オラン港・広場 |
屋台街を離れたウルスとエルは一旦港の広場に戻った。
一旦ここで集合することにしていたからだ。
そこに、ホトがやって来る。
■ウルス To:ホト |
おや、ホトさん。ゾフィーさんは…? …もしや、本命を見つけましたか?! |
■ホト To:ウルス&エル |
んにゅ?んー、本命さんは残念ながら。 ただ気になる蟻さんの穴があったので、お二人を呼びに来たのですよ。 ゾフィーさんは先に観察してますね。 お二人の方は何かありました? |
話は歩きながらと言うように、ウルスの袖を掴んで路地Bの方へ促す。
■エル To:ホト |
聞き込みをしてみましたが、あまり有意義な情報は出てきませんでしたね。 官憲の人たちの確認作業になっただけという感じです。 |
■ウルス To:ホト |
…ですな。港湾区で消えたお2人もアラシアさんと同じく、突然、何の前触れもなしにふっと消えとります。 2人とも1人で帰宅途中、少なくとも1人は路地裏での失踪ですな。もう1人も、その可能性が高いですわ。 あと、屋台でも食料をまとめ買いする若い男がいたようです。 その…アリだかネズミだかの穴って、路地裏ですかね? |
■ホト To:ウルス&エル |
食料のまとめ買いですか? そういえば糖蜜酒と錨亭でも2、3日おきにお弁当買ってく方がいるそうですよ。 蟻さんの穴は…ん〜、直接見ればわかると思いますよ。 |
■ウルス To:ALL |
つまりは毎日、港のどこかで食料をまとめ買いしてる、と言う事ですかね。 一応、仕入れの場所を変えて目立たないように工夫はしているつもりらしいですな。 |
三人はゾフィーが調査にむかった路地に向かった。
下水道の蓋は閉じられていて、まだゾフィーが戻って来た様子は無い。
■ウルス To:ホト、ALL |
ここですか…なるほど。条件的にはぴったりですなぁ。 さて…。 ここで帰りをぼうっと待っているのも何ですが、明かりを持って追うのも、色々とぶちこわしですわな。 他の穴ぼこでも探してみますかね? |
■ホト To:ALL |
あ、この前によった所(路地A)は特に何もありませんでした。 |
路地Aの位置と、ついでに路地Cの位置を2人に伝える。
■エル To:ホト |
その二ヶ所以外に出入りできる場所はない……とは考えにくいですよね。 それ以外のポイントはまだ把握できていない、ということでしょうか。 ゾフィーさんに追い立てられたところを待ち構えて……とかできれば良いのですが、待ち伏せ地点を特定できないのでは如何ともしがたいです。 |
■ホト To:エル |
んー、広いですしね。 何かあれば「糖蜜酒と錨」亭に伝言残せば良い感じです。 私は一応そっちに顔出してきますねー |
■ウルス To:ALL |
むう…。買い出しに現れるありんこを店で待ち伏せして別の穴を案内させるって手もありますかね。 ただ、必ず現れるかどうかとか、タイミングがずれないかとか… おつかいアリさんがネズミ並みに臆病でずるがしこいのだと、ホトさんに頼るしかなくなるとかが難ですかね。 |
冒険者達が相談していると、下水道の蓋ががたがたと動き出した。
どうやら下から何物かが出てこようとしているらしい。
■ホト To:ALL |
にゅ? |
■エル To:ALL |
……ひょっとしてコレ、当たりを引きましたか? いえ、ゾフィーさんが頑張って誘導してくれたのかもしれませんが……。 |
■ウルス To:ALL |
いずれにしろ、チャンスですな。 |
ウルスは、音がなるべくしないようにしながら、姿勢を低くして身構えた。
そのまま待っていると、やがて下水道の蓋が下から持ち上げられた。
壮年の人間男性らしき上半身が見える。
■???C To: |
あれ? |
男は慌てて下水に逃げ込もうとするそぶりを見せた。
ホトとウルスが素早く動き、逃げようとする男を捕縛した。
■???C To:ALL |
何だよあんたら……。 |
■ウルス To:???C |
しらばっくれたって無駄ですわ。 ネタは挙がってるんだ。とっとと女子供の居所を教えてもらえませんかね。 |
拘束した腕に力を込めながら、押し殺したような低い声を出すウルス。
■???C To:ウルス |
何の事でやんしょ? あっしは只の浮浪者ですぜ……。 |
どう見ても浮浪者に見えない肉付き、服装で男は言った。
■ホト To:???C |
ほむ?ほむ〜。浮浪者さんって事は…何をしても誰も気にしない…って事ですよね〜? 地下で何してたか…正直にお話しませんか? |
ホトは困ったように微笑みながら、男の頬に手を、親指を瞼に軽く押し当てて問う。
元より裏路地である。周囲を通る人影は見当たらない。
そして、二人の目が本気で有る事を悟り、男は諦めたかの様に言った。
■???C To:ウルス |
……命ばかりはお助けを。 あっしゃ只の下っ端でさあ! 何でも話しますし、何ならアジトも案内しやす! 殺さねえでくだせえ……。 |
最後の方は涙声だ。
■ウルス To:???C、ALL |
ふむ。賢明ですな…死ぬほど痛い目に遭う前に、素直になれるのは。 おいらは粗暴で手荒いだけだが、この御仁はずっとスマートなやり方を心得ておられますからな。 …まずはアジトへの道が知りたいですな…地上から行ける道が。 あんた方の「獲物」はそこできちんと扱ってもらえてるんでしょうな? |
■エル To:独り言 |
……ファリス様。 僕は今、何も見ませんでした。 |
■???C To:ウルス |
ここから行くのが一番近いでさあ! それから……もちろん丁重に扱ってまずぜ! ちゃんと食い物も与えてるし。 |
ホト To:ALLんっんー。お客様は丁重に、ですもんねぇ?
