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SW-PBM Scenario#169
帰ろう、風休みの草原へ

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肥ゆる秋だから



  銀の網亭・個室

しばらくして、ドアの外からかかる声。
■おやじ To:ALL
お〜い、開けてくれ。今にも両手からナニカがこぼれ落ちそうなんだ。

■ウーサー To:おやじ
おう、じゃあ開けるぜ〜。おっ、こりゃあまた美味そうじゃねぇか!?

■シグナス
……季節柄って奴か?流石に結構壮観だなー。

なだれ込む勢いで室内に入ってきたおやじは、鮮やかな手つきでテーブルの上に注文の品々を滑り下ろす。

ハーブとドライフルーツが黄金色の湯のなかで踊る、ガラスのポット。
オレンジ、グリーン、ブラウン、カラフルな色合いの細長い生地に、砂糖や胡麻をまぶした焼き菓子。
栗やイチジク、ナッツをトッピングしたカップケーキ。
深い香りを漂わせるブレンドコーヒー。
大ジョッキのエールと串焼き。
炎を纏った優美な書体で「エンドレスエンド」と書かれた、黒い角瓶が2本。
そして、食欲をそそる匂いを放つ、3つの大皿に盛られた大量の削ぎ切り肉。
■おやじ To:ALL
こっちのポットが「ほっこりまろやか茶」、この焼き菓子がミラルゴ産のもので「カリント」と言うらしいな。
で、この「エンドレスエンド」は……まぁドワーフの火酒の人間バージョンってところか。
………おまえら、本当にこれ全部食べて飲み切るんだな?
お残しはゆるさんぞ。

■シグナス To:ALL
俺はまあ、食う方じゃ人並みだから他の連中に任せるさ。

■ウーサー To:おやじ
ん? なんだ、ドワーフの火酒と同程度なのかよ? 飲(や)るのは初めてだが、1瓶程度なら別に如何ってこと無ぇよ。
肉のほうもまぁ、これだけ食っても依頼には差し支えないから安心してくれって。大丈夫だよ、コレくらいなら七分目程度だからな!

量に対する基準が、イロイロと違うようだ。
■おやじ To:ウーサー
はっはっは、まぁお前に関しちゃあまり心配はしていないがな……
俺はどちらかというと、お前さんの懐のほうが心配な訳だが。
……俺は奢らんぞ? 断じて!!

■ウーサー To:おやじ
な〜に景気づけだ、景気づけ!!

■ディニ To:おやじ
わかってる。残したりしない。

■ディニ To:ーーー(独り言)
心から酔ったことなんて、あの時以来一度もないし

■おやじ To:ディニ
ん? どうした、そんな辛気くさい顔しちゃ、せっかくの美人が台無しだぞ?
ま、飲んで楽しい気分になってくれりゃあ本望さ。

ディニの独り言が聞こえたのかいないのか、苦笑しながらディニの肩をぽんぽんと叩く。
■リコリス To:ウーサー、ディニ
あの…無理はしないでね。
きついようだったら解毒の奇跡をラーダ様にお願いしてみるけど……。

ディニの小声はリコリスには聞こえなかったようだ。
■ウーサー
〜〜〜♪ ◇(^^ )

■ゾフィー To:リコリス
あなた、神とはいえ、そこまで安易に使う必要はございませんわよ。
一瓶500ガメルの酒を好きこのんで注文しているのですから、それを一瞬で解毒してはそれこそばちあたりというものよ。
ま、その点はご本人達がよくご承知だとは思いますけれども。

■ウーサー
(* ̄A ̄*)ノ日

ウマウマと飲み食いしていたウーサーの手が、ゾフィーのひとことで、ぴたりと止まった……。
■ドライ To:ウーサー
ヒュー、景気のいいこった。
たしかに景気づけにゃあこれ以上ないかもな。

■ウーサー
ごっ……ごひゃ……!?
やっべえ……今回のヤマは、何としてでも成功させねぇと……!!

