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後ろ姿を見送りながらヴィクターがため息をついた。
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ヴィクター To:バティ |
・・・んじゃ、いってらっしゃーい・・ちぇっ・・ちぇっ・・良いなぁバティ兄ちゃんばっかり (羨ましがっている) |
バティの残していった飲み物のグラスをカチカチはじく。
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ヴィクター To:ルタード |
・・・うぅ〜ん・・・ねぇねぇ、ただじっと待ってるのみ暇だからさ。ルタードのおっちゃんの旅の話でも聞かせてよ! |
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ルタード To:ヴィクター |
旅の話のう。……そうじゃな、そもそもわしがどうして旅に出て冒険者になることに決めたのか、なんていう話でもしてみようかの。 |
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ヴィクター To:ルタード |
うん!それで良いよー・・わくわく・・ |
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ルタード To:ヴィクター |
前にも言うたと思うが、わしは部族で代々ブラキ神さまの神殿をお預かりしている家に生まれ
たんじゃ、次男坊としてな。一応、神殿の跡取り候補の一人ということになるのう。で、すく
すくと育ってきたわけじゃが、成年に達したと認められた去年の冬、家の掟に従って、故郷を
離れることとなった。外の世界を知って見聞を深めるためと、将来わが部族の神殿をお護りす
ることになるやも知れぬ者として、神官並びに戦士としての鍛練を積むためにの。 |
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ヴィクター To:ルタード |
(ルタードの話を興味深そうに聞きながら考える) <・・父さんも、オレにそうして欲しかったのかなぁ〜・・> |
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ルタード To:ヴィクター |
というわけで、故郷を離れたわしなんじゃが、さてこれからどうしたものかと考え込んだ。神
官として修行を積むのなら、どこかの神殿を訪ねてそこではたらくのが一番普通で確実なん
じゃろうが、人間の世界にはブラキ神さまをまつる神殿はかなり少ないと聞いとったしの。結
局、さしあたりはエレミアで武具職人としての腕を磨いてみるか、あるいはロマールまで足を
のばして傭兵として戦士の修練を積むか、どちらかでやってみようと決めた。それで、まずは
「自由人たちの街道」に出て、それから西に進むつもりでいたのじゃ。 |
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ヴィクター To:ルタード |
へぇ〜、楽しそうだなぁ。オレ、オランから出たことないんだ。それで!それか らどうなったの? |
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ルタード To:ヴィクター |
ところが、事件が起きた。もうすぐ街道に出るというところで、ゴブリンどもの一団に出会っ
てしまったのじゃ。2匹や3匹なら、あっという間に屠ってやったのじゃが、そのとき奴らは
10匹近くおっての、数にものをいわせて襲いかかってきおった。当然わしは迎え撃ち、4匹ほ
どは倒したのじゃが、しょせんは多勢に無勢、さしものわしも次第に疲れ、かなりの手傷も
負って、冥界の入口が見えかけた。と、そのとき――ブラキ神さまのおはからいに違いないが
――、冒険者の一団が通りがかり、ゴブリンどもを蹴散らしてわしを救ってくれたのじゃよ。
わしはそれまで、冒険者というのは「定職に就かないでブラブラしているならず者」というふ
うに認識しとったのでな、彼らに命を救われたのは、新鮮な驚きじゃった。そして同時に、冒
険者というかたちで鍛練を積むというやり方もあるということに気がついたんじゃ。わしは彼
