銀の網亭 |
四人が食事を摂りながら談笑していると、二階から欠伸をしながら降りてくる一人の壮年が見えた。
長く伸ばした茶髪をひとつに束ねている。
上着や胴衣、ズボンは全てくたびれかけてはいるが、どれも元々は高価な物で有る事がうかがえた。
しかし、腰に吊るしたカトラスは素人目にも業物に見える。
彼は四人を見つけると、おやじに何か話しかけてこちらにやって来た。
■ロバート To:ALL |
いよう、お前さんらが俺の依頼を引き受けてくれたんだって? 俺はロバート。ロバート・ブレイクだ。 見たところ、魔術師やらも揃っている様だな。 宜しく頼むぜ。 |
ロバートは、上着のポケットに両手を突っ込みながらそう言った。
■ギン To:ロバート |
わ、渋いおじさま(●´ω`●) おじさまが今回の依頼人? |
■ロバート To:ギン |
おう、そうだ。 |
■ダーニャ |
(…ギンはおじさん趣味、なのかな…?) |
ダーニャは銀髪少女の緩んでる顔をちらちら見て、興味深そうにしている。
■ザラ To:キャプテン・ロバート |
はじめまして。 サーが依頼を出されたキャプテンでしょうか。 具体的に、なにをすればよろしいのです? |
■ロバート To:ザラ |
おう、簡単だ。 俺の船に乗って海賊共をやっつける! おまけで奴らの稼いだお宝を没収する位だな。 |
■ザラ To:ロバート |
なるほど、確かに簡単ですね。 船の大きさと数、参戦可能な人数を教えていただけますか。 |
■ロバート To:ザラ |
取り敢えずこっちは4隻。 操舵やら帆の操作をする人間を抜けば一隻当たり20人位は出られる。一応外洋にも出られる船だ。 相手は、そうさな、俺らと同じ位の船が2隻ってのは確認されてる。 人数までは分からんが、負けている事は無かろうよ。 |
■ギン To:ロバート |
双方の投擲兵器なんかは? |
■ロバート To:ギン |
少なくともうちの船は、両舷にバリスタをひとつずつ付けてる。 敵さんは……ええっと、どうだっかな。 |
■ザラ To:ロバート>ALL |
サンキュー、サー。 言葉通りなら、悪くない話だと思いますが。 みなさんはどうします? |
■ウ―サー To:ロバート>ALL |
船のいくさは詳しかねぇが、オレ様たち冒険者を雇おうってんなら本拠地への揚陸戦か、鋭角(ラム)でどついた後の白兵戦ってところで必要ってことかい大将? ま、どっちにしろオレ様は、全力でブチかましていい相手がいるってんなら海原だろうが鉱山だろうが、何処へだって「行く」ってえ答えしか用意してねえんだけどな? |
■ギン To:ザラ、ロバート |
うちも手伝うよ。報酬は? |
■ロバート To:ギン&ALL |
そういや、依頼書に書き忘れてたな。 基本は一人頭800ガメル! 後は海賊共のお宝次第って所だな。 まあ、1000ガメルくらいは稼げると思う。 途中の飯と宿も完備だ。船の中だけどな。 |
■ギン To:ロバート |
お宝!むっちゃ冒険者っぽい!(o´ω`o) |
■ザラ To:ロバート |
つまるところ、船飯吊床ですよねー。(苦笑) |
■ギン To:ザラ |
きっとお酒もいっぱいあるよ (* ̄¬ ̄) |
■ザラ To:ギン |
うー、操船や戦闘はしらふでやってほしいとまともなキャプテンなら思いますよね。 |
ギンと名乗った少女にむかって、口元をくいと拭う仕草をしてみせるザラ。
■ギン To:ザラ |
すいけん!<●> <●>くわっ |
真紅の瞳を目一杯見開いてみせるギン。
■ダーニャ To:ギン |
!? |
それを見てむしろ目を白黒させるダーニャ。
■ザラ To:ギン |
ギンさん、すみませんが。 それは何かの符丁でしょうか、それとも冗句??? |
真剣な表情で首を傾げるザラ。
■ギン To:ザラ |
えー? 酒飲みの挨拶みたいなもんやで、ミッちゃん知らんの? こうやるんよ。すいけん!<●> <●>くわっ |