■リコリス To:ゾフィー、ウーサー、ディニ
そ、そんなに高いの!!
支払い大丈夫? リコ、少しなら貸せるよ?

■ゾフィー To:リコリス
別に法外な値段ではないと思いますわ。
人間族の技術で、人間族が口当たりよく感じるような火酒を造ったのだとしたら、手数や希少価値から考えてもその価格は予想されてしかるべきでしょう。

■リコリス To:ゾフィー
そっか。高い値段にはそれだけの理由があるんだ〜。
でも、フィーさん高いものに詳しいよね。
やっぱり「いいもの」を見て勉強もしておいた方がいいのかなぁ?

■ゾフィー To:リコリス
悲しいかな、ひとはまず外見で始めの印象を持つものですし。
「本質」を見極めようと思ったら、良し悪し問わず多くのモノに触れたほうがよろしくてよ。
己を高めようと考えるなら、買い物とて「経験」のひとつでございますから。

そう応じながら、ゾフィーは鋼色をした視線を、ついと動かした。
■ゾフィー To:ドライ
ねぇ、そちらの目はしがききそうなあなた。
そうは思われません?

■ドライ To:ゾフィー、リコリス
さてな。

俺んとこに入ってくる武器は、使い潰されること前提ってやつが多くてね。
なまくらってわけじゃあないが、お世辞にも質がいいってもんじゃなかった。
まあ傭兵相手の商売だったからな。

そんな武器ばっかり見てりゃあ、明らかに「ちがうもの」ってのは光って見えるもんさ。
俺に言わせりゃあ、「いいもの」を見極めたいなら、むしろ「わるいもの」を知るべしってとこかな。

「エンドレスエンド」を飲む2人を横目で見ながら、エールをイッキに傾ける。
■ドライ To:ゾフィー、リコリス
ま、「いいもの」も「わるいもの」も結局は使い方ひとつだがね。

■ゾフィー To:ドライ>リコリス
なるほど、商人出身者らしいお答えですこと。
品に見合った使い方というのは、たしかにあるかもしれませんわ。

……というわけでね、品物に限らず考え方についても、より多くを耳にしたほうがよいということですの。
「幸せの木」でも申しましたけれど、若木のうちに固まってしまわないようにお気をつけなさい。

■リコリス To:ゾフィー
うん、わかった。
「いいもの」も「わるいもの」もいっぱい見たり聞いたりするね。

■シグナス To:ウーサー
ちなみに俺も奢らんぞ。今手持ちが無いし何故か全く溜まってくれねえし……。

■おやじ To:ウーサー
はっはっは、まぁお前さんが鋭意貯蓄中ってことは知ってるし、リュナにも頑張って働いてもらってるからな。
出世払いってことで、ツケでいいさ。

■ウーサー To:おやじ
そ、そりゃあ助かるぜ……西方行きの旅費もそうだが、オレ様の装備は何時んなったら増強できるのか……トホホ。

■リコリス To:おやじ
あ、お茶もお菓子もおいしそう〜♪
「カリント」かぁ〜。おやじさん、これ日持ちするの?

■おやじ To:リコリス
ああ、三月くらいは持つはずだぞ。気に入ってくれたなら、土産用に包んでやるぞ(笑)

■リコリス To:おやじ
うん、お願い。
おうち用と、リコが食べる用と、あと…間に合ったら渡したいから……えと3包みお願い。

■おやじ To:リコリス>ALL
おぅ、じゃあ後でな。

……で、まぁ食いながら聞いてくれ。例の依頼の話だが……。
お前たち、旅芸人一座の「アイネリカ」については、多少は知ってるのかい?

おやじはポケットから依頼書を取り出し、テーブルの上に置いた。
踊るような筆跡の共通語で書かれている──
===
★  依頼書  ★

われらが座長の故郷、「風休みの草原」までの護衛、
それから草原の大掃除!
ついでにおみやげの準備も手伝って!

食費寝床当方負担☆
報酬はおひとりさま1000ガメル♪

旅芸人一座「アイネリカ」 一同
===
■ウーサー To:おやじ、ALL
「アイネリカ」は、聞いたこたぁ無ぇが……草原の、大掃除?

