#167:囚われの衛視様

2-1a 子爵邸にて

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ソーダック子爵邸
馬車は高級住宅街に向かって行き、やがて一つの屋敷に入っていった。
冒険者達は玄関から応接室に招かれた。
おそらくは高級な物だろう紅茶を振る舞われ、暫し待っているとこの館の主人であろう初老の男性が現れた。
■初老の男性 To:ALL
わざわざ屋敷までご足労頂いて申し訳ありません。
私はラルフ・ソーダック。ソーダック家の現当主であり、ファラハの父親で御座います。
詳しい話が出来ず、さぞ当惑されたかと思いますが、何分私的な事情があります故、お許しください。

もし私の話を聞かれた上で依頼を受けられないと言う事でしたら、
銀の網亭までお送り致します。
まずは、私の話を聞いて頂けないでしょうか。

■ジン To:ラルフ
安心してください。我々はその為に来たのですから。

■ウリディケ To:ラルフ
御配慮ありがとうございます。
お言葉に甘えて、自己紹介は話の後とさせて頂きます。

どうぞ、続けてください。

アールはウリディケの言葉に賛同し、頷く。
まずは依頼の内容を知ることからだ。
■アリス To:ラルフ
お願いします。
お話を聞くために、みんなでここまで来たんですよっ☆

相変わらずお気楽な口調だが、表情だけは真面目だった。
■ウーサー To:ラルフ
ま、そういうことだからよ? とりあえず、ハナシを聞かせてくれ。
いちおう確認しとくが、アンタがこの件の直接の依頼人ってコトで、いいんだよな?

■ラルフ To:ウーサー&ALL
そう取って頂いて問題有りません。

では、依頼内容をお話しします。
状況は10日ほど前、ファラハが婚約者であるパーマー伯爵家の次男、レオノフ・パーマーに会いに行った事から始まります。
ソーダック家は過去にパーマー家に恩を受けておりまして、私がファラハしか子をもうけられなかった為、世継ぎとしてレオノフ殿を婿に迎える事が決まっておりました。

現時点ではファラハは「まだ仕事が大事だ」と言う事であまり乗り気ではありませんが、マイレイでの事件を解決した褒美として休暇を貰っていたので、「久しぶりに顔を出してやればどうか」と言いました。

ファラハは渋々パーマー家を訪問したのですが、それから音沙汰がありません。
正確に言えば、使いの者が「暫くパーマー家に滞在する」と言ってきましたし、
衛視隊にも、文書で休暇届が出されている様です。

通常なら本人が直接言いに来る筈なのですが、それが無い事がいつもと違っています。
ファラハの気が変わったのならば、それが一番なのですが、あれの生真面目な性格からして、連絡を怠る事は考えられません。

かと言って、私からパーマー家に強く物を言う事が出来ません。
ましてや疑っていると思われるのも、この後の両家の関係に関わります。

そこで、冒険者の皆さんに調査をして欲しく依頼を出しました。
何もなく、ファラハが元気でいるならそれ以上は望みません。
最近レオノフ殿はファラハに相手にされていない事を快く思って居なかった様ですし、もし何かあったらと思うと心配なのです。

親馬鹿と思われても仕方有りません。
また、私の我が儘で有る事も十分理解しています。

が、どうか私のお願いを聞いては貰えないでしょうか。

と言うと、ラルフは冒険者達に深々と頭を下げた。
■ジン To:ALL
ふむ。帰れないのか、帰らないのか。それを確かめたいということか。

■アール  To:ジン>ラルフ
どうやらお姫様はさらわれた後だったらしいな。
失礼。
で、もう少し依頼内容の確認がしたいんですが。

「パーマー家の世間体」については考える必要がありますか?
「元気であることの確認だけ」という用件には、ファラハさんの思惑は含まれていないことが気になりまして。
ファラハさんが自力で抜け出そうとしていた場合、助けるべきでしょうか。
極端なハナシ、俺達がファラハさんをさらったり、変な噂が立った場合、婿入りが台無しになる可能性だってある。
そこを踏まえて、もうちょっと具体的な話をしても構いませんか?
貴族サマ相手ってだけで、十分リスキーですからね。

■ラルフ To:アール&ALL
勿論、自分の意志に反してパーマー家に軟禁されている、若しくはそれに近い状態で有った場合は、強行的な手段を取られても構いません。
また、ファラハがもし自力で抜け出そうとしている場合は、どうか手伝ってください。
そもそもこう言った状態であれば、婚約は破棄する必要がありますし、
その場合、パーマー家の世間体は気にする必要はありません。
今回の件に関する後始末は私が全て引き受けますので、皆様はご心配なく。

かと言って、あまり無茶をされるのは困りますが。

■ウーサー To:ラルフ
成る程、な。
要はファラハお嬢様の様子を確認して、いざとなりゃあ奪還――いや「回収」して来りゃあいい、ってこったな?
まあ、そういった事だったら、千ガメルでも妥当ってぇところか……いや、相手は貴族だったか。ちぃと手間が掛かるか?

