さて、自分の得意分野へと場所を移した冒険者は、どうやら各自たくさんの情報を得ることに成功したようだ。その内容を見てみよう。
調査を終えて待ち合わせ場所の学院前に一番乗りしたのは、ブラキ神殿へ行ったアフルとセリスのコンビだ。
しかし、アフルには先程の聞き込みでもう一ヶ所行きたいところが出来ていた。もうじき夕方だから、早くしないと先方が店じまいしてしまうかもしれない。ちょっと悩んで、アフルは学院の門番に伝言を頼む事にした。
■学院前 |
☆From:アフル To:門番の人 |
すいません、もうしばらくしてその辺にグラスランナーとマイリーの神官戦士が戻ってきたら、 「ライデン通りの奥の鍛冶屋にも話を聴きに行ってるからちょっと遅れるけど、先に学院に入ってて。」って伝えていただけませんか? |
危うく「先にジャックさんの部屋を調べといて」と言いそうになってその言葉を飲み込むアフルだった。
門番は一応請け負ったが、交代時間になればいなくなってしまう。早くシュウ達が帰ってくるといいのだが。
次にやってきたのは盗賊ギルドに行ったシュウだ。しかし、アフルとセリスは既にライデン通りに向かった後。ここには誰もいなかった。
■学院前 |
☆From:シュウ |
(てってってってと元気良く駆けて来て) ふにふにぃ〜♪学院前に到着、とぉちゃーくっ☆ (きょろきょろと辺りを見渡して) ありりっ?まだ誰も来てないのかにゃ?んじゃあたしイチバン乗りだぁ(^^) みんな早く来ないかなぁ〜♪(と、リュートを弾き始める) |
リュートを弾くシュウを見つけて学院の門番が近寄って来る。先程アフルに伝言を頼まれた人だ。
■学院前 |
☆From:門番 To:グラスランナー |
君、金髪で青い目の吟遊詩人の友達のグラスランナー? 伝言があるんだ。 「ライデン通りの奥の鍛冶屋にも話を聴きに行ってるからちょっと遅れるけど、先に学院に入ってて。」 だそうだけど。俺、そろそろ交代だから。確かに伝えたよ。 |
■学院前 |
☆From:シュウ To:門番 |
金髪で青い瞳の吟遊詩人?アフルのことかにゃ? おにぃさん、伝言ありがとぉ(^-^)。ちゃんと伝わったのだ☆ |
門番は安心したように笑いかける。もう交代の時間らしく、そわそわと学院の門へ取って返した。
■学院前 |
☆From:シュウ |
リーダーったら‥‥名前も告げずに伝言頼むだなんて♪ 案外あたしと同レベルの「おちゃめさん☆」かもしれないな♪(にやりん☆) |
しっかりしてると思ったリーダーの思わぬ一面を知ってにやりとするシュウ。そうか、彼は自分と「同類」なのだとひとり納得。
それから程なく、マードリスの工房へ行ったジョンが戻った。何やら決意を新たにしたようすだ。
さらに、学院内からユリが姿を現した。カヴァレスは面倒な手続きをしてようやく入れた学院内から出るつもりはないらしい。
■学院前 |
☆From:シュウ To:ジョン&ユリ |
ひーほー♪あたしの方が早く来てたのだ♪ なにやらリーダーとセリスねぇちゃんは、もひとつ調べにいくトコがあるんだって。 ちょっと遅くなるらしいから‥‥先に学院内に入っててちょぉらいだってさ♪ でさでさ。何処に行くコトにするる? (記帳のコトを思い出したらしい) |
すでに辺りは夕方になり、学院前の広場も家路を急ぐ人々が行き交う姿が見える。
アフルとセリスが戻るのは、おそらく 1 時間位後になるだろう。
学院前の 3 人が額をあわせて相談を始めた時、学院の玄関からカーランたち衛視隊が出てきた。今日の調査を終えてライデン通りの詰め所へ戻るようだ。特にこちらに気づくようすはなく、そのまま行ってしまうようだ。
その頃アフルとセリスは、ブラキ神殿で話を聞いたライデン通りの工房へ到着した。店じまいの時間かと急いできたが、まだ工房には人がいるようだ。間に合った。
■工房前 |
☆From:アフル To:中の人 |
