依頼のおはなし
案内されたテントの中には、たくさんの小道具が詰め込まれた木箱が乱雑に山積みになっていた。
キラキラした装飾付きの衣装が、天井からいくつもぶら下がっている。
そして中央のテーブルには、鮮やかな色彩のローブをまとった、小柄な人影。
■小柄な人影 To:ALL
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(もぐもぐ)……あ〜、いまおひるふぁへへるさいひゅうれ……(もぐもぐ)
ふぉこにはへへくらはいは〜(もぐもぐ)
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■シーロン To:小柄な人影(アイネリカ)>冒険者
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まぁ、飲み込め。
こちら、銀の網亭の冒険者のみなさんだ。
悪いね、見てわかると思うがコレが我らが座長、アイネリカだ。
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テーブルの上には、まるでクッションのような分厚いパンケーキが見上げるほどに高く積み上げられている。
てっぺんからはたっぷりのシロップがだだ垂れになって、パンケーキの塔の壁面を濡らしていた。
■ウーサー To:パンケーキの塔
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…………。
いや、オレ様はツッコまんぞ。絶対に。
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■シーロン To:ひとりごと?
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慣れちまって、ツッコミどころすら解らなくなっちまったな。
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■シグナス To:ウーサー
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とりあえずシロップだけって手抜きっぷりに突っ込むべきじゃねーの?
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■ウーサー To:シグナス
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シロップだけってんなら個人の好みってのもあらぁが、そんなことより……いや!? だからツッコまねえって言ってるだろ!?
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■ドライ To:パンケーキの塔
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……ふむ。一体これだけの量がどこに入るんだ?
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ぬけぬけとツッコむ。
■ゾフィー To:旅芸人's
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ふとした疑問なんですけれどね、この一座の料理担当というのはどなた?
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■シーロン To:ゾフィー
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みんなそれぞれ、喰いたいもんを自分で用意してるな。
大所帯だった頃は、裏方もけっこういたもんだけどね〜。
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■ゾフィー To:シーロン
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そうですか、「喰いたいもんを自分で用意してる」ね……。
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そこで言葉を切り、あらためてパンケーキの塔をまじまじと見上げなおすゾフィー。
■ウーサー To:シグナス
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調理の裏方、居ないんだとよ……良かったじゃねえか、上手いこと気に入られりゃあ、オランからトンズラこけるぜ?
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■シグナス To:ウーサー
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俺は後ろに向かって前進する事はあっても逃げる事はない男。お前も色々と覚悟決めとく方が楽だぜ……?
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■ティンリエ To:アイネリカ&シーロン>男性陣
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あたし、着替えてくるっ!
話は任せたから。
……覗くなよっ!
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■ウーサー To:ティンリエ
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心配すんな、見て嬉しいほどのモンじゃ無ぇなら覗きゃしねぇよ!
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ウーサーが言い終わらないうちに、ティンリエは木箱から「鉄製の剣玉」を取り出し、彼の顔面めがけて鋭いスナップを利かせ投げつける。
■ウーサー To:ティンリエ
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十=====●ヽ( ̄  ̄*)
おおっと!?
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ウーサーはかなりの速度が乗った鉄球を、巨体からは想像もつかないような機敏さと正確さで受け止め、ニヤリとほくそ笑みながら地面に落とした。
■ウーサー To:ティンリエ
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へっ、活きは好いみてぇだなあ嬢ちゃん?
悪かぁ無ぇが、悪戯だったら夜中にしてくれよな?
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■ティンリエ To:ウーサー
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……な、何よっ……!?
バカじゃないの、バカじゃないの、バカじゃないのっ……!?
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ティンリエはドレスの裾をひるがえして、垂れ幕の奥へさっと消えた。
■ディニ To:ウーサー
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ウーサー、面白いけど、こどもをからかっちゃダメじゃん。
見るだけで良いなら、あたしを見てよ。それなりの自信はあるつもりだし。
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■ウーサー To:ディニ
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からかっちゃいねぇさ。子供扱いは失礼だからよ、レディとして気を配ってさしあげただけだぜ?
