SW-PBeM Scenario #36
氷晶の蒼狼
第11章 任務終了

すれ違う想い


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ブロンの穴

■カヴァレス To:ルツァー
 ところでよぉ,さっきの呪文だが・・・・
 ありゃぁ,俺達に無ぇ情報だと思ったが違うかぃ?
 もっともよぉ,俺達冒険者を信用出来ねぇってんならそれまでだがなぁ。
 ・・・クク,まぁ,依頼料さえ貰えりゃぁ文句は無ぇがなぁ。クックック・・・

 とりあえず報酬を貰ってから、素直にかつ鋭くルツァーの行動を確かめる(詰る?)
 カヴァレス。本当、良い性格だこと(^^;;;

 その質問に対して、ルツァーは臆することなく
■ルツァー To:カヴァレス
 教えてなかった情報っていうか、「おまじない」ですから。
 像が手に入ってからのことなので、あえて言わなくても良いかなって思っていたのですよ(^-^;;;
 気になるのならば、「おまじない」教えましょうか?

■ルツァー To:カヴァレス
(精霊語)
『氷の乙女よ、いと健やかに。 水の乙女よ、いと穏やかに。
 我が手に持ちし、この像を 無事持ち帰る事できますように。』


(共通語)
 という「おまじない」ですって(^^)。
 別段、特別に言うことじゃないでしょう?

 と、相変わらず表情はにこやかだ。
 そのやり取りを黙って見ていたシーアンが、
■シーアン To:ルツァー
 それはちょっと違うんじゃないか?
 カヴァレスが知りたいのはまじないの文句じゃねぇだろう。
 俺達はささいな情報でもあんたに提供してきた。
 ”「おまじない」を唱えてないと山から持ち出せない”ってのは、重要な話だと思うぜ。
 それを教えてもらえなかった事を問題にしてんだよ。

■バジル To:シーアン&カヴァレス
 ルツァーさんが持ってる情報を僕達に故意に言わないでいたとしても不利益を被るのは彼自身じゃないかな?
 僕達と一緒に行動するつもりだったから、手に入れた後の事まで気にする必要が無いってその時思ったのかもしれないし。
 僕達が信用できないとかそういう意味ではなかったんだと僕は思うよ。

■ルツァー To:ALL
 そんなに重要なお話でしょうか?
 私の依頼は『像を見つけるのを手伝って欲しい』ですよね?
 像の運搬に関しましては、依頼が終了してからの話ですので、あらかじめ話しておかなくとも良かったとおもいますし。
 仮にこの「おまじない」が効果なくとも、依頼はすでに遂行されていますので、像が消えてしまったとしても「依頼不達成」とはならないでしょう?

 バジルさんもおっしゃっていますが、あなた方を信頼しないで話さなかったわけではありません。その点は御理解願いたいのですけども‥‥

 と、ルツァーは答えた。
 その答えを聞き、
■シーアン To:ルツァー
 ・・・この依頼はオランで引き受けたものだ。
 俺は、像とあんたをオランに無事に送り届けるまでが依頼のつもりでいたんだよ。本当は、オランで像の到着を待っててもらった方が良かったのかもしれねぇ。俺はそれがプロってもんだと思ってる。

 ふっ‥‥と表情をかえ、
■シーアン To:ルツァー
 ・・・だけど、まぁいいさ。
 あんたが”依頼は像を受け取るまで”って言うならそれでも。
 ”まじないが効果なくて、像が消えても「依頼不達成」とはならないだろう?”だと?ああ、確かにそうだろう。めちゃくちゃ後味は悪いだろうけどな。

 悪いけど、さっきの言葉は取り消すぜ。オランへの同行はやめとこう。

 と、まっすぐルツァーを見て言った。
 その瞳をにっこりと微笑み返し、
■ルツァー To:シーアン
 なるほど。私の今の言葉や行動がシーアンさんの「プロ」意識を酷くけなしてしまったのですね。それはお詫びいたします。
 今回、私は初めて依頼というものを貼り出させて戴いたので、あなた方の世界でいう「依頼人」と「依頼遂行人」の関係がイマイチ判ってなかったようですね。
 私は、仮にオランで待っていてくれと言われても‥‥やはり像を手に入れる旅に付いて来たでしょう。
 何故ならば、一刻も早く像を「手に」入れたいという気持ちがありましたから。

 今回‥‥このような事がおきてしまった原因は、一番最初に契約を交わした時に、細部まできっちりと決めきれてなかったことでしょうか?
 今後の依頼の時に、気をつけることとしますね。