ここから潜るなら、ゾフィーさんの目印もありますね。
■ウルス To:???C、ALL |
仲間は何人で…頭はどこに? |
■???C To:ウルス |
仲間はあっしの様な下っ端が6人。あとボスと”先生”ですわ。 頭はアジトの奥に居ます。 |
■ウルス To:???C→ホト |
ふうむ。それじゃ、アジトの見取り図をざっと描いてもらいましょうかね。 ホトさん、おいらちょいと手を放しますんで、よろしく頼みますわ。 |
荷物の中から羊皮紙とペンを引っ張り出す。
■ホト To:ALL |
ふに…いっそ本人連れて行けば問題ないんじゃ無いですか? |
■???C To:ウルス |
描くのはええですが、右手だけでも縄を解いてくださいませんかね? 口で描くのは無理っす……。 |
■ウルス To:???C、ALL |
おっと…そりゃそうだ。しかし、ほどいたり縛り直したりは面倒ですな。 言葉で聞くのは勘違いの元ですし、…同行させた方が早いですな。 |
男を先頭にして、地下水路へ潜る冒険者達。
水は浅く溜まっていて、酷い臭いも無い。
■ウルス To:ALL |
下水溝ってより、排水溝ですな。この辺りは、もともと湿地だったんですかね。 われわれには、明かりも音も隠しようがありませんが、まあせいぜい静かに行くとしましょうかね。 |
■ホト To:???C |
下手なマネしたら…沈めますからね? |
■エル To:ホト |
ダメですよ、ホトさん。 例えどのような相手であれ、最低でも一度は釈明の機会を与えなければ。 |
信仰と必要悪の狭間で悩んでいるらしい。
■???C To:ホト |
ひっ! 分かってまさあ。 こっちです。あ、そこ足下に縄があるから注意を。 |
■ウルス To:独り言 |
なわ…? なわのわな…ですかね? 危ないものなら、もう解除されてるでしょうがね。 |
■エル To:ウルス |
罠、というよりは侵入者警戒用の鳴子とかですかね。 ダメージトラップだとしたら、自分たちの通り道に仕掛けるはずがありませんし。 |
■???C To:ALL |
ええ、そん通りです。 脚を引っかけない様にすれば問題有りませんぜ。 |
そう言って男はひょいと縄をまたいだ。
■ウルス To:ALL |
てことは、ここからはいわば、アジトの敷地内って訳ですな。不意打ちはかなわないし、慎重に行きましょう。 |
と、口では言いながら、ウルスは無造作な足取りで男につづいた。
男はそのまままっすぐ進み、T字路になっている所で左に進んだ。
その先から、微かな明かりが漏れている。
■ウルス To:ALL |
どのみち、おいらたちじゃあ、こっそり忍び寄るなんてまねは出来ませんからな。一気に突っ込みましょうや。 |
バトルアックスを構えながら。
冒険者と男が入った部屋には、男が二人横たわっていた。
男はそれに気付き、手を縛られたまま、掛けよって様子を見ようとしている。
その時、カーテンの向こうより更に奥から、
「……おい、相手は一人だ。束になればお前らでも勝てる。
準備しろ!」
と言う叫びが聞こえてきた。次いで聞こえるのはゾフィーの声。
「はっ、高い賭けシロになりますわよ。
わたくし、どこぞの馬鹿娘と違って手加減はいたしませんから」