おみやげのおはなし
プティングをお皿まで食べる勢いできれいに食べ切ったアイネリカは、改めて一向に向き直った。
■アイネリカ To:ティンリエ
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じゃ、詳しい話は、ティンリーよろしく〜。
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■ティンリエ To:アイネリカ>ALL
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は!? 何の為にじらしたのよ!?
……えーと。
つまり、帰省のおみやげよ。里帰りするグラスランナーは、故郷のためにたくさんおみやげを持って帰るものなんだって。
……座長、帰ることを決めてから、何をおみやげに持って帰るかをすごく楽しみにしてたんだってさ。
オランに着いたら、草原じゃ手に入らないような、珍しい品物をいっぱい用意するって。
…………。
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一瞬、ティンリエの表情が寂しげに陰るが、すぐにキッと顔を上げる。
■ティンリエ To:ALL
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で! それをあたしたちにやれって言うのよ。
そんなの、面倒だし。それに、あたしたちってオランの街に詳しくないじゃない?
だから代わりにやって欲しいのよ。
わかった!?
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両手の拳を腰に当てたまま、椅子に座りもせずにのたまう。
シーロンがその様子に苦笑しつつ、変わった香りのお茶──きれいな緑色をしている──をテーブルに並べていった。
■アイネリカ To:ALL
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そういうこと〜。
馬車の荷台からあふれちゃうくらいの、たっくさんのお土産を持って帰りたいのです。
ジャンルは問いませんよー。
食べ物でも、道具でも、いきものでも、技でも、知識でもいいのです。
ただ、うんと珍しくて、草原のみんながびっくりして喜ぶもの!
私は私で考えて用意するけど、大人数でいろんなものを持ち寄ったほうが楽しそうだから!
ひとり、ひとつ! つまり……全員で9人だから、ここのつですね。
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■ティンリエ To:アイネリカ
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え!? な……何よ。結局あたしも用意しなきゃならないってわけ!?
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■シグナス To:ティンリエ
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はは、それだけ君の見る目を信用してるって事じゃ無いか?
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■ティンリエ To:シグナス
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ええ〜〜〜? ホントにぃ〜〜〜〜???
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■アイネリカ To:ティンリエ
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(・∀・)(←信頼のまなざし)
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■ティンリエ To:シグナス
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……ホントにそう思う?(-_-;)
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■シグナス To:ティンリエ
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はは、それじゃあ足りない分は俺が信頼させてもらうよ。
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■ティンリエ To:シグナス
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……へ〜〜〜。ふ〜〜〜ん。
なーんか、誤摩化された感じ……。
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■アイネリカ To:ティンリエ>ALL
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えへへ♪
それで、出発は明日の朝ね。この広場に、おみやげ持ってきてくれればおけ〜♪
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あぜんとするティンリエをよそに、アイネリカはとても楽しそうな表情を一行に向けた。
■ドライ To:ALL
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何でもいいんだと。
まあオランが長いやつは、つてを頼るのもいいだろうし、逆に来たばっかりのやつは、自分の目から見て珍しいものを選べばいいってとこかね。
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■ディニ To:ドライ
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じゃ、楽かな。あたしにとっては、珍しいものばかりだから
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■ディニ To:アイネリカ
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で、予算は?まさか、自腹じゃないし、青天井でもないわよねぇ
おいくら?
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■アイネリカ To:ディニ
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ええ、ひとりにつき、予算1000ガメル渡しますねー。
余ったぶんは、てきとーに返してくれればいいから♪
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そう言ってどこからともなくずっしりと重そうな布袋を取り出し、中身を6つの小袋に分け始める。
じゃらりじゃらりと贅沢な音が響き渡った。
■ディニ To:アイネリカ
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1000!で、てきとーに返せと
儲かってるのねぇ・・・
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■ティンリエ To:アイネリカ
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うう、あたしたちの稼ぎ……。
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ティンリエは不満そうだ。
■リコリス To:ティンリエ、アイネリカ
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え? ティンさんたちの取り分は別にあるんじゃないの?
まさか……。
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■アイネリカ To:リコリス
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「アイネリカ」一座はもう解散ですからー、残った財産は後腐れ無くぱーっと、ぜーんぶ使っちゃうつもりなんです♪
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■ティンリエ To:アイネリカ
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せめてボーナスちょうだいよっ!? もー退職金でもいいからっ!!
自分にご褒美くらい、買いたい〜〜〜っ。
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アイネリカの襟首をぐわしっと掴んで、ガクガクと揺り動かす。
どんどん蒼白になるアイネリカの顔。
■ウーサー
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お、絞まってる絞まってる……そろそろ止める、か?
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■リコリス To:ティンリエ
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ティンさん落ち着いて。ね。
その自分にご褒美になるものでお土産になるもの買うんじゃダメ?
知識とか芸とかでもいいんでしょ?
