【ウインターシアター・舞台上】 |
■下手袖からの声 To:勇者ドレッダール様 |
ドレッダール様〜!! ご無事ですか〜!! |
手に手を取り合って舞台に駆け込んできた、埃まみれのリキュオスと、埃に加えて痣や怪我の痕が痛々しいカラレナ。
ふたりの数歩前で、勇者ドレッダール様はよろめき。
まるでスローモーションがかかっているかのような動きとともに、床に崩れ落ちた。
■??? To:怪力&トンガリ |
はっはっは、遅かったな。 英雄の時代は、これで終わりだ!! |
そんな台詞を残し。
上手袖に走り込んで行く、黒装束の人影。
振り返った顔の上半分が、飾り気のない銀色の仮面に覆われているのが見えた。
■カラレナ To:黒装束>こころのなか |
あっ、な、なにやつ!! (ホントに誰!?) |
舞台の上には、大人の人間二人分はあろうかという大きな木材が転がり。
その周囲には、それを釣っていたであろうロープや、支えと思われる木片、金具などが転がっている。
そして客席には、予想外の展開に驚き、固唾を飲んで見守っている、顔、顔、顔。
■カラレナ To:勇者ドレッダール様 |
ドレッダール様!! 大丈夫ですか!? いま、手当てをっ…! |
倒れたのが演技だと確信して半ば安心しつつ、素早くベッツに駆け寄る。
そして介抱するしぐさをしながら小声で、
■カラレナ To:ベッツ |
あの、いまの黒装束のひとはいったい? 私たちの仲間ではないみたいなんですが… |
■ベッツ To:カラレナ |
いや、僕も誰だかさっぱり。 ツリが折れたと思ったら、それと一緒に振ってきたんです。 逃がしてくれないと、客席を混乱させるって言うんで、とっさに……。 |
■カラレナ To:ベッツ |
あの、せ、設備を壊しちゃったのは私のせいかも…。 それはともかく、この劇場…何かいます…私たちの他に…だけどたぶん、敵じゃない… |
そこまでささやくと、カラレナは客席のじゃがいもたちの表情に気づき、慌てて「従者」に戻る。
■カラレナ To:こころのなか>勇者ドレッダール様 |
(あっ、じゃがいもさんたちがびっくりしちゃってる…な、なにか盛り上げなきゃっ…) えっと、傷は、大したことないみたいです! そ…それよりも聞いてください、ドレッダール様っ。 |
ベッツの身体を支えて助け起こすと、いきなり怒ったように、でし、でしっと地団駄を踏んでみせる。
■カラレナ To:勇者ドレッダール様 |
見てください、これっ。 試練の洞窟が真っ暗だったので、転ぶし、その拍子に岩は落ちてくるしっ。 このトンガリ耳の魔術師が、明かりの魔法すら使えないせいですっ。 きっと魔法使いなんてサギなんです!! こんなひとクビにしてくださいっ!( ̄^ ̄) |
頬を膨らませながら、大げさな動きでびしぃとリキュオスを指差す埃だらけのカラレナ。その腕はホンモノのアザだらけであった。
■リキュオス To:カラレナ |
な!? ちょ、いきなり無茶振りΣ( ̄Д ̄;; 「明かりの魔法はぁ、ちょおーっと在庫切れだったのですよぉ。」 「こちらこそぉ、片っ端からトラップを発動させまくりでぇ、殺されるかと思いましたよぉ?」 |
■カラレナ To:モドキ |
わ、私のせいだっていうんですかー(むきー) |
■ベッツ(勇者ドレッダール) To:カラレナ>客席 |
あ…いや……。 すみません、開演前に機材の確認をするのは鉄則だったのに。 あなたの怪我がこの事故の所為だとしたら、それは確認を怠った僕の責任です。 終演後、改めてお詫びします。 ……ありがとう、優者カラレナ。 わたしは大丈夫だ!(キリッ!) |
カラレナに助け起こされたベッツこと勇者ドレッダール。
ぎこちない動きを演じながらも、客席に向って見栄を切って見せる。
