おやすみの前に
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■ウーサー To：ALL
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さて、と……土産モノの調達のほうは、どうだったい？ オレ様は現地で、 馬車２台分にいっぱいの菓子でも配ろうと思ってな。
手配はついたんだが、大分予算に余裕ができちまってよ。どっかで金が足りなかったところ、なんてなぁ無えかい？
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ウーサーは食後に頼んだホット・バタード・ラムを舐めるように啜りながら、何気ない口調で唐突に切り出した。
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■ディニ To：ウーサー＞all
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土産の買い物には足りたから。お釣りも無いけど。
ついでに、ヒメオロチグサについて調べたけど、やっぱ、こんなかんじで火に弱いみたいよ＜ＧＭからのデータを別便で流しますね＞
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■ゾフィー To：ディニ
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それだけ？
「種を蓄えた“母”たる存在」に関するような話はなにもございませんでして？
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何かを言いよどむように、ゾフィーから顔を背ける。
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■ゾフィー To：ディニ
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……ほう……なるほど、ありがとうございます。
なにを抱え込んだかは尋ねませんが、悩むようなことになったら早めに、ここにいる誰かに相談なさいね。
この店に登録している者達なら、普通の物差しでは測れないほど無理も融通も利かせられるということは、わたくしの経験から保障いたしますから。
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■シグナス To：ゾフィー
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俺の方も調べといたけど、大して違いは無かったぜ。大きさだけの問題だと思う。
姐さんが心配してるようなのだと……完全に別種って位違うんじゃねえかなあ？
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■ゾフィー To：シグナス
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そうね、“シードマザー”だけでなく、堕ちた都市の一部とか、200年前の鳥頭賢者とか、『涙宿る場所』とか、きなくさい言葉だけなら沢山出てまいりましたの。
所詮銀網冒険者。
遅かれ早かれ、誰かが「依頼以上の何か」に首を突っ込むことになるでしょう。
というわけで、備えあれば憂いなし、でしてよ。
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■シグナス To：ゾフィー
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……だぁな。ま、色々気を付けとくよ。
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■ディニ To:all
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そっか、落ちた都市の近くよねぇ…
何があっても不思議じゃないか
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■ウーサー To：ALL
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あ、それと今回の依頼だけどな。すまねぇが場合によっちゃあ、現地で別行動させてもらうかもしれねぇ。
「月姫の涙」ってえのを、探さなきゃならなくなったんでな。
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■リコリス To:ウーサー、ALL
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「月の姫が零せし涙、失はれし思い出繋ぎ留める也」………。
さっきライチが言ってたのと関係あるのかなぁ？
あのね、パオルゥ草原に「1000年賢者の木」っていう木があるんだって。
パオルゥが同じぐらいの背丈の草をハムハム食べてる表紙の本だったって言ってたよ。
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■ウーサー To：リコリス
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ああ、たぶんソレだ！ その「1000年賢者の木」ってのの葉っぱに溜まる夜露、ソレが「月姫の涙」って言うそうでな！ そいつが必要なんだよ！！
あ、こんなカンジの木らしいんだが……
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ウーサーは懐から、セルフィドに描いてもらった図を取り出して卓上に広げた。
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■ウーサー To：リコリス
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なんでも「パオルゥの棲む草原」に、ぽつんと生えてるってハナシでよ。
じゃあ、後でライチにも話し聞きに……って、今オランに来てるのか？
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■リコリス To:ウーサー
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うんっ。今日アザーン諸島から帰ってきたんだって。
今はね、「七つのさざなみ亭」で航海の打ち上げしてるよ。
あとで迎えにいって、今日はリコん家でお泊りなの〜♪
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■ウーサー To：リコリス
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よし、じゃあ悪いがオレ様も「お迎え」に動向させてもらうぜ。ライチからも話を聞いておいて、損は無えだろうからな。
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■リコリス To:ウーサー
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うん、いいよ。
ライチは驚くかもしれないけど。
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■シグナス To：ウーサー、ＡＬＬ
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場合ってのが良く解らんけど、仕事終らせてからなら余裕在るんじゃねえの？其れ位になりゃ手伝う暇もありそうだし。
ああ、俺の方は土産は図書館で魔法の本、安く売って貰えたよ。後は、飯の種でも買って向こうで調理、くらいかね？
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■ウーサー To：シグナス＞ALL
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おお、調理か。まあグラスランナー相手なら、本よか喜ぶかもしれねぇよな？
ああ、それと「月姫の涙」探しだが、お前らの手を借りにゃならんってワケじゃないから心配しないでくれ。
どっかからの依頼じゃあなくて、リュナがちょいと「エレジーフォゲット」とか言う病気になっちまっただけなんでな。だだっ広い草原を、立ち木いっぽん探しに付き合わせるのも悪いしな？
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■リコリス To:ウーサー
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「エレジーフォーゲット」？
あ、聞いたことあるよ。
誰かにものすっごく恋して、好きで好きでたまらなくなっちゃって、精神の精霊さんが混乱しちゃったって言われてる病気でしょ？
命を落とすことはないけど、一番忘れたくないことを忘れちゃうんだよね。
リュナさん大丈夫？
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■ウーサー To：リコリス
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ああ……おやじが手配してくれてな、今は精霊魔法で「眠り姫」だとよ。少なくとも、病状が進行するこたぁ無え。
