SW-PBM Scenario #88 | 目次 |
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ハーゲンの診療所 |
調査3日目。ヴィトリスは今日も昨日と同じく、医者めぐりをする事にした。昨日書いてもらった紹介状を握り締め、目指すはハーゲンの診療所だ。
ハーゲンの診療所は三角塔から割と近い所にあった。前日に行ったファレンの診療所とは大違いである。
敷地内にはもう1つ建物があり、そちらは住居になっているらしい。つまり、診療所は仕事場であって住居ではない。この点もファレンとは違う所だ。
診療所の入り口の扉を開けると、すぐ受け付けになっていて、そこには30代半ばと思われる受けつけ嬢(?)までいたのだった。
■受けつけ嬢 To:患者さん |
こんにちわ。 予約のある方ですか? |
予約がない・・・と言ったら、待合室にずらっと並んだ患者の列に加わる事になるのだろうか。
■ヴィトリス To:受けつけ嬢 |
こんにちは。 えと、予約はしてないんですけど…ハーゲン先生にお会いしたいのですが…。 ファレン先生よりの紹介で、ということで取り次いで頂けないでしょうか? |
■受けつけ嬢 To:患者さん? |
ファレン先生の・・・。 少々お待ち下さい。 |
受けつけ嬢(?)は診察室へと入っていった。すぐに笑顔で戻ってくる。
■受けつけ嬢 To:患者さん? |
お会いになるそうです。こちらへどうぞ。 |
ヴィトリスは診察室へと通された。
銀髪で頭のてっぺんが禿た男―――賢者の学院では生徒たちに”禿のハーゲン”と呼ばれている―――が白衣を着て机に向かっていた。
■ヴィトリス To:ハーゲン先生 |
あの、はじめまして。ヴィトリスと申します。ファレン先生の紹介で参りました。 お仕事中申し訳ありませんが、少し教えて頂きたいことがありまして、ちょっとだけお時間を頂けないでしょうか? |
近づいて声をかける。
■ハーゲン To:ヴィトリス |
・・・まず、ファレンの紹介状を見せてもらおう。 |
ハーゲンはくるっと振り向き、愛想の無い声で答えた。
■ヴィトリス To:ハーゲン |
はい。これです。 |
紹介状を渡す。
■ハーゲン To:ヴィトリス |
・・・”食事を取らなくて体調を崩した人”など来てはいないな。 ”使用方法を誤ると危ない、高級なダイエット薬”も知らんね。 それは何と言う薬で、どう危険なのかね? どこからその情報を得た? 誰が作っているのか知らんが問題だぞ、それは。 |
ファレンの紹介状には彼がヴィトリスに聞かされた話も書いてあったようだ。ハーゲンは険しい顔をして逆に薬の事を聞いてきた。
■ヴィトリス To:ハーゲン |
問題…ですか。そうですね。 えと、薬の方はドランブイって植物を原料とした白い丸薬で、一錠で5〜6時間の満腹感が得られるって物らしいです。 だもんで、多量に取ると栄養不足で危険を伴うとかいう話です。 情報の出所については出来ればご勘弁頂きたいんですが・・・ |
■ハーゲン To:ヴィトリス |
ドランブイ?あれはキャロリン村の特産で、保存が効かないはずだったが・・・。 丸薬が出回っておるのかね? なんにせよ、ここにはドランブイの患者など来てはおらんな。 来たら知らせて欲しい―――と言うことだね? 知ってるとは思うが、医者は患者のプレイバシーを守らねばならない。教えられる範囲で協力しよう。 |
■ヴィトリス To:ハーゲン |
大変助かります。 何かありましたら『銀の網亭』の方にでも連絡して下さい。 それでは、貴重な時間を頂きましてありがとうございました。 |
丁寧にお辞儀をして退出する。
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