なんならお前さんも、レディ扱いのほうがお好みかい?
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■シグナス To:ディニ
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止めとけ止めとけ、そいつにゃ良い人居るんだから。
ちなみに、俺は仕事仲間にゃある程度、その手の距離は置く主義なんでヨロシク。
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■ディニ To:シグナス
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良い人が居るとか決まった人がいるとか、関係無いのよ
本人が望むか望まないか、それだけの話
それでなきゃ出来ない仕事で生きてる人も多いのよ
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■ウーサー To:ディニ、シグナス
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ディニの言うとおりだぜ、シグナス。
人生、一度しか無ぇんだ。振り下ろした剣は戻せねぇ、って言うだろ?遣りたいようにやれるんなら、遣っといたほうが後悔が無いじゃねえか。
それにどんな意味があるかなんざぁ、遣った本人だけが知ってりゃそれでいいだろ?
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■シグナス To:ディニ、ウーサー
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お前等微妙にファラリス染みてねえかっつか仕事関係無いだろ今のは……。
まあ、お前等がソレで良いなら俺は話のネタになるから構わんけど。
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■リコリス To:心の声
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(そんな考え方もあるんだ〜。)
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■ゾフィー To:つぶやき>内心
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まったく…。(引くかそらすかしか手を打たないと は、先が思いやられますこと。)
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■リコリス To;アイネリカ、シーロン
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こんにちは、座長さん。
リコはリコリスっていうの、よろしくね。
魔法使いで、ラーダ神官だよっ。
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■アイネリカ To:リコリス
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(もぐもぐ)らふぁしんひゃんね、ふぁのもひぃれすね〜
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■ディニ To;アイネリカ、シーロン
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あたしはディニ。
ヴィクセンって芸名で踊っていた芸人出身の、ヴェーナー神官で盗賊。
有名なアイネリカ一座と一緒に行動できることを光栄に思ってます。
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■アイネリカ To:ディニ
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(もぐもぐ)ふぉうえいらなんふぇ、こひらこふぉこうへいらわ〜
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■ウーサー To:アイネリカ、シーロン
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ウーサー・ザンバード、重剣士だ。
斬る殴るしか能の無ぇ生ファイターだが、護衛と「掃除」の役にゃあ立てると思うぜ? まあ、宜しく頼まぁ。
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■アイネリカ To:ALL
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(もぐもぐ)まふぁにこんかいのふぉうひにうってつけ!
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アイネリカの腕は休むこと無く動き続け、パンケーキの塔をどんどん侵食していく。
■ウーサー To:アイネリカ
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いや。今回の依頼にうってつけなのは理解ったから、とりあえずフォークと皿よこせな?
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どこからともなく素直に差し出されるフォーク&皿。
■シグナス To:アイネリカ
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初めまして、シグナス・ラグスです。
出来る事は何でも出来るし、出来ない事はそれなりに頑張る通りすがりのテンハンドさんなので宜しく。
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■アイネリカ To:シグナス
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(もぐもぐ)ふぉれって“ふぉんよう”ってことれふね〜♪
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■シグナス To:アイネリカ
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万能にゃあ一歩及ばず、それなりに便利な男と思って貰えりゃ光栄ですねい。
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■アイネリカ To:ALL
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(もぐもぐ)おもひろひひろはひははふはっはれ〜♪
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■シーロン To:ALL
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何言ってるか分からんと思うが、まぁ気にしないでくれ。
大したことは言ってない。
あっと、サラダしかないが良かったら食べるかい?