■ザラ To:ギン、ダーニャ>ウーサー |
なるほど、挨拶だそうですよ、ダーニャさん。 ウーサーさんはご存知でした? |
<◎> <◎>
精一杯目を見開いてみながら、テーブルの面々を見回すザラ。
■ザラ To:ロバート |
サーには、お宝の目星はついているんですか? それとも、海賊だから積んでいるだろうっていうだけの話でしょうか。 |
■ロバート To:ザラ |
少なくともこれ迄奪ったお宝はあるから、それは俺らが没収して良い事になってるよ。 どうしても、と言う様な貴重品は返却しないと駄目だがな。 |
■ザラ To:ロバート |
…これまで奪った? つまり、サー? 相手は襲撃や航海を終えて帰還する頃合いってことでしょうか。 |
■ロバート To:ザラ |
あー、言い方が悪かったな。 海賊共は無人島のひとつをアジトにしているのさ。 奪ったお宝はそこに貯め込んでいるという訳。 場所もあたりが付いてる。 奴らの船を沈めた後にごっそり取り返そうって寸法さ。 |
■ダーニャ To:ザラ、ウーサー |
それならぼくも参加したい。 断る理由は無いように思うけど、どうかな。 |
■ザラ To:つぶやき>ダーニャ |
やれやれ、すんなりオカに上がらせて貰えるわけがなかったです。 はい、ダーニャさん。 求められているのなら、応ずるべきでしょう。 どうやらそれが「冒険者」の役目のようです。 |
言葉を切り、きゅっと口を引き結ぶと。
ザラは視線をダーニャに合わせて小さく頷く。
■ダーニャ To:ザラ |
なるほど…そっか、きっとそういうものなんだね。 |
一瞬きょとんとしてから、なんだか腑に落ちたような顔をして、ダーニャはザラに頷き返した。
■ギン To:ALL |
えへへー、なんやわくわくするなぁ。 |
■ギン To:ロバート |
何日くらいの遠征を予定してるん? |
■ロバート To:ギン |
少なくともアザーンの港まで二週間は掛かる。 そっから出撃だから、まあ往復一週間以上は見て置いた方が良いな。 全部で一月以上見て置いてくれるか。 |
■ザラ To:ロバート |
2週間の1週間…決着がつくまでに20日ってところなんですね。 その間に、こちらの動きを嗅ぎつけるような相手だと思われますか、サー? |
■ロバート To:ザラ |
今回退治する海賊共は、弱い者苛めを楽しむ様な屑どもだ。 こちらの動きは覚られていないと思うし、そこまで知恵が回るとも思えん。 ……と言え、その辺の防諜は俺の副官に任せているから大丈夫な筈だ! うん。 |
■ザラ To:ロバート |
よろしければ、サー。 副長のお名前を伺っても? |
■ロバート To:ザラ |
ヴィクトリア。ヴィクトリア・ドーソンだ。 |
■ウ―サー To:ロバート |
ん? 副長サマは女なのかい? |
■ロバート To:ウ―サー |
ああ、うん。そうなんだ。 実力はこの俺が保証する。 本人結構気にしてるから、その事は面と向かってあまり言わんでやってくれると助かるわ。 |
■ウ―サー To:ロバート |
……オーケイ。気をつけさせてもらうぜ。 |
■ダーニャ To:ウーサー |
ウーサーはそういうの気になるの? |
■ウ―サー To:ダーニャ |
ん? ああ、オレ様としちゃあ実力さえありゃあ……ってカンジだが、オレ様の知る限りの「船乗り」ってえとこう、ジンクスっていうのかい? オカの仕事と違って、気にするヤツは気にするところだってハナシだからよ。 |
美貌の女船員を妬んだ海の女怪が……的な物語劇を思い浮かべ、太い眉を顰めるウ―サーだった。
■ザラ To:ロバート |
サーの船はともかく、アザーンの海軍全体としては、その辺りはどうなんです? ここにいる「冒険者」だって半数は「女」というわけなんですが。 |
相変わらず真面目な口調で、まっすぐロバートを見据えて尋ねるザラ。
