#183 舞台の時間?!

♪ 依頼の真実 ♪

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【ウィンターシアター内部】

■リキュオス To:リー
おう、そっこーで「出てきた」な、代表。
代表の知り合いか?

■リー To:芸人
友達、とまではいってないのは確かだ。

脱出路を確かめるかのように、背後と左右とを確認しながら。
それでも、リーはウーサーやリキュオスの問いかけに、きっちり言葉を返す。
■ウーサー To:リー、不確定名:ドレッダールのようなもの
いちおう念のため聞いとくが……リーの旦那にドレッダール殿が憑かれて困ってる、ってえワケじゃあ無えんだよな?

「金属鎧を着てくるべきじゃなかったか」と心の中で舌打ちしつつ、ウーサーは無遠慮にじろじろと自称・ドレッダールを眺め回し〜〜我知らず、ぴんと背筋が伸びた。
あまりにも見慣れなさすぎる、自分の知識からすれば骨董品だの歴史観だの以前に冗談みたいな、としか形容できないような装備に身を包んでいるが、この老ドワーフは『本物』だ〜〜ウーサーの剣士としての目がそれを見抜き、彼の剣の師匠を連想させたせいだ。
■ドレッダール To:ウーサー
ドレッダール殿としては、ちいとも困ってはおらぬ。
少なくとも、このリーという男、前の持ち主よりは常識的な行動をとっておるしの。

半透明のドワーフは、ウーサーの視線を受けて堂々と胸を反らしつつ、老齢のドワーフを横目でみやった。
■リー To:ドレッダール>ウーサー&ALL
流石に、あいつと比べられるとなると心外だ。

この剣は、ある吟遊詩人が負債のカタに置いて行ったものでな。
こちらとしては、なんとか、そこから利益を出そうと頭をひねっとるわけなんだが。

■ウーサー To:仲間たち
只にしかならない場所じゃあ転ぶな、なんて親父が口癖みてぇに言ってたが……やっぱ店なり一座なり仕切るとなると、こうも逞しくなるのかねぇ?

■カラレナ To:リー
今回の演目は、このドレッダールさんの実際の冒険がモチーフなんですか?

■リー To:カラレナ
正確に言うなら、「行われなかった冒険」だな。
わしの利益は新作の開拓。
ドレッダール氏の目的は悲願の達成。
つまりは、うまいこと合致したというわけだ。

■カラレナ To:リー>ALL
なるほどです〜。
それが心残りで、こんな姿になっちゃったんでしょうか…。

■ウーサー To:カラレナ、ALL
おおかた、よっぽどの強敵と闘(や)り残したんだろうぜ……あの旦那、見てくれは冗談みてぇだが間違いねぇ、筋金入りの「ホンモノ」だぜ?
ありゃあ戦士としちゃあ相当、堂に入ったモンだぞ……!

■リキュオス To:リー
この演目を上演するのは今回が初めてなん?

■リー To:芸人
ああ、そういうことになるな。

■クローエ To:リー、ドレッダール、ALL
幽霊なのかしら…。もしそうなら、光の神々の説く道からは外れているのでしょう?
そのわりには、なんだか和やかな感じねえ。

人のもつ信仰とは縁をもたなかったエルフは、それに特に嫌悪感はない。
無論好きこのんでいるわけでもないけれど。戸惑いだけがまずあった。
■ドレッダール To:エルフのレディ
おお、寛大なお言葉感謝いたしますぞ、マイレイディ。
最も、わしは自分を幽霊とは認識しておりませぬでな。
ではなんであるのかと問われると、はたと言葉につまるのでありますが。
お差し支えなければ、このドレッダールに、御名をお聞かせくだされ。

言葉と同時に、熱い眼差しがクローエに向けられる。
ただし、半透明ではあるが。
■クローエ To:ドレッダール
ふふ、わしはクローエと言うの。クローエ・グリム。
姓が森の妖精族らしくないのは、オランの人間の家に嫁いだからなのよ。

なんだか自分にそぐわない視線にこそばゆさを感じつつ、半透明のドワーフに名前を伝えた。
家名まで名乗ったのは、一応、まっすぐ向けられた言葉に敬意を表したからなのだろう。
■ドレッダール To:マダム・グリム
なるほど、やはり、種族の壁を持たぬ大きなお心をお持ちのお方だ!
エルフとヒューマンとの婚姻。
かの、レーゲンが耳にせば、感涙に咽ぶでありましょう。
名をお返ししたいところではありますが、わしの生まれた世は、家名が用いられておりませんでな。
まことに残念至極ですじゃ。

■リキュオス To:ドレッダール
ほんで、御大はいつからそんなとこで暮らしとるんや?

