猫と散歩
■ソプル To:ドライ
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(東方語)んで、ドラたんはどこから来たにゃ? 生まれた場所はドコにゃ?
いまはどこに住んでるにゃ?
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鍛冶屋から銀の網亭に戻ることにしたドライ。
その道中、肩に乗ったソプルは好奇心に満ちた瞳で、ドライを質問攻めにしていた。
もちろん町行く人々に聞かれない程度の小声で。
■ソプル To:ドライ
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(東方語)何でぼーけんしゃになったにゃ? いま、いちばん欲しいものは何にゃ?
好きなコはいるのかにゃ?
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2本のしっぽがぴこぴこ動く。
■ドライ To:ソプル
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西方だ。生まれた場所はレイド、傭兵の町だな。
冒険者になったのは成り行きだ。流れ流れて、東方まで。
今は……今から行く銀の網亭という冒険者の店を拠点にしている。
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ソプルの質問に淡々と答えるドライ。
素性を話すことなど、たいしたことでもないという風に。
しかし……
そこで足を止めてソプルのほうに顔を向ける。
■ソプル To:ドライ
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(東方語)ふむふむきょーみぶかいにゃ! ん?(首かくり)
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■ドライ To:ソプル
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ソプル……俺は君に言ったな。ついて来るなら止めはしないと。
だが、正直お奨めは出来ない。
こんな戦闘狂と道を共にすると、命がいくつあっても足りはしないぞ?
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■ソプル To:ドライ
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(東方語)ヘーキだにゃ。むしろつまんない日常を送ることのほーが、死ぬほどツライことなのにゃ!
ソプルはこー見えて、古代語魔法も精霊魔法もそこそこ使えるにゃ。
だからむしろ戦いなんてへのへのもへじだにゃん。
ドラたんを助けてやるにゃ!
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きらきらと好奇心200%の瞳でドライを見ている。
■ソプル To:ドライ
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(東方語)でもなんで、そんなに戦いが好きにゃ〜?
まるでいくさ狂いのバルキリーに取り憑かれてるみたいなのにゃ。
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まさに好奇心に殺されそうだと思いつつも、それ以上は止めずに再び歩き出す。
■ドライ To:ソプル
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理由などないさ。
戦闘狂によくある、血が滾るというやつだろう。
もしかしたら本当に、バルキリーに憑かれているのかもしれないな。
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■ソプル To:ドライ
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(東方語)「死狂い」ってやつかにゃ〜?
そんじゃ、いっしょに血湧き肉踊る戦場を探すにゃ〜♪
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ソプルとの会話の最中、賑やかな通りの少し向こう側に、シーロンの姿があるのが見えた。
どうやら露店の雑貨屋に立ち寄り、売り子と会話をしているようだ。
ドライは自然な流れでシーロンの横につき、露天の品物に目を向けた。
■売り子 To:シーロン>ドライ
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はい、じゃあ15ガメルね。ありがとう〜♪
こんにちはお兄さん♪ きれいなカトラリーはいかが?
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広げられているのはスプーンやらフォークやら、見たところ何の変哲もないテーブルウェアだった。
シーロンはどうやら1本の銀製のティースプーンを購入したようだ。
■シーロン To:ドライ
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よお、買い物は無事終わったかい?
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気配に気付いたのか、軽く挨拶してくるシーロン。
■ドライ To:シーロン>売り子
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受け渡しは明朝になるがね。
そちらは小物で攻めてるみたいだな。
ああ、ネコ用に適当なのを見繕ってくれないか。
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わざとらしい鳴き声とともに、猫手で小さな銀の皿をちょいちょいと指し示す。
■売り子 To:ソプル>ドライ
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あら、猫ちゃんはこのお皿が気に入った?
こちらは、10ガメルになります〜♪
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■ドライ To:売り子
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じゃあそれをもらうとしよう。
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■売り子 To:ドライ
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はい、ありがとうございます〜♪
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得意げに鼻先を突き出すソプルの頭に、銀皿をちょんと乗せる売り子。
■シーロン To:ドライ
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その猫、可愛いじゃないか。よく似合ってるぜ(笑)
じゃ、また後でな〜。
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スプーン1本を手の中で弄びながら、軽く手を上げて立ち去るシーロン。
あっという間に人ごみに紛れて見えなくなった。
■ソプル To:ドライ
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(東方語)今のやつ、知り合いにゃ?
ヒトじゃないニオイがしたにゃん。
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よく見るとソプルの背中の毛がざわざわと逆立っていた。
■ドライ To:ソプル
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ヒトではないニオイか……
わかった、気に留めておこう。
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見えなくなったシーロンの姿を追うように雑踏に目を向け、ドライは小さく呟いた。
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