早起きな人達
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■銀の網亭 裏庭 |
パーティ決定の翌朝。まだ薄暗い早朝。
シェルは銀の網亭の裏庭へ出て来て、シルフ召喚のための儀式を行っていた。
じっと目を閉じ、自らの心を精霊界へと近づけ、そして呼びかける。
我と共に来たれり……と。
初めて行う儀式であるため、はやる心を押さえきれない。
精霊が近づいて来る。
やったと思って喜んだとたん、すり抜けるように去っていく。
……ということを何度か繰り返していた。
何度か失敗したあと、シェルは一息ついた。
■シェル |
ふう…。 さすがに初めてだとうまくいかないなあ(ポリポリ) 焦ってもしょうがないし、ゆっくりやろ。 |
深呼吸した後、ゆっくりと眼を閉じて精神を集中させる。
やがて、シェルの口からかすかにだがはっきりと精霊語の詠唱が聞こえ始める。
■シェル(精霊語) |
……自由な風の乙女…風の精霊…シルフよ…。 ……自由な風の乙女…風の精霊…シルフよ…。 ……自由な風の乙女…風の精霊…シルフよ…。 ……我が導きに従え…我が弓に宿り…我と共に来れ……!! |
シェルの周囲で風が流れ、やがて風の精霊シルフが姿を現した。
シェルは自分の弓を高く掲げた。シルフはうなずくとその弓に吸い込まれるようにして消えた。
■シェル To:シルフ(精霊語) |
シルフ、これからしばらくよろしくね。(ニコッ) そうだ、キミに名前をつけなくちゃ。 シルフだから…シルフィ。 あんまし変わってないけど、まあいいか。 よろしくね、シルフィ(^^) |
■シルフィ To:シェル(精霊語) |
あたしシルフィ? 判ったの。よろしくなのなの〜。 |
ヒュ〜ッと風が吹き、シェルの持つ弓の弦を震わせた。
■銀の網亭 馬小屋前 |
銀の網亭の裏手にある、泊り客用の馬小屋の方から熱の篭った気合の声と、鋭い風切り音が聞こえる。
■ノエル |
ふぁぁ〜 う…んん… 剣の練習…みんな熱心だなぁ… って、あれ?ここ神殿じゃないんだった だれだろ? |
ノエルはあわてて窓を開けて下を見る。
■ダーナ To:独り言 |
フン!!…ハッ!…。うむ、今日はいい感じだ。イメージの敵の動きも、はっきりと見える! |
■ノエル |
あ、ダーナさん♪ |
ぱたぱたぱた
■ノエル To:ダーナ |
おはようございます。朝から熱心ですね。 稽古のじゃまにならないようにしますから、この辺で見てていいですか? |
■ダーナ To:ノエル |
そこで見ているのか? まぁ、かまわんが、何だかくすぐったいような気分だな。 セッ!…ハッ!…(また剣を振りだす。) |
■ノエル |
やっぱり切れが違うなぁ・・・ |
ダーナはしばらく黙々と剣を振り続けた後、軽く型をなぞりながらノエルに声を掛ける。
■ダーナ To:ノエル |
ノエルは、何の為に冒険者をやってるんだ? |
■ノエル To:ダーナ |
立派な戦士さまを見つけるため。 まぁ、いろいろあって、そんなこと忘れかけていたんですけどね。 あの子たちのこととか、他にもいろいろあるし。 このままじゃいけないって思ったから… で、ダーナさんはどうして冒険者に? |
■ダーナ To:ノエル |
わたしか?私は食べる為だ(笑)。 両親から勘当されてしまってな。 他に当ても無かったし、手に職も無かったからな(苦笑)。 |
■ノエル To:ダーナ |
勘当……ですか。 |
ノエルは『どうして?』というように小首を傾げている。
ダーナはそんなノエルに向かい、自嘲的に笑いながら、軽く首を振る。
■ダーナ To:ノエル |
まぁ、しかし、この職業は肌に合ってるようだ。 今では、それなりの野心もあるしな。 取りあえず今は、オランで十指に数えられる戦士になる事が目標だ。 その次は…。 っと、私の事ばかり話しすぎたか、あの子達と言うのは誰の事だ? |
■ノエル To:ダーナ |
その目標、きっとかないますよ(^^) 迷うことなく、正しいことのために剣を振るい続ける限り、神様の加護は常にあなたの上にあります。 ……私の犯したような過ちを犯すことはないのでしょう。 |
■ダーナ To:ノエル |
ふむ、そうあれば良いな…。 |
■ノエル To:ダーナ |
私は……壊れた魂を取り戻すために……翼をもって羽ばたける空を取り戻すために……手がかりを探しているのです。 |
■ダーナ To:ノエル |
……? |
■ノエル To:ダーナ |
ごめんなさい。こんな陰気な話しちゃって。 私、先に戻ってますね。稽古続けてください。 あなたにもマイリーさまの御加護がありますように。 |
■ダーナ To:ノエル |
うむ、こういう事をやっていれば嫌でもイロイロある。 ……頑張れ。 (背中を見送りながら。) |