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リコリスはティンリエの腕にしがみつくようにアイネリカから離そうとする。
ぐわしっと空いてるほうの手でリコリスの「ねこしっぽ」を掴む。
■リコリス To:ティンリエ
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やっ、しっぽつかまないでよ〜。
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リコリスは身をよじって逃げようとするが、しっぽがほころびることを恐れて上手く逃げられない。
■ティンリエ To:リコリス
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ネコリスのくせに、えっらそーなこと言うんじゃないわよっ!
あたしだって、そのくらいのことは考えてたんだからっ!?
あと、ティンさんて言うなっ!
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「ねこしっぽ」をびょ〜〜ん、びょ〜〜んと引っ張ったり縮めたり。
■リコリス To:ティンリエ
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いや〜、しっぽでいたずらしないでっ!
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必死にしっぽの付け根を押さえる。
■リコリス To:ティンリエ
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じ、じゃあ、呼び方は変えるから。
え〜と……じゃあ、ティンちゃん。
ところで、どうして「ネコリス」って知ってるの?
リコ今、ネコになってないよ。
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■ティンリエ To:リコリス
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変わってないわよっ!(びしぃ)
……は? だって、どっからどう見ても猫じゃない。
……まさか、猫耳付けてるくせに、猫だって自覚ないの!?
あんた、バカ!?
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■リコリス To:ティンリエ
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え〜、だって全然違うじゃん。
あ、もしかしてティンちゃん目悪いの? 大丈夫?
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心配そうに、ティンリエを気遣う。
べふんと猫耳の間にチョップを振りおろす。
■ティンリエ To:リコリス
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だったらたぬきって呼んでやるわよ、このタヌキリスっ!(むきー)
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■リコリス To:ティンリエ
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リコ、たぬきじゃないもん。
って、あれ?
もしかして、目悪いこと隠してたの?
大丈夫だよ、メガネかければよく見えるようになるから。
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■アイネリカ To:リコリス&ティンリエ
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(・∀・)*.+*
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■シーロン To:アイネリカ>リコリス
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いや、面白がってないで、な。
ごめんなお嬢ちゃん、きつく叱っとくから。
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ティンリエの襟元をひょいと掴み上げて、リコリスから引きはがす。
■リコリス To:シーロン
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ううん、気にしないでいいよ。
ティンちゃんがリコに当り散らすことで気が晴れるなら、それはそれでいいの。
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■ドライ To:アイネリカ
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ふむ、しかし9というのはキリがよくないね。
この子が気に入ったものも含めて、10にしてはどうだろう?
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と言いながら、リコリスの腕の中のパオを指差す。
■ドライ To:アイネリカ
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街を連れまわして、食いつきのよかったものをお土産にすればいい。
草原のパオルゥにも、おみやげは必要だろ?
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■アイネリカ To:ドライ>シーロン
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それは、素敵な気遣いですね〜♪
そのアイデア、どうかな? しーちゃん?
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■シーロン To:アイネリカ&ドライ&リコリス
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俺は構わないぜ。むしろ久しぶりに首元がさっぱりして嬉しいくらいだな(笑)
よし、パオはお嬢ちゃんに任せた。
どうせ、俺はこれから昼寝タイムだしな。
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あらためてパオをリコリスの腕の中に収めてあげる。
■リコリス To:シーロン>パオ
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\(*^∇^)/ワ〜イ ♪
じゃあ、大切に預かるねっ。
おいしいお土産、いっぱい探そうね〜♪
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腕にしっかりと抱っこしたパオを優しくなでる。
■リコリス To:ALL
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それじゃ、早く探しに行こうよ〜。
どこ探そうかなぁ?
パオの好きそうなのは…市場とかかなぁ?
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■アイネリカ To:ALL
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集落のみんなに気に入られれば、気持ちに見合ったお返しがあると思いますよっ♪
がんばってね〜。
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■リコリス To:アイネリカ
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うん、リコ、頑張る〜♪
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■ゾフィー To:アイネリカ
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ふむ……ちなみに、その集落にはこの時期、どのくらいの人数が集まりますの?
それから、推定される子どもの数は何人ほどかしら。
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■アイネリカ To:ゾフィー
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さぁ〜、行きも帰りも気の向くまま風の吹くまま、世界中を放浪している仲間たちが、いつ帰ってくるのかなんて、それこそ虫たちにもわからないでしょうね〜。
何しろ私自身、里帰り自体が、30年ぶりくらいですからね〜。
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■シグナス To:ALL
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……つまり総数不明な訳ね。
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■ウーサー To:アイネリカ
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こりゃあまた、小難しい依頼を出しやがるなぁ……まあ、アレにしてみっかな?
それじゃあ、ちょいと預かってくぜ。
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じゃらりと音を立てる袋を受け取ったウーサーは、紅葉色のワンピースの少女に目をやった。
■ウーサー To:ティンリエ
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お前さん、アテはあんのかよ? なんなら、そこのシグナスに案内してもらっちゃ如何だい?
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にやりと嗤いながら、太い親指で自分の横方向に居る仲間のひとりをぐいと指差してみせる。
■ウーサー To:シグナス
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美人のエスコートは、お得意だろ? Mr.テンハンド?
