オラン港 |
冒険者達は、それぞれ伝手を頼って情報収集を試みる。
エルはファリス神殿で情報を訊いてみた。
今のところ衛視隊の知り得ている情報と差は無く、神官戦士達も見回りの手伝いをやっているとの事だった。
調査に協力する旨を伝えると、「ファリス神の加護があります様に」と励まされた。
神殿はできる限り協力する方針である。
■エル To:独り言 |
神殿の「できる限り協力」……あまりアテになりそうな気がしないのは何故でしょうか。 |
聞かれたら怒られそうな言葉をつぶやいてみたり。
ウルスは銀の網亭を経由してチャ・ザ神殿に寄る途中、商業地区にてアラシアの話を聞いてみた。
不審人物などは見かけられず、当人の言動も普通だったと分かる。
「居なくなるのが不自然」である事を再度印象づけられた。
神殿では、やはり衛視隊以上の情報は持っておらず、これと言って目新しい話は聞けなかった。
ゾフィーは、エルとウルスの二人が神殿に行っている間、港湾地区に赴き、建物や停泊している船を確認する。
ホトはギルドから銀の網亭に戻り、そこでウルスの伝言を聞いた。
港湾地区に移動すると、ゾフィーがさりげなさを装いながら、注意深く周囲を観察しつつ歩いているのを見つけた。
■ホト To:ゾフィー |
あ、ゾフィーさん発見です。 何か面白いものありますかぁ? |
■ゾフィー To:ホト |
あら、ホトさん。 早かったのね、他のお二方の姿は見かけませんでして? |
■ホト To:ゾフィー |
特に気になるものもなく、ただお茶してきちゃいました(苦笑) お二人は…(ギルドへ)寄道してる間にすれ違っちゃったみたいですね。 神殿寄ってから来るそうですよ。 |
■ゾフィー To:ホト |
神殿ね、ならばもう少しかかるかしら。 とっとと事務所にいってしまいます? それとも、「面白いもの」を見物にまいりましょうか? |
ゾフィーが指差す先には、この港では珍しい規模の大型船が、停泊していた。
船の周辺には、荷物をその場で売り出している露店が目に付く。
それ以外にも、軽食や雑貨を売る露店が周囲に複数ある事が分かった。
■ホト To:ゾフィー |
おぉ…確かに美味しそうな香りが……… |
■ゾフィー To:ホト |
船の造り、ハッチの広げ方、水夫の態度、これらから見る限り、堅気の商船ね。 となると、昼間に人が消える港には、無謀すぎる展開っぷりではごさいませんこと。 つまり、いい獲物だわ。 |
■ホト To:ゾフィー |
なるほど!…そちらでしたか。 色んな人達がいますから、外の人が混ざっても、人が減っても気付かないかもですね〜 |
■ゾフィー To:ホト |
そうね。 乗下船の管理をきっちりやっている船でない限り。 その辺りが緩い船でも、いきなり10人が増えたら、流石に気がつくでしょうけれども。 |
あくまで淡々と口にするゾフィー。
鋼色の視線が、ターゲットになりそうな人物を探して、人混みを動いている。
その間も、商人達が取引を行っている。
ゾフィー達を商人と間違えて声を掛けてくる露天商も居た。
■ゾフィー To:露天商 |
あら、売り込みかしら? なにかおすすめの品はございまして? |
近づいてくる露天商の姿を認めると。
ゾフィーはホトとの会話をとめ、商人に話しかけた。
■露天商 To:ゾフィー |
ええ、今回の船はイースト・エンドからアザーン諸島を回って帰って来てましてな。 東方産のシルクやら特産の”サケ”が入ってます。 見るだけでもどうです? |
■ゾフィー To:露天商 |
まぁ、東方から。 でしたらあれ、なんともうしましたっけ。 器の中で花が開く形のお茶、あれはお持ちでないかしら? それから、ライスワイン…つまり「サケ」は、お味見できます? |
■露天商 To:ゾフィー |
おお、ご存じとはお目が高い。 今年取れた新米で作った”ダイギンジョー”がございますよ。 ささ、味見してお気に召したら是非買っていってください。 |
露天商は、これも東方で仕入れたらしい磁器の小さな器――”オチョコ”と言うらしい――に”ダイギンジョー”をそそいで渡す。
