SW-PBM Scenario #88 | 目次 |
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ソニアの家 |
イグレッタは振り返って、唇に指をあてるとみんなを手招きした。
■イグレッタ To:ALL |
(小声)ちょっと!シチューの横に蓋の開いたあの薬があるわよ |
■ランス To:ALL |
(小声)やばい・・・あれ、もう使うた後なんか? どっちにせよ取り返さんと・・! |
きょろきょろと周りを見渡す。入り口を探してるらしい・・
■ナミキ To:ALL |
そうよ、報酬が……。 |
■アンリ To:ランス |
ランス〜!!あそこに勝手口があるヨ〜☆ どうする?あそこからとつにゅ〜する?それとも、誰か表にも回っといて同時にやる〜?そのほーが逃げられることはないよネ〜? |
■イグレッタ To:アンリ&ALL |
まどろっこしいわね そこに入り口があるなら、そこから入ればいいでしょう |
勝手口を示すとすたすたと向かった。
■ランス To:イグレッタ |
おいおい・・ |
■アンリ To:イグレッタ |
おぉ〜!!さすが、イグ!!なんも考えてない〜♪ |
■レイン To:ALL |
とりあえずついていこ。 |
■ナミキ To:ALL |
そーね。さすが、イグレッタ。 |
■イグレッタ To:ソニア |
こんにちは、ソニア |
勝手口の戸を叩いて、開いた。
■ソニア To:イグレッタ |
!! あ、あなたは――― |
はっとして振り返り、イグレッタの姿を見るとパッと薬瓶を手に取り、後ろ手に隠す。
■ソニア To:イグレッタ |
お願い。何も見なかったことにして、帰って下さい。 |
■アンリ To:ソニア |
ヤだ。 |
即答(笑)
イグレッタはずかずかと入っていく。
■イグレッタ To:ソニア |
それがどんな薬かわかってるの? |
■ソニア To:イグレッタ |
わかってます。 |
■イグレッタ To:ソニア |
痩せるための薬よ そんな薬を使っても、不幸になるだけだわ 結果が出るのに何日もかかるんだから |
ソニアの目の前に立つ。
■ソニア To:イグレッタ |
そんな事わかってるわ! |
思わず大声が出る。
■ランス |
・・・・・ |
■ソニア To:イグレッタ |
だから―――よ。 ドランブイでしょ?死ぬまでに何日もかかるわ。その間、私が看病して・・・あの人の態度が変れば・・・。 |
薬を手にとってつぶやく。
■ソニア |
それでも変らなかったら・・・その時は・・・。 |
ソニアの瞳に危険な光が宿る。
■アンリ To:ソニア |
何日もなんてかかんないんだけれどなぁ〜・・・最長で三日くらいダヨ、多分。 |
■イグレッタ To:ソニア |
返しなさい。他の方法だってあるわ |
ソニアは首を横に振り、一気に薬を鍋に放り込もうとする―――。
しかし、右手は鍋の上でピタリと止まった。
顔には恐怖の色が浮かんでいる。
イグレッタがその視線の先を見ると―――
そこには一人の男が立っていた。それが、ソニアの夫 ヌルだった。
ソニアの大声を聞き、キッチンへ様子を伺いに来て、話を聞いてしまったらしい。顔は怒りで紅潮している。
■男 To:ソニア |
このアマ・・・。 俺を殺す気だったんだな? ・・・・・・・・・ ああ、別れてやるさ!ただし、死ぬのは俺じゃない。テメーが死ね! |
側にあったナイフを掴み、男がソニアに切りかかった!!
