オラン衛視隊本部 |
王城の近くにある衛視隊本部。
オランの警察機構を担う衛視が集う場所である。
銀の網亭で貰った依頼書を見せると、応接室へ通された。
■ゾフィー To:案内の衛士 |
どうぞおかまいなく。 あ、でももしお茶をお持ちいただけるなら、レディグレイをストレートでご用意いただけると嬉しいわ。 |
■エル To:独り言 |
……お構いなく? |
案内した衛視は、「女史に伝えます」と言って丁寧に一礼すると退室した。
■ウルス To:案内の衛士>仲間内ALL |
あ、あの…本当にお構いなく!正直、安物の無銘柄を常用してそうなところで、ああ言われると焦りますな、おいらは。 |
■ゾフィー To:ウルス&ALL |
あのね、叩き上げた先任衛士がまとめているような下町の詰所でしたら、わたくしだって求めやしません。 でも、こちらは押しも押されぬオランの本部でしょう。 隊長だって貴族階級が務める世界なら、それなりの振る舞いってものがあってしかるべきだとは思いませんか? |
衛視は苦笑しながら去って行った。
それから10分程して、依頼主のソーダック女史がティーセットを片手に現れる。
■ファラハ To:ALL>ゾフィー |
お待たせしました、今回は依頼を受けて頂いてありがとうございます。 そして、お久しぶりですねゾフィーさん。 貴女のリクエストにはお応え出来ませんが、最近手に入れた、イースト・エンド産のお茶をお淹れしましょう。 ”ギョクロ”とか言う、高級な物らしいですわ。 |
慣れた手付きで三人分のお茶を淹れるファラハ。
湯気の立つティカップに注がれたそれは、普段よく見るお茶とは違い、薄い緑色をしていた。
■エル To:ファラハ |
……いい香りです。 聞き慣れない名前のお茶ですが、このまま普通に飲んで構わないのでしょうか。 |
高級なお茶と聞いて、なにやら作法でもあるのではないかと少し緊張。
■ゾフィー To:ファラハ |
ご無沙汰いたしております。 ファラハさん、いえ、ソーダック…隊長でよろしいのかしら? お気遣い、ありがたく頂戴いたしますわ。 |
小指は閉じたまま、ふわりとカップを持ち上げると。
ゾフィーは、水色(すいしょく)を観察した後、僅かに香りを吸い込み、つづいてカップの中身をすするようにして口に含んだ。
■ゾフィー To:ファラハ |
翡翠茶は、以前に銀の網亭でも口にしたことがございますが。 おそらくこちらは、香りよりも味の深みをを追求した高級茶ね。 紅茶と違って、ぬるめのお湯で入れることで、旨味が滲むようになっているようですわ。 もう少しお湯を冷ましてから、入れてもいいのかしら? |
口中で転がすようにして、味わった後、ゾフィーカップを手にしたまま、ファラハにまっすぐな視線を向けた。
■ゾフィー To:ファラハ |
ところで。 銀の網亭のあるじから、失踪事件の調査依頼があると聞いて参りましたの。 どういう事情で、なにゆえ冒険者なぞの手が必要なのか、ご説明伺ってもよろしくて? |
■ファラハ To:ゾフィー&ALL |
率直に申し上げます。人手不足です。 オランの治安を守る我々とは言え、人数に限りがあります。 そして、我々は起きてしまった犯罪よりも、これから起こる可能性のある犯罪を未然に防ぐ事を優先しております。 気をつけて街を見て頂ければ、何時もより巡回している衛視の数が増えている事に気付かれるでしょう。 つまり正規の人員は街の警邏強化で手一杯。 そこで、流動的に使える冒険者を頼った次第なのです。 |
■ゾフィー To:ファラハ |
なるほど。 つまるところ、それだけ広範囲に多くのヒトたちが姿を消したと? |
■ファラハ To:ゾフィー&ALL |
件数はそこまで多くは無いんです。 ただ、失踪者の消息を絶った場所が広範囲でして。 |
■ウルス To:ファラハ |
ふむふむ。 何人が、どことどこで姿を消してるんですかね? |
■ファラハ To:ウルス&ALL |
現在、資料を用意させています。 お茶が終わる頃には持って来るでしょう。 |
■ゾフィー To:ファラハ |
いくら警備を重ねたとて、永遠に維持できるわけでもなし。 元を絶たねば、いつかはすり減りますわね。 外部の人材はどこまで雇用するご予定ですの。 つまるところ、わたくしどものライバル、あるいは協力者はどの位いそうなのか、ということですけれども。 |
■ファラハ To:ゾフィー&ALL |
こう言っては難ですが……冒険者の全てが信用できる訳ではありません。 従って、実績のある「銀の網亭」にお願いしただけですわ。 但し、衛視隊が全力でバックアップ致します。 |
■エル To:独り言 |
……こういう場合、我々の側が「猫の手」として補佐に回るものではないのでしょうか……。 |
衛視隊のあり方にやっぱり疑問。
■ウルス To:エル、独り言 |
おっしゃる通り。しかし、客としては信用できる上客ですわな。 |
■ゾフィー To:つぶやき(?) |
はっ、流石は冒険者の街オランね。 民間に丸投げの次は、斡旋業者の「実績」頼みときましたか。 他の国では、およそ考えられない体制になっているわ。 ……そう遠くない将来、こういった積み重ねが結果として現れるでしょうよ。 そうなると、長居するのも考えものね。 |
■ウルス To:ファラハ |
最も信用できる冒険者としてご指名いただけたとは、光栄ですな。 それで、具体的にはどのような形でご助力いただけるのですか? 隊員の皆様には、全員にこの依頼のことをお伝え下さるのでしょうが…請け負うのが我々であることは、どう証明したら良いでしょうね? それから…我々は権限もないですし、捜査上、どうしても違法行為が必要になった場合…例えば、家宅侵入や器物破損には目をつぶって貰えないと困りますが、その辺はどうなんですかね? |
