
 シェリーは外の世界に出たいと望んでいるのならば……僕は外の世界を見せてあげても良いのでは? と思ってしまう……(心が弱いせいか?)

☆From:シュウ
 (カヴァの通訳を聞いて)にゅにゅぅ〜〜?
 魔法生物が受け入れられない……にぃ……。
 魔術師学院のヒト達と共同研究とかしたらどーなるんだろ……。でもなー心の狭いヒトとかもいるから……好奇な目で見ちゃうのかなぁ〜。

 「好奇」というよりは「奇異」な目、だね。
 明らかに異質な存在だ、そりゃ見る目も変わって当然だろう。

☆From:シュウ
 うにぃ〜〜でもなー「魔法生物」だってバレなきゃ大丈夫……? うみぃ〜〜(考えているらしい)

☆From:ポム
 バレなきゃね。だが兄弟、誰にでも変身できるのは困りものだぞ。悪さしても知らん顔できるし、誰かに罪をかぶせる事も出来る。
 考えてみろ、あそこにいるごーれむ(ポム2)が悪さしたら、誰もがあたしと思うんじゃないか?
 悪用出来ない、悪さしない何かがない限り、あたしはグランディとシェリーにキーを全部渡すのは、あたし自身が悪い事をしたように感じるぞ!
 でも、このまま二人を残して帰るのもすーごく気持ちが悪い。どうしたらいい?(じーっとシェルナを見る)

☆From:シュウ
 外の世界を見せてあげるってした時は、あたしが「変装」によって、ポムじゃない……あたしでもない……誰でもない「ヒト」として外に送り出すさ(^^;)。
 さすがに、同じ顔が二人もいたらやばいもんね(^^;)。

☆From:シュウのプレイヤー
 「変装」させて(して)からコピーさせれば、外見はOKでしょう。

☆From:GM To:シュウのプレイヤー
 いや……それは駄目なんじゃないかな。「変装したシュウかポム」ができあがる、ってことになるだろうからね。

☆From:シュウのプレイヤー To:GM
 うげぇ〜〜(^^;)。
 やっぱりそぉ?……ちっ。

 こらこら、駄目もとだったら最初から聞くな(笑)。

☆From:ポムのプレイヤー To:シュウのプレイヤー
 いえ、そう言う事じゃないんですが(^^;;;)。
 現在の問題でなくて、外に出して私達と別れた後の問題の比喩です。彼等が何時でも、好きな時に、誰にでもなれると言う事に問題があると言いたいのです。彼女は。

☆From:シュウのプレイヤー To:ポムのプレイヤー
 「いつでも変身可能」ってのがネックだからね。
 そこらへんは……シュミラクラ達を信じるしかないんかなぁ……。

☆From:ポムのプレイヤー
 シュウの気持ちは分かるぞ。同じ事感じてたもの。でも、感情だけじゃどうしようもない、その後と言う現実が(^^;)。
二人の変身能力が使えなくなれば、それだけ危険は減りますね。二人の精神の成熟度と良心に信用はおけないんですよ(^^;;;;)。現にオリジナル殺しちゃってるし(苦笑)。私達パ−ティにどうこう出来る能力はないし(^^;)。
 私達を二人に信用してもらって、もう一度閉じ込めて、(他の部屋でもロックで可)彼等をバイナルさんに任せて、それこそギアスを使ってもらうとか方法はあるのでは?
 それとなんか、セリフをによって死にたいのかもしれないと思う一節もあるような気がします。

☆From:ウィードのプレイヤー
 そういえばさ、シミュちゃん達はオリジナルをどうやって殺したんだろうね?
 魔法はコピーできないんなら武器か素手かな?

☆From:ポムのプレイヤー
 上記の事から、魔法で殺した事が想像出来ますね(^^;)。彼等は私達が知っている魔法以上の魔法を知っているのかも知れませんね(^^;;)。

☆From:シュウのプレイヤー
 コピーの能力だからねぃ……。「記憶も含めた精神をもコピーできる」ってんだから‥‥魔法使えると見た方がよいね(^^;)。
 こいつら、まぢつえぇ〜よな……喧嘩(=戦闘)したくねーわ(^^;;;)。

☆From:ウィードのプレイヤー
 全く。
 この部屋に入った時は「おりゃ〜戦闘じゃ〜」とか思ってたんだけどね(^^;)。今は「こいつらやばいよ〜どうする〜」ってな感じだもん。

 まるで先の見えない話し合い。シミュラクラの、そして彼らの前途に待つのは希望か絶望か?
 次回こそクライマックス──のはず。

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