悪いが俺は菜食主義なんでね。
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木の実とベビーリーフのサラダを盛りつけ、小皿とともにテーブルに置いた。
■シーロン To:ALL
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で、護衛については「風休みの草原」──オランから東へ、馬車で3日だが──に 着くまでの間。
「大掃除」は、草原についてからだ。
馬車は2頭立てのが2台あるから、足は心配しなくていいぜ。
で、肝心の「大掃除」についてだが──
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パンケーキの塔がすっかり消えたのを見て、シーロンはアイネリカに視線で譲る。
■アイネリカ To:ALL
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(ごくんっ)
……はいっ♪ 「大掃除」とは、草刈りのことですよ〜。
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ローブのフードをさっと後ろに外して、にこにこと一行を眺めやるアイネリカ。
その顔は短く刈り込んだ白髪で覆われ、しわくちゃだったが、瞳だけはキラキラ輝き子どものようだった。
体格が小柄なせいか、まるでよくできたお人形のようにも見える。
■ドライ To:アイネリカ
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草刈り、ねぇ。昔はよくやったもんだが……
ドライだ。
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アイネリカの食事が終わったのをみて、ドライも名乗りをあげる。
その陰で背の高い人間達の後ろに、ぐるりと目を回して頭上をあおぐゾフィーの姿があった。
■アイネリカ To:ALL
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でもね、ただの草刈りじゃ〜ないんです。
「オロチグサ」っていう、怖い怖〜い植物ね。
大きな袋で虫や小動物、あげくにパオルゥまでも補食してしまう、くいしんぼうの肉食植物なのです〜!(がばっ)
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リコリスに向かって「がおー」というポーズをしてみせるアイネリカ。
■リコリス To:アイネリカ、ALL
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(*゜д゜))) ぁゎゎ...
そ、そんなに怖いの?
パオルゥ食べられちゃう?
じ、じゃあ、パティも?
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リコリスはパティを抱きしめた。
■アイネリカ To:リコリス
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ええ、美味しくいただけます(真顔)
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■シグナス
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……アイゼンとシャウトは置いてくかなあ……
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■シーロン To:リコリス&パティ
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冗談じゃなく危ないな〜、そのサイズ。
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■リコリス To:アイネリカ、ALL
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Σ( ̄д ̄;)パティ、オランでお留守番かな。
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■ドライ To:リコリス&シグナス
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使い魔持ちは悩ましいところだがね。
危険だからって言ってたら、この商売どこにも連れて行けないわな。
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■シグナス To:リコリス
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まあ懐に入れてりゃ大丈夫だろ。食われる時は本人ごとになるし。
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■ウーサー To:リコリス>アイネリカ、ALL
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……何故だろうな。おめぇも食われないように気をつけないと駄目な気がするんだが……?
いや、そりゃあ兎も角。大掃除ってからにゃあ、実害が出るほど増えてるってことなのか? そのオロチグサとやらはよ?
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■アイネリカ To:ウーサー&ALL
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秋口だけに、なぜか大発生する植物なのですよー。
ほうっておくと、かわいいパオルゥたちが、どんどん喰われてしまいます。
パオルゥたちの穴堀りは、草原の土と草を育てるのに役立っていますから、彼らに絶滅に追い込まれるようなことは、ぜったいに避けなければならないのですっ!
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言いながら、いそいそとどこからともなくデザートのプティングを取り出す。
■アイネリカ To:ALL
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というわけだから、草原に一本と残らず刈り取ってほしいのですよ〜。
かーんたん、でしょっ?♪
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■ゾフィー To:アイネリカ
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ご挨拶が遅れましてごめんあそばせ。
ゾフィーと申します。
その植物は大発生するということですが、おおよそ、どのくらいの数になりますの?
割り当てというものがございまして?それとも、とにかく手当たり次第に除草していくという形ですかしら。
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■ドライ To:アイネリカ
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だな。
どのくらいの範囲で発生するのかによって、“除草”の方法も考えなきゃならんだろう。
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■アイネリカ To:ゾフィー&ALL
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んー、だいたい発生するポイントっていうのが決まってるから、草原に着いたら詳しく説明するね〜。
そのポインツを巡ってもらって、発見したオロチグサを残らず刈り取ってもらえればOK〜♪
あとは、集落のみんなに聞いてー、新たな発生ポインツがあれば、そこもフォロー!
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■ウーサー To:アイネリカ、ALL
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ん〜。まあ動き回らねぇ分、害獣退治よりゃあラクってところか……?