■ソニア To:ヌル |
ひっ! |
■ランス To:ヌル |
っと!! |
イグレッタとソニアのやり取りを黙ってみていたランスだったが、
ヌルが凶行に走った瞬間を見逃さなかった。ヌルの手首をがっちりと
掴み、ねじ上げていく。
■アンリ To:ランス |
おぉ〜!!素早〜い☆エライ、エライ〜♪ |
■ナミキ To:ランス |
おおっ!? ランスがかっこいい!! |
■ヌル To:ランス |
い、いてててて!は、放せ、放してくれ。 う、腕が折れちまう! |
■レイン To:ヌル |
折れても僕たちは別に困らないけど。 |
■ナミキ To:ヌル |
そーね。困らないわ。 |
限界までねじられ、その手からポトリとナイフが落ちる。
■ランス To:ヌル |
・・・後で話はゆっくり聞かせてもらうからな。 |
ナイフを落としたのを見計らい、ヌルの鳩尾に拳を一発喰らわす。
ヌルは体をくの字に曲げて、その場に倒れた。
イグレッタが襟首を掴み上げて、ヌルを起こすと物騒に笑った。
■イグレッタ To:ヌル |
こんなに思いつめるまで、ソニアを追いつめたのはあなたよ 殺されても自業自得だわ でも、殺される価値もなさそうだから… |
思いっきり殴り飛ばした
■ナミキ To:ヌル |
わー……ご愁傷様。 |
■イグレッタ To:ヌル |
こんなもんでしょう |
返事は無い。気を失っているようだ。
■ランス |
・・・顔がエラい事になっとる・・・ 後でちゃんと話聞けるんかな・・(汗) |
■アンリ To:イグレッタ |
うっわ〜☆イグ、こっわ〜い♪怒らせないようにしよっと〜♪ |
コロンコロンコロン・・・
ソニアも腰を抜かし、手に持っていた瓶が床に転がる。
■ランス To:ALL |
やれやれ・・・すんでの所やったけど、なんとかなったみたいやな。 アンリ、そこの男をしばりあげといてくれへんか? |
■アンリ To:ランス |
は〜い!!ラジャ〜☆ ぐ〜るぐ〜る巻いて〜♪簀巻きになって〜♪川に流してドンブラコ〜♪ |
謎の歌を歌いながら器用にヌルを縛り上げる。
■レイン To:アンリ |
流すの?いいけど。 |
ランスはちらばった薬を丁寧に集めてから、ソニアに話しかける。
■ランス To:ソニア |
・・・わいらでよければ、訳を聞かせてもらわれへんかな。 |
放心状態から立ち直ると、ソニアは観念し ぽつりぽつりと話し始めた。
■ソニア To:ランス |
この人との生活を・・・終わりにしたかったんです・・・。 |
聞けば、結婚直後から暴力は始まり、離婚を申し出たが断られ、逃げれば実家にまで追いかけて行き、家に火つけて お前の両親ごと焼き殺すと脅されていたと言う。
■ソニア |
・・・その為、村には逃げ帰れませんでした。 いえ、キャロリン村に逃げても、また他の場所でも・・・どこまででも追いかけてくるような気がしていました。 |
■イグレッタ To:ソニア |
本当、最低なヤツだわ あなたが何もしなくても、ろくな死に方しなさそうね |
ヌルを睨み付ける
■イグレッタ To:ソニア |
叩けば何か出てくると思う? |
■アンリ To:イグレッタ |
とりあえず、イグが殴ったら血がでてくるカモよ〜♪ |
■レイン To:イグレッタ |
吐瀉物とか。 |
■ナミキ To:イグレッタ |
穴という穴から。 |
■ソニア To:イグレッタ |
叩いて埃が出るような・・・そんな人じゃありません。 仕事をリストラされて、ヤケになるような、そんなちっぽけな人なんです。外での不満、ストレスは凝縮され、全て私にぶつけられました・・・。 |
いつしか、いっそ夫がが死んでくれれば良いのに・・・と思うようになったと言う。そんな時、掃除の最中に偶然ドランブイらしき薬を見つけ、これを夫に盛ろうと、盗んだのである。
■ソニア |
ドランブイは故郷の特産物です。効能は知っています。 毒ではありませんが、大量に飲めば食事を取れなくなるので、やがて衰弱して死ぬことも・・・わかっていました。 |
■アンリ To:ソニア |
でも、これってドランブイはドランブイなんだけど超強力ドランブイなんだよネ〜。 なんつーか・・・大量に飲めばやがてどころかすぐに衰弱死って感じなんダヨ。 |
■イグレッタ To:ソニア |
気持ちはわかるけど… 誰かに相談はしなかったの? |
■ソニア To:ALL |
夫の暴力について、女中仲間に話したこともありますが、恥ずかしさもあって・・・全てを話すことは出来ませんでした・・・。 実家の親には心配をかけたくないので、一切話していません。 ・・・これで終わりです。 私はどうすればいいでしょうか・・・? |
おかしな事だが、ほっとしたような安堵の表情を浮かべているように見える。
■イグレッタ To:ソニア |
あなたはどうしたいの? 離れるなら離れる。根性を叩き直すなら叩き直す。 ハッキリ決めた方が楽よ |
■ソニア To:ALL |
私は・・・許されるなら一度キャロリン村に帰りたいです。 女中も辞めるつもりでいました。 |
立ち上がって、奥の部屋へ行き、1通の手紙を持って戻ってきた。
■ソニア To:イグレッタ |
これをイザベルお嬢様に渡してくれませんか? 中に全て書いてあります。 |
■ランス To:ソニア |
そうか・・・ほな、この男はわいらが何とかしといたるわ。あんさんを 二度と構えんよう脅・・・いや、説得しとくから。 それとな、もう一度聞くのは申し訳ないんやけど・・・痩せた浅黒い肌の男と 面識はないんやね? |
■ソニア To:ALL |
はい、知り合いにそのような人はいません。 |
■イグレッタ To:ソニア |
急いで仕度しなさい この男が目覚める前に出て行く事ね あなたは新天地を探してオランを出ていった とでも言っておくわ |
■ソニア To:ALL |
有難うございます。 このご恩は忘れません。 |
目に涙を浮かべお礼を言うと、着の身着のままでソニアは出て行った―――。
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