SW-PBeM Scenario #36
氷晶の蒼狼
第12章 帰路

かえる場所へ


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街道

 依頼の全てを終え、後は帰るのみとなった冒険者達は、ルツァーよりも一足先に帰る事としたようだ。
 皆、ブロンやアイオンに礼を言い、一路ルタードの住む別のドワーフの集落へと向かっていった。
 ‥‥‥
 いや、一人冒険者達と別行動の者がいた。カヴァレスだ。
 歩いてオランを目指すのと、ルツァーの馬車で一眠りするの。天秤にかけた彼は‥‥迷わず馬車の旅を選んだ。
 ぷい‥‥と馬車へ歩いて行くカヴァレス。
 見張りもない、気楽な旅が彼を待つ。

 ルタードの新婚家庭♪を直撃した冒険者達は、アリのような住居を楽しみ、ルタードの奥さんの手料理を堪能し、7人そろってオランへと帰っていった。


ドワーフの村

 一方、ドワーフの村に捕まっていた三人組はというと‥‥
 ルツァー達が無事ドワーフの村に帰ってきたということで、そのまま縄を解かれたとか。
 ただし、ルツァーや冒険者達よりも先にオランに戻れぬよう、来る時に乗ってきた馬は取り上げとなったらしい。
 まぁ、ドワーフの村で「ちょっと」傍若無人に振る舞った代償だとハダデは理解し、かつ、他の2人は‥‥ぶうぶうと文句を言い続けていたとかいないとか‥‥‥。
 それは、彼らにしかわからない話である。


ドワーフの村から街道への出口

■ルツァー To:ブロン&アイオン
 大変お世話になりました。
 では、失礼いたします。

■ブロン To:ルツァー
 気を付けて帰るんじゃな。

 冒険者達よりちょっと遅れて出立するルツァー。
 お世話になったブロンとアイオン親子に、にこやかに挨拶をしている。

 街道へと続く道でもう一度礼を言うと、ルツァーは一路オランへと向かっていった。
■ブロン
 しかし‥‥ほんとうにあの御仁は常ににこやかじゃったのぉ‥‥

■アイオン
 お父さん、にこにこしてちゃだめなの?

■ブロン
 いや、悪いわけじゃないんじゃが‥‥。まぁ、変わった御仁じゃったな。
 さて、仕事に戻るかの‥‥

 ルツァーの姿が見えなくなるまで、一応見送った親子は、日常の生活へと戻っていった。


山道

 冒険者達と別れ、帰路に向かうものがここにも一人‥‥‥いや、一体。
 キオと呼ばれたフラウは、静かな眼差しでドワーフの集落を見ていた。

 己が‥‥若様の守護について、何年の月日が経ったのであろう?
 己が‥‥己の足で歩いていたのは、一体いつの頃だろう?
 己が‥‥あの手記を書こうと、やっきになっていたのは、一体いつの頃であろうか?
 己が‥‥‥。

 すぅ‥‥と山を扇ぎ見る。
 ニアや氷狼様の居る、山へ帰ろう。
 過去の事は‥‥関係のないことなのだから。

 山へと戻るその時。キオと呼ばれたフラウの下に、一枚の羊皮紙が舞っていた。


街道

 ‥‥‥オランへと向かう馬車。
 同乗者のカヴァレスは、度重なる重労働のせいか夢も見ずの深い眠りに落ちている。
 また、彼の使い魔たる烏も‥‥珍しく主人と行動を共にしているようだ。

 1人、手綱を握るルツァー。
 その目・口元・全てにおいて、喜びという感情をあふれさせている‥‥
■ルツァー
 ‥‥‥。
 やっと‥‥やっと手に入れれた‥‥
 冒険者という方々に「依頼」をするか‥‥‥‥ふむ。だいぶ良い方法だ‥‥
 ‥‥‥。

 と、己の右手に鈍く光る黒曜石をじっと見る。
■ルツァー
 母さま‥‥‥。
 もう少し‥‥もう少し待ってて下さい‥‥。
 必ず‥‥‥‥‥

 ルツァーの表情はとても楽しげだ。
 自分が求め彷徨っていた物をやっと手に入れる事ができたのだから。
 そう。仮に自分の行動が怪しく見られたとしても。
 彼の顔は、とてもにこやかだった。

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