■ドレッダール To:にせエルフ
さぁて、どの位になるかのう。
人間どもに黒水晶が流行るだいぶ前からじゃったと思うが、もう忘れたの。

■カラレナ To:ドレッダール
閉じ込められちゃったんですか?
それとも、自らそこに?

■ドレッダール To:カラレナ
なんでここにおるのか、わしにはわからん。
気がついたらこうなっておったような気もするが、はっきりとは思い出せんのじゃ。
年は取りたくないものじゃが、年月には逆らえん。
お前さんも、気をつけることじゃ。

■カラレナ To:ドレッダール
は、はい。気をつけます…。

■リー To:ALL
とりあえず、この場でわしやそやつを裁こうとする者はいないのだな。
ならば全員、ひとまずは1回契約での採用としてやろう。
わしのことは、代表と呼べ。
なにか質問は?

立ち位置はそのままに、腕を組んで。
リーは、横一列に並んだままの冒険者達をぐるりと見回した。
■リキュオス To:リー、ドレッダール
具体的な仕事の内容とか、雇用期間とか、もうちょい詳しい話を聞かせてくれや。

■リー To:芸人
雇用期間はもちろん、この舞台を成功させるまでだ。
ただし、引き伸ばしと見做す動きがあった場合は、即刻契約を解除する。
内容に関しては、利益を出すためだったら、なにをやってもかまわん。
経費については、確認させてもらうがな。

■カラレナ To:リー
成功させるまで…。
公演期間はいつまでですか?
どのくらいお客さんが入ったら成功とみなされるんでしょうか?

■リー To:カラレナ
取り敢えずここは、あと10日間借りられる予定だ。
準備に3〜4日かけるとして、残り5日間で公演が出来ればと考えている。
幸い、広告には開幕日をいれていなったからな。
入場券を前売り出来ないのがつらいところだが、当日売りだけでも客がくる位の知名度はある。
客席は、半分埋まれば赤字は出ない。
とはいえひとたび満席にして、喝采、もしくは賛否両論が得られれば、後は面白いように金が入るぞ。
わしとしては、そいつをを期待しているわけだが。

■カラレナ To:ALL
けっこう行き当たりばったりなんですね…。

■オスカール To:カラレナ
まあ、人気商売だからな。むしろ客の入りが読めるくらいなら、苦労は無いわな。

■リー To:オスカール
ほう、お前さんわかっとるじゃないか。
堅実に見えて、意外とコレ好きか?

オスカールに対して、博打を意味する仕草をして見せるリー。
■オスカール To:リー
遊び程度にはな。
“大博打に勝ったやつの話”は流石に興味があるが、入れ込むのは俺の主義じゃないな。

マトモそうなこと言ってるが、“冒険で大工組合の入会金を一発稼ごう”という今の生き方そのものが大博打だというのは、完全に横に置いている。
■クローエ To:オスカール
自制できるなら健全ねえ。

■リキュオス To:リー
けど、あんたらプロやろ? なんでわざわざ俺らみたいなシロート雇おうなんて思ったんや?
それともいつものやり方なんか?

■リー To:リキュオス
プロはわしだ。
氏は、演劇に関してはなんの知識もない。
残り日数で仕上げるに、ただの素人とその役柄の玄人と、お前さんならどちらに頼むね。
ちなみに、アマチュアは駄目だ。
へんな癖がついとる分、芝居にあざとさがでる。

もちろんいつもは、劇団員がいるのだが、今回はその……事情が事情なだけにな。
本職は迷信深くて使えんのだ。

胸を張った物言いをするリーを親指で軽くさしながら、にやりと笑みを浮かべたドレッダールが補足する。
■ドレッダール To:ALL
あやつら、ここに来た翌朝、馬車に乗って消えおった。
意地の張り合いを眺めとってもよかったが、わしのせいでこやつが破産したとなっては、気分もわるいでな。
とりあえず、やれるところまでやってみようということになったわけじゃ。

■リー To:つぶやき
わしを破産させたくないというなら、時と場所とをもうちっと考えて出てきて欲しいもんだが……。

■カラレナ To:ALL
な、なんだか目に浮かぶようですね〜。
ヴェーナー神殿に通報とかされてないといいんですけど…。

■リキュオス To:リー
なるほど、それで俺らに声がかかったちゅうわけか。

■オスカール To:リキュオス
だろうな、普通の人間なら尻込みするさ。

■クローエ To:リキュオス
あら、暗がりから急に血まみれの顔で迫られたりしなければ、それほど怖くは無いんじゃないかしら?
見た目がちょっと透けてるだけだし。

きっとなんだか分からないものに突然迫られるから怖いのよ?と、ばあちゃんはのんびりと言う。
■カラレナ To:リー
募集は役者と護衛がありましたけど、それぞれ具体的な内容を教えていただけますか?