すいません、ロドンさんの事について聞きたいんですけど… |
■工房前 |
☆From:中の人 To:外の人 |
はい?ロドンがどうかしたかい? |
■工房前 |
☆From:アフル To:中の人 |
ええ、実はロドンさんを探しているんですが、おとといこちらに来た後の行方がわからないので、行き先をご存知でないかと… |
工房の人間は驚いたようす。
■工房前 |
☆From:中の人 To:アフル |
ええっ、なんだって?行方がわからない? うちからはとっくに帰りましたよ。時間はおとといの夜中だったなぁ。 その後のことは知らないよ。 |
■工房前 |
☆From:アフル To:中の人 |
そうですか… ありがとうございました。 |
あまり手応えは感じられなかった。
■工房 |
☆From:セリス To:中の人 |
ぶしつけで失礼しました。わたくしはマーファ神にお仕えする セリスと申します。ブラキ司祭様に協力しているのですが・・・ 貴重な情報、ありがとうございました。 |
急いだ息を整えていたセリスがようやくそれだけ言う。自分の名前を言わないのは失礼にあたると考えているセリスは、どこでもいつでも最初に名乗るのがポリシー。
あっ、何かぼそぼそ聞こえてくるぞ。
「名前も名乗らずに行方を聞いたら借金取りと一緒じゃないか(笑)」(T氏談)うーん。否定できない。
「似たようなものだというような気が…(笑)
だって、金のために人を捜してるし…」(S氏談)
■工房 |
☆From:中の人 To:セリス |
あ、いやいや。おつとめご苦労さまです。 |
相手は気にしていないようだ。よかったね。
ここでの取材は以上で終了。
手詰まりを感じながら、アフルとセリスは大急ぎで学院前に引き返した。
一方、学院内に残ったカヴァレスはといえば…
■学院内部 |
☆From:カヴァレス |
・・・クク,これ以上待っていても埒が明かねぇなぁ。 |
入り口付近で仲間が入ってくるのを待っていたがしびれが切れたらしく、こうつぶやいて知識の塔 4 階のジャックの部屋へ向かった。部屋の周りには誰もいない。付近の部屋のドアはいずれも閉じているので内部はうかがえない。
聞き耳を立ててみると、先程リーファが入ったドアの奥で人のざわめきが聞こえたりジャックの研究室の隣の部屋では人が動くような音が聞こえる。
さて、どうするカヴァレス?
そのころ学院前の広場では、シュウとジョンとユリが額を集めてこれからどうするかについて悩んでいた。そこへ寄り道していたアフルとセリスが追いついた。
■学院前 |
☆From:シュウ To:ALL |
ひーほー♪なんやかんや待ってたらアフルやセリスねぇちゃんも来たのら♪ ねぇね、これからどうしやう? たしか夕方以降はジャック=スロークソルムの部屋の警備が少なくなるんだよにぃ? も一度チャレンジしてみやう? その前に集めた情報を一度整理してみやうぅぅぅ? |
■学院前 |
☆From:アフル To:シュウ&ALL |
あ、シュウ達待っててくれたんだ。ありがと。 うん、やっぱりジャックさんの部屋に重要な手がかりが隠されてるかもしれないしね。 いまここにはカヴァもいない事だし、情報の整理は後でも良いんじゃない? |
■学院前 |
☆From:シュウ To:アフル |
待っていたっていうか‥‥学院内って広いでしょ? だから、下手に入っちゃうと迷子になっちゃうかなぁーっておもっちゃって‥‥‥(^^;;; 情報の整理は後ね。OK〜♪ |
■学院前 |
☆From:アフル To:シュウ&ALL |
それより、早く入ろうよ。誰をたずねる事にする? さっきのリーファさんなら、衛視の人が夜いなくなるって事も教えてくれたし、手伝ってくれるんじゃないかな? |
■学院前 |
☆From:シュウ To:アフル |
リーファさんって‥‥ああ、アフルにこしょこしょって耳打ちしてくれたヒトかにゃ? 確かにあのヒトなら手伝ってくれるかもしれないね(^0^)ノ んじゃ、さっさか行こう♪ |