らに礼を言い――いくばくかの金も渡そうとしたのじゃが、彼らは笑って受け取らんかったわ
――、「冒険者稼業を目指すのなら、まずはオランに行くといい」との助言に従って、街道に
出るとそれまでの予定とは反対の東へ進み、この街にたどり着いたというわけじゃ。
どうかな、少しは暇つぶしになったかのう? |
(ヴィクターの怪物判定:ゴブリンを知っているかどうか・・・。ダイスの目は3!!あぶないあぶない。知名度の低いゴブリンでよかった(笑)ちなみにルタードが知っている事は既に判定済。軽〜くクリアでした。)
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ヴィクター To:ルタード |
(瞳をキラキラ輝かせながら(笑)) うわぁ〜、すごいなぁ!ゴブリンなんてお話でしか知らなかったけど、ホントにいるんだね! うん、楽しかったよ!! |
扉が開いてミュンが入ってくる。2人は話しに熱が入っていてそれに気が付かない。
■街中 |
☆From:店主 To:ミュン |
いらっしゃい。今、テーブルの方は埋まってるが、カウンターなら空いてるよ。 |
■幸福の銀貨亭 | |
☆From:ミュン To:店主 | |
あの〜すみません。人をさがしてるのですが。こちらにストラトという楽器をもった 人間と大きなバトルアックスをもったドワーフとリスザルをつれたハーフエルフが来てると思うのですが。 |
■街中 |
☆From:店主 To:ミュン |
ああ、あのおさるのテーブルのお仲間かい?それならあそこにいるよ。 |
そういって、ルタード達のテーブルを指す。その先を目で確かめてミュンは静かにテーブルへ向かう。
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ミュン To:ルタード&ヴィクター |
ああ、ここにいらっしゃったのですね。 |
いきなりミュンに声を掛けられルタードがびっくりして顔を上げた。
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ヴィクター To:ミュン |
あれ?ミュン兄ちゃんもご飯食べに来たのー? |
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ルタード To:ミュン |
おや、ミュンどのではないか。どうしてここへ? ……まさか、向こうで何かよからぬことで
も起こったのではなかろうな? |
不安な気持ちでルタードが問い掛ける。慌ててミュンが首を振った。
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ミュン To:ルタード |
いえ、テントの方では特に何も新しい事態はなかったです。こちらに来たのは、 帰りが遅かったものですから何かあったのではないかと思ってのことです。 |
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ルタード To:ミュン |
そうじゃったか。実は今バティどのが、例の5人の居場所を知っていそうな、もっといえば、
彼らを監禁しているらしい連中を尾行している最中でな。わしらはバティどのが戻るのを待っ
とるわけなんじゃが、ただ待つのも退屈だということで、わしが冒険者になることに決めたい
きさつなんぞをヴィクターどのに話して、暇をつぶしとったところなんじゃよ。
ところでミュンどの、もう夕食はすんだのかの? ここのおすすめ料理はなかなかのもの
じゃったぞ。 |
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ミュン To:ルタード |
食事はテントの方で済ませて来ました。いくらおいしいからといってこれ以上は食べられません。 そうですか、それでバティさんの姿が見えないのですね。 |
ルタードとのおしゃべりで少しの間退屈を忘れていたヴィクターが、バティの一言で不満を思い出してしまった。
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ヴィクター To:ミュン |
ずるいよね!バティ兄ちゃんばっかりさ。オレ待つのって嫌い |
ヴィクターはミュンの後ろをキョロキョロと見て人を探す。