■ウリディケ To:ラルフ
………困った話ですね。

申し遅れました、私、ラーダの神官戦士、ウリディケ・フェニールと申します。
私からもお伺いしたいことが幾つかあるのですが。
まず、今回の調査…場合によっては救出作戦に必要な経費はどこまで負担していただけますか?
もちろん現物支給の可能性や、報告書の添付が必要といった条件も、教えて頂けると助かります。

あと、この依頼に期限などはあるのでしょうか?
可能な限り迅速に解決したいと考えていますが、期限が差し迫っているようでしたら、その事も検討に入れないといけません。

■アール To:ラルフ
現時点で10日ほど経っている…でしたか。
ファラハさんがそれほど長期の休暇を申請しているとも思えませんし。
かといって、衛視隊に連絡がなければ他に怪しむ人もいるでしょうね。
その当たりはどうなのですか?
休暇の延長という形にはなっているのでしょうか。

■ウーサー To:ラルフ
オレ様はウーサー・ザンバード、見ての通りの重剣士だ。オレ様からも、幾つか確認させてくれ。
細けぇことは兎も角として、オレ様たちが依頼を受けて動く場合に、だ。
パーマー家の世間体を気にする必要が無いっていうなら、「パーマー家の連中が、ファラハ・ソーダックを監禁している可能性がある」ことを明らかにして調査を進めることにさせてもらうと思う。
だが、オレ様たちは、どの程度まで「ソーダック家の依頼で動いている」ことを明かしていいんだ?
「ラルフ・ソーダックの依頼で」って扱いか? それとも、ギリギリまでは「ファラハお嬢様の『個人的な知り合い』が有志を募って」って扱いのほうがいいのか?
良く理解らねぇが、お貴族サマは気にするんだろ? そういう「世間体」みてぇなヤツを。

■ラルフ To:ALL
まず、ご質問にお答えしましょう。

今回ですが、申し訳ないですが表だって”パーマー家を疑っている”、
”ソーダック家の依頼で動いている”事は隠して頂きたいのです。
内密に動いて貰いたいのは、ウーサーさんが言われる様、私共の「世間体」の為です。
私の心配が杞憂であれば、両家の関係が悪化してしまいます。
従って、現状で私が出来るのは、
「ファラハが世話になっているので、身の回りの世話をする者を若干名派遣する」事位ですね。

また、調査に必要な経費はこちらで持ちます。
立て替えた分も全額お支払いします。
勿論、常識的な範囲で、ですが。

期限については、”可及的速やかに”お願いします。
長期になればなるほど、もし喫緊の事態であった場合に、
ファラハの生存が危うくなります。

最後に休暇の件ですが、元々一月の休暇を貰っていました。
本人は数日休んで復帰するつもりだった様ですが、衛視隊に確認したところ、最初に指示された日数分休暇を取る様に連絡があったとの事でした。
これは、パーマー家の使用人が連絡に来たとの事です。

■ウーサー To:ラルフ
ファラハお嬢様が、今でもパーマー家の屋敷に居るって確証は、そっちではどの程度の割合で掴んでるんだ?
其処から調べてく必要があるんなら勿論そうするワケだが、実はレオノフともども第三者に囚われてるなんて事が有り得そうなら、それはそれで事前に確かめときてぇ。

ファラハお嬢様がパーマー家に居るっていうのは、アンタ自身が何らかの方法で確認済みなのかい? 今の時点ではアンタの推測に過ぎないだけで、それも含めての「調査」ってことなのかい?
それとも、「調査」を口実にした最後通牒と執行役として、オレ様たちが雇われてるのか?