学院の玄関でおなじみの記帳をした冒険者は、案内人に連れられて知識の塔 4 階向かった。シュウはカヴァレスを探してキョロキョロしながら歩いている。
当のカヴァレスは、ジャックの研究室前で待っていた。
■学院内部 |
☆From:カヴァレス To:ALL |
よぉ,随分とごゆっくりな事だなぁ,勇者殿ご一行様よぉ。 クク,とっとと済ませて早いとこ出よぉぜぇ? |
ここにいるとどうも苦手なギャレット師に会いそうなので嫌らしい。
■学院内部 |
☆From:アフル To:カヴァレス |
そうだね、とっととロドンさんか真犯人を探し出さないと。 |
案内人がざわめきの聞こえるドアを叩くと、中からリーファが顔を出した。ここは大部屋の研究室で、若い研究者が集まっているようだ。リーファは一行を見て笑顔になる。
■知識の塔 4 階:大部屋 |
☆From:リーファ To:ALL |
あれ、皆さん。どうしたんですか? |
アフルは部屋の中を覗いてみた。そこには3、4人の若い研究者が集まっていた。
窓際に並んだ机の上では、研究者達がランプの明かりで上位古代語や見た事もないような言語で書かれた本を何冊も開いて研究にふけっている。こちらに注意を払う者はいないようだ。羊皮紙にメモを取るペンの音だけが響いている。
冒険者とリーファを急かすように、廊下で案内人がひとつ咳をした。
■リーファの部屋 |
☆From:アフル To:案内人 |
あ、ちょっと時間がかかりそうなんで、戻ってもらってても良いですよ。 終わったらリーファさんに送ってもらいますし。 ね、リーファさん。 |
そう言って、アフルはリーファに目配せした。足枷(案内人)は、なるべく早く外しておくに限る。
■大部屋 |
☆From:リーファ To:アフル |
えっ? …あっ、はい。ええ、そうですとも。ね〜っ (^^) |
アフルの目配せは通じたようだ。
案内人も、「そういうことなら…」と帰って行った。それを見送ってリーファは、目を輝かせて冒険者に尋ねる。
■大部屋 |
☆From:リーファ To:ALL |
で?何をするんですか?探偵のみなさん。 |
■リーファの部屋 |
☆From:シュウ To:リーファ |
こんばんはなのだ(^-^)/(しゅたっ!) (小声で) 今からも一度ゲンバを見に行くんだ☆ で、リーファさんに手伝いしてもらいたいんだ‥‥ |
と言いながらシュウはアフルを見る。商人リーダーのアフルの商談じゃなくて言いくるめ「協力要請発言」を期待して。
リーファもシュウにつられたようにアフルの方を見る。何が起こるのか興味津々と言ったようすだ。
■リーファの部屋 |
☆From:アフル To:リーファ&シュウ |
うん、えっと…(←実は何も考えてなかったんで慌ててます(笑)) あ、そうだ。シュウって「ノスタルジィ」使える? |
■リーファの部屋 |
☆From:シュウ To:アフル |
のすたるじぃ?あぁ、呪歌のノスタルジィかにゃ? 使えるもなにも、あたしの得意な唄さぁ(^-^) ‥‥‥ がなにかしたの? |
シュウは、お目目くりくり、あたまの上クエスチョンマーク乱舞状態。
■リーファの部屋 |
☆From:アフル To:シュウ&リーファ |
それじゃあさ、そこの衛視の人がいる部屋の前で、歌ってくれないかな? そしたら衛視の人が家に帰ろうとするだろ。 そこで、俺達が見張ってるから安心して家に帰っていいよって言うんだよ。 リーファもいるから納得してくれるだろうし。 んで、衛視の人が帰ってる間に調べたら良いんじゃないかな? |
さっきまで「リーファさん」だったのに、本人を前にして敬称が取れてる…
でもリーファは気にするようすもなくニコニコしている。シュウはちょっと顔を曇らせた。
■リーファの部屋 |
☆From:シュウ To:アフル |