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ヴィクター To:ミュン |
・・・ところでユリ姉ちゃんとイスカ姉ちゃんはテントで待ってるの? |
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ミュン To:ヴィクター |
いえ、御二人は水浴び・・・ではなくてお風呂というところに寄ってこられるそうですよ。 |
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ルタード To:ヴィクター&ミュン |
ほう、風呂とな。そういえば、このところしばらく入っておらんのう。……あ、誤解せんでく
れよ。湯で体を拭いたりして、不潔にはならぬように一応気をつけとるんじゃから。 |
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ヴィクター To:ミュン&ルタード |
ふぅ〜ん、そっかぁ。お風呂か〜・・それじゃあ結構時間かかるかも知れない
ね。お風呂って人によってはすっごい長く入ってるし。うちの父さんとか何時間
も入っててオレ待ちくたびれることあるし・・・ それにこいつもお風呂好きなんだ。 (と、リッキーを示しながら) でも、さすがにお風呂屋さんには入れないから家でお湯を沸かして入れてるんだ けどね。もう態度でかいしはしゃぐし、おまけに最後には寝ちゃうし |
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ルタード To:ヴィクター |
ほう、リッキーくんもお風呂にの。 わしの部族の集落近くの谷あいに、いい温泉がわいておってのう。仕事を終えるとわしらは、 毎日のようにそこで一日の疲れをとるのじゃが、ときどき近くに棲んどるらしいサルや シカたちもつかりに来とったなあ。
ところで、ヴィクターどの、確かそなたは古代語魔法の使い手になりたいと話しとられたが、
どうしてそう思うようになったのじゃ? もしよければ、聞かせてはもらえないかの? |
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ヴィクター To:ルタード |
ん?どうしてかって聞かれると・・・・・どうしてなんだろう?自分でもよく分
からないや (苦笑しながらこめかみの辺りをポリポリと掻いている) ・・・多分、オレの死んじゃった母さんが古代語の魔術師の人だったからだと思 うんだ。けど、何かそれだけじゃないような気がするんだけど・・でも思い出せ ないって言うか言葉にならないって言うか・・とにかくよく分かんなくって・・ でもとにかく頑張るんだ! |
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ルタード To:ヴィクター |
そうじゃったか、母上がの……。これは、つまらぬことを聞いてしもうたかな。 |
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ヴィクター To:ルタード |
ううん、別に良いよ。そりゃあ思い出すと・・やっぱりさみしいけど・・・・で
もそれだけじゃなくて楽しくもなるからさ! (そう答えて明るくにっこり微笑む) |
う〜ん・・と伸びをしながら、まだまだ混雑する店内を透かして入り口付近に目をやる。
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ヴィクター To:ミュン&ルタード |
バティ兄ちゃんまだかなぁ〜、ユリ姉ちゃん達も来ないし。まだ待たなきゃいけ ないのかなぁ〜 |
退屈しきった様子にリッキーが遊んでやるか、という顔で近づいてきた。
少しの間、リッキーの尻尾掴みゲームで遊んでいると、扉が開いて待望の人影が2つ現れた。
すっかり待ちくたびれていたヴィクターは椅子から思わず立ち上がり手を振る。
■幸福の銀貨亭 |
☆From:イスカ To:ルタード・ミュン・ヴィクター |
やあ、待たせてしまった? ちょっとお風呂に寄ってきたものでね。 (やや声をひそめて)ところで何か情報は手に入ったの? あ、ちょっと待って。風呂あがりに冷たい白葡萄酒でも飲みたいな。 ちょっと注文してくるよ。(席をはずす) |
