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SW-PBM Scenario#169
帰ろう、風休みの草原へ

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ライジング・サン



  口笛通り〜楽器店「ライジング・サン」

親切心なのか、勢いにまかせてか、その場のノリか。
ティンリエを楽器店まで案内することになったシグナスは、オランの中でも音楽関係の店が多く建ち並ぶ「口笛通り」へとやってきた。
ハザード河東岸沿いの、割とマニアックなお店が多い通りだ。
■ティンリエ To:シグナス
……ね〜、まだ歩くわけ?
まさか、迷ってるんじゃないわよねっ?

ティンリエは、いかにも「大都会には慣れてません」といった様子で、美しい建物や、ハザード河に浮かぶ船をきょときょとと眺めていたが、シグナスに遅れまいと早足で歩いているせいか、時折石畳に蹴つまずいたりしていた。
■シグナス To:ティンリエ
っと、大丈夫かい?慌てなくても置いて行かないって、俺の数少ない欠点の一つは、逃げ足の遅さだからな。
なに、ちゃんと目的地に向かってるさ。ああ、気になる店があったら後で行って見ようか?

■ティンリエ To:シグナス
ふ〜〜〜ん、まるでほぼカンペキ人間ですーって言いたげな口ぶりぃ〜〜〜。

気になる店? ……ん〜、そーね。
あたし、学院ってやつにも行ってみたいんだけど……オランの三角塔。
集まらない知識は無いって、有名でしょ?
お店じゃないけどさ……あそこって、一般人でも入れるの?

■シグナス To:ティンリエ
はっはっは、一回言ってみたい台詞じゃあるけどなー。
学院か……楽器見た後行って見る予定だったけど、一緒に行って見るか。
なに、俺も在学生だし適当に話し付けとくさ。

■ティンリエ To:シグナス
ホントっ?
……えへへ……。

ティンリエは嬉しそうににんまりと笑い、両手を背中の後ろに組んで、心無しか足取りを軽やかにする。
■シグナス To:ティンリエ
そっか、意外……って言っちゃ悪いか。けど、本に興味ある奴って結構少ないからな。

■ティンリエ To:シグナス
あたしだって、別に好きじゃないけど……ちょっとね、調べたいことがあるの。

あ、言っとくけど、受けた借りは必ずきっちり返す主義だから。
案内してくれたお礼と、つきあってくれたお礼は、絶対に何かで返すからねー。
イヤだって言っても返すから!

……それで、それを前提に、もうひとつだけ、手伝って欲しいことがあるんだけど……。

ちら、と探るような上目遣い視線をシグナスに向けた。
■シグナス To:ティンリエ
人助けで恩を売る気も無いが、それで気が済むんなら有難く返して貰うさ。
ま、とりあえず内容聞いてから決めさせてくれよ。
仕事に障るとは思えんけど、一応安請け合いはしたくないし。

■ティンリエ To:シグナス
仕事……には、障らないと思う。うん。たぶん。きっと!
あ、買い物が終わってから話すね。
〜♪

鼻歌まじりで言葉を切るティンリエ。その横顔はとても嬉しそうに見えた。
■シグナス To:ティンリエ
買い物の後ね……ん、おっけー。だったら学院への道中にでも聞かせて貰うよ。

ほどなくして「ライジング・サン」という看板が見えてくる。
シグナスの記憶では、置いてある楽器の種類の豊富さでは定評がある店だ。
■アフロヘアーの店員 To:シグナス&ティンリエ
よう、客かい? 客なのかい?
何でも揃うが無いモノは無い、「ライジング・サン」へようこそだぜ。

ガルガライス出身と思われる黒い肌の店員が、くるりと振り返ってふたりを出迎えた。
白い歯がキラリと光る。
店内には、床から壁までびっしりと、様々な楽器が飾られていた。
楽器の品揃え自体は普通のようだ。
唯一、どれもこれもが派手なペイントを施されていることを除けば。
■シグナス To:店員
おっけー、冷やかすかどうかはそっちの腕次第だぜ?

