#183 舞台の時間?!

♪ 依頼と求人 ♪

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【『銀の網』亭・個室】

テーブルに満載の「軽食」が、あらかた「片付いた」頃。
個室の扉が叩かれ、銀の網亭のおやじが顔を出した。
■おやじ To:ALL
おう、相変わらずの食いっぷりだな。
あいつも朝から、仕入れ、下ごしらえと気合が入っていたからなぁ。
お前さんたちに、注文させずに行かせる気はなかったんだろうが。
しかしほんっとう、奢りとなると容赦ないな。
ほれ、こいつがデザートだ。

にやりと笑みを浮かべたおやじは、手元の盆から四角く切り出されたモンブランケーキを5つ、テーブルに並べた。
黄色、白、渋茶色と、3層に分かれたクリームに包み込まれ、金色ががったざく切りのマロンが、切り口から顔を覗かせている。
■カラレナ To:おやじ
わ〜、おいしそう。
ありがとうございます。

■クローエ To:おやじ
もうお腹一杯だと思っていたのに、これ見たらまだ入りそうな気がしてきたわねえ。

■おかみ To:おやじ
誰が容赦ないんですって?

おやじの背後から、首を突き出すおかみ。
その手から、紅茶のポットが2つ、人数分のカップ、大きな砂糖壺とミルクが満たされた水差しとが順に置かれていく。
■おやじ To:おかみ
……いや、その、依頼人も冒険者も、うちにとっては大切な客人だからな。
皆が満足してくれるなら、こんないいことはない。
むろん、お前も満足だろう?

■おかみ To:女性陣
やれやれ。
こういう答え方をする時の男には、気をつけなさいよ。
っていういい見本だわ、まったく。

空いた皿を手早く積み上げなから、いたって真面目な口調で応じるおかみ。
■オスカール To:おかみ
まぁ・・・なんだ、
全体のこと考えんといかんのは、男も女も関係ないと思うがな。

■おかみ To:(オスカール?)女性陣
気をつけるのは、話題の変え方と間の取り様、ね。
後、周りの男のフォローの入れ方とか。

■ウーサー To:おかみ>おやじ
へいへい、肝に銘じさせていただきますぜ?
にしても、このケーキノノこいつぁ中々、手がこんでるじゃあねえか。誰の仕事だよ?

■おかみ To:ウーサー
あら、お眼鏡にかなったなら嬉しいわ。
スポンジの代わりに、芋のクリームを土台にしているところが早作りのこつね。

■ウーサー To:おかみ
ほほぉ、成る程なぁ……?
パティスリーじゃあない、こういう店ならではのテクってなあこう簡単だが、中々思いつかねぇし奥が深ぇよなあ……。

■クローエ To:ウーサー
おかみさんに弟子入りしたら、本格的にぱてしぇーになれるかもしれないわねえ。

■ウーサー To:クローエ
おいおい、止してくれよ! オレ様は剣聖になる男だぜ? そんな余技まで磨いてる暇ぁ無えってモンだっての!

■おやじ To:ALL
で、そろそろ依頼の話をしてもかまわんか?
といっても、依頼人はウィンターシアターという所に詰めているようでな。
希望者がいたら、随時送り込んでくれと言われているんだ。
すまんが、足を運んでくれ。

■ウーサー To:おやじ
お? そうなのかい?
にしても、俳優の護衛なんざぁ〜〜随分とまた、珍しいんじゃあねえのか?
それとも、よっぽどの売れっ子でも抱えてるってのかよ?

■おやじ To:ウーサー&ALL
さてな?
その辺りの事情もふくめて、相談したいようだったが。
向こうも客商売だからな、余計な噂は避けたいのだろう。
少なくとも、深刻な雰囲気という感じではなかったな。

■ウーサー To:おやじ
おやじやおかみは、アーサー・リーってのとは親しいのかい?

ウーサーの問いかけに、積み上げた皿を持って部屋を出かけたおかみが振り返った。
視線を交わしたおやじの頷きを受けて口を開く。
■おかみ To:ウーサー&ALL
わたしの友人がね、劇団の資金提供者のひとりと親しいのよ。
で、今回の話がうちに来たわけ。
このひとは、うちは役者の斡旋所じゃないって言ったりもしてたけど。

■オスカール To:おかみ
・・・・冒険者なんて、一般市民から見たら“何でも屋”と一緒さ。
ああ、話の腰折っちまったな、続けてくれ。

■おやじ To:ALL
背景も、紹介者もしっかりしているしな。
仲介料も2件分払うと言うなら仕方がないさ。
依頼書まで使って宣伝されるとは思わんかったがね。

■クローエ To:おやじ、ALL
劇団フォーシーズンズのアーサー・リーといえば、たしか年配のドワーフで頑固でワンマンだっていう話を、聞いたことがあるわねえ。
きっと周囲の人は振り回されて大変なのじゃないかしら。

ややあきらめた感ただよう親父を見て頷きながらクローエは言った。
■ウーサー To:おやじ
おっと、そうだ。
護衛をやる場所とか、期間とかに関しちゃあ、なにか聞いてるかい? オランの外に出たり、長期だったりはすんのか?