そう言うと、濡れた髪をなびかせてイスカがカウンターへ向かう。
男と思ってか女と思ってか、通り道にいる客の何人かがかすかにざわめいた。
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ヴィクター To:イスカ |
あぁぁっっ!イスカ姉ちゃん達〜!!待ったよぉ。待ちくたびれたよぉ〜 (店に入ってきた2人を見つけてぶんぶん手を振っている)
うん、今バティ兄ちゃんが・・・・ |
ヴィクターはちょっと肩透かしをくらってすとんと再び腰掛ける。
ユリはイスカの後ろ姿をぼ〜っと見送っている。まだ先程のショックが残っているようだ。
深〜いため息をつくと、ふらふらとテーブルへ近寄り、よく見ずにヴィクターの膝の上に座ってしまう。
ユリの髪から仄かに香る石鹸の香りがヴィクターの鼻をくすぐった。
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ヴィクター To:ユリ |
(膝の上に座られて(笑)) ・・・・・・・・・・あ、あのぉ〜・・・・ユリ姉ちゃ〜ん、重いんだけど・・ (そしてリッキーはユリの髪の匂いをかいでいる(意味不明)) |
おずおずとヴィクターがユリに言う。しかしユリはさらに深いため息をつくばかりで、気がつかない。
何度目かに少し大きな声で名前を呼んでやっと、自分が座っている椅子の正体に気がついた。
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ユリ To:ヴィクター |
あ。ご、ごめんなさい。ちょっと、ぼ〜としてたものだから。つい。 (そう言うとばつが悪そうにぺろりと舌を出す。) |
花も恥じらう17歳の美少女が、湯上がり姿で舌を出す仕草は激烈に可愛い・・・はずだが、
ヴィクターには感じるところはないらしい(笑)
他のテーブルからはひそかに注目を浴びている。イスカもワインを手に戻ってきて、
さっきまで地味な雰囲気だったテーブルが一気に華やいだ感じだ。
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ルタード To:イスカ&ユリ |
どうぞ、お掛け下され(と、空き椅子を引き寄せて、イスカに着席をすすめる)。 聞き込みその他でわしらが新たにつかんだ情報は、堅気でなさそうな「クレー」という名の 男とロビンたち5人が、一昨日の夜にこの店で接触していたということ。そして、クレーの 仲間らしき2人組の男が、自分たちの「アジト」に、いなくなった座員たちを連れ込んでいる らしいということ。この2つですな。連中の話しぶりからして、彼ら5人はいい扱いを 受けているとは言い難いようですじゃ。あと、これは不確実な情報ですが、クレーなる男は あるいは魔法使いかも知れませぬ。
実は先刻からバティどのが、5人を監禁しているとおぼしきその連中を尾行しとりましてな。
もうそろそろ戻ってきてもよい時分なんですがの。 |
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ユリ To:ルタード |
はぁ〜〜〜。 (恋に悩む乙女の切ないため息。(^^;) え!! 私達がお風呂に行っている間にもう犯人が解っちゃったんですか? さすが、大神官様。 |
まだ魂が抜けたような状態だったユリもルタードの新情報に一気に背筋が伸びる。
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ルタード To:ユリ |
いや、まだ犯人と決まったわけではないのじゃが。 |
■幸福の銀貨亭 |
☆From:イスカ To:ルタード |
まったくだ、わたしたちがのんびりしている間に
ずいぶん目標がはっきりしたんだね。
あとはバティさんの成功を祈るだけか・・。
危険な目にあっていなければいいけど。 ん? 噂に影とはこのこと、その本人がさっそく現れたみたい。 やあ、おかえりなさい。 |
情報交換に熱中していると何時の間に戻ってきたか、バティがテーブルの側に立っていた。
その機嫌のよさそうな感じから、良い情報を掴んで帰ってきたらしい。
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ジャン=バッティスタ To:ALL |