 と、答えた。
■クロス To:シーアン
 あんまりいじめちゃダメだよ、シーアン。
 調査とか慣れてないって言ってたじゃん。流儀がわかんなくても、仕方ないって。
 どんな小さな事でも言って欲しいって、念押ししてなかった僕らも今回手落ちだったよ。

 仲裁に入るクロスに対しては、少し穏やかに
■シーアン To:クロス
 黙ってられた事はもういいんだ。
 俺が頭に来たのは、”依頼が終わってんだからもう像の事は関係ないだろ”ってなセリフさ。

 ルツァーの方を向き、
■シーアン To:ルツァー
 あんたさ、ポムがどんな気持ちで”大切なもの?”って聞いたと思ってんだ?バジルだってそうさ。”大事にして下さいね”って・・・。
 像を手渡して依頼が終わればそれっきり―――ってんじゃないんだぜ?
 気になるに決まってるじゃねーか。

■クロス To:シーアン
 あ…

■ルツァー To:シーアン
 では、貴方も私がどのような想いでこの像を手にしているのかも判っていませんよね?

 あくまでもルツァーの顔と声はにこやかだ。
■ルツァー To:シーアン
 もしかして‥‥私がこの像を軽々しく見ている‥‥と思っていらっしゃるのでしょうか?それは誤解ですよ。
 先ほどの「像が消えてしまったとしても」の話は、あくまでも例えですから。

 この像‥‥あの幼き氷狼の想い。皆さんの想い。
 その「重み」は確かにあります。でも、、、、それ以上に、私にはこれが必要なのです。そう、何事に変えても‥‥と言っても過言ではないでしょう。
 ただ、私には像が何処にあるのかを調べる能力もなければ、方法もなかったので「依頼」という形を取らせていただきました。
 おかげで像を手にすることができました。本当に感謝しています。
 ですが、この先像を守るのは私です。もう、私の手の中にあるのですから。その「守る」手段について、とやかく言われるのはどうか‥‥とも、思うのですが‥‥
 この像を軽々しく見ているのではありません。
 そのことだけは、信じていただきたいですね。

 口元はにこやかさを保っている。しかし、その瞳は先ほどまでの収集家の瞳では、ない。
 今までの表情が嘘‥‥とも思えるくらい、その瞳は‥‥真剣である。
■シーアン To:ルツァー
 俺もカヴァレスもあんたに”とやかく言う”権利はねーよ。
 あんたが像の事を軽く見てるなんてことも、鼻から思ってねぇ。
 だがな、あんたのその不用意な一言で、俺もカヴァレスもいい気はしてねーって事は確かだぜ。嘘でもいいから”まじないの事を言うのは忘れてた”とでも言えば良かったんだよ。

■シーアン To:ルツァー
 ・・・ん?あんた今なんて言った?
 像が”必要”だって?
 前に聞いた時は、”珍しい像なので欲しい”って話だったよな?
 俺の考えじゃ、欲しい=必要とはならねーんだよな。何か隠してんじゃねーかって疑ってしまうんだ。
 だけど、それももう聞かねーよ。

 そう言ってまっすぐルツァーを見据えているシーアン。
 もう一言、二言‥‥言いたそうではあるが‥‥。
■ルツァー To:シーアン
 それでは、言い忘れていた事につきましてはお詫び致しましょう。
 ですが、今の詫びは「嘘をついて」までも話を合わせた訳ではありません。私は嘘は‥‥つきたくありませんので。例え誤解されたとしましても。

 す‥‥っと頭を軽く下げる。
■シーアン To:クロス
 もう、わかっただろ?所詮それだけの関係なんだよ、俺達は。依頼人と雇われ冒険者だ。友達でも仲間でもねぇ。

 俺はなぁ、依頼が終わったから像が消えても関係ない、元依頼人がちんぴらに襲われようが関係無い。
 ―――そう思って一緒に旅できるほど器用じゃねーからオランまで一緒はごめんだって言ったんだよ。

■クロス To:シーアン
 ごめん。確かにそうだね……。

 やっと「何」にシーアンが怒っているのかをわかり、納得するクロス。
■ルツァー To:シーアン
 確かに貴方はとても優しい方のようですね。
 ですから、そのような状況は‥‥きっと見捨てるなどはできないのでしょう。

 オランまでの道のりは、「依頼」ではもうありませんから無理強いは致しませんよ。
 馬車で移動しますので、きっと私の方が早く銀の網亭に着くとは思いますが、一筆書いておきましょうか?