■ファラハ To:ウルス&ALL |
衛視達には私の名前を出して貰えれば。 市民達用には、書き付けを用意します。 違法行為については……ある程度までは私の責任において容認します。 しかし、決して無法者の様に好き勝手はなさらないでください。 |
■ウルス To:ファラハ |
ふむ、その辺の常識は心得ておるつもりです。 |
■ファラハ To:ウルス&ALL |
信じておりますわ。 |
そこまで話した所で、話に釈然としない点がある事に気付き、エルが口を挟んだ。
■エル To:ALL |
何よりもまず肝心の事として、何を持って成功と判断するのか聞いておきたいです。 まさか失踪者を全員無事で探し出せという無茶な要求ではないと思いますが……。 |
■ファラハ To:エル&ALL |
済みません、説明のやり方が悪かったですね。 あなた方冒険者の皆さんに期待しているのは、 「原因を元から絶つ」 つまり、失踪事件の黒幕を探し出して捕らえると言う事です。 やむを得ない場合は、黒幕の生死は問いません。 依頼書の書き方が悪かったし、私の説明にも問題がありました。 お詫びします。 |
■ゾフィー To:ファラハ |
ふたつ、よろしくて? まずひとつ、謝る必要はありません。 あなたが求めたのが部下の増員では無く、解決の援護者なのでしたら。 むしろこれまでのやり方が、正しいと思うわ。 「黒幕」などどいう先入観は、調査の視野を狭めますから、本当にそうなのかこちらの足て調べて、考えさせてもらいます。 少なくとも、わたくしはね。 で、ふたつめ。 「黒幕」という言葉を用いられたのは、例え?それとも確信? 魔法的歪みとか、複数の事件の重なりとかでなく、個人、もしくは組織によった共通の動機が存在すると考える理由がございまして? |
ここ迄話した所で、応接室のドアをノックする音が響いた。
「入りなさい」とファラハが告げると、羊皮紙の束を持った衛視が入室してきた。
件の資料らしい。
資料を渡すと衛視は退出した。
■ファラハ To:ゾフィー&ALL |
(資料を読み返しながら) 確信……と迄は申しませんが、失踪者に共通点はありません。 住んでいる場所、仕事、性別……。 但し、女性は13〜18歳くらい、男性は6〜10歳くらいと言う状況でして、 人身売買目的の可能性が高い、と判断しました。 ”ギルド”にも照会中です。 |
■ゾフィー To:ファラハ |
確認なんですけれども。 失踪者に女の子どもはいないのね。 人身売買だと仮定するなら一番美味し……ぃぇ、たまたま網にかからなかっただけかしら。 |
ファラハの手元にある羊皮紙の束を、何故か切り裂くような視線で見据えながら。
右手で袖の中の何かを固く握りしめつつ、問いかけるゾフィー。
■エル To:ALL |
つまり、衛視隊の希望としては「失踪者の捜索」よりは「原因の根本的解決」を優先と。 ……困りました。レイシアさんの「お姉さんを探してほしい」というお願いと微妙に目的がずれます。 行動の順位付けとしてどちらを上に置くべきか……(悩) |
■ゾフィー To:エル&ALL |
行動指針を立てておくのは、いい考えだとは思いますけれども。 初動の今は、そこまで順位づけしなくてもよろしいんじゃございません? いい、どちらの依頼「も」解決するのよ。 最初からどちらをなどと考えていたら、本当にどちらかしか解決できなくなるわ。 悩むのは、両者が並行できなさそうな気配が現れたときまで、とっておきなさい。 |
■ウルス To:ALL>ファラハ |
ですな。 それに、相容れないとなった場合、両者の間の妥協点を探すのが我々の商売ではないですかね。 その資料、見せていただけますかね。 まずは、「いつ」「何処で」「誰が」「どう」消えたのか…それを知りたいですし。 写しも頂きたいですな。むろん、守秘義務は守りますとも。 |
■ファラハ To:ウルス&ALL |
では、どうぞ。 これは元々写しですので、持ち帰られて構いません。 |
■エル To:ALL |
どれどれ……(覗き込み) まずやるべきは、この失踪した人たちに関しての聞き込みですかね。 ……手分けする必要がありますかねぇ? |
失踪者の人数を確認しながら。
エルがその人数を確認したところ、現在までに10人が行方不明になっていた。
場所がばらばらなので、順にあたると少々時間が掛かりそうだと分かる。
■ゾフィー To:エル&ALL |
10人。 きりのいい数ですし、衛視隊やギルドやらが動き出す頃合いでもある。 本当に人身売買だとするならば、もう引き上げに入っているでしょうね。 これだけの人数を隠しておき、さらに移動させるとするならば、手段として馬車はあり得ないわ。 さらに、生かしておくために必要な大量の食料を確保しても、怪しまれない所といったらどこかしら? ひとりひとりの調査に手が周りきらないなら、平行して港や周辺の船の動きを観察しに行くという選択肢も上げておきましょう。 |
そう言いつつ、反対側からウルスの手にした資料を覗き込んだゾフィー。
大きく鼻を鳴らした彼女は、素早く資料の2箇所を指し示した。
■ゾフィー To:ALL |
ほら、ここをご覧なさい。 商業地区の行方不明者は、だいたい夕方から夜間、一定の時間ひとりになった所で消えているわ。 誘拐者が網を張って、慎重に捕らえたという感じね。 でも港湾地区