海賊アジト近海・海上 |
港を出て三日。
作戦海域に近づいた船団は、囮役の船を先行させてそれぞれ島の影に入り、海賊のアジトから見えない位置に付けた。
囮が獲物を釣り上げてくるまで暫しの待ちである。
■ウ―サー To:ALL |
魚のほうはたいして釣れなかったが……海賊どもは大漁、といきてぇ処だなぁ? |
■ザラ To:マリーンズ&ALL |
さて、この海域での海釣りは、どの位待つものなのでしょう。 なにか、やっておく準備などありますか? |
■船乗りA To:ザラ |
まあ、少し待ってりゃ掛かるんじゃないかな? しかし、これから戦ってのに剛気だね姉さん。 |
■ダーニャ To:船乗り、ザラ |
そうだねえ、ミッちゃん、気のせいかなんだか楽しそう? |
■ザラ To:船乗り |
すみません、私、じっとしているのはあまり得意ではないんです。 剛毅ですか?とんでもない。 冒険者になる前は、窘められてばかりでした。 |
苦笑いを浮かべると、ザラは荷物の中から小袋を取り出した。
■ザラ To:船乗り |
ところで、あのバリスタを担当されるのは、どなたでしょうか? |
■船乗りA To:ザラ |
ああ、あそこに居るアルとベルだ。 |
と言って船乗りAはバリスタの側に居る二人を指差す。
■ザラ To:船乗り |
なるほど、名高いサー・ロバートの船の射手となれば、凄腕なんでしょうね? |
■ダーニャ To:ザラ、船乗り |
あ、やっぱそこちょっと気になるよね…。 バリスタって、普通に撃ってどのくらい当たるものなの?。 |
■船乗り To:ザラ&ダーニャ |
船体とか帆なら大体当たるわな。 流石に船乗りを狙うと難しい。 |
■ザラ To:船乗り |
なるほど、ありがとうございます。 ちょっとおふたりに話を聞いてきますね。 |
船乗りに礼をいうと、ザラはふたりの射手のところに向かった。
■ギン To:船乗り |
ところで、この先、風向きはどうなん? |
船の縁に寄って、目を細めながら振り返るギン。
■船乗り To:ギン |
今のところは、囮役が動きやすいように逆風に近い状態だ。 まあ、旋回して包囲するから順風を取る様に動く予定と聞いてるぜ? |
■ギン To:船乗り、ALL |
なるほど、ありがとう。 うちらは接舷してからが勝負になるかな。楽しみやね(人´ω`*) |
■ザラ To:アル&ベル |
こんにちは! 冒険者のミッちゃんです。 見事なバリスタですね! 使い手がおふたりと聞いたんですが、お話伺ってもいいですか? |
■アル To:ザラ |
おう、お前さんが噂の冒険者かい。 オレはアル。こっちはベルだ。 何せこいつは巻き上げに力が要るからな。 二人一組って訳さ。 まだ時間もあるし、何でも聞いて良いぜ。 |
■ウ―サー To:アル&ベル |
ほう、こいつぁ結構なモノだな…! どれどれ、ちょいと弄ってみてもいいかい? |
ウ―サーはバリスタの巻上げ器に手をかけ、力を込めてみた。
■ベル To:ウーサー |
構わんぜ、でも一人じゃ無理だと思うがな。 |
ベルの言葉通り、一般人よりかなり腕力のあるウーサーにもバリスタの巻き上げは一人では難しいと思えた。
■ザラ To:アル&ベル |
なるほど、おふたりで引くんですね! 発射してから次の発射まで、どの位かかります? あと、最大射程も教えてください。 こういう武器って、アザーンでも珍しいのでしょうか? いえ、相手の船も積んでいるのかなぁ、と思って。 |
■アル To:ザラ |
大体一分に3回位は撃てるな。 200mは確実に届くから、遠距離でも攻撃できる。 あと、まあ普通に戦闘用の船なら積んでいてもおかしくない位には流通しているよ。 もっとも、人を揃えて弓を撃った方が早いってものもあるけどね。 |
■ザラ To:アル |
普通の弓より射的は長いということですよね。 考えてみたんですが、この油袋を矢に付けて、向こうの船に届かせられませんか? 油を蒔いた後に火矢なり、炎の魔法なりを届かせれば、帆を焼いて船足を止められます。 運が良ければ、船全体にダメージを与えられるかもしれません。 |
削いで繊維を弱らせた小袋を見せながら、射手に尋ねるザラ。
■ザラ To:アル&ALL |
相手に、模倣する時間を与えないって所が肝心かもしれませんが。 |
■ベル To:ザラ |
なるほど、そいつは名案だ。 火を点けるのが普通は中々上手く行かないんだが、魔法があればうまくいきやすいかもな。 よし、俺達も手伝うぜ。 |
冒険者達とアル&ベルが火矢の準備を始める。
暫く経って準備が完了した。
その時、「囮船が戻って来たぞー!」と見張りの声が聞こえた。
ロバートが言う。
「野郎共、戦闘準備だ! 気張って行け!」