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■アイネリカ To:ウーサー
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うん、幼いうちに刈り取ればらっくらくっ♪
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■シグナス To:ALL
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……でっかくなると10mくらいになって人食うけどなー……
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■アイネリカ To:ALL
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そーなったらなったで、がんばってやっつけちゃってくださいねっ♪
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■ディニ To:アイネリカ
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刈り取る?めんどくさい、燃やしちゃえばいいのに。
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■アイネリカ To:ディニ
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Σ( ̄□ ̄;)
だ〜めだよぅ!? 風が吹いたら、一気に燃え広がっちゃうよ!?
草原は草だらけなんだからっ! 火気厳禁っ!!
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わたわたと両手を動かして。
■ディニ To:アイネリカ
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一気に燃えるなら、なお一層楽じゃない!
草の灰って、いい肥料になるのよ。
根っこは残って新芽を出すけど、そのとき「オロチグサ」を抜けば危険も少ないし
でも、まぁ、依頼主がダメっていうなら止めておこうか
そうだ、毒を撒いてもいいかも。なにかあったかな・・・
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真剣に考え始める。
■アイネリカ To:ディニ
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Σ(゜∀゜;)
・・・・(・∀・)*。+.
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ディニに何やら好奇心に満ちた熱い視線を注ぎ始める。
■ウーサー To:ディニ
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いや、火ぃ放ったらパオルゥまで焼け死なねぇか? 煙で燻されて、巣がダメになるかもしれねぇしな。
あと、毒はやめとけ。草も肉も、とたんに不味くなるぜ? small>
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■リコリス To:ディニ、ALL
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そうだよ〜、毒とかダメだよ。
パオルゥももちろんだけど、草原にはいろんな草や虫さんだっているし。
変なことすると精霊さんに怒られちゃうんだよ、シグ先輩が。
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■シグナス To:ディニ、ALL
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つーか毒なんぞ扱ったなんて、ばれたら次から仕事こねーよ。
……草相手、ってのは微妙なラインだが、人伝に広まる話にゃ関係ねえし。無闇に信用減らす手は使いたかないな。
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■ディニ To:シグナス
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毒じゃなくて薬と思ったらどう?
毒も薬も同じよ。程度の違い。おさけと同じ感じ
でも、人の口の無責任はわかる。考える余地はあるわね
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■ゾフィー To:ディニ&ALL
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そもそも「オロチグサ」を刈る理由は、パオルゥの保護が目的のようですから。
退治の結果彼らが激減してしまったら、遊牧民達の怒りを買いかねませんでしょう。
とはいえ、ディ二さんのおっしゃるとおり、力任せに刈り取らなければいけないという理由はないわね。
小動物に影響を与えず対処できる方法があったら、それに越したことはございませんし。
ちなみに、毒にはそれなりにお金もかかりますわよ。
今回の報酬全部をつぎ込んだとしても、この広場全体に撒くに足りるかどうか。
自腹を切りたい方は試して御覧になったら?
もっと効率のよいアイディアはないかしら。
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■ティンリエの声 To:ALL
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(垂れ幕の向こうから)
そーよ、そーよ、刈り取るなんて原始的でめんどくさいっ!
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■ディニ To:ゾフィー&ALL
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じゃ、撒くんじゃなく、食わすってどう?
好きそうな肉に毒を仕込んで、口に放り込むとか
撒くよりは効率良いし、他の動物に影響は与えないと思う。
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■ゾフィー To:ディニ
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数と大きさ次第かしらね。
毒と肉とを用意して、仕込んで、ひと株ずつに喰わせる……。
その手間を考えると、パオルゥ程度を獲物にする大きさの相手なら、鎌ひと振りで済ませる方が効率が良いのではないかしら。
人を喰う大きさになったものがいるとしたら話は別ね。
でもその場合、消化の速度などを考慮すると、効果を与えられる量と時間との見極めは難しくなりそうじゃありません?