■おやじ To:ウーサー&ALL
ああ、大掃除だとさ。

■ドライ To:おやじ、ALL
さて、何を掃除することになるやら。

■ゾフィー To:ALL
「風休みの草原」といえば、ここから東へ馬車で3日ほどのところにある「パオルゥ草原」の通称でしょう?
風すら吹かないという平穏な草原で、いるのは穴掘り「パオルゥ」と、人間や草原妖精の遊牧民だと聞きましたわ。
「大掃除」の対象になるようなモノについてはとんと聞き及びませんけれども。

■リコリス To:ALL
「パオルゥ」がいるとこだよねっ♪
木の実や草を食べる茶色で尻尾の先だけ黒いひょろっとした子。
穴の中でパパを中心にたくさんのママと子供で住んでるんだって。
敵はくっさい匂いで追い払うんだよね。
あとね、あとね、ちっちゃいころから育てると人にもよく懐くんだって♪
o(゜ー゜*o)(o*゜ー゜)oワクワク

■ウーサー To:リコリス
え、でも「臭い」んだろ? それは飼うのに、問題あるんじゃねぇのか?

口から毒ガスの息を放つ大イタチ(体長約3メートル)、的なモノを想像しつつ、げえっと舌を出す。
■リコリス To:ウーサー
そうかなぁ? でも、人に懐くってことは懐かせてる人っていうのもいると思うし、何か方法があるのかもしれないよ〜。

■シグナス To:ALL
草原の大掃除ねえ……住み着いた魔物とかじゃねえよな……。
いやまあ、それはそれで仕事としちゃ悪くないけど。

■ゾフィー To:シグナス&ALL
そうね、さしあたっては「草刈り」というオチにならないことを願うことにしましょう。

そこで、気になるのは依頼人の方ですけれども。

■ディニ To:おやじ、ALL
あのアイネリカ?なら、一度は一緒に巡業してみたいと思ってる。

■リコリス To;ディニ、おやじ、ALL
「アイネリカ」って確か、30年ほど前から西方で活躍してる旅芸人さんたちだよね?
アイネリカっていうグラスランナーが座長さんの。

■ドライ To:リコリス、ALL
グラランねー……落ち着いた依頼は期待できそうにねぇな。

■ゾフィー To:おやじ&ALL
たしか当年180歳とも噂される……
「来るもの拒まず、去る者追わず」のアイネリカね。
その精神を持ちながら、率いる芸人一座の高いレベルを維持していたというのは、たいしたものですが。
最盛期は20人を超えたという一座も、今は解散を囁かれているとか。
そんな一座がオランで護衛探しね。
それこそどんな風の吹き回しかしら?
草原妖精の例に漏れず、老いてもなお悪戯好きで好奇心旺盛という座長の嗜好が気になるところですわね。

■おやじ To:ALL
さすがに耳が早いなぁ。そう、その「アイネリカ」だ。
座長のアイネリカが、ある事件をきっかけに、まぁ歳というか……「体力の限界」を自覚したらしくてな。
一座を解散して、彼女の故郷である「風休みの草原」に帰ることを決めたんだそうだ。
で、仲間たちをそれぞれの故郷で見送り別れながら、つい先日オランに着いたと。
今一座に残っているのは、座長を含めてたった3人だけらしいな。

「ほっこりまろやか茶」を、意外なほど繊細な手つきでカップに注ぎながら。
■おやじ To:ALL
3人だけでは道中不安だから、草原までの護衛をお願いしたいと……そして、草原についてからの「大掃除」も頼みたいと。まぁそういうわけだ。
ちなみに「大掃除」については、「詳しい話は会って話したい」ということだったから、俺は聞いてないぞ。
まぁ、話を聞いてから断わっても良いってことだったから、喰い終わったら会いに行ってみてくれないか?

