アザーン某所の港 |
翌日ロバートの船(輝く宝玉号と言う)に乗り込んだ一行は、アザーンまでの約一週間の船旅を終え、港に入った。
幸い、海は荒れる事も無く船は無事に到着する。
船員達が帆を下ろし、錨を沈めて波止場に板が渡されるとロバートが宣言した。
■ロバート To:ALL |
よーし、母港に到着だ。 仕事が終わった物から陸に上がって良し! 明日の早朝に再集合して、海賊退治の準備に掛かるぞ! |
■ギン To:ALL |
ほえー、ここがアザーンかぁ。 キョロ (。・_・。 ))(( 。・_・。) キョロ |
好奇心旺盛に港の様子を伺うギン。
■ダーニャ To:ギン、ALL |
ああ…やっと陸に上がれるぅ… |
ダーニャはそれなりに参っていたのか、露骨にホッとした様子。
■ザラ To:ロバート |
サー、船番はどなたでしょうか。 よろしければ手伝います、母港に降りたい方も多いでしょう。 |
■ロバート To:ザラ>埠頭? |
あー、客人にそんな事はさせられんよ。 おーい、副官! その辺に居るだろ? 聞こえてたらこっちへ来てくれ。 オランからの客人だ! |
■ザラ To:ウーサー |
客人? このような状況における冒険者の身分とは、傭兵とは違うのですか? |
ロバートが埠頭に呼びかけている間に、ザラは熟練冒険者である大男を見上げ、尋ねてみることにした。
■ウ―サー To:ザラ |
オレ様たち冒険者ってなあ、言ってみりゃあ「戦闘行為のプロ」として見られる事が多いワケだ。海での移動の最中に、賊だの怪異だのが出ないってワケじゃあ無え。 となると餅は餅屋ってことで、日頃の気力と体力は、精々温存しておいてもらおうって事になるだろう? そういう意味では、まあ「客人」……期間限定の「食客」っていう扱い にもなるわなぁ? とはいえ、まあ最後にゃあ、雇い主次第ってところだな……。客室を宛がってくれることもありゃあ、見張りだの、雑用の手伝いだのも頼むってこともあらぁな。 そのへんの気楽さっつーかあいまいさっつーかが、傭兵連中とは違うところだろうな。 |
■ザラ To:ウーサー |
「しょっかく」ですか…食わせてもらって賊や怪異が出なかったら、私は居心地悪いと感じると思います。 それに、今回の場合は、賊と戦うことが前提の軍船からの雇用です。 組織だった戦闘においては、本来職業軍人の方が「プロ」ですよね。 そんな人たちから見たら、協定で載せた駆け出し「冒険者」なんてお客に過ぎない、って考えもあるかもしれません。 いずれにせよ、実績を示せないうちに「気楽になれ」と言われても……いまはまだ難しいです。 |
ウーサーの言葉にひとつひとつかみしめるように聞き入ったザラは、真剣な顔つきで考え込んだ。
■ウ―サー To:ザラ |
おいおい、そんな妙な心配しなくてもいいぜ? オレ様たちにとっての「戦闘」ってなあ、軍人サマのとは違うんだからよ! 「いくさ」と「退治」ってなあ、真っ向から違う――遣り方も、それに関わる連中の心構えも、適正ってヤツも、な。 |
■ザラ To:ウーサー |
なるほど、つまりそれが今回求められている役割なんですね。 立ち向かう相手は「海賊」ではなく「怪物」だと。 マリーンが時間をかけてオランに廻った理由がわかりました。 はたして私たちがそれに応えられるのか、緊張しますね! |
■ギン To:ザラ |
ミッちゃんは真面目さんやなぁ。 もっと肩の力抜かんと、疲れてまうで(*´Д`)σプニプニ |
三つ編みドワーフの頬をつんつんとつつく銀髪の少女。
■ザラ To:ギン |
はい、私の取り柄は真面目なことぐらいですから!! それに、ゾ……いえ、あの方にお仕えするより、今の方が全然楽です。σ)^∀^)ニコニコ |
銀髪の少女につつかれた頬をそのまま、笑顔を浮かべる赤毛のドワーフ。
■ウ―サー To:ザラ |