リアルな冒険では、クサい芝居とも取れる動きであったが。
■カラレナ To:勇者ドレッダール様 |
よかった! さすがドレッダール様!! |
■後方席のじゃがいも達 To:俳優達 |
いいぞ!カラレナ〜! がんばって、勇者ドレッダールさまぁ〜〜っ!! |
客席からは、暑い声援と歓声、そして拍手が湧き上がった。
それらが静まるのを待って、ベッツは台詞を続ける。
■ベッツ(勇者ドレッダール) To:カラレナ、怪我は大丈夫か? |
トンガリも無事でなによりだ。 さあ、いくぞ。 皆が揃えば、何とでも乗り越えられる。 そういえば、ウサヤーンの姿が見えないが? 彼はどうしたか知っているか? |
■カラレナ To:勇者ドレッダール様 |
ウサヤーンなら、あちら側の洞窟を攻略しているはず… |
観客の視線を誘導するかのように、上手側を見やる。
■ウーサー |
なんだかよく理解らねぇままだが……よし、行くかぁ! |
ウーサーは最後に残った脚甲も外すと、いちおう深呼吸をしなおしてから、傍らの胴鎧を掴んで立ち上がった。
舞台袖に身を隠したまま、酒場の用心棒のアルバイトのときのようにドスを効かせた大音声で、舞台の中央めがけて叫ぶ。
■うさやーん(?) |
ウサヤーンがどうなった、教えてやろうかー!! |
そして、手元の胴鎧を舞台の中央ーー勇者ドレッダールの足元あたりをめがけて、力いっぱい放り投げた。
■リキュオス To:ウーサー |
「おお、ウサヤーン、遅かったーーー!?」 |
■カラレナ To:ウサヤーン |
きゃっ!? (脱いでる!?) |
■ベッツ(勇者ドレッダール) To:ドスの効いた声 |
うわっ! あ…今度は何者だ?! 突然鎧を投げつけてくるとは。 さて、どうする仲間達よ? |
突如飛び出してきた、赤や青に塗れた金属鎧の胴部に、素の驚きを出しかけたものの。
直ぐに役に戻ったベッツは、誰何の声をかける。
■リキュオス To:ALL |
「あわわわ、ウサヤーンは洞窟の攻略に失敗してしまったのですねぇ。こんな姿になり果ててしまうとはぁ、おお情けない。」 もはやなんの演出かわからへん…。 |
■ベッツ(勇者ドレッダール) To:トンガリ |
いろいろ飛び出してきちゃいましたからねぇ(汗) いっそ、竜にも出てきてもらいましょうか? なに? これがウサヤーンだというのか?! |
焦りの色を浮かべつつ、セリフを続けるベッツに被せるように。
カラレナの手にした剣から、湧き上がる声。
■古びた剣 To:ALL |
おいおい、ちょっと待て。 こいつがなれの果てちゅうなら、奴の血は半分は青かったということになるんじゃないのかねぇ? |
■うさやーん(?) To:ALL |
「馬鹿めっ、攻略に失敗などしておらぬわ!」 「貴様らを洞窟まで誘導してくるのが俺の役目だったというだけよ、この……魔竜に御使えする暴魔騎士、ウサヤーン様のなあっ!!!」 |
ウーサーは塗料塗れのままの顔で怒りの形相を形作りながら、ベッツと仲間の冒険者たちの間に割って入る位置まで舞台に走り出た。
■リキュオス To:ウーサー |
「Ω ΩΩ<な、なんだってー!」 「そ、それじゃあ、最初からぁ、わたし達をだましていたとぉいうのですかぁ!?」 うーわー、ウサやん、悪役似合うてるなぁ…。 |
■ウーサー To:リキュオス |
うるせえっ、自覚はあんだよっ?! |
客席から、湧き上がる怒号と悲鳴。
そして、一部からは歓声。
■客席中央からの声 To:暴魔騎士うさやんさま |
きゃ〜、うさやんさまぁ。 がんばってぇ〜〜〜。 |
■客席後方からの複数の声 To:ドレッダール様と勇者達 |
ドレッダールさまぁ!!! そんなやつ、ぼっこぼこにしちゃってぇーーっ! カラレナーっ!トンガリーっ! |