■おかみ To:ウーサー&ALL
依頼書にあった芝居がオランで上演される間、と言っていたわ。
それが終わったら、次の公演地に移るそうよ。
だから、ここ数日、長くても1週間といった所ではないかしら。

■カラレナ To:おやじ
依頼書がふたつ、貼られていましたけどノそれぞれどんな事情があるのか、何か聞いています?
あと、どちらが急務なのかとかはノ?

■おやじ To:カラレナ&ALL
事情は劇場で相談したいようだったぞ。
護衛も、求人も、「たいした違いはない」ということだったが、そう言ったのは、こちらが求人票を受け付けるのを渋ったせいかもしれん。

冒険者の店としては、依頼書が優先としか言えんからなぁ。
売り出し中の劇団が、こんな所に「未経験者歓迎」の募集をかけるってのは、普通じゃないようには思うがね。

■オスカール To:おやじ
だな。
どう善意で見ても、普通じゃない特殊技能持ちをターゲットにした募集なんだろうな。
二つ前の依頼じゃ、依頼断った貴族に旅先で抹殺されかけたから、どうしても悪い予想も同時に立てざるを得んよ。

■クローエ To:オスカール
ほんと、あれは困ったわ。やっぱり人を見る目も養っておかないとなのよねえ。

■リキュオス To:おやじ
ま、冒険者役っていうくらいやから、立ち振る舞いだけならなんとかなるやろ。
どうせ竜にやられるチョイ役とかやろ? あ、俺、魔法使いやってみたい。

そう言って、紫の長衣からメイジスタッフを取り出してみせるリキュオス。
■おやじ To:リキュオス
はっはっは、いいじゃないか。
それで人気がでたら、うちの宣伝にでも使わせてもらおう。

■カラレナ To:ひとりごと
私なら剣かなぁ…つくりものの剣なら重くないし…(ぶつぶつ)

なにやらドリーミング中。
■クローエ To:カラレナ、リキュオス
あら、楽しそう。ノわしなら、そうねえノ立ち木の役とかかしら。

いや、児童の学芸会の端役じゃないんだから…。
■ウーサー To:リキュオス、カラレナ、クローエ
なんでぇ、すっかり演(や)る気じゃねえかよ……。
じゃあオレ様はおめぇらの護衛がてら、辛口採点でもしてやろうかねぇ?

■リキュオス To:おやじ
最初に話が来たのは求人票のほうってことか?

■おやじ To:リキュオス&ALL
いいや、さすがに先方もそこまで無神経じゃなかった。
依頼書の話が来て、求人票もその横に貼らせて欲しいということだったな。
うちは、冒険者相手に商売をしているんだと言ったんだが……。
しかも、持ち込まれてみれば、そっちの方が依頼書より大きいときた。

■オスカール To:おやじ
ま、それが本音ってとこだな。
しかし、冒険者の酒場に集まるようなやからを募集したいなんて、・・・・ノンフィクションの脚本じゃなきゃ良いんだが。

■おやじ To:オスカール>ALL
由緒、とは言えないが、そこそこ続いている劇団だ。
流石に、客を無くすような演り方はしないだろうがね。

もし舞台に立つなら、上手いことうちの店の名前も出してくれよ。
その位でおあいこだろう。

■おかみ To:おやじ>冒険者達
あ な た 。
とにかく「銀の網」亭の中でも、優秀なメンバーを紹介できそうで良かったじゃないの。

実を言うとわたしもね、この公演は楽しみにしているのよ。
よろしく頼むわね。

■カラレナ To:ドリーミング中>おかみ
お父さんみたいな憧れの精霊剣士…(ぶつぶつ)(はっ)
あ、が、がんばります〜。

■リキュオス To:おやじ
で、ウィンターシアターってのは、ここからどれくらいなんや?

■おやじ To:リキュオス&ALL
橋を渡って、オランの北側だな。
距離だけで言うと、三角塔に行くよりは遠く、王城よりは近いんじゃないか。
誰か、場所を知らないか?

■カラレナ To:おやじ
あっ、私知ってます〜。
少し歩きますから、早めに行かないと暗くなっちゃいますね。

モンブランをおいしそうにパクつきながら、窓の外に目をやった。
■クローエ To:ALL
それじゃあ、食べかけのデザートを片付けたら、行って来ましょうかねえ。

■ウーサー To:クローエ、ALL
おう。じゃあオレ様はちょいと部屋に戻って、鎧着て戻ってくらぁ。ついでに盾とモールに……いや面倒くせぇ、商売道具は取りあえず、全部持っていくか。
いきなり向こうに泊まり、なんてぇ事になるかもしれねぇしな。


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