 と、また穏やかな瞳に戻った。
■シーアン To:ルツァー
 そうしてくれ。

 軽く頷くと、ルツァーはブロンにテーブルを借りて、さらさら‥‥と羊皮紙に依頼が完全に遂行された旨を書きとめた。

 シーアンは一筆書いてもらった羊皮紙を受け取ると、今度はオランまでの帰りの保存食を「必要経費」として要求した。
■ルツァー To:シーアン
 ‥‥まぁ、このようなことがありましたから、「オランまでの保存食」は必要経費としても‥‥いいでしょう。
 人数は‥‥とりあえず全員分もってきますね。
 私の馬車に余分に持ってきているのがありますから、それで‥‥徒歩分は足りるでしょうか‥‥

 と、頭の中で在庫チェックを行っているようだ。
■ルツァー To:シーアン
 たぶん足りるでしょうから、しばらくお待ちくださいね。

 と、自分の馬車へ確認に向かったようだ。
 一連のシーアンとルツァーのやり取りを見て、アイシャはシーアンの腕をきゅっと握り、ちょっと悲しそうな瞳でルツァ―を見つめている…。
■シーアン To:アイシャ
(悪いな・・・。どうしても言わずにいられなかったんだ)
 アイシャはどうしたい?馬車のが楽ちんだったら無理すんなよ。

 すまなさそうに言うと、出来るだけ優しく微笑みかけた。
■アイシャ To:シーアン
 (このままじゃ、こじれるばっかりかも……。)
 アイシャ、シーアンと一緒に行くよ〜(にこっ)

 そういうと、なんだか寂しそうにみえるシーアンを元気づけようと微笑んだ。
■シーアン To:みんな
 おまえらもな、俺に合わせなくていーぜ。
 俺は、ルタードんとこでも訪ねて行って、のんびり帰るつもりだからよ。

■クロス To:シーアン
 そういや、ルタードの故郷って近くなんだ?
 ……それは僕もちょっと寄ってみたいな。
 だって、結婚したんでしょ?ルタード。

■シーアン To:クロス
 前に聞いたときに、エストン山脈の麓に集落があるって言ってたからな。ここで情報集めていけば行けそうだろ?
 地中に掘ってあって、”アリの巣”のような構造をしてんだとよ。ルタードの新婚ぶりも気になるが、集落そのものも面白そうじゃねーか。

 と、仲間達と「これから」を話しているうちに、ついつい笑顔になっていくシーアン。
 その笑顔に、ほっとするアイシャ。
 ルツァーはロシの背中に人数分の保存食を積んで帰ってきた。
■ルツァー To:シーアン
 来るときが馬車で1週間ほどかかりましたから、だいたい1ヶ月分の食料で‥‥足りますか?

 と確認したいようだ。
■シーアン To:ルツァー
 ん?ああ・・・。
(実は数なんてどーでもいいんだ。形式として要求しただけだからな)
 あんたの帰りの分はちゃんと確保してるんだろうな?

■ルツァー To:シーアン
 ええ。ちゃんと確保していますよ。

■シーアン To:ルツァー
 ならOKだ。

 と、食料を受け取る。


 その一連の会話の傍らで‥‥も一人悩みを抱えているのが一人。
■ポム To:ルツァー
 前から聞こうと思ってたんだけど、聞いてもいいかな?

 どうやら、最初に会った頃よりの質問だったらしい。
■ルツァー To:ポム
 はい?なんでしょう(^^)

■ポム To:ルツァー
 ルツァーさんて、男の人?女の人?どっちなんだろ?
 種族が違うからかな…イマイチ判んないんだ

 その表情は、真剣である。
 本当に今までわからなかったようだ。
■ルツァー To:ポム
 私の‥‥性別でしょうか?
 一応「男」だとおもいますよ。ついてるモン、ついてますし(^^)。

 と、さらっと言う。
 ‥‥‥。
 どうやらこの人『天然』らしい。
■ポム To:ルツァー
 そうか♪そうじゃないかって思ってたんだ♪
 でも奇麗だし、ごっつくないし、大きい人(人間)だから違うかもって…
 冒険するのにあんまり問題じゃないから今まで聞き忘れちゃってたけど
 すっきりしたぞ♪(^^)

 と、とても晴れ晴れと、そらもぉすっきりとした笑顔で答えるポム。
 よほど引っかかっていたらしい。
■クロス To:
 いや……“大きい人”でも普通はもっとはっきり分かるもんだと思うなぁ…

 と、その晴れ晴れとしたポムの表情を見ながら、おもわずクロスがぼそっとつぶやく。
 確かに一部”例外”はあるが、”大きい人”の性別は、グラスランナーの大人と子供を見分けるよりは、楽なものであるはずだ。

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