ただし、客人なんてぇ立場に甘えずに、船員とは出来る限り交流しといたほうがいいってなぁ、オレ様の数少ねぇ船旅経験からの感想だな。なにしろ船の上じゃあ、こっちの命の大半は連中に預けてるも同然だしな。それにいざ事があったときに、連携のとり易さが段違いだぜ? それにな、海の上ってなぁこう、存外と暇なモンなんだよ……釣りだの手伝いだの、ちょいとした博打だのってなると、やっぱり船員と仲良くなっとくに限るぜ?あと、メシの旨さのグレードがべらぼうに変わるぞ! |
■ギン To:ウーサー |
さすがウサやん。いちいち説得力あるわ(=ω=) |
■ザラ To:ウーサー |
あ、手伝えば、印象が良くなるという話だったらわかります!! 今回だって、ヒマしているゆとりはなかったです。 一日の時間は限られているのに、ウミの上ではやらなければいけないことはたくさんありますから。 |
オランでは目に止まらなかった鮮やかな桃色の花冠に新たに装われ、豊かな髪をなびかせる舳先の女性像にちらりと視線を向けながら、変わらぬ口調で淡々と応じるザラ。
■ダーニャ To:ザラ |
うん、やっぱり真面目さんだね。ぼくはちょっとそういうところ見習いたいところかなあ。 |
船上では基本的に何も出来ずに、ずっとオカリナを吹いて、ともすれば船酔いになりそうなのをごまかしていたダーニャは、やや羨ましげに言った。幾つか船乗りから新曲を仕入れることも出来たので、船旅も無駄ではなかったようだけれども。
ロバートの声がかかると、波止場側で係留の指示を出していた女性がこちらにやってきた。ロバートと軽く言葉を交わし、冒険者達に向き直る。
■ビィ(副官) To:ALL |
冒険者の皆様、はじめまして。 ロバート隊の副官の、えー…ヴィクトリア・ドーソン、と申します。 隊内では副官、またはビィで通っておりますので、ビィとお呼びいただければと。 客船のようにとは参りませんが、なるべく不自由のないように配慮いたしますので、ご用があれば私にお申しつけください。 |
■ギン To:ALL |
せやなー、うち、今夜は久しぶりにふっかふかのベッドで寝たいわ(o´ω`o)ノ |
■ウ―サー To:ビィ |
オレ様としちゃあ、旨い酒と肴さえありゃあ……と、言いてえ処だが。 こちとら、客船なんぞと縁とおい事にかけちゃあ、陸じゃあ負けるモンがねえってくらいの冒険者サマだからな。その気持ちだけで十分ってモンよ! |
■ダーニャ To:ビィ |
よろしく、えーと、それじゃあ、ビィさん。 ウーサーに、ミッちゃんに、ギン。で、ぼくがダーニャです。はじめまして。 |
仲間を指してひととおり名前を紹介しつつお辞儀。
■ギン To:ビィ |
海賊たちになにか動きってあった? |
■ビィ(副官) To:ギン |
ロバート様がオランへ向かった後、商船団の一隊が襲われました。 船員のひとりが沈みかけの小舟で逃げ帰ってきましたが… 傷の手当が間に合わず、亡くなりました。 |
■ダーニャ To:ビィ |
そう… |
■ウ―サー To:ビィ |
……ちっ。 商船団の規模は、どれくれぇだい? |
■ザラ To:内心>ビィ |
(……逃したンだ。) ミッちゃんとよばれております、マム。 キャプテン・ロバートがオランに向かわれ、戻ってくるまでの間にあった襲撃は、その1回だけですか? 日常と比べ、頻度としては、どうなんでしょう。 |
女性への敬称を用いつつも、悪意も憚りもないまっすぐな視線をビィ福官に向け、尋ねかけるザラ。
■ビィ(副官) To:ウーサー、ザラ |
商船団は小規模のものです。積み荷も一般のもので、希な貴重品や魔法の品などは品目にありませんでした。 海賊の被害として確定しているのはその一件のみです。 行方不明の場合は出航した船が到着してない苦情が来て、そこから届け出が出され捜索等が行われますが、海賊事件として連絡がきているものは現在ありません。 |
■ザラ To:ビィ&ALL |
お答えいただけませんでしたが、皆様が特に異変という態度でないということは、つまり、最近の被害がその一件のみという状態が、海賊達の活動としては通常の範囲内と受け止められていると考えて良さそうですね。 報告のない被害まではわからないということですが……。 |