■アフロヘアーの店員 To:シグナス
HAHAHA、あんたらの財布の景気の良さを期待しちゃうZE☆

そう言って、いつのまにか構えていた小さな弦楽器をポロロン♪とかき鳴らした。
■シグナス To:アフロ
……言うな、何故か貯めようと思い始めてからの方が出費激しいんだし……。
っと、まあ今日は他人の財布で土産モン探しだ、適当に眺めさせてもらうぜー。

■ティンリエ To:シグナス
……。
あんた、いつもこんな店に通ってんの?

■シグナス To:ティンリエ
何時も、って訳じゃねえけど。土産物には丁度良いかな?ってさ。
気に入ったモンが無けりゃ、次の店に行くさ。

■ティンリエ To:シグナス
んー。
アホっぽいけど、グラスランナーには受けが良さそうだから……ここでいいわ。
ね、あんたもリュート弾きなんでしょ。
どういうポイントで楽器って選ぶわけ?

ティンリエは、陳列されているリュートの数々を指で示す。
どうやら、楽器についてはとんと疎いようだ。
■シグナス To:ティンリエ
俺はまあ、冒険者もやってっからなあ。頑丈さが第一だな、手入れは欠かす気無いけど、どーしても本職ほど大事に出来んし。
質としちゃ、高めで派手な音出し易いの選んでるよ。落ち着いた感じってのは、聞く分は好きだが弾く分は合わんでね。
……ある意味グラスランナーには合わせ易いのか俺の趣味……

■ティンリエ To:シグナス
……ぷっ。あははっ。
シグナスー、実はグラスランナーの血が混じってるんじゃないの〜?
それなら、あんたに選んでもらえば間違いは無いって感じー?

相変わらず悪戯っぽい、しかし先刻までよりは自然な笑顔を見せながら、並んでいるリュートのひとつを手に取った。
■ティンリエ To:アフロヘアーの店員
これ! この派手な唐草模様のリュート。
色違いで3つね。
高音がちゃんと出るように、調整しといて!

腰に手を当てながら偉そうに指示。
そして、くるりとシグナスに向き直り、その体型をじろじろと吟味するような視線で見る。
■ティンリエ To:シグナス
つかぬことを聞くけど。
あんた、女友達の買い物に付き合ったことある?
例えばさー、ほら……彼氏……とか、お兄ちゃんとかお父さんへのプレゼントに、体型の参考にって付き合わされたりとか。

■シグナス To:ティンリエ
エルフの血は引いてんだけどなあ、母親がハーフだし、っと、何だい?
……成る程。まあ、女の子の買い物に付き合う事はチマチマあるよ。
俺で参考になるかは解らんけど、そう言うのが在るなら手伝うぜ?

■ティンリエ To:シグナス
べ、別に彼氏がいるとかじゃ……無いけど。
あんたの体型にそっくりな知り合いがいるから、そいつにと思って。
ほら、さっさと選びなさいよ! あんたが持って、しっくりくるリュート。
たぶん趣味も一緒だから!

急に顔を赤く染めて、シグナスの背中を押しながら強引に促す。
■アフロヘアーの店員 To:シグナス&ティンリエ
HAHAHA、尻に敷かれてんのかい? お兄さん。
こいつなんかどうだい、高音を出してもぶれにくい構造なんだぜ?
おまけに鈍器として使ってもへたれないってほど、丈夫なシロモノさ!

