| 港湾事務所内部 |
港から少し奥まった所にオランの港湾事務所はあった。
衛視隊で貰った紹介状を渡すと、すぐに応接室に通された。
少し待つと、所長のマードック氏が現れた。
| ■マードック To：ALL |
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君達が衛視隊に協力している冒険者達か。 私がオラン港湾事務所の所長、マードックである。 宜しく頼む。 |
| ■エル To:マードック |
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どうも、エルといいます。 お忙しいところ、お時間を取っていただき感謝します。 |
| ■ウルス To:マードック |
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手前はウルスと申します。どうぞよろしく。 こちらは、つまらないものですが…ほんの気持ちですので、お家ででもゆっくり召し上がって下さい。 |
そっと「サケ」の木箱を差し出す。
一瞬いぶかしがっていたマードック氏だが、中で液体が揺れる音を確認すると相好を崩した。
非常に上機嫌である。
| ■マードック To：ウルス |
| 失礼だが、中を見て良いかな？ |
| ■ウルス To:マードック |
| どうぞどうぞ。 |
ウルスは愛想良く頷く。
マードック氏は期待に満ちた表情で梱包を解く。
箱を開け、中身が”サケ”である事を確認すると、その表情は一層緩くなった。
| ■マードック To：ウルス |
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おうおう、これは東方のライスワインじゃないか。 察するに、今入港している「叡智の守護者」号から仕入れてきたね。 |
| ■ウルス To:マードック |
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いや、手前その辺のことは存じませんが、おそらくそうなのでしょう。 マードックさんは、さすがにお詳しいですな。 では、あの大きな船は東方からなんですか。 |
| ■マードック To：ウルス |
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イースト・エンドからアザーン諸島を回って帰って来たと聞いて居る。 今停泊している船で、東方の品を扱っているとしたら、あの船しか無いからね。 |
| ■エル To:マードック |
| 早速ですが、二、三お聞きしたいことがあるのですが構いませんか？ |
| ■マードック To：エル |
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何でも聞いてくれたまえ。 私の知る限りであれば、何でも答えよう。 |
| ■エル To:マードック |
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先ほどお話に出た「叡智の守護者」号と同様、またはそれに近いサイズの船舶で、ここ数日の間ずっと停泊中というような船は何隻ほどありますか？ できましたら、それぞれの船籍も教えていただけると助かります。 |
| ■マードック To：エル |
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既に承知と思うが、幾ら河が広いからと言って、大型船を幾つも止めるスペースは無い。 同時に三隻が限界だ。そして今現在停泊している大型船は、「叡智の守護者」号以外に無いね。 |
| ■ウルス To:マードック |
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港のことも、少しばかりうかがいたいんですがね。 船がこの港に出入りするときは、どんな手続きが必要なんですかね。 それと…港湾地区の倉庫のことは、事務所ではどの程度把握されているんでしょうか…持ち主の身元とか。 |
| ■マードック To：ALL |
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船に関しては、船主の確認と積み荷の確認をしている。 必要なら参考として見せる事も出来るが、申告書を書いて貰ってるのだ。 小型船までの全ての船をチェックする事は不可能に近いが、大型船についてはきちんと確認している。 それから倉庫に関してだが、基本的に倉庫の地主が管理している。 申し訳ないが、ここでは船の入港・出港と積み荷の確認しか出来ないのだ。 胡散臭い輩が居ないかや乞食が住み着かない様に数名の兵士で定期的に巡回しているが、倉庫の中までは中々立ち入る事が出来ないのだよ。 |
| ■エル To:マードック |
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ふむ、倉庫の中までは把握できない……と。 巡回している方たちから、何か変わった話などは聞いていませんか？ |
| ■マードック To：エル |
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勿論失踪事件の事は聞いて居るのでね。 巡回の回数を増やしたり、人員を追加したりと手は打っている。 しかし、今のところ手掛かりに結びつく物は発見出来ていない。 |
| ■ウルス To:マードック |
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ふうむ…その、失踪事件なんですが。 正確にはどの地点で起きたのか、分かりますかね？ |
ウルスは、合わせて以下の質問を行った。・失踪事件当時の港の状況（いつもより混んでいたとか空いていたとか）
・事件現場付近で、当時の話を聞けそうな人に心当たりは無いか
・小規模な密輸船のよくある手口と港側の対策（ギルドが関わるようなややこしい部分は抜きでいい）
・調査の上で人の倉庫に立ち入る事になるかも知れない。その場合に、理解と協力が貰えまいか。
| ■マードック To：ウルス |
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纏めて答えよう。 まず、失踪事件当時は昼間で人は多かった。 が、やはり裏路地になると目撃者はぐっと減る。 聞き込みだが、バーベラ嬢の兄と、エミー嬢の働いて居た屋台の店主が良かろう。 バーベラ嬢の兄は港の設備維持の為の工事現場で、屋台は大型船の停泊できる船着き場に面している辺りだ。 密輸対策としては、小舟に注意を払っている。 夜間にこっそり出港するとこも可能だしね。後は水上生活者を警戒している位か。 倉庫に入る件については事後でも報告してくれてば問題無い。 但し、不必要な施設の破損等無い様にしてくれると助かる。 |
| ■ウルス To:マードック |
| 丁寧に答えて下さって、有り難うございます。 |
| ■エル To:ALL |
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今ひとつ有力な情報がないですね……。 やはり現時点では、地道な聞き込みしか手がないのでしょうか。 |
| ■ウルス To:エル |
| ま、そんな有力な情報があれば、我々のところまで話が回ってきやしませんわな。よほどの切れ者ならいざ知らず、凡人のおいらは、地道な現場検証と聞き込みが一番と思っとります。 |