【オラン・銀の網亭】 |
■カラレナ To:ALL |
私、そろそろ行かなくっちゃ。 乗り合い馬車に遅れちゃうので…。 リキュオスさんのぶん以外は、私が奢りますねっ。 |
ぱたぱたとカウンターへ。
■カラレナ To:おやじ、おかみ |
おやじさん、おかみさん、 お世話になりました。(深々〜とお辞儀) 冒険者は辞めませんけど、このお店は卒業して、もっと広い世界を見てこようと思います。 えと…また、懐かしくなったら、遊びに来ますね。 |
リキュオスのぶん以外(笑)の金額をカウンターに置いて、あらためて"オランでの両親"であったふたりへ、感謝の笑みを浮かべた。
■おやじ To:カラレナ |
そうか、行って来い。 今のカラレナに相応しい、大きな居場所を見つけてこい。 |
■おかみ To:カラレナ |
身体に気をつけて。 オランに寄ったときは、顔を見せてちょうだいね。 この店はいつも、みんなの為に開いているから。 あなたの為にもね、カラレナ。 |
深く頷くおやじの隣で、にっこり笑顔を浮かべるおかみ。
■カラレナ To:おやじ、おかみ |
ありがとうございます…。 頑張りますね。 |
そこへ、カラレナが席を立ったのを見たウーサーも、厨房から出てきて眉をしかめるような表情をつくりーー照れくさそうに首を揉みながら、ぶっきらぼうな口調で別れを告げてきた。
■ウーサー To:カラレナ |
おう、行くのか嬢ちゃん……まあ、アレだ。オメェは実力のワリに、控えめすぎんだからよ。気合入れていけよ? ああ、それとだ。モテねぇからって、自棄になるんじゃあねえぞ? |
■カラレナ To:ウーサー |
なっ、何ですかそれ〜。 モテなくたっていいもん……カザークさんがいれば(ぶつぶつ) ……はっ! い、いけない、もう行きますねっ! |
赤い顔を隠すかのようにパタパタと扉へ駆け寄り、最後に店内のみんなへ手を振りつつ、ばんっと勢いよく扉を押し開ける。
■外にいた人 To:扉をばんっと押し開けた人 |
注意散漫っ!! |
突然押し開けられた扉を、ばんっと受け止めて激突を防いだ、扉の外にいた誰かが、大きく叱責を飛ばしてきた。
カラレナには、聞き覚えのある声だ。
■カラレナ To:ゾフィー |
あっ…ゾフィーさん! よかった〜! |
旅行用の荷物を振り落としながらぱっとドアの裏側へ回ると、紫に包まれた、自分より背の低いその体をがばっと抱きしめる。
■そこにいたひと(ゾフィー) To: |
ふがっ、モゴ……モゴ…○■◎▽■×○!! |
手にした墨杖をばしばし床につきたてながら、意味不明な言葉を喚き散らすものの。
紫の長衣をまとったドワーフは、そんなカラレナを突き放そうとはしなかった。
■カラレナ To:ゾフィー |
あっ、あのお魚どうでした? お肌すべすべになりました?(^^) |
■ゾフィー To:カラレナ |
すべすべどころか……。 しかしよくまぁ、ホンモノをみつけましたこと。 46年ぶりの大発見よ。 |
■カラレナ To:ゾフィー |
わあ、そんなにスゴイモノだったんですか〜。 ピエロさんに感謝しなきゃ。 |
■リキュオス To:ゾフィー |
おう、婆さん。バカンス行くんやって? |
■ゾフィー To:リキュオス |
バカンスで済めば幸いでござぁますわ。 なんでしたら、一緒においでになられます? 交通費ぐらいは持ちましてよ。 |
いつものごとく投げかけられる鋼色の視線。
だが、いつになく目尻が下がってみえる。
■リキュオス To:ゾフィー |
お? なんやなんや。 前に言うてた娘にでも会いに行くのか? |
■ゾフィー To:リキュオス |
それではバカンスにならなくてよ。 ま、通りかかれば、消息位は尋ねるやもしれませんが。 どうやらその程度の距離感が、今は主流のようですし。 |
店内に投げかけた視線が、6番テーブルの辺りで留まり。
すぐに逸らされた。
■リキュオス To:ゾフィー |
はっはっはっ、近くまで来たら出来の悪い「息子」にも会いに来てくれや(笑) |
下品な笑い声を上げるなんちゃってエルフ。
■ゾフィー To:つぶやき? |
ふんっ、そこを目指すならもう少し奮起していただきませんと。 「出来が悪い」段階で、わたくし以前の問題となりますでしょうし。 |
■カラレナ To:ゾフィー |