立ち止まると同時に、二振りの大剣をそれぞれの手で引き抜くと、剣術の型稽古の要領で右手はベッツを退かせるように縦一文字に振り下ろす。
そして左手は仲間達が巧くリアクションをしてくれることを祈りながら、彼らの頭上ぎりぎり辺りを横一文字に振るった。
両手剣を片手づつで振るうという筋力鍛錬のような遣り方をしているのは勿論、殺陣としての派手さを見せ付けようとしたいだけだったりする。
■うさやーん To:All〉リキュオス |
ぐわははははっ、見抜けなかった貴様らが間抜けだったということよっ! おいリキュオス、床に薄くて、下に抜けられるような所は無ぇかっ!? 奈落の盖とか、そういうのはっ! |
■リキュオス To:ウーサー |
な…ならく…? いやちょっとすぐには…? |
■カラレナ To:うさやーん |
な、何をするのです!! (すごい演出ですね…) |
■リキュオス To:ウーサー |
「どおぅやら冗談というわけではぁ、ないようですねぇ?」 |
■うさやーん(?) To:ALL |
「喜ぶがいい、勇者ドレッダール! 貴様の仲間は、この俺が片付けておいてやろう!」 「貴様は偉大なる我があるじ、魔の竜の王の贄となるがいい!!!」 |
■カラレナ To:勇者ドレッダール様 |
あぶないっ、ドレッダール様!! 竜が!! |
竜の登場を促すかのように、ベッツの背後を指差し、悲鳴に似た声をあげる。
やや遅れて、宙を飛んできた何かが、舞台上のウィスプに衝撃を与え、光を飛び散らせた。
足元からオルガンの、不気味な低音が湧き上がる。
客席のあちこちから再度悲鳴が上がった。
■ベッツ(勇者ドレッダール) To:ALL |
なに、そうか、もう時間がない。 急がねば。 |
■カラレナ To:勇者ドレッダール様 |
ドレッダール様、うさやーんの討伐は私たちに任せてっ! いまこそ魔の竜王に、この剣を振るうときですっ!!えいっ! |
いろいろな思いをこめて、ドレッダールの剣を腰から外すと、ベッツにむかって放った。
■古めかしい剣 To: |
おい、わしにも実戦を……ふぎゃっ! |
その剣を、身体を捻りながら一回転する動きでキャッチすると。
ベッツは、華麗とも言える足さばきで舞台中央、立ちはだかるウーサーの背後へと移動する。
■ベッツ(勇者ドレッダール) To:ALL |
では、僕は裏に入ってオスカールさんとクローエさんに声をかけてきます。 この後3人で竜と一緒の戦いの場面を作ります。 それまで皆さんは、この場面の決着をお願いします。 すまない、皆! 続いてくれると信じている! 姫よ、今こそ参りますぞ〜〜〜っ!!! |
高々と、古めかしい剣を振り上げて叫ぶと。
ベッツは背後にある緞帳の切れ目から、大道具部屋に駆け込んでいく。
■カラレナ To:うさやーん |
さあっ、うさやーん! しっかりと私たちの目を見るのです!! |
びしぃとウサヤーンに向かって人差し指を突きつける。
■カラレナ To:うさやーん |
あなたは、悪い竜に騙されているのですっ! 本当のあなたは、心優しく、繊細で、虫も殺せないひとのはず…。 いたいけな森うさぎのように…。 |
ここでたっぷりの間をおき、ウサヤーンの目を見つめる。
■リキュオス To:カラレナ |
え、、どう見ても悪役やで。 |
■カラレナ To:リキュオス>うさやーん |
えと…ギャップを狙った設定なんですっ。 目を、覚ましてくださ〜〜っ! え〜〜〜;いっ!(かわしてっ!) |
腰から下げた曲刀ーー海から響く波の音をまとったそれを引き抜き、ウーサーの腕めがけて斬りつける。もちろん、かわしてくれると信じて全力で。
しかし、ウーサーはカラレナの斬撃を受け流そうと動きかけたものの、直前になって動きを変えて、それを真っ向から受けとめた。
■カラレナ To: |
(あっ…当たっちゃった!?) |