よぉ、みんなおそろいみたいじゃないか。例の5人だけどよぉ、
エルヴィラ(?だったかな?)とダーナ(?だったよなぁ?)とかいう女
2人なら確認してきたぜ。どうやらクレーとか言う奴がビンゴだったな、
ルタード。 それでよ、その2人なんだが・・・どうみても拘束されてるんだよな。 それも不当拘束ってやつみたいだったぜ。単独で潜入して助けてもよかったんだ が、サポートがない状態じゃやっぱやばいだろ。ってことで、戻ってきたんだが… どーみても、誰もこれからあそこに踏み込めるような装備じゃねぇんだよな。 その小屋ってのは割と俺達のテントに近い場所にあるから一回戻って装備を整え てから行くとしますか。 もっとも今から踏み込むんだったらだけどな。 |
■幸福の銀貨亭 |
☆From:ルタード To:All |
うーむ、これはやはり、連中をクロとみるのが正解のようじゃの。それにしても、
バティどの、見事なはたらきぶりですな。 となると、いますぐ行動を起こすのが妥当じゃろうな。もたもたしているうちに万一場所を 移られでもしたら、お手上げになりかねんしの。ただ、わしらの装備が充分でないというのは 明らかじゃから、座長どのたちへの経過報告も兼ねて、いったんテントに戻るというのは 賢明な手じゃろうな。どうしますか、イスカどの? |
■幸福の銀貨亭 |
☆From:イスカ To:ルタード |
そうだね、もちろん、ぐずぐずしてはいられない。 「不当拘束」か・・。私たちの動き方がまずければ人質の命にも関わるかもしれないね。これは責任重大だ。 さあ、すみやかにここを引き払ってテントに戻ろう。 |
そういって一行は勘定を済ませ、一路テントへと戻った。
テントに着くと、動物の檻の側でゆっくりしていたネリーをつかまえて座長の部屋まで案内してもらい、
これまでに得た情報について報告を行った。
聞きながらみるみる座長の顔色が青ざめていく。
■テント小屋(座長の部屋) |
☆From:座長 To:イスカ |
な、なんと、座員達は誘拐されていたのか。どうしてそんなことに・・・・。
身の代金などろくに払えんのに・・・。 しかたがない、あの金で払うか。いや、あれは私の金ではない・・・ しかし、彼らの身の安全を考えたら・・・・あぁぁどうしたらいいのだ。 |
■テント小屋(座長の部屋) |
☆From:ユリ To:座長 |
それは、無いと思います。 もし、身の代金が目的なら幾らなんでも、すでに何らかの要求があるはずですから。 バティさんが調べてくれた情報だと、女性2人が捕まっているそうですから、 もしかしたら....。 |
■テント小屋(座長の部屋) |
☆From:ジャン=バッティスタ To:ユリ |
そーかなぁ。身代金の要求は明日の朝にでも来るんじゃねぇの。連中にしても準備に時間がかかってるんだろう。 |
ユリの言葉を聞いてますます苦悩の色を深め、座長は熊のように部屋をうろつきながら一人ぶつぶつと呟いている。
部屋を出ず、側で一連の報告を聞いていたネリーが眉根を寄せる。
■テント小屋(座長の部屋) |
☆From:ネリー To:イスカ |
あんた達、それ本当なの? 誘拐されたなんて嘘言って、報酬つりあげようって腹じゃないでしょうね? だってあたしが聞いた話しでは・・・ |
はっ、としたように口元を押さえるネリー。しかし座長は聞き逃さなかった。
■テント小屋(座長の部屋) |
☆From:座長 To:ネリー |
ネリー。何か知っているね?知っている事を全部話してくれ。 この人達は嘘を言うような人達じゃないと、私は思う。長年、沢山の人を見てきた者の勘だが。 ダーナ達はいったいどうしたって言うんだ? |
ネリーは少しの間、目をつむっていたが、やがて観念したように息を吐き出した。
■テント小屋(座長の部屋) |
☆From:ネリー To:座長 |
・・・わかったわ。 ダーナ達に口止めされていたから言わなかったんだけど、私も失踪劇には誘われていたの。 彼ら、給料が安いのをとても気にしていたから、座長を懲らしめるのだと言ってたわ。 お金を貯めているのは知ってるんだ、って。 私腹を肥やさずもっと座員に還元すべきだと言ってたわね。 で、1日くらい公演からいなくなって、困った頃に戻るつもりだって言う話しだったのよ。 私はそんなやり方はフェアじゃないと思ったから参加しなかったけど。 別に彼らが好きにする分には彼らの問題だから放っておいたの。 口止めもされてたし。酒場で知り合った人が、失踪している間、かくまってくれるって言ってたから・・・・・ まさか誘拐されているなんて思ってもみなかったのよ。 |