口に含んだ“サケ”を、しばらく舌の上で転がしていたゾフィーは、左眉の付け根を僅かに動かす。
■ゾフィー To:つぶやき>露天商 |
今年取れた……?そうなるとなんだか、醸す期間が短いような気もいたしますけれども。 まあいいわ、氏がそこまでこだわるほどの相手だとしたら、見直せますし。 いただきましょう。 いかほど? |
■露天商 To:ゾフィー |
一本100ガメルになります。 おっと、ふっかけている訳じゃありませんよ。 これは”イッショー”瓶という特殊な瓶入りなのですよ。 その瓶は、こちらで普通にある瓶入りワインより一本の量が多いのです。 大体こちらのワイン瓶2.5本位の量ですね。 しかし、一般的な高級ワイン三本よりはお安くなっておりますよ? |
■ゾフィー To:露天商 |
あらそう、では3本ほどくださいな。 贈り物として使えるように、かつ、割れにくいように包んで頂戴。 |
300ガメルを手渡しながらも、鋼色をした視線が、梱包する手つきをしっかりと確認している。
■露天商 To:ゾフィー |
毎度あり。それでは、少々お待ちを。 |
露天商は手慣れた手付きで、梱包を始める。
わざわざあつらえたらしい木箱に一本ずつ瓶を詰め、綿らしきものを敷き詰めて緩衝材代わりにしている。
もし落としたとしても、中の瓶が割れない様な配慮がうかがえる。
■ゾフィー To:露天商 |
そこまでやっていただけると助かりますわ。 急ぎませんから、しっかりとお願いしますわね。 箱のままではなんですから、上からひとつひとつ布で包んでくださいませよ。 |
待っている間に、他の商品に興味を示したかのように、並んだ品々を見て回るゾフィー。
■ゾフィー To:ホト |
ほらあなたも。 なにかほしいものはごさいませんか? |
ゾフィーはホトを押し出すようにしながら、商人の反応を観察する。
■ホト To:ゾフィー |
私は恥ずかしながら… 扱った事の無い品ばかりで(苦笑) |
ちょっと照れながらも並べられた品々を見る目は楽しそうだ。
■露天商 To:ホト |
お嬢さん、アクセサリなどは如何ですかな? ”カンザシ”とか、櫛などもありますよ。 鼈甲で作られた質が良い物です。 |
そう良いながら、幾つかの商品を布に乗せて見せる。
■ゾフィー To:ホト |
……今のところ、船の周りには、該当者はいなさそうね。 あの大きさの船なら、操船上、見習い水兵あたりは乗り込んでいてもおかしくないはずなのに。 船乗りが少ない、大胆な構成なのかしら。 これで、見物人や露店にまで該当者がいないとしたら、逆に住民に警戒が徹底している可能性も、考慮に入れた方が自然かもしれませんわね。 ホトさん、あなたも一緒に確認してくださいません? わたくしとは違う視点から、見ていただきたいの。 |
いつの間にか左手に振り出した、銀の扇をぱしぱしと右手に打ち付けながら。
視線は港側に向けたまま、ゾフィーはホトに話しかけた。
■ホト To:ゾフィー |
違う視点ですか… 特につけられてる感はなさそうですが…なんだか寂しいものですね〜 |
■ゾフィー To:ホト |
寂しいって、あなた。 それは、つけられていないことについて? |
■ホト To:ゾフィー |
あ、いえいえ。市場ってのは街で1番賑わう場所ですから、気楽さに欠けるのは寂しいなぁ〜っと。 |
てこてこと歩いてやってきたエルが、辺りをぐるぅりと見回して。
■エル To:独り言 |
えぇと、ゾフィーさんはどこに……。 もう事務所の方でしょうか……。 |
そちらに行ってみた方が良いかなどと考えながら、ゆっくりと周囲を観察しながら歩いていく。
そこに、ウルスが到着した。
■ウルス To:エル |
あ、エルさん。どうも遅くなりまして。ゾフィーさんは…ゾフィーさんのことだから、もう事務所に行ってますかねぇ。ホトさんには伝言を置いてきましたが…届いてると良いんですがね。 |
二人が合流して周囲を見ると、一際大きな船の側に見慣れた紫色の衣装のドワーフがちらりと見える。
■ウルス To:エル→ゾフィー |
あ、おられましたな!おうい、ゾフィーさん! |