私、しばらくドレックノールのほうへ旅に出ることになったんです。 それで、このお店は卒業して、もっと広い世界を学んでこようと思って。 …ゾフィーさんにもお世話になりました。 色々教えてくださったこと、忘れません。 |
いつものように、深々〜とお辞儀。
その拍子に、腰から提げた曲刀から、しゃらりと海の音がした。
■ゾフィー To:カラレナ |
最後のそれは、お互い様ね。 礼にはおよびません。 わたくし、ガルガライスに向かう交易船を押さえましたの、あの船、まだ部屋は空いてございましてよ。 |
■カラレナ To:ゾフィー |
ガルガライス…近いですね(^^) のんびり陸から行こうと思ってましたけど、どうしようかな… |
■ゾフィー To:カラレナ |
まっすぐ目的地というわけではないわ、交易船ですから。 エレミアやロマールにも1週間ずつ寄港するそうよ。 海路にしては、のんびりなのかしら。 |
そっけない口調でそこまでいうと、ゾフィーは一度言葉を切る。
ひと呼吸おいた後、今度はささやき声で返してきた。
■ゾフィー To:カラレナ |
野暮な話ですが、ちゃんと式は挙げたのでしょうね?! |
どうやら、新婚旅行と思い込んでいるような口ぶりだ。
■カラレナ To:ゾフィー |
え?? 式…式って…… …………。 ちっ…違います! ゾフィーさんまでそんな……私とシリルさんはそんなんじゃ〜!(T_T) |
ついさっきのトラウマを掘り起こされたらしい。
■ゾフィー To:つぶやき |
シリルさん……?! |
ゾフィーの両眉が同時にはね上がった。
■ゾフィー To:カラレナ |
あなた、自棄になっては駄目よ。 男に振られたからって、まさか女?! しかも公言してのけるなんて馬鹿娘以上の胆力だわ。 |
■カラレナ To:ゾフィー |
………………え? あ、あの。(・□・;) |
ぐるりと目を回すようにして天井を仰ぐと。
銀の扇を片手に、つかつかと6番テーブルへと歩み寄るゾフィー。
■カラレナ To:ゾフィー |
まっ、まっ、待って〜〜〜! ごか(べち) |
一瞬固まったせいで動きがこんがらがり、歩み去るゾフィーの服の裾を掴もうとして空気をつかみ……そのまま床に顔面から豪快にすっ転んだ。
■カラレナ To: |
。。。\(@▽@) ノ。。。 |
へんじがない ただのしかばねのようだ。
しかも くさりはじめている。
■???? To:カラレナ |
あっーー大丈夫ですか、カラレナさん! |
■カラレナ To: |
(えっーー?) |
ひさしぶりに聞くーーけれど、とても聞きたかった声が、喧騒をすりぬけて耳に届いた。
顔を上げた先には、素早くこちらに走り寄って屈みこみ、こちらを覗きこんできた端整な顔立ちがーー
■カザーク To:カラレナ |
む、顔全体が真っ赤に…… 大丈夫ですか? 手をお貸ししても、よろしいでしょうか? |
黒いリングメイルを纏い、細身の大剣を背負う、屈強そうな体躯の東方系の男。
騎士のような厳格さを滲ませる、その男ーーカザークは、何故か真新しい旅行用のマントを羽織り、これまた真新しいバックパックを背負っていた。
使い込まれた鎧や大剣、ブーツといった諸々のものをのぞけば、まるで「今日旅立つことを決めて、旅行用の装備品だけをひとおり、店のおやじに勧められるままに買い揃えた、元剣士の冒険者見習い」であるかのような出で立ちになってしまっている。
■カラレナ To:カザーク |
……か、カザークさん。 あ、あのあのっ…… だ、大丈夫……………… (/ _ ; ) |
転んだところを見られた気恥ずかしさと、いま一番会いたかった顔に会えた嬉しさで、思わず涙ぐむ。
■カザーク To:カラレナ |
いや、本当に大丈夫でありますか? む……? |
カザークはカラレナの装いや、席の近くに置かれた荷物に気がついたようだった。
■カザーク To:カラレナ |
カラレナさん……何処かへ出られるご様子ですが、依頼でありますか? |
■カラレナ To:カザーク |
あっ、いえあの…。 ドレックノールのほうへ、旅に…。 あんにゃろ…あっ、えと、兄に会いに行くんです。 冒険者になるように仕向け…じゃないっ、きっかけをくれたひとなので…色々、報告したいことがあるから…。 |
そこでふと、カザークの目を見つめ、すぐに赤くなって目を逸らす。
■カラレナ To:カザーク |