■テント小屋(座長の部屋) |
☆From:座長 |
・・・・なんということだ。私がきちんと彼らに説明しなかったのが原因なのか。 |
頭を抱え、よろよろと座り込んでしまった。
■テント小屋(座長の部屋) |
☆From:ユリ To:みんな |
ダーナさん達は、酒場で知り合った人に騙されたんじゃないでしょうか? かくまうと言って上手く5人を連れ出し監禁して、どこかに売るつもりじゃないかしら。 |
■テント小屋(座長の部屋) |
☆From:ジャン=バッティスタ To:ユリ |
監禁して馬鹿どもが要求しようとした金の、上前をはねようとしてるだけだろ、多分。 大体、売るったってどこに売るんだよ?オランのギルドで、そんな集団がほっつきあるいてるって情報は聞いてねぇぜ。 |
話を聞きおわってイスカが呆れたような顔になる。
■テント小屋(座長の部屋) |
☆From:イスカ To:ネリー |
なるほどね。かくまってもらうつもりが、あっさり誘拐されてしまったというわけか。
まったく、しょうがないな。(ため息) しかし、「貯めているお金」というのはいったい何のこと?どうやらそれが、今回のごたごたの原因みたいだけれど。 |
ミュンがイスカの問いかけに答えるべく、座長へ確認を取る。
■テント小屋(座長の部屋) |
☆From:ミュン To:座長 |
すみません。どうやら”貯めている分”の事に関係しているみたいですね。 申し訳ありませんが、先ほどの約束を反故にさせていただけないでしょうか。 つまり、みんなに話すことを許していただきたいのです。 |
座長は力なく頷きかえす。
■テント小屋(座長の部屋) |
☆From:ミュン To:ALL |
どうやら、彼は、独立の為や結婚の為にそれぞれサーカスの一人一人づつ貯めておられるみたいなのです。 |
後ろでヴィクターもうんうんと頷く。
■テント小屋(座長の部屋) |
☆From:ヴィクター To:ミュン&ALL |
うん!あの座長のおっちゃん。いい人だよね |
■テント小屋(座長の部屋) |
☆From:ミュン To:ALL |
黙っててすみません。でも、ある人に、決して誰にもしゃべらないと約束してしまったので。。。 |
イスカは眉間に微かに不快感をあらわしながら話しを聞いている。座長に直接不満を言わずに馬鹿みたいな悪戯で一座を困らせようとした座員や
事情を知りながら話してくれなかったネリー、もちろん嘘をついて座員達を誘拐した卑怯な犯人にもすっかり腹を立てているのだ。
裏でこそこそするのにはもう、うんざりなのだろう。せっかく陰謀うずまく自分の家を離れて清々していたのに・・・。
どこでも同じように人ははっきり物を言わないのだろうか。
ルタードが(彼は犯人への怒りによって)真剣な顔をして、座長へ、そして他のメンバーへ確認をとる。
■テント小屋(座長の部屋) |
☆From:ルタード To:アンブローズ |
……座長どの、今も彼らを連れ戻して欲しいというお気持ちは変わりませんな? |
重い空気を気にせずにバティが軽口を叩いた。
■テント小屋(座長の部屋) |
☆From:ジャン=バッティスタ To:ALL |
俺様としては、報酬さえもらえるのであればそれでいいぜ。 |
■テント小屋(座長の部屋) |
☆From:座長 To:ルタード |
も、もちろんだ。元はといえば私がきちんとみんなに説明しなかったのがいけないのだ。彼らだけが悪いわけではない。 お願いだ。無事に彼らを救い出してくれ。 |
■テント小屋(座長の部屋) |
☆From:ルタード To:アンブローズ |
ならば、わしらはこれから連中の「アジト」に出向き、彼らを救い出して参りましょう。みなさん、 準備はよろしいかな? |
■テント小屋(座長の部屋) |
☆From:ヴィクター To:ルタード |
うん!オレは準備万端だよ (と言いつつスタッフをぶんぶん振り回し、肩ではリッキーが飛び跳ねている) |
座長の願いを受け、一同は用意された部屋へ戻り、各人の装備を整えると、バティの案内に従ってアジトへ向かった。
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