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■ディニ To:ウーサー
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後で食べることは出来なくなるけどね。
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■シグナス To:ALL
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いやまあ、元々食える草じゃねえけどな。毒草に何の毒食わせんだ?って話なんだがなあ。
何だってそうだが、最初から手間惜しむ事ばっか考えてちゃ良い仕事は出来ねえぜ。
少なくとも、先に調べるなり何なりしてから手段考えた方が良いだろーね、オラン出たら調べる当てなんて伝聞だけになっし。
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■ディニ To:シグナス
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毒と言ってもいろいろあるでしょ。蛇に蠍に蜘蛛に魔物に、草
で、良い仕事ってなに
わたしは、依頼人の希望・要望を適える事が仕事だと思ってる
同じ目的にたどり着くのに、楽な道と辛い道があるなら、楽な道を選んであたりまえでしょ?
敢えて辛い道を行くほど、あたしは求道者じゃないし
ただ、楽な道を選んだつもりが、非常に辛い道だった、ってのが多いけど。
うん、調べるのは道を探すには必要。あたしは、つてが(盗賊)ギルドしかないから、そこ行く
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■シグナス To:ディニ
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そりゃあ勿論、困る奴はなるべく少なく。喜ぶ奴はなるべく多く。俺の懐にもなるべく多く。ってところかね。
ちょいと例え話になるんだが……俺等が仕事で被害を出したとする。
被害を受けた側は、当然俺等を恨むだろうし、最悪その恨みが依頼人に掛かる可能性も在る。
事、毒物なんざ殆ど禁制品だ。どちらかと言うとそー言う被害が出易い類。ってのは覚えといてくれ。
少なくとも、依頼人から選択肢として提示される事でもなければ、こっちから選ぶモンじゃねえさ。
ま、説教臭くなったのは勘弁してくれ、一応神官もやってるんでね。
おっけ、そんじゃギルドの方は任せるぜ。
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■シーロン To:ALL
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あ、ちなみに「大掃除」のほうは、俺も参加させてもらうからな〜。
ちょいと訳ありで。
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■ウーサー To:シーロン
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そりゃまあ人出が増えて結構だが、アンタの獲物は?
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■シーロン To:ウーサー
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実際刈ることが目的じゃあないんだが、まぁ草原をうろうろしてるうちに何か思い出せれば、ってことだな。
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シーロンは木の実数粒を、ほい、とリコリスに差し出し、パオを床に降ろした。
■リコリス To:シーロン
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O(≧∇≦)O わ〜、ありがと〜♪
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手のひらに一粒だけ乗せてパオの前に差し出した。
■シーロン To:ALL
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手がかりといえば、草原で目が覚めた時、こいつが首に巻き付いてたってことくらいなんでね〜。
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シーロンが指でパオの頭をひと撫ですると、パオはそれに促されるかのように、リコリスの手のひらに鼻先をふんふんと近づける。
そしてぱくっと木の実を食べた。
おねだり視線。
■リコリス To:パオ
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か、かわいい〜♪も、もう一個だけだよ。
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リコリスはもうひとつ、木の実を手のひらの上に乗せた。
■パオ To:リコリス
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(はもはもはもはも)
……くるる〜(きらきら)
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エンドレスおねだり。
■リコリス To:パオ
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うっ。も、もうダメだよ。
また後でね。
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残った木の実は握ったまま、その手を背中に隠す。
■パオ To:リコリス
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くるる〜、くるるぅ、くる〜〜〜(すりすり)
……うきゅ〜。(しょぼん
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リコリスの手の動きを追うように、胸にへばりついて鼻先をひくひくさせていたが、やがてあきらめ、哀しげな声を立てた。
■シーロン To:リコリス
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はははっ、よく我慢したな。えらいぞ。
お嬢ちゃんは、いいパオルゥ使いになれるかもしれないな?
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可笑しそうに笑いながら、パオの首筋をもふもふと撫でた。
■リコリス To:シーロン
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ほんとっ!
草原でパオルゥと仲良くなれるかな?