■リキュオス |
(むちゃくちゃいい当たり…) |
■うさやーん To:カラレナ |
ぬぐっ、うおおっ!? 「従者などとは勿体ないなぁ、カラレナっ!」 |
予想をはるかに越えた「いい当たり」の衝撃が、演技抜きでウーサーの手から大剣を取り落とさせる。
イロイロと厳しいモノはあったが、気合いでカヴァーして我慢しておく。
■うさやーん To:カラレナ |
すまねぇ嬢ちゃん、奈落とか抜け道とか、兎に角、床が薄くて穴をあけりゃあ退場できそうな所は何処だっ!?ちょいと派手な演出をかましてえっ!!「確かに俺も、伝説に残る勇者に憧れたことはある。清廉潔白で勇敢な勇者に……だがっ!」 |
■カラレナ To:うさやーん |
(え、床っ…)!? |
ウーサーはカラレナが自分から離れてくれるように、斬り払うような動きで腕を振った。
そして自分と仲間たちが立つ床の位置と、ブーツに仕込んだ短剣の存在を再確認する。
■うさやーん To:カラレナ |
「力はいいぞ、カラレナ…! 見よっ、優しさも繊細さも魔の竜に捧げた、俺の邪悪なる闇の力をっ!!」 |
そしてウーサーは、得物を大きく振りかぶった片腕で口元を隠しながら精霊に呼びかけ、闇の塊を自分のうしろに召喚した。
舞台の後方が、ウーサーの背中を中心として薄闇に包まれてしまったかのように見せかけさせる。
■リキュオス |
!?Σ( ̄Д ̄;; |
■カラレナ To:うさやーん |
な、なんてこと…悪の竜の力は、ひとをこんなにも変えてしまうのっ! (えーと、床、床…) |
斬撃をかわした勢いとみせかけて、床に手をついたカラレナ。
そのままの姿勢で、低い視点から床を確認する。
巨大な丸太が落下した時、真っ先に衝撃を受けたと思われる部分に凹みが見えた。
木材の重さからみて、おそらくそこの板は弱くなっているはずだ。
深さははっきりとはしないが、足音の反響から、下に幾らかの空間があろうことは推測される。
■カラレナ To:モドキ>ウーサー |
ああ、彼が闇のオーラに包まれていくのが見えます… もう、取り戻せないのっ…? (ここ、ここですよ〜) |
その事を知らせようと、ウーサーを見上げたカラレナの目に、見覚えのあるモノが映った。
「暴魔騎士」の頭上にするすると降りてくるのは、フックをつけたロープの先端。
■カラレナ To:ウーサー |
あっ、フック…上と下、両方に逃げ場があります! |
■ウーサー To:ALL |
じゃあ全弾受けてやっから、2〜3回、殴りかかってこい! タイミング合わせてぇから、どっちでもいいが「止め」のときにゃあ、ちゃんと「溜め」の動きをしてくれよなっ?! |
今度は剣を振り回しながら、カラレナが目配せで教えてくれた位置に寄っていく。
■リキュオス To:カラレナ |
「どおぅやら、手遅れのよう、ですねぇ…。」 |
■カラレナ To:モドキ>うさやーん |
取り戻せない…ならっ! せめて私たちの手で!! 勇者ドレッダール様のため、姫のために! 暴魔騎士うさやーん! 闇の中に、帰りなさい〜〜っ!! |
大げさに涙をぬぐうふりをしながら、リキュオスとウーサーとに頷くと、もう一度曲刀を握り直す。
大仰に攻撃をする振りをしながら、さながら「猛攻をかいくぐってきたカラレナの攻撃を避け切れなかった」風を装って、再度の曲刀をその腕に受ける。
またしても予想を超えた衝撃が走り、二振り目も取り落としてしまった。
■カラレナ To: |
(あ、あれ?(・▽・;)) |
■ウーサー To:カラレナ |
なん……だと……?! |
■リキュオス To:カラレナ |
おーい、いまの普通にクリティカルしてなかったかー。 |
■カラレナ To:うさやーん |
こ、ここまで追い詰められても、ま、まだ目覚めないのですか…! |