大股にそちらに向かって歩きだす。
■ゾフィー To:ウルス |
あら、神殿に顔を出したにしては、お早いお着きですこと。 となると、収穫については……と、先の依頼でもそんな話をいたしましたわね。 |
半分ほど広げた銀の扇で口元を覆い、おほほと声を出すゾフィー。
冗談とも、嫌味ともつかない淡々さである。
■ゾフィー To:ウルス、エル |
さて、港に来てみれば、珍しいくらいの大型船よ。 先ほどホトさんとも話していたのですけれど、状況からみるに、どうやら堅気の商船らしいわ。 問題は、このピースが、現在の状況のどこに当てはまるか、ですけれども? |
■ウルス To:ゾフィー |
ふむ…。そうですな…おいらが密輸商人で、抜け荷を企んでいるならば… 余所から大口の荷が入ってばたばたしているときは、お上の目を盗む好機だと考えますが…。 |
■ゾフィー To:ウルス |
つまり、この船がいる間が勝負だということかしら? |
■ウルス To:ゾフィー |
おいらが「犯人」ならば、その通りですな。生憎そうじゃないんで、断言出来ませんがね。 |
■エル To:ALL |
ここからただ眺めているだけでは何とも言えませんね。 もしかしたら、余所から紛れ込んだまるで関係のないピースだったりするかもしれません。 気になるようでしたら、まずは事務所にお邪魔してあの船の船籍などを聞かせてもらいましょう。 |
■ゾフィー To エル |
なるほど。 ではお願いするわ。 マードック氏のひととなりを考えると、誰が行っても、聞ける話はたいして違わなさそうですし。 |
そう言いつつ、ゾフィーは懐中に収めていた紹介状を、素早くエルの目の前に差し出す。
■ゾフィー To:ALL |
どうやら近くまで来てしまったようですから。 ここから事務所まで引き返すのもしゃくね。 事務所に出入りして関係者と思われる前に、もう少し見物といたしましょう。 状況からしてホトさんは、港を歩かれていたらちょっと目立つかもしれませんけれども。 |
■ウルス To:ALL |
さりげない見物は、学のある方にお任せしますわ。BR>おいらは事務所ほ方に行って、それから露天の方へでも回ってみますかね。BR>どっちにしても、行方不明者関係の聞き込みをしたら、その筋の者だと思われるに決まってますからな。 |
■ゾフィー To:ウルス |
行方不明の話題を相手側に切り出させるようにしむければ、こちらが知りたがっているとは思わせず情報を得ることも出来るかもしれません。 ゴシップが生きがいのヒトというのは、だいたい何処にでもいるものですし。 そうそう、事務所と言えばマードックさんはかなりのお酒好きとか。 手土産の候補として、考えておくのもありかもしれませんわよ。 |
■ウルス To:ゾフィー、ALL |
そうか! 格好なネタにうずうずしている人もいるはずですな。目からでかい鱗が落ちましたよ…おいらもまだまだ未熟ですわ。 …と、言うのはさておいて。 ふむ。銘酒の瓶をきっちり包んで「お仕事の後にどうぞ」と持って行けば、好印象でしょうな。 それじゃ、行きがけに仕入れていきますかね。 |
■ゾフィー To:ウルス |
すでに仕入れずみよ。 銀の網亭の方が選択肢は多かったかもしれませんけれども。 ライスワインの「ダイギンジョウ」ですって。 味見したかぎりでは、高級酒側に入るような風合いね。 酒好きにもいろいろございますけれども、その度合いを確認して置いてくださると助かりますわ。 |
露天商より買い求めた“サケ”のうち1本が入った箱を、ウルスに手渡すゾフィー。
■ウルス To:ゾフィー |
これはどうも、恐れ入ります。 |
エル To:ゾフィー、ウルスふむ、手土産には丁度よさそうです。では遠慮なく持たせていただきます。
さて、それではウルスさん、行きましょうか。
■ウルス To:エル、ALL |
はいはい、参りましょう。 それじゃ、ゾフィーさん、ホトさん、また後ほど…。 |
■ホト To:ウルス、エル |
いってらっしゃ〜い。 |
手をひらひらと振って2人を見送る。