あ、そうだ。街中でパオルゥ飼う時、注意することとか教えて。
匂いとか、普段の生活とか。
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リコリスは本気で「パオルゥ使い」を目指しそうだ。
■シーロン To:リコリス
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野生のパオルゥだと、普通はテリトリー侵入者を敵と思うらしいから、気をつけてな。
で、街中で飼うときは……そうだな、緊張させないことかな?
緊張したり怯えたりすると、尻から臭いにおいを発するんだ。
まぁ、俺も何度か喰らったことがあるが……そんなに耐えられないってほどじゃない、けど、苦手な人にとっては気になるはずだ。特に屋内では注意、だな。
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■リコリス To:シーロン
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ふう〜ん。じゃあなんとかなりそうかな〜。
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パオはリラックスしているのか、おだやかに鳴いておとなしくしている。
■シーロン To:リコリス
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こういう鳴き方のときは、大丈夫なんだが……さっきみたいに、「きゅっきゅっ」と鳴き出したら、落ちつかない証拠さ。
たまに、「もよおした合図」のときもあるから、気をつけるんだぜ?
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■リコリス To:シーロン>パオ
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うん。気をつける。
あ〜かわいい〜♪
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リコリスはパオを木の実を持っていない方の手でやさしくなでた。
■ティンリエの声 To:ALL
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(垂れ幕の向こうから)
あたしは手伝わないわよっ! 草刈りなんてぜったいヤダッ!
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■シグナス To:ティンリエ、ALL
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はは、OKOK。大事な歌姫さんにもしもがあっちゃいけないからな。
さて、と。大体解ったし問題が在るとしたら……一つ残らず刈れたかどうかの判断のし所かね?
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■ドライ To:アイネリカ
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まあ、いまいち曖昧なところだからな。
依頼達成の基準ってのを、もうちょっと明確にしておいてほしいところだね。
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■アイネリカ To:ドライ
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それぞれのポインツで、刈り残しがなければおけーですよ〜。
集落のみんなすら知らない発生ポインツがあって、そこにオロチグサが元気いっぱい生えてたとしても、それは君たちの責任じゃないですしー。
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■ゾフィー To:シグナス>アイネリカ、シーロン
|
そのあたりは、毎年対応なさっておられるであろう集落の方々のほうが詳しいかもしれませんわね。
そういえば、「アイネリカ」一座活動の中心は西部諸国だと耳にしておりました。
ご経験豊かそうな座長さんはともかく、他のおふたかたは「大掃除」に参加なさったことはございまして?
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■シーロン To:ゾフィー
|
俺は……どうなんだろうなぁ。あるのかもしれないし、無いかもしれないな。
少なくとも覚えちゃあいないな。
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■ゾフィー To:シーロン
|
あなたが草原で気がついたというのは、どのくらい前のことなんですの?
|
■シーロン To:ゾフィー
|
えーと……いつくらいだったかな? 3年か……4年前くらいか?
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■ティンリエ To:シーロン>ゾフィー
|
3年前でしょ、何で忘れんのよっ。
あたしは経験無いわよ。その「ナントカの草原」に行くのだって初めてだし。
オロチグサとかいうフザケタ植物だって、話にしか聞いたこと無いし。
|
不満たっぷりの表情で、乱暴に垂れ幕をめくり上げて戻ってくるティンリエ。
赤毛を一本の三つ編みにまとめ、「普通の町娘」といった雰囲気の紅葉色のワンピースに着替えていた。
■ゾフィー To:シーロン、ティンリエ
|
「『アイネリカ』のシーロン」といえば、数年前に一座に加わった実力派リュート弾きで一座のまとめ役と耳にしたことがございますわ。
ご記憶を失ったのが3年前……噂が東に届く間に不正確になったのかしら。
あるいは、シーロンさんは記憶を失われる前から一座におられまして?
|
■シーロン To:ゾフィー
|
おお。俺って有名なのか!
|
■ティンリエ To:シーロン
|
……バッカじゃないのっ。
ゾフィーさんがその道に詳しいだけでしょっ。昔、芸人の追っかけしてたとかさ!