驚愕するふりをしながら、ぽとりと曲刀を取り落とす。
■カラレナ To:うさやーん |
うさやーんのバカーーーー!!。・°°・(>_<)・°°・。 |
思った以上の曲刀の手応えにビビり、とっさに素手攻撃(ビンタ)に切り替えた。
そしてその衝撃で吹っ飛んだ「うさみみバンド」が、天井から吊り下げられたフックにくっつく。
■うさやーん To:カラレナ |
いってえぇ!? 「ふ……ふはははははぁっ、貴様の怪力でも、既にそよ風が如きよぉっ!!」> |
■カラレナ To:うさやーん |
そっ、そんな!?(がーん) て、手が痛いです…(T_T) |
■うさやーん To:カラレナ |
「もはや俺の心は、闇そのものっ! お前の絶望も哀しみも、心地よき糧となるのだ〜っ!!」 |
■リキュオス To:ウーサー |
おー、ウサやん、ノリノリやなぁ(笑) 「おのれ!ならばぁ、えー、これでどうですかぁ!?」 |
振り上げたメイジスタッフを、頭上でぶんぶんと振り回すリキュオス。「溜め」のつもりらしい。
■リキュオス To:ウーサー |
「力に溺れた憐れな魔竜の使徒よ、これでとどめですよぉぉぉ」 「とんがりビーム!!」 |
■うーさー |
/(οдО;)\ |
得体の知れない止めの魔法(?)に、素で固まるウサヤーンであった(合掌)。
■リキュオス |
(よしよし、ワレながら格好よく決まった…(= ̄▽ ̄=) ) |
■カラレナ To:こころのなか |
(びぃむ、って一体…) |
■うさやーん |
…………ハッ! 「な、なんだこの未知の技はっ! 俺の闇の力がっ…暴走してっ……!!」 |
気を取り直したウーサーは、慌てて藻掻くふりをする動きをしながらシェイドの位置を調節させ、腰から足元にかけた辺りを闇の精霊の「影」に隠させた。
更に、藻掻く動きの最後に繋げるようにして、片手の動きと精霊語を使っての「呼び掛け」を行う。
■ウーサー To:契約ノーム |
(精霊語)ーーってワケだ、理解ったなダチ公!? チカラぁ特盛りで注いでやっから、キバっていこうぜっ!! |
精霊魔法『ストーン・ブラスト』の呪文詠唱を終えると、ウーサーは自分の眼前ーーカラレナが目線で示した場所をしっかと睨み付けながら、片足をズドン!と踏み鳴らした。
■ウーサー To:契約ノーム |
(精霊語)あそこを、ブチ撒いちまえぇッッッ!!! |
そして次の瞬間、ブーツに収めた短剣の飾り石に宿る大地の精霊の力が、ウーサーの眼前の床板を、飛礫の如くに吹き飛ばす!
■うさやーん |
「グ、グワアアア〜〜〜!」 (そんなに深い穴じゃないといいが、なぁ…) |
大地の精霊の頑張りっぷりに度胆を抜かれかけたが、ウーサーはシェイドの「影」で隠れた先に開いたはずの穴へと、躊躇うことなく全力で踏み出した。
■客席中央からの声 To:舞台 |
あーん、そんなぁ。。。 うさやんさまぁ。 |
その時、床下に消えていく闇と合わせて。
ピンクのうさみみを付けたフックが、ゆらゆらと天井へと動き出す。
堕ちた者の心の一部、貰った品を身につけ続けた優しさが、今やっと開放されたかのように。
■カラレナ To:うさやーん>モドキ |
さようならっ、うさやーん… (これ以上怪我してませんように…(>_<;)) さあっ、早くドレッダール様に追いつきましょう!! |
床を踏み鳴らす音、歓声、指笛。観客がおおいに盛り上がったその時。
舞台後方の壁から、オスカール渾身の作品、竜を模した大道具が躍り出た。
そして、クローエの歌声を背景に、飛びだして来た勇者ドレッダールが目の前で繰り広げる最後の戦いーー
『ドレッダールの竜退治』
この晩、全てが終わり幕が降りた後も客先の拍手は鳴り止まず。
冒険者達が並んだ舞台では、何度もカーテンコールが繰り返されることとなった。