■ロバート To:ザラ |
ああ、そのへんね……。 軍とは言ってもまだ寄せ集め。なので別に性別は関係無い感じだ。 まあ、船乗り連中にも迷信深いのが居るから……うるさいのはそいつらくらいだよ。 これだけは保証しておこう。 ”俺の船に居る限りは男も女も関係ねえ”、よ。 |
■ザラ To:内心>ロバート |
(だからぁ、問題はそこじゃなくって……あー、ドーソンさんも大変だ) いえ、なんでもありません、サー。 お答え、ありがとうございました! |
ザラは上目遣いにロバートを見上げつつ、やや早口に応じる。
■ギン To:ロバート |
それから、一応おじさまの立場を確認しておきたいんやけど。 おじさま、アザーンの人なの? |
■ロバート To:ギン |
一応アザーンの正規軍人だよ。これでも爵位持ちさ。 まあ、地元に居る事は少ないけどな。 嬢ちゃん、裏を取りたいのは分かるが、こっちも時間が無いからそこらへんは店のおやじを信用してやってくれないか? 少なくとも、騙してどっかに売り飛ばすには芸が混みすぎてると思うぜ! |
■ギン To:ロバート |
ごめんなさい(>△<)アザーンのお話とか聞いてみたかったんで、つい。 |
■ロバート To:ギン |
おおう、そいつは悪かった。 アザーンの話なら船旅の途中で幾らでも聞かせるよ、お嬢さん。 |
■ギン To:ロバート |
うち、ギンて言います(●´ω`●) お話、楽しみです(>△<) |
■ダーニャ To:ロバート |
緊急なんですか? |
■ロバート To:ダーニャ |
割と。”可及的速やかに”って奴さ。 |
■ザラ To:ロバート |
オランで加わるのは、ここにいる4人だけなのでしょうか? |
■ロバート To:ザラ |
ああ、そうだ。 なんでも海の邪神が動いているってな話で、強い連中は全部そっちに出払っているそうな。 俺としてももう何人か集めたかったが、仕方ねえ。 期待しているぜ! |
■ギン To:ロバート |
ほえー、「じゃしん」 |
■ウ―サー |
なん……だと……!? チッ、新しいソース作り徹夜で徹夜してるうちに、そんな面白そうなネタを取りこぼすたぁな……! |
■ザラ To:ロバート |
ウェァ……つまり、オランでぐずぐずしていると、お宝どころか、対邪神海戦への強制徴募が発動しかねないってことですね。 |
上目使いに、自分より背の高いヒューマノイド達を見上げると。
ザラはため息をつきつつ、足下の荷物に手を伸ばした。
■ロバート To:ALL |
じゃあ、俺が知っていることは全部話した。 全員依頼を引き受けてくれるって事で良いんだな? |
■ザラ To:ロバート |
サー、最後にひとつだけいいですか。 船飯つきとは言われましたが、ひとつきも海に出るなら各自それなりの備えは必要でしょう? ここのおやじさん曰く、依頼のスポンサーが保存食を提供してくれるそうですが。 そちらの手配も、よろしくお願いします。 |
■ギン To:ザラ |
釣り道具なんかも準備せなあかんね!! |
■ロバート To:ALL |
良し分かった。 通常の食料に加えて、保存食を多めに積み込むわ。 出撃前に一人一週間分ずつ配るとしよう。 一応船員の人数分に加えて予備も釣り具はあるが、出航前に好きなのを見繕う時間はあるだろう。 明日の朝には出港するから、準備は今日のうちに済ませておいてくれ。 それで良いか? |
■ウ―サー To:ロバート>ALL |
ああ、オレ様はそれでOKだぜ? あ、釣り具は自前のを使うから、餌だけ分けてくれると助かる。 お前らはどうだい? |
■ダーニャ To:ウーサー、ALL |
ぼくもそれで構わない。 |
■ザラ To:ロバート>ウーサー&ALL |
ありがとうごさいます、サー。 ベテランの方が大丈夫というなら、安心です。 他になにか、いまのうちにやっておくべきことはありますか? |