三つ編みの先を引っ張るようにしながら、やや伏し目がちに考え込むザラ。
■ビィ(副官) To:ザラ |
そうですね。海軍側でも厄介な海賊が出たという認識で、なんらかの背後関係を持っていたり、別の目的を有した集団であるとの調査結果はありません。 |
■ザラ To:ビィ |
「やっかい」…ですか。 普通の海賊とはどの辺りが違うのでしょう? |
■ビィ(副官) To:ザラ |
彼らだけがというわけではないのですが、タチが悪い部類だということです。 本来の目的は略奪にあるのでしょうが、血を流しすぎる。 調子に乗っているのか団内の恐怖支配のためかはわかりませんが。 海賊と一括りにしても、ガメルを差し出せば他は見逃されるというケースもありますからね。 |
■ザラ To:ビィ |
餌を生かし続けるという意味でも、身代金を取るほうがいいはずですよね。 長く続けるつもりがないんでしょうか、あるいは、普通のにんげんとは違う考えかたをするカシラなのかも。 逃げてきたヒトは、海賊について何か言っていましたか? |
■ビィ(副官) To:ザラ |
いえ…。失血が酷かったためか朦朧としていて、海賊に襲われたことと刃を受けてその弾みで船から落ちたということだけはなんとか聞き出せたのですが、それ以外はどうにも...。 |
■ザラ To:ビィ>ALL |
そうですか。 切られて落ちたところに、小舟があったのでしょうか。 それとも、広大な海の何処かでたまたま見つけた……? |
釈然としない顔つきのまま、ロバートや仲間たちの表情をうかがった後、ザラは改めて福官を見上げる。
■ザラ To:ビィ |
マム、狙われそうな商船隊で、その前後に同じような海域に向かったものがあったのかは、ご存知でしょうか。 |
■ビィ(副官) To:ザラ |
商船団自体が常に狙われていますが、今回襲撃された船団と似たような規模の隊も前後に出港していたはずです。 警戒令が出た直後は自粛していたようですが、座して破産するよりはマシと商船の往来が増え始めています。 現状の"運が悪いと襲われる"頻度では、あまり強制力のあることができないんです。 海の危険は海賊だけではないですから。 |
■ザラ To:ビィ&ALL |
ということは、こうしている間にも、次の犠牲が出ているかもしれないってことですね。 |
■ギン To:ビィ |
賊のアジトまでは一週間くらいやっけ? 一応、襲撃を受けた地点を後で教えて! |
■ビィ(副官) To:ギン |
そうですね。風の機嫌にもよりますが。 襲撃されたと思しき地点は作戦資料の海図に追記してありますので、後ほどご覧になれますよ。 |
■ダーニャ To:ギン |
そっかぁ、そういえばまだ1週間乗らなきゃなんだよね。 ギンは元気だなあ… |
ヤな事を思い出して、げんなりした感じのダーニャ。
質問攻めにあう副官を見たロバートは、一頻り話が終わった頃合いを見て、冒険者達に声を掛けた。
■ロバート To:ALL |
まあ、ここで立ち話も何だ。 酒保の方で飯でも食いながら話してくれ。 副長、客人に美味い飯と酒を出して貰うよう、酒保長に言ってくれ。 俺も繋留が終わったら行くから。 |
■ビィ(副官) To:ロバート、ALL |
了解しました。 みなさま、どうぞこちらへ。ご案内します。 |
■ロバート To:ビィ>ALL |
おう、俺もすぐに行くから先にもてなしておいてくれ。 俺のとっておきのラムを出して良いから。 それじゃ諸君、後で会おう! |
からからと笑いながらロバートは言い、船内に戻って行った。
■ウ―サー To:ビィ>ALL |
船乗りご自慢のラムたぁ、また愉しみだな! 話がわかるボスだとこう、頼りになるねぇ? それじゃあ、オレ様たちも行こうぜ? |
■ダーニャ To:ウーサー、ALL |
そうだね、景気を付けに行こう。 |