■リー To:カラレナ&ALL
ああ、まあ、大した差はない。
冒険の斡旋所で役者の募集は難しいちゅうことだったでな。
主演俳優の護衛ということにしてもらった。

護衛の役割ははふたつ、ひとつは劇中の竜退治の旅の護衛だ。
もう一つは心ない連中から、ドレッダール氏及び主演俳優を守ることだ。

役者というのは言うまでもない。
冒険者以外の役に挑戦してみたければ、稽古ぐらいはつけてやろう。

■ウーサー To:リー、ドレッダール
ん〜、よし大体理解(わか)った。
まあ正味、オレ様たちは冒険者だからよ? 舞台が地下から「舞台」になろうと、遣るこたぁ変わらねえって気持ちでいきゃあいい。
まあ、そんなカンジで行けってこったろ?
で、ドレッダール殿と主演俳優を護衛する、と……ん? 主演俳優???

■リキュオス To:リー
あれ、御大とは別に主演俳優がいてるんや。

■オスカール To:リー
俺もそう思ってたよ、驚きだ。

ドレッダールが舞台に立つのだと思い込んでいたリキュオスとオスカール。
■リー To:リキュオス
当たり前だ。
半透明な役者をイタに出してみぃ。
どうなるか予想はつくよな?

■オスカール To:リー
てっきり甲冑に隠れるとかして、どうにかするのかと思ってたよ。
そのまんま出たら、そりゃそうだな。

■カラレナ To:リー
えっと、つまり護衛でも役者でも、どちらも演目に出演することには変わりないと…。
観客に精霊使いと神官さんがいたら、すぐに騒ぎになりそうな気もしますけど…。

■リー To:カラレナ
お前さん、劇場に入るたびにいちいち幽霊探しなんぞするかね?
奴さんさえ不用意に姿をあらわさにゃあ、大丈夫なはずだ。
後は、元々「いる」やつらのせいにするとか、露骨にそれっぽい奴にはチケットを売らないとか、色々と方法はあるだろう。

■カラレナ To:リー
ドレッダールさんが入っているその剣も、小道具として出演…というか、舞台に登場するんですか?

■リー To:カラレナ
ひとまず袖に置いておいてな、最後の盛り上がりでドレッダールを演じる、主演俳優に持たせるつもりだ。
ずっと舞台に出しておくのは……やばすぎとは、こういう時に使う言葉だろう。

半透明の姿に半眼を向けながら、遠慮なく口にするリーとそしらぬ顔を決め込むドレッダール。
■カラレナ To:ひとりごと>リー
感極まって出てきちゃいそうですね…。あ、あと、脚本や、どんか役柄があるかは決まっているんですか?

■リー To:カラレナ
ホンはな、一応出来とったんだが……馬車と一緒に消えおった。
わしの頭にゃ、おおまかな筋ははいっとるし、ベッツ——ただひとり残った主演俳優だ——は、自分の台詞は覚えとるそうだが。
後は、稽古ですり合わせていくつもりだ。

■カラレナ To:リー
だいだいどんな筋なのか、教えていただけますか?

■リー To:カラレナ
旅の途中のドレッダールは、いけにえにされかけている姫と出会う。
助けようとするが、姫は竜と呼ばれる巨大な怪物にさらわれてしまう。
怪物を追う英雄は冒険者達と出会い、共に難題を解決し、姫奪還の助力をとりつける。
彼らは知恵をめぐらせ、勇気をもって恐るべき化け物と対峙し……勝利をおさめる。
まあ、こんなところだな。

■カラレナ To:ALL
けっこう王道なんですね…。

■オスカール To:カラレナ
同感だが、あらすじ聞いた感じでは、分かりやすくて受けは良さそうだぞ。

■リー To:オスカール>ALL
そうだろう、そうだろう!!
一般大衆とは、そういうもんだ。
古くからの常連向けの演目とは、訳が違うでな。
こだわりたければ、冒険者のパートは考えてくれてもかまわん。
ただし、主演が演じるのはあくまでドレッダールだ、そこのところだけは外すなよ。

■リキュオス To:リー
残った劇団員はその主演さんだけやのん? 照明とか音響はどないするんや?