にしても……なんだその、浪漫ティックが止まらないような原因は？
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■リコリス To:ウーサー
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そっか。それなら安心だね。
ってウーさん、リュナさんがその病気になった原因心当たりないの？
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ドライは黙って話を聞いている。が、どことなく不機嫌そうだ。
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■シグナス To：ウーサー
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水くせぇな、別にそんくらい手伝ったって構いや……ん？
それ、草原の方に関わってんのか……。そう言えば調べ損なったのあったな……。
ま、モノの序だ、見る分見て回っとくさ。
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■リコリス To:ウーサー
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……その病気治すのに「1000年賢者の木」の夜露な「月姫の涙」が必要なの？
ん〜、その木ちゃんと葉っぱあるのかなぁ？
あのね、ライチが言ってたんだけど……。
「1000年賢者の木」ってむかしむかしに真っ赤な袋を持った植物に根元を乗っ取られて力を無くしちゃったんだって。
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■ディニ To:リコリス
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真っ赤な袋を持った植物って…ヒメオロチグサ…
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■リコリス To:ディニ＞ウーサー
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やっぱりそうなの？
ライチとそうかな〜とは話してたんだけど……。
ウーさんよかったね。依頼に関係あるから、みんなで探そうね。
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■ウーサー To：リコリス、ALL
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……まあ、関係があるんなら、そんときゃ宜しく頼むわ。
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■ドライ To:ＡＬＬ
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……すまない、先に休ませてもらうことにする。
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ドライはそう言って席を立つと、そのまま階段を上がっていった。
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■ゾフィー To：ALL
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「力をなくした」ね……一応申し上げておきますわ。
シーロンさんが、3年前…でしたっけ、草原で記憶を失って発見されたという話がございましたでしょう。
記憶にかかわる目的があるなら、気に止めておいたほうがよろしくてよ。
いえね、うっかりして鳥頭やら…ンーなにやらを抱え込むことになるのはごめんですから。
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■シグナス To：ＡＬＬ
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ティンリエちゃんも、記憶喪失関連の事、一緒に調べてくれって言ってたからなあ。
結局今日は調べ切れんかったけど、多分無関係じゃないだろーし、まあこっちも気ぃ付けとくさ。
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そして、情報交換もひと段落したころ。
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■おやじ To：ALL
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おぅ、待たせたな。リコリス、こっちがはちみつ2瓶だ。
で、こっちの包みが乾物と……
このカゴが「きのこ」な。
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おやじが差し出してきたカゴの中から、びよーんと何かがジャンプして真上に飛び出してきたのが見えた。
どう見ても芋虫のシルエットを持ったそれは、空中で一回転し、またカゴの中に落ちて行く。
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■おやじ To：ALL
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おっと、今年の「きのこ」はやたら生きがよくてな……うん、これでよし。
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「がさがさがさ」「ごそごそごそ」とうるさいカゴに、しっかりとふたを閉めた。
ぼきっ！！
その時、銀光を帯びた黒い光が走った。
卓上に押しつけられて無惨な折れ口をさらすスプーンの柄を握りしめたゾフィーは、飛んでいった先端の行方を追うことなく立ち上がる。
飛んだ先端は寝ているソプルの頭にこいん☆と当たり、床に転がった。
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■ぞひー To：おおる
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ああらみなさま、とんだしっけいを。
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うつむき加減の顔から上目遣いに向けられたゾフィーの瞳は、なぜか、影の中に隠れたような深い夜の色を宿していた。
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■おやじ To：ぞひーのようななにか
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お、おいどうし……（汗）
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後ずさるおやじ。
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■ぞひー To：おやじ
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「きのこ」たいへんおいしゅうございましたわ。
もどりましたあかつきには「真っ赤なピザ」をおねがいするといたしましょう。
ええ、みやげにもちょうどよさそうですし。
おほ……。
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そう言いながら銀の扇を広げかけたゾフィーの手が止まった。
修復された扇のつなぎ目をにらみつけ、荒々しくそれを閉じたゾフィーは無言で、スプーンの床におちた先端を拾い上げ、卓上に戻す。
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■おやじ To：ぞひーのような(ry
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あ、ああ「まっかなぴざ」な！ うん、あれはうまいぞ、いろいろとな！！！
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■ぞひー To：おおる＞おやじ
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必要な話は済みましたでしょう？
明日からの旅にそなえて、わたくしはこのあたりで休ませていただきますわ。
ああ、おやじさん、代わりのスプーンは明日、お渡しいたしますから。
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その場の面々に軽く会釈すると、足早に立ち去るゾフィーであった。
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■おやじ To：ALL
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夢見が悪くなりそうだな……（汗）
ああいや、お前らも明日に備えて、早く休めよ？ な？
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