ギルドには、出発前に寄ろうと思っていたんです…けど… あ…あの、カザークさんも、どこかへ……? |
真新しい旅装を見、少し不安げに尋ねる。
■カザーク To:カラレナ |
あ、いや、それが……。 |
カザークの顔にカラレナが初めて見る種類の、なんとも頼りなげな表情が浮かんだ。
■カザーク To:カラレナ |
実は、さきほど突然、お嬢…ベルカナン様から、今日でお前は首だ、と……。 理由はよく、わからないのですが…お嬢曰く「いい加減見てて疲れた」とか……? |
■カラレナ To:カザーク |
ええっ……?? |
そして彼は、捨てられた仔犬のようなまなざしで茫様と、呟くように事情を話しはじめた。
■カザーク To:カラレナ |
それからこのマントと、バックパック──かなりの額の宝石類と、だいたい2人分くらいの遠征用具が一式入っていたのですが──を渡されまして……。 「オランに居続けさせるのは問題があるから、暫くこの国を離れて、ほとぼりを冷ましてこい。そのあとでならヒラ冒険者としてオランのギルドに戻ろうと、何処に住もうと好きにしろ」とだけ言われ、リカザークの奴に部屋から押し出されたのでありますが……斯様なことは初めてで、自分は一体全体、如何したらよいのやら……。 ですが、その…押し出されぎわに、お嬢が。 「それから、銀の網に行ってカラレナに会ったら、『餞別だから好きなように使ってくれ、って言ってたって伝えておいてね』と言っておられたのですが……。 カラレナさんは何か、特殊な密命でも受けておられたのでありますか……? |
■カラレナ To:カザーク |
えと…… それって……それってあの……。 |
胸がいっぱいになり、両手の手のひらに顔をうずめる。
■カラレナ To:カザーク |
カザークさん、お願いがあるんです。 私、ドレックノールにひとりで行くのは初めてで……本当は少しだけ不安なんです。 もし、カザークさんの旅に、あてがないのなら、……一緒に……行ってもらえませんか? |
懇願するような視線でそう告げたあと、もう一度カザークの瞳をまっすぐ見つめ直して言葉を続ける。
■カラレナ To:カザーク |
そして…その後で、もし…カザークさんが自分のために旅立つようなことになったら、その時は……。 私を連れて行ってほしいんです。 |
■カザーク To:カラレナ>ひとりごと? |
えっ……あ。 お嬢、恨むでありますぞ……ありますが、しかし……。 |
カラレナの言葉に表情から不安の陰が消えたカザークは、大きく頷きかけ……なにかに合点が行ったのであろうか、目を白黒させながら真っ赤になった。
しかし大きく頷くと、カラレナに手を差し伸べながら、真っ赤なままで真剣な表情になり、呟くように問いかけてきた。
■カザーク To:カラレナ |
ドレッククノールどころか、あの辺りの街々でしたら、よく知っております。同行しましょう……いえ、貴女に、同行させてください。 そして叶うならば、此度の貴女のその旅が……終わったあとも。貴女がこの私を、その……「いい加減見てて疲れ」てしまう、そのときまで……。 傍にいることを、許していただけるでしょうか? |
■カラレナ To:カザーク |
はっ…はい……。 |
差し出された手のひらに、自らの手のひらをそっと乗せると、カラレナはまた、今度は嬉しさで涙目になりながら、小さく頷いた。
■カラレナ To:カザーク |
カザークさんのことを、見疲れることなんてきっと一生、ないです(/// あっ、そうだ… |
何かを思い出したかのように、足元に放り出していた荷物に目をやり、そっと結び目を解いて、丁寧に封がされた手紙を取り出す。
■カラレナ To:カザーク |
これ…もし、ギルドで会えなかったときのために、お手紙を書いたんです…旅立つ理由と、あと…その…い、色々。 い、今言ったことと、ほとんど一緒だから、読まなくてもいいですよっ。(/// |
旅立ちの報告だけにしては、やけに分厚い封筒。
恥ずかしさでいっぱいになりながらも、おそるおそるカザークへと差し出した。
■カラレナ To:カザーク |
あの……カザークさんは、「海」見たことあります? オランの港からずっと先の……。 私は、まだ無いんです。 西方行きの船があるらしいので、それに乗って…船旅もいいかなって。 |
「紫の脅威」が6番テーブルに向かったことも忘れて、底抜けに幸せそうな笑顔をカザークに向けているカラレナ。