■リー To:リキュオス&ALL
その点については、ここがオランであったことに感謝だな。
ほら、あの天窓が見えるだろう。あそこの開け閉めは、ソデから紐一本で行える。
イタに出ていない者でも操作可能だ。
オトについては、よく聞けよ。

そう言うや、白髭のドワーフは、並んだ椅子の側に向き直り、掌を軽く窪ませる形で両手を打ち合わせた。
乾いたいい音が、空間一杯に広がっていく。
■リー To:リキュオス&ALL
いずれにせよ、装置に関しては『獅子王』のように、大掛かりな作品にするのは無理だ。
古典劇に還って、観客の想像力を促しながら、今風に臨場感のある活劇に仕上げていければと思っとる。

■リキュオス To:リー
観客の想像力を促して、か。なるほど。

■リキュオス To:ドレッダール
御大からはなにか要望みたいなもんは?

■ドレッダール To:リキュオス
いんや、別に。
ありていに申さば、面白ければなんでも良いといったところだの。

■ウーサー To:ドレッダール
ちなみに旦那、今回のハナシのクライマックスで出てくるのは、どんなモンなんだい?
古代の怪物とか、不死身の魔術師とかか?

■リー To:ウーサー
そうだな、まず、観客の誰もに、そいつがものすごい強敵だと理解してもらわにゃならん。
魔術師はオランでは珍しくもない上、不死身だと把握させるのが面倒だ。
そもそも最初に、その魔術師が敵であるという説明も必要だ。
説明をしたところで、今度はそいつに不幸な過去など妄想して、勝手に感情移入する客が出てきかねん。

その点、古代の怪物は一見して敵だとわかりやすくて良いな。
ただ、どんな奴かと知りたがる客が多いのもオランの特徴だ。
大掛かりなセットを組めない分、どう説明するかが、問題になってくる。

だから、竜にした。
ドレッダール氏が倒したことがないと言うなら、他の物語と被る恐れもないだろう。

■ウーサー To:リー
ああ、そういやあ「竜退治」って書いてあったっけなあ……?
ま、確かに竜のうしろに黒幕がいて云々、なんてぇのよりは筋がハッキリしてて好いってか。

■オスカール To:ウーサー
だな、分かりやすいのは良い事だ。

■リー To:ALL
ところで、諸君の知恵を借りたいのだが。
あそこ、一番奥の角の席からでも一目で竜だ!とびっくりさせる方法はないかな。
さしあたって5日、通用してくれればよい。

クローエから順に、列を流れたリーの視線は、最後にオスカールの手元の辺りで止まった。
■オスカール To:リー
すまんな、名前くらいしか知らん。
でかいトカゲみたいなやつだって、聞いたことがあるくらいだ。

■リー To:オスカール&ALL
いや、観客も同じだろうさ。
でかいトカゲで結構。
お前さんたちだったら、そのトカゲをどうやってでかく見せるね?

■カラレナ To:ALL
ひとめで竜!ですか〜。
竜といえば、大きな翼としっぽと……

知っているドラゴンの特徴をあげていく。
■ウーサー To:リー、ALL
ああ、んじゃあ……子供だましかもしれねぇがな。
さっき見た、あの無駄にべらぼうにある垂れ幕みてぇなの。アレは使えねえか?
別に全体を舞台に乗せなきゃあいけない、ってワケでもねぇんだろ?

オスカールの手元に自分も目線を引き寄せられつつ、ウーサーは無骨な両腕を深く組みながら、無造作な口調で(しかし頭の中は、あまりにも興味深い題材にフル回転状態なのだが)自分の案を言葉にしていってみた。
■ウーサー To:リー、ALL
だいたい竜ってなあバカでかいうえに、ロクに近づけねぇような恐ろしい化け物なんだしよ。ごく一部でもいいんじゃあねえのか?
あの垂れ幕に影絵なり、色つきの明かりだの映しながら、裏から棒でつっついたりしてだな。
「竜がこっちを睨んででいる」だの「あれが竜の翼だ」だの、「竜の尻尾のごく一部」だのっていう風にしちゃあ如何だい?
まあ、頭くれぇは別モノ作って登場させたほうが善いんだろうがな?こう、翼がはためく音の直後に、すっげえ上のほうから火ぃ吹いてきたりとかすると、相当ビビれて善いんじゃあねえかな。

でもって、最後は舞台全体を「竜の頭の上」に見立てて、眉間のど真ん中に剣なり斧なり拳なり、旦那が……じゃあねえ、旦那を演じる「主役」サマが、どかっとぶっ刺してやりゃあいいのさ。

あとは、そうだなぁ……搦め手なんだろうが、ちょっとずつ毎日作り足していくってのも如何だい? 客の反応見たりしながら。
そりゃあ初日にガッツリできてりゃあ善いんだろうが、もし滑っちまっても最悪なハナシ、少しずつ出来がよくなっていくほうがナンボかましなんじゃあねえのか?