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■シグナス To:ウーサー、ALL、ティンリエ
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さて、苦手と言う気はねーけどなー?在る意味ペアルック着こなすお前ほどじゃねえけど!
とは言え、ヒメオロチグサの事も調べると成ると、一回学院の図書館に顔出さなきゃならんし……序に当てを聞いてみる予定だ。図鑑の類ならグラスランナーも興味持ちそうだしな。
……ってー訳で、その前に、で良ければ楽器の店でも回ってみるかい?
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■ティンリエ To:ウーサー
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ペア……ルック…………?
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一瞬ウーサーから、距離を取る。
■ウーサー To:ティンリエ、シグナス
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いや一寸待て。それは誤解だ、ていうか曲解だろ!?
ありゃあ大会出る為に、無理やり付けさせられただけだ。
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■ティンリエ To:シグナス
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って、な、なんであたしがあんたと一緒に行かなきゃいけないのよっ?
別に、誰かに聞けば教えてくれるだろうし!
楽器のお店くらい、腐るほどあるんでしょ、都会なんだからっ!
え、エスコートなんて……
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ぶつぶつと言い訳がましいことをつぶやきながらも、声が徐々に小さく。
■シーロン To:ティンリエ
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連れてってもらえよ、お前極度の方向オンチなんだから。
それに、オランに着いたら楽器屋に行きたいって言ってたじゃないか?
地図も読めないんだから無理すんなって……ふわぁ……。
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ハンモックをのろのろと準備しながら、幸せそうな生あくびをひとつ。
■ティンリエ To:シーロン>シグナス
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う、うるさいっ!
じゃ、じゃあいいわよ。どうしてもっていうなら、断わる理由も無いし。
中途半端な安っぽい店に連れてったら承知しないからねっ!
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びしぃとシグナスを指差した。
■シグナス To:ティンリエ
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OK、如何してもご同行願いたいものだね?とは言え、ピンきりだし掘り出し物もあるかも知れないから、何軒か回ってみようぜ。
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指差した手を下ろす、その表情はまんざらでもなさそうだ。
■リコリス To:シグナス、ALL
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シグ先輩図書館行くんだ〜。
あ。リコもちょっと調べに行こうかな。
学院行ってから市場行っても間に合うよね。
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■ゾフィー To:リコリス、シグナス、ALL
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えり好みしなければ、その時間でも開いている市のひとつふたつはあるのではございません?
わたくしも、図書館で調べ物をしようかと考えておりましたが……。
文献調査にはそれなりに時間がかかりそうですし、調査内容が被らないようにしたほうがよろしいですわね。
シグナスさんは草そのものについてお調べになりますの?
でしたらわたくしは、草原の故事来歴や植生について確認しておこうかしら。
もちろん荷物が増える以前に、図書館に足を運ぶ予定ですわよ。
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ちらりとリコリスに視線を向け、ゾフィーは僅かに首をかしげてみせた。
■リコリス To:ゾフィー
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リコはね、お土産用に、空を飛ぶいきものについて調べようと思うの。
詳しくわかれば魔法で変身して、みんなを乗せて飛べると思うし。
フィーさんも図書館に行くなら一緒に行けるね。
よかった〜。
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■ゾフィー To:リコリス
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ま、同じ時間におなじ方向に向かうなら、あえて別の道をたどる理由もないでしょうから。
途中で猫を見かけたりしても、寄り道はいたしませんからそのおつもりでね。
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■ゾフィー To:リコリス
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我慢という問題ではございませんのよ。
そのおちびさんが怯えた結果、田舎の香水のほうがましという香りを帯びつつ街歩き、となるのは御免こうむりたいですから。
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■ウーサー To:リコリス、ゾフィー&ALL
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お、善かったな仔リス。保護者が居ねぇなら同道しなきゃと思ったが、オレ様は一人で買出しに行けそうだぜ。
じゃあ取り敢えず、買出し終わったら此処に再集合ってことで良いのか?
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■リコリス To:ウーサー、ALL
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ウーさん、リコ保護者いなくても平気だよ〜。だってもう成人してるんだし。
あ、集合はここでいいの?
図書館とかで調べ物してたら、すっごく時間かかっちゃいそうだけど。
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■ゾフィー To:アイネリカ
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「おみやげ」を買い付けたら、直接こちらに持ってくる、あるいは届けさせてもよろしいのかしら。
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■アイネリカ To:ゾフィー
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ええ、明日の朝の出発までに、ここに揃っていれば大丈夫ですよー。
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■ドライ To:ALL
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わりい。頭脳労働は苦手でね。情報収集は任せるわ。
こっちで貢献できない分は、現地で役に立つってことで。
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■ディニ To:アイネリカ
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じゃ、あたしはギルドにいく。
この街になじみが無いあたしは、ここしか行くとこないし。欲しいものもここでしか手に入んないだろうし。
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金袋をひとつ取り上げると、胸にしまいこむ。
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