衛視のヒトの為に「ノスタルジィ」‥‥? うーん‥‥‥(考え込んでいます) ‥‥‥ あたしは、ちょっと学院内では歌いたくないなぁ‥‥‥(^^; 前に、「学院内では静かにしろ」って言われたのもあるんだけど 呪歌ってのも一種の呪文なんだよね‥‥? ‥‥‥ 学院内で普通じゃない呪文使って、怒られないかなぁ(^^;;;;;; あたし、ちょっと不安なんだ(^^;;;;;;;;; |
前の仕事(シナリオ#02参照)でも学院の人間と付き合いのあったシュウは、魔術師の中には融通の効かないヤツも多いことを身をもって知っている。みんながみんな、バイナルやギャレットのようなヒトならいいのに…
■リーファの部屋 |
☆From:アフル To:シュウ |
そうかぁ、そりゃそうだね(苦笑)。 それじゃあ、やっぱり普通に衛視の人に言って部屋を調べさせてもらおうよ。 それで断られたら仕方がないか。 |
と言いながら、アフルはなんとなくほっとしたようす。誰かに止めてもらえるのを心の何処かで期待していたのかもしれない。
■リーファの部屋 |
☆From:カヴァレス To:アフル |
リーダー殿よぉ,腕の見せ所だなぁ? クックック・・・ |
カヴァレスは言うが早いかリーファのいた部屋を出て見張りの衛視がいると思しき扉へ向かう。
■リーファの部屋 |
☆From:アフル To:カヴァレス |
う、うん、任せてよ(不安)。 (でも、どうやって説得しようかなぁ?) |
廊下はシンと静まり返っていた。冒険者とリーファの他には誰もいない。所々で揺らめくランプの光が、日の沈んだ後の塔内を柔らかく照らしている。
アフルは衛視がいると思われるジャックの研究室の隣のドアをノックした。すると、アフルの知らない衛視が顔を出した。がっしりした体格で年齢は 30台。落ち着いた感じの人だ。
■リーファの部屋 |
☆From:アフル To:衛視 |
すいません、俺達はジャックさんが殺された件で、調査しているものですけど、ジャックさんの部屋を捜索させてはいただけませんか? もちろん、責任者のカーランさんには協力の許可は貰ってますよ。 |
嘘はついちゃいない、とアフルは自分に言い聞かせる。嘘つくとまたセリスに怒られるし。が、意外と衛視の反応は好意的だった。
■見張り部屋 |
☆From:衛視 To:アフル |
ああ、隊長から話は聞いている。 調べるのはかまわないが、何をするか後ろで見ていろと指示されている。 そうさせてもらうが、かまわんだろうな? |
そう言って、ベルトに挟んだ鍵を取り出す。
■見張り部屋 |
☆From:シュウ To:衛視 |
(しゅたっと敬礼して) お仕事ご苦労様なのだ☆ カーランさんから話を聞いているんなら、ありがたい♪ お部屋の中、見せてくれるんだよにぃ(^-^)v♪ お仕事の邪魔しないよーに、荒らさないよー気をつけるにぃ☆ |
■見張り部屋 |
☆From:見張り衛視 To:シュウ |
うむ。それでは隣の部屋の鍵を開けよう。 |
と言って、おもむろに事件現場の扉を開ける。
カヴァレスは無言で室内に入り、さっさと調査を開始する。シュウもここが腕の見せ所とばかりにあたりを見回した。アフルもそれに続く。
室内は、この階の他のほとんどの部屋と同じで板張りの簡素な部屋になっていた。外に向かって窓があるが、今は板戸が閉まっていて外は見えない。
壁には本屋書類や怪しげな品物が無造作に積んである棚があり、なんとも探しでがありそう。他には引き出し付きの立派な机、仮眠用(?)のソファなどが目に付いた。
事件の跡はかなり片づけられているようだ。
セリスが祈りを捧げる際に見た血の跡も、今はもう生生しさを失っている。
セリスとジョンはここは専門職に任せるつもりで後方で待機している。
衛視は後ろで見張っている。リーファも興味津々といった風情で覗きに来た。
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