ああ、悪いがオレ様は、剣を振るうしか能の無ぇ育ちしかしてねぇんだ。だから空気を読むってヤツが、いまひとつ実践できなくてな?
裏表があるんだとしても、それならそうとハッキリと、予め言っておいてもらいてぇだけなんだ。別に他意も悪意も無ぇから、そこんとこは勘弁しといてくれ。

■アール To:ラルフ
調査云々であればギルドの手も借りねばなりませんね。
こちらに有利なように情報を流すこともできます。
もっとも、情報はお金で売り買いできますが、状況は人の手で変えねばなりません。
冒険者とならず者は違う…とはいえ、あまり買いかぶりをされても困りますので。

■ラルフ To:ALL
ファラハがパーマー家から出ていない事は確認済みです。
また、同時にレオノフ殿も屋敷に居る事が確認できています。
従って、第三者が二人を攫って居ない事は間違い有りません。
とは言え、屋敷の外で確認した限りですので、内部では何か起きているかもしれませんが。
その辺りも含めての「調査」で、最悪の場合の備えの為に、皆さんに依頼をしています。

お気を悪くされるかもしれませんが、第三者である皆さんに依頼するのは、
直接”ソーダック家がパーマー家を疑って調査している”という事態を回避するためのものです。
この辺りの事情はご理解ください。

■ジン To:ラルフ
”パーマー家を疑って調査している”ことを回避するためならば、
我々がオランで情報収集するのも避けた方がよいのでしょうか?
もし彼らがファラハ殿を手中にしているのであれば、一介の冒険者がパーマー家を嗅ぎ回るような事態そのものが、ソーダック家への警戒を生む可能性があります。

■ラルフ To:ジン
それについては、その道のプロである皆さんならば目立たない様に情報を収集出来るのではないかと信じています。
なるべく相手に察される事無く情報を集めて頂ければ……と。

■ウーサー To:ラルフ
ファラハお嬢様とレオノフってのが、経過はともあれ添い遂げる気が有るってんならハナシは別だが…アンタの危惧してるとおり、今回のヤマが「監禁」だったらって前提での場合に、だ。
アンタらにとって、ベストな落とし所ってなぁ何処なんだい?
レオノフはひっ捕まえて、此処まで連れてくりゃあ良いのかい? それとも「つい加減を忘れて」、後腐れ無くしちまったほうが……アンタにとっちゃあ、良いのかい?
だが、お貴族様相手に逆誘拐カマそうってんだとしたら……いくらなんでも千ガメルじゃあ、割りに合わねぇぞ?

■アール To:ウーサー
手段を選ばないなら、逆に手間さえ惜しまなければ悩むことも少なさそうだがな。
破壊、殲滅、蹂躙…ま、アンタの仕事がちぃとばかし増えるだろうがな(笑)。

■ウーサー To:アール
おいおい、いくらオレ様でも「殲滅」と「蹂躙」は、ちょいと骨が折れるぜ?(笑)

■アリス To:アール&ウーサー
そこまでしなくっても、監禁してるって証拠だけ用意できたら、それこそなんとでもなるんじゃないかなぁ?
物騒な事は出来るだけ控えようねっ☆

一応、マーファ神官なので流血沙汰は避けたいようだ。
■ラルフ To:ALL
もし、予想が当たっていた場合ですが、「つい加減を忘れて」と言うのは望ましくありません。
事情を話せる状態で、レオノフ殿を確保する事が一番良いですね。
必ずしもここまで連れてくる必要はありません。
しかし確かに……警備の厳しいであろう屋敷から奪還と言うのは難しいですね。
宜しい、では、成功報酬を一人当たり1500ガメルとしましょう。
必要であれば、一人当たり500ガメルまで前金をお渡しします。

■ウーサー To:ラルフ>ALL
ああ、それならまぁ、納得できそうな額だな。
前金は貰っとくほうがいいよな? 装備はともかく、情報料用に確保しといたほうが良さそうな気がするぜ。

■ウリディケ To:ラルフ
潜入捜査とか必要そうですね。

あくまで例えばですが、身分を偽りパーマー家の使用人などになりすます場合、“パーマー家に怪しまれない紹介状”を書いてくれるような協力的な他家の方を紹介していただけますか?

あと、前金は経費とは別と考えて構いませんか?
使用人っぽい服装や小道具を実費で揃えるのは、釈然としないものを感じるのですが?

■ラルフ To:ウリディケ
紹介状については手配しましょう。

また、使用人に返送するのであれば、当家の使用人用の服で空いている物を手配するなど、皆さんに負担を掛けない様に工夫します。
勿論、別途購入するならば、その分の代金はお支払いします。……つまり、前金と経費は別とお考えください。

ウリディケとラルフのやり取りを聞きながら、右手の人差し指でこめかみをとつとつと突いていたウーサーだったが、なんとか武器を持ち込む方法を思いついた――とはいえ貴族の暮らしには詳しくないので、確認も兼ねて尋ねてみる。
■ウーサー To:ラルフ
お貴族様的にゃあ、ファラハお嬢様が婚約者の家に長期滞在するときにゃあ、たとえば「身辺警護役」なんてぇのが同行してもおかしくは無ぇモノなのか?
ああ、もちろんこのプレートメイルに大剣担いで、冒険者仕様の武器でってワケじゃあ無ぇ――小道具のひとつってコトで、それらしいのを用意してもらうとして、のハナシだが。