■ゾフィー To:6番テーブルの面々 |
ごめんあそばせ。 どなたかシリルさんとおっしゃる方をご存知かしら? |
■リキュオス To:ゾフィー |
ん? カラレナのフィアンセなら、そこに…あれ? さっきまでそこの席でチーズケーキ頬張っとったんやけど…。 |
リキュオスの言葉に、ゾフィーの右眉がぐいっと動く。
ふと気付くとシリルは、「ううっ、危険が危ない……?!」とか呟きながら、テーブルの下に潜り込んでいた。
■アリス To: |
きゃーvvv フィアンセだったり、旦那だったりぃ。 お話の世界みたい〜、すっごーい、ステキ〜〜o(^▽^)o |
■ウーラ To:アリス>シリル |
アリス、いっつも思うけど、そのテンションでよく疲れないね。 あ、シ リ ルさぁーん? 大丈夫ですよ〜。 誰だか知らないけど、このドワーフのひと、冗談わかってくれそうなふいんき(ryですしぃ。 |
パイナップルの切れ端が刺さったままのフォークを置くと。
テーブルの下を覗き込むようにして、声をかけるウーラ。
■シリル To:ウーラ |
ええ〜〜〜っとその〜〜〜っ、あーゆーオバサマはニガテなんだにゃ〜〜〜〜? |
■ゾフィー To:シリル |
あら、そう? ではここから失礼いたしますわね。 これまで、カラレナがお世話になりました。 せっかちでそそっかしい娘でございましたが、図書館などでいろいろご援助いただきましたようで、御礼申し上げます。 それから、こちらに掛けている赤毛の娘はザラ。 本人の希望もあり、しばらくオランで修行させることにいたしました。 図書館とは縁の無さそうな娘ですが、冒険者となればそうも言ってはおれんでしょう。 時には目を配っていただけますと幸いですわ。 また、こちらにもうひとり。 わたくしが後見することになりましたメナスと申す娘がおります。 学業が進めば、本とは無縁ではおられますまい。 わたくし、この娘には、まっすぐ育って欲しいと望んでおります。 あなたの出来る範囲で見守ってやっていただけると嬉しいです。 立ったままで、ごめんあそばせ。 どうしてもお伝えしたかったものですから。 |
そこまで言うと、ステッキを脇にたばさみ。
ゾフィーはザラが横に置いていたトランクに手を伸ばす。
■ザラ To:ゾフィー |
ゾフィー様、それは私が。 |
■ゾフィー To:ザラ |
いえ、結構よ。 あなたは自分の道をお行きなさい。 |
■シリル To:ゾフィー? |
うええっと〜、メナスちゃんのことはボクもキョーミあったから、知り合いに見といてもらっときますです〜。 あと、赤毛ちゃんもその知り合いに、ひとこと頼んどくね〜? |
テーブルの下からおそるおそる、もそもそと這い出しながら、シリルはひとりごとのように呟いた。
■リキュオス To:シリル |
ノーマルな知り合いやろな? メナスは俺の大切な妹や。カラレナみたいな嗜好に目覚めたりしたらかなわんで。 |
■シリル To:リキュオス |
本気の恋愛に、ノーマルもアヴノーマルもないっ!!(キリッ) |
■ゾフィー To:つぶやき |
なるほど、KYとかいう言葉の用い方が少し理解できた気がいたしますわ。 |
■ゾフィー To:メナス |
旅に出てまいります、依頼よりも長い期間ね。 この店の主の目はかなり確かですから、出入りする面々は何かあった時の寄りどころにはなるでしょう。 店内では、目と耳と頭はもちろんのこと、心を働かせておきなさい。 そうすれば、新しく見えてくるモノもございましょう。 |
■メナス To:ゾフィー |
め、と…み、み…、あ、たま……。こ、こ、ろ……? い、まは……まだ、わか、ら、ない、けれど……いし、き、して…やって、みます。ぞふぃー、おばさ、ま。 |
メナスはふかぶかと頷くと、ゾフィーを安心させようとしてか、まだ引きつりが抜けきらない唇を、「笑み」のかたちに吊り上げてみせた。
■ゾフィー To:メナス |
ならば結構、再会を楽しみにさせて貰います。 |
小さな笑みを見据える鋼色の瞳。ひと呼吸置いた後、ゾフィーは僅かに腰を屈め、メナスの双眸を同時に覗き込んだ。
励ますような頷きの後、紫に包まれた腕が、少女の身体をぎゅっと抱きしめる。
■ゾフィー To: |
いずれあなたも超えてゆく。 その時まで、わたくしは見守り続けましょう。 |