■リー To:ウーサー&ALL
なるほど、興味深い意見だが。
垂れ幕を使うなら、影を動かしたり棒でつっついたりする担当が、その間裏に居る必要があるだろう。
必要なのは、出入りの段取りをしっかり組むことだな。
それから、生の火が幕や床に移ったら、幽霊どころの騒ぎではない。
興行側は、客の安全を守る責任も負うのだ。
魔法なり技術なり、きちんと管理できない限り、本物の火を使わせるわけにはいかん。

■オスカール To:リー、ALL
炎は、赤い粉か染めた綿でも撒くか・・・閃光が欲しいから炎の息に合わせたシャッター作って、ライトの魔法で光らせるか?

■リー To:オスカール&ALL
むう、明かりの魔法か。
なるほど、想像力に頼るより迫力が出せるかもしらんな。
明かりの魔法が使えるのは誰かね?

■クローエ To:リー、カラレナ
精霊使いは光の精霊を呼べるけれど…どうかしら、これ、ドラゴンの吹く炎とかに使えるのかしらねえ。
試しに呼んで見ましょうか?

■リー To:クローエ
そうだな、みせてくれ。
但し、見ればわかるとおりこの建物は木造だ。
言うまでもなかろうが、くれぐれも間違いのないようにな。

■クローエ To:リー
それじゃ…

クローエはリーの念押しに頷き、光の精霊を呼び出そうとした。
不思議な抑揚で空中を細い手と指が撫で、常人には草木が風にそよぐ音ともかそけき虫の音とも聞こえる精霊たちの言葉が、一時静まった舞台の上を流れる。

それら密やかなささやきが、渦を巻くようにゆったりとフードを被ったエルフの頭上に昇華した時。
天窓から差し込む光が、角度を変えたようにみえた。
次の瞬間、眩いばかりの光点を核に持つ光球が、クローエの頭上に出現していた。
■ドレッダール To:
おお、わが貴婦人の秘めたる力よ。
実に強き光だ。

召喚されたウィル・オー・ウィスプを見て、感嘆の声をあげるドレッダールに対し、リーは冷静だった。
■リー To:クローエ&ALL
ふむ、明かりだな。
で、これからどうする?

■クローエ To:ALL
オスカールさんが言ったように、板か何かでさえぎっておいて、紙ふぶきを撒いたタイミングで板の隙間から光を差し込ませるような段取りかしらね…

クローエは呼んだ鬼火をくるくると皆の頭上で旋回させて見せる。
鬼火が位置を変えるのに従って大きく影が動く様は、幻想的といえば幻想的。
目を奪われるかのように、老ドワーフはその様子を凝視している。
■クローエ To:ALL
でも、光の精霊を呼ぶのはともかく、タイミングを合わせたり、うまく光をシャッターしたりが難しいような気がするわねえ。

■リー To:クローエ&ALL
うむ、光ではなく影を見せるというのか!
演出としては悪くない。
最終的には観客の想像に委ねるとして、そのきっかけとして使うと。
どこまで具体的に見せるか、という部分は、もうちょっと詰めて貰うことになるが。

■クローエ To:ALL
試しにやってみて調節しないとかしら。あとは見せ方ねえ。

■カラレナ To:ウーサー>オスカール
確かに全体を出すより、一部を出してイメージさせたほうが迫力があっていいかもしれないですね〜。
オスカールさんなら、木材や布を使って竜の頭を作れませんか?

■オスカール To:カラレナ、ALL>リー
木材使って組んで良いなら、多分大丈夫だ。
だが、デザイン的なことはカナさんの方が上手そうだな。デザインがあがれば、後は何とかしよう。

大道具は初めてだが“本物の壁”はいくらでも作ってきた、作るに当たって色々細かいことを聞くから宜しくな。

■リー To:オスカール
おう、お主の考え方が気に入った。
よろしく頼むぞ。

■クローエ To:オスカール
建物は本職だものねえ。たのもしいわね。


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