■ラルフ To:ウーサー
流石に、敵対している家であれば「身辺警護」の理由も通りますが、
同じオラン王家に仕え、友好状態にある家どうしの間ではその行為は
相手を信用していない事に繋がります。
申し訳ありませんが、武器を表立って持ち込む事は難しいと思ってください。

■ウーサー To:ラルフ
そうか……駄目か。じゃあやっぱり、現地調達しか無ぇのかな?

■アール To:ウーサー
あんたならナイフやフォークだって立派な武器になりそうだがな…。
その体躯と身のこなしだけでも十分武器だろうに。

■ウーサー To:アール
おいおい、そりゃあ買いかぶり過ぎだって。
いくらオレ様でもナイフやフォークじゃあ武器にゃあできねぇぜ? 獲物を駄目にする前に、得物のほうが駄目になっちまわぁな。

■アリス To:ウーサー
ん〜、武器を持ち込むのは、そんなに難しくないと思うなぁ。
そんなに大きいのはダメかもしれないけど。

■アール To:ラルフ
すいません。貴族といえば裏の顔もあってしかるべきでしょうが、懇意にしてる方…ああっと、ハッキリ言うとギルドの人間って意味ですが、いたりしますかね?
パーマー家が懇意にしてるからという、逆の場合も含めてで。

■ラルフ To:アール&ALL
いえ、それは今のところ有りません。
パーマー家も同様の筈です。
もっとも現当主は留守ですので、留守居のレオノフ殿が何かやっていれば話は別ですが。

■ウリディケ To:アール、ALL
レオノフ・パーマー……そう言えば、確かそんな名前の人が、パーマー家…伯爵家の事だったかしら?、の留守居役として家に居るはず。

パーマー家がどの程度、裏社会に精通してるか分かりませんが、レオノフ・パーマー個人はギルドと関係してないはずよ。

■アール To:ラルフ
うん、もうひとついいですか?
レオノフ殿の人となり…大胆な性格であったり、こちらの(ウーサーを親指で指し示す)ように豪傑な方であったりとか。
ファラハさんとの温度差があったにせよ、いきなりそういう行動に出るというのには裏付けがあるでしょうし。
あと、女性に弱いとかなら、またこちらもやり方を考えねばなりません。

■ウーサー To:アール
いや、オレ様と比較しちゃ駄目だろ。仮にオレ様以上だとしたら、そいつぁもう人間じゃあ無ぇぞ?

■ラルフ To:アール
どちらかと言えば気は小さいですね。
大胆や豪傑とは程遠い性格ですね。
後は……水の生き物が好きみたいで、高価なガラス張りの水槽を幾つも飾って、魚を泳がせていた覚えがあります。

■ウリディケ To:アール、メイシアス
どちらかと言えば気は小さい………どこかで聞いたような性格ね?

■アール To:ウリディケ
かつてのファラハさんの依頼、ワーウルフの時も若旦那や本人の意図しないところで事件は大きかった…。
今回もファラハさんを急いで手に入れたい理由となると、同じような裏があるんだろうな。

ラルフには聞こえないように。
■ウリディケ To:アール>ALL

!、それだわ。
ワーウルフの時の犯人と性格が似てる気がするのよ。……毒とか変な魔術に頼るタイプ。

実力以上の力に手を出して、あとで周囲への影響が大きくなるのよね。


水槽で魚を飼ってる……水棲の怪物とか人魚娘とかも飼ってそうね。

■ウーサー To:ALL、ラルフ
人魚姫を飼ってんのか、人魚姫にして飼いてぇのかってんで螺子の外れ具合が変わってきそうだが、な?(笑)
にしても、屋内で水槽で魚飼う、かよ。どんだけ金回りが良いんだ?

ウリディケたちの囁きが聞き取りづらいように、わざとオーバーアクション気味に他愛もないことを喋る。
■アール To:ALL>ラルフ
それぞれの役割も含めて、いろいろと整理したいところだね。

潜入やらなにやら…急ぎの手筈だけでも相談したいので、部屋を貸していただけますか?

■ラルフ To:アール&ALL>エドモント
分かりました。

エドモント、皆さんが使える部屋を用意してくれ。
お茶とお茶菓子も忘れない様に。

■エドモント To:ラルフ
畏まりました、旦那様。
すぐに用意させて頂きます。


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GM:teshima