そう言って、「アイネリカ」がいる場所を教えるおやじ。
スラム街近くの下町の、小さな広場にテントを張っているらしい。
■ゾフィー To:ALL
ま、ここであれこれ言っていてもらちはあきませんから。
とにかく話をきいてまいりましょう。
銀の網亭に持ち込まれる依頼ですから、予想外の事態に巻き込まれる覚悟は必要かとは思いますけれどもね。

■ウーサー To:ゾフィー、ALL
ん、そうだな……あ、その前にちょいと、喰っちまう時間くれ! 高額い酒なんだ、温かいうちに楽しまねぇと勿体無ぇ!!

■リコリス To:ALL
じゃあ、食べ終わったら行こうね。
今のうちにお手紙書いておこっと

リコリスは空いているテーブルの隅で手紙を書き始めた。
■シグナス To:ALL
俺は何時でも出れるぜ。寧ろ直に出ても良いぜ……。いや、別に深い理由は無いけどね?全然ナイゼ?
いやあ、芸人一座か。三人とは言え楽しみだな。うん。

■ドライ To:シグナス
ずいぶんと急いてるねぇ。オランにいたくない理由でも、何かあるのかい?

■シグナス To:ドライ
ある訳が無いでござりますしおすし。……只ちょっとこう、人の雑踏から離れたい時も無い事も無い事も無くも無いだけSA?

シグナスの言葉に、ウーサーは仲間たちの顔ぶれをそれとなく見渡してみた。
■ウーサー
芸人向きっぽいのが、ひのふの……4人か。まさかとは思うが、そっちで貢献なんてこたぁ無ぇだろうな?

■おやじ To:ウーサー
……あー、ウーサー。ちょっといいか?

ウーサーのウマウマがひと段落したところを見計らい、何やら神妙な面持ちで、ちょいちょいと部屋のすみっこへと手招きするおやじ。
■ウーサー To:おやじ
おう、どうしたんでい? そんな景気の悪い面してよ?

■おやじ To:ウーサー
お前、前回の仕事から帰ってきてから、リュナに会ったか?

■ウーサー To:おやじ
ん? ああ、そりゃあまあ、もちろん会ってるぜ?
まあ生活時間帯が違うからな、オレ様は朝早くから市場だ仕込みだって遣ってて夜早ぇし、リュナは図書館が開くころに合わせて出てって夜んなって帰ってくるからよ。
じっくりハナシしたりなんだり、なんてなぁ……まあ確かに、ここ最近はご無沙汰だが……なんだよイキナリ?

■おやじ To:ウーサー
いやな、少し前からなんだか調子悪そうにしててな。
お前がいない分、食欲が落ちたんだろう程度にしか思ってなかったんだが……
一昨日なんざ、炊きあがった米の匂いに気分悪そうにしててな……まぁそのなんだ。

ぽむ、と肩を叩く。
■おやじ To:ウーサー
今時分は学院に行っている頃だろうが、なるべく早く顔見せて、安心させてやれよ?

■ウーサー To:おやじ
そういやぁ最近アイツ、朝メシ食わずにギリギリまで寝てやがるみてぇだしなぁ……夜もやたらと眠りが深いみてぇだし。急な都会暮らしで、どっか調子悪くでもしたのか?
ん、まあなるべく早く終わらせて、今度の休みに薬師んとこでも引っ張ってってやらぁな。
安くて腕の良い治療師に心当たりがあったら、帰ってきたときに教えてくれよ?

■おやじ To:ウーサー
………………(何かを悟ったような顔)
ああ、全力で良い医者を探しておいてやろう。
お前のためにもな。

ぽむ、ぽむと再び肩を叩くおやじであった。
■ウーサー To:おやじ
あ、ああ……???

■シグナス To:独り言
そう言えば最近学院で久しい顔を見かけたような……よし、今度在る事無い事無い事無い事無い事じっくり話してみるか。
……幸い図書室でも話せるネタになるしな……

■ドライ To:独り言
まあ、明日はわが身とならんよう、気をつけるこったな。



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帰ろう、風休みの草原へ

GM:ともまり