|
勝手なことをのたまう。
■ゾフィー To:ティンリエ>シーロン
|
追っかけというほどではありませんでしたけれどね。
70年以上前になるかしら、演武や剣舞を交え多才な技を披露した旅芸人がおりました。
言葉を操ること巧みで、語られる物語に皆で聞き惚れたわ……名は確か…語り部ザウロン。
そういえば、あなたの名前に音が似ているわね……。
だから耳にとまったのかもしれませんわ。
|
半開きした銀の扇を口元にあてながら、しらっと応じるゾフィー。
■シーロン To:ゾフィー
|
そりゃまた光栄。
いや、草原で目が覚めてからはとりあえずふらふらと旅に出ててな。
特に意味もなく西方に行ってたんだが、そこでアイネと出会って……
パオルゥの故郷のことをそこで初めて知って、まぁそのままノリで一座に加わっちまったのさ。
いずれ草原に一緒に行こうかー、程度の約束でな。
|
■ゾフィー To:シーロン
|
なるほど、リュートの腕もその頃磨かれましたの?
|
■シーロン To:ゾフィー
|
ああ、何の手技も芸も無かったからな、アイネはこう見えて一流のリュート弾きだ。
努力が嫌いな俺でさえ、こいつの紡ぐ音に惚れて、その高みを目指そうと思わされるくらいにね。
|
軽く笑ってアイネリカを見る。
■ゾフィー To:アイネリカ
|
お噂は耳にしておりましたが……。
シーロンさんのような方が、そこまでおっしゃる腕、機会があれば是非耳にさせていただきたいものですわ。
|
■アイネリカ To:シーロン&ゾフィー
|
そんな、面と向かって褒められると照れちゃいますねー(*∀*)
|
もじもじ。
■ゾフィー To:シーロン
|
ところで、あなたの「事故」の話、もう少しくわしく伺ってもよいかしら。
気がつかれた場所というのは、どのあたりかおわかりですか。
それとも、草原をまったくあてもなく流離われるおつもり?
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■シーロン To:ゾフィー
|
ん〜、何も目立った目印はなかったんだよなぁ。
意味も無くふらふらしちまったから、どこをどう歩いたのかも覚えてないしな。
ただ、全身がものすごく痛かったことだけは覚えてるんだが。
|
■ゾフィー To:シーロン
|
まさか、大けがでもなさっておられたというのではございませんわよね。
|
■シーロン To:ゾフィー
|
いや、打ち身っていうか……全身をどこかに打ち付けたみたいな感覚だったなー。
|
■ゾフィー To:シーロン
|
全身を打ち付けたね、どうすればそんなことになるのやら……。
……季節は、やっぱり秋だったのかしら。
同じ時期のほうが、思い出しやすいかもしれませんわね。
|
■シーロン To:ゾフィー
|
どうだったか……ああ、草原を出てからの道すがら、そういえば色づいた森を見た気がするかな?
その後オランに着いたときは、だいぶ涼しかったから……うん、きっと秋口だったんだろう。
まぁ、俺の話はいいじゃないか。気にしてくれるのはありがたいが、ついでの用事なんだし。
|
苦笑しながらひらひらと手を振って、この話を終わらせようとする。
■ゾフィー To:シーロン
|
ついで、といえばついでになるのかしらね。
あなただけの問題で済んでくれればよろしいのですが……。
ま、草原で気になることがございましたら、ひとりで解決しようとなさらないで誰かに相談していただけますとありがたいわ。
……今はそれだけにしておきましょうか。
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全開にした銀扇で顔の下半分をおおい、おほほと声をあげるゾフィーだった。
■リコリス To:アイネリカ、ALL
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ところで、「オロチグサ」ってどんなの?
刈る方法は?
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■アイネリカ To:リコリス&ALL
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えとー、背丈はこのくらいでー、てっぺんにおっきな袋が付いてて……袋はまっかっかだから、けっこう目立つのですー。
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どこからともなく羊皮紙とペンを取り出し、カリカリと絵を書きながら説明。なかなか上手い。
■アイネリカ To:リコリス&ALL
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袋に触らないようにしながら、茎を切り取っちゃえばOKですよー。
ふつうのナイフがあれば、切り取れる太さだから。もちろん燃やしちゃってもいいけど、燃え広がらないように気をつけてくださいねー。
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■ドライ To:アイネリカ
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それなら確かに、小細工弄するより地道に刈り取ったほうが楽そうだな。
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■リコリス To:アイネリカ
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ふぅ〜ん。じゃあ、戦いの心得とかなくてもなんとかなる?
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■シグナス To:リコリス
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んや、さっきもちらっと言ったが成長したらヒメオロチグサってランクアップすっから、そこまで育ったのだったら戦闘になると思うぜ。
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■リコリス To:シグナス、アイネリカ
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ヒメオロチグサ?
どのくらい強いの?
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■アイネリカ To:リコリス
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少なくとも、そこそこの冒険者なら負けることは無いですよー。
私が見た感じ、君たちならぜんぜんだいじょうぶ。
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にこにこと一同を見回す。
■シグナス To:ALL
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……俺も強さ的な事までは解らん。時間在ったら調べてみるさ。
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■ゾフィー To:シグナス&ALL
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そうね、人を喰らう大きさで「ヒメ」と呼ばれるなら、ひょっとすると王者の名を冠した存在があるのかもしれませんし。
念を入れて置いて確認してみても損はなさそうね。
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■ゾフィー To:アイネリカ
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「オロチグサ」が大発生しだしたのはいつ頃からのことなのでしょう。
そのあたりの話はどなたか御存知ですか?
|
■アイネリカ To:ゾフィー
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少なくとも、私が小さかったころからいましたよー。
草原の大掃除は、秋の恒例行事!
秋口に里帰りするときは、冒険者を連れてくるのが、アンモクのリョーカイってやつなのですー。
何しろグラスランナーは、旅する種族。
草原の故郷に残されているのは、成人前の子らと、子育て中の夫婦と、それに旅を引退した、よっぼよぼのじじばばしかいないのですからー。
私みたいな(・∀・)
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■ドライ To:アイネリカ
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……毎回一本と残らず刈り取ってるはずのオロチグサが、毎年のように大発生してるって聞こえたんだが。
刈っても刈っても生えてくるのか、わざと手を抜いてオロチグサが死滅しないようにしているのか。
そこら辺は少々興味あるところだね。
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■アイネリカ To:ドライ
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…………ん〜。
その辺りは、私たちにとっても謎なんですよねぇ。
どこかの発生ポインツを見逃しているのか、毎年雇ってる冒険者が手抜きしてるのか……なーんてっ、後者は無いと信じてますけど♪
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■リコリス To:アイネリカ、ドライ、ALL
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ん〜。根っことか残っちゃって、そこからまた生えちゃってるとかかなぁ?
刈り取るときって根っこってどうしてるの?
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■アイネリカ To:リコリス
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特に何もしてませんが、茎を切ってしまえば1日と経たずに枯れて、すべて土に還ってしまいますよー。
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■ドライ To:アイネリカ
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んー、雑草みたいなもんか。
となると刈り尽くすのは難しいねぇ。
まあ生態系の維持を考えりゃ、死滅はさせないほうがいいんだろうがね。
何にしろ、実物を見ないことにはどうにも。
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■シグナス To:ドライ、ALL
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まあ、考えてみりゃ高々数人、数十人くらいでも一つの種類根絶なんて出来るモンじゃねーわなあ。
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■ゾフィー To:アイネリカ、ティンリエ
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いずれにせよ、基本は幼老な集落の住人でも処置が可能というわけですわね。
応用が必要になったときに対応するのが、冒険者と。
出発はいつですの?
依頼書には、「おみやげの準備」の手伝いともありましたが。
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■アイネリカ To:ゾフィー&ALL
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あーそれね、ちょっと待ってくださいね〜。
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ぷるぷるしたプティングをのんびりと口に運び出す。
その動きはとても緩慢だった。
■シーロン To:ALL
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……悪いね〜、いま茶を入れてくるからな〜。
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