ほい、と渡されたのは、現在シグナスが持っている「ワイルドキャット」をさらに進化させたような高級品だった。
重厚だが驚くほど軽い、繊細な技術で作られた一級品であることがわかる。
■シグナス To:アフロ
へいへい、敷くよりゃあ敷かれる方が感触良いってところさーね。…………。

渡されたリュートを手に取ると、真面目な顔になって弄るシグナス。
■シグナス To:ティンリエ、アフロ
こいつは……悪くない、どころじゃないな。
触って見りゃカタブツな手応えの癖して、構えりゃ羽根みたいだ。
……音も良い、堅い分良く響くし、調節の幅も広そうだ……その分、ピーキーくせえけど。
こりゃあ弄ってても弾いてても、聞かせても楽しいだろうけどなあ……惜しい事に逸品過ぎる。
俺程度じゃ使いこなすにゃ遠いな、マジで腕磨かん事にゃあ火傷しちまいそうだぜ。
ティンリエ、コイツは……贈り物には……まあ、良い代物だと思う。
けど、楽器弾くのが趣味レベルだったらちょっと、重過ぎると思うよ、俺は。
お前さんの贈る相手の事は知らんから、何とも言い辛い部分じゃあるけど。

……ふう、俺も自分用にゃ何時か使って見たいた思うが、値段はどーなんだいコレ?

■ティンリエ To:シグナス
そんなにすごいの!? これ……。

■シグナス To:ティンリエ
ああ……そりゃあ、上を見りゃあ上限知らずで在るんだろうが、それでも上等なのに違いはねえな。

■アフロヘアーの店員 To:シグナス
HAHAHA、さっすが兄さん、目の付けどころが半端ないぜ。
駆け引き一切無しで言おう、きっぱり500ガメルだ。

■ティンリエ To:アフロヘアーの店員
ご、ごひゃく!!!

……ねー、もうちょっとまからない?

■アフロヘアーの店員 To:ティンリエ
HAHAHAHAHA、そんな上目遣いしたってダメだぜBABY?
俺の守備範囲はもっとセクシーでグラマラスな(げし)

ティンリエの条件反射的鉄拳が店員の顔面にめり込み、そのままカウンター奥へと崩れ落ちた。
■シグナス To:アフロ
……ま、あんたの趣味はとやかく言わんが、他の魅力を否定しちまっちゃあ自業自得さね。

■アフロヘアーの店員 To:シグナス
ぐふぅ……こ、腰の捻りは一級品みたいだぜぇ……。

■ティンリエ To:シグナス
いいわっ、これ、買ったっ!
「いつか持ってみたい」って思わせてくれる代物なんでしょっ?
それで十分!

ティンリエは、預かった1000ガメルから3つのリュート代──300ガメル──を取り出し、続いて自前のものと思われる財布から500ガメルを取り出して、カウンターに置いた。
■ティンリエ To:ひとりごと
……す、すっからかん。

■シグナス To:ティンリエ アフロ
はは、本当なら止めるなり窘めるなりするモンなんだがなあ。
良い道具との出会いなんて、その場のノリも大事だしな。……ああ、コイツ送る相手にも、ちゃんと君の気持ちは伝わるさ。

って訳で、プレゼント用の包装も頼むぜいー。あと銘とかあんの?道具の背景も覚えとくに越したこた無いしな。

■ティンリエ To:シグナス
伝わるかな? そう?
……えへへ……。

嬉しそうにうつむいてはにかむ。
■アフロヘアーの店員 To:シグナス
銘かい? 「スターダスト・レジー」ってのさ。
こぼれ落ちる音はまさに星くずのごとく、ってわけさ。
OK、中身に恥じないようなゴージャスな箱に入れてやるぜ!

■ティンリエ To:アフロヘアーの店員
ちょっとやめてよ!?
普通の、丈夫な木箱にしてっ!
あ、それから、下町入ってすぐの、テントが張ってある広場に届けてくれる?
重いの持ち歩くなんて嫌だから!

OKOK、とジェスチャーで答える店員。
■シグナス To:ティンリエ
さて、そいじゃそろそろ次に行こうか。もう学院で良いかい?

■ティンリエ To:シグナス
そうね、面倒な宿題も終わらせたし。
さっさと行きましょ!

言うが早いか、シグナスの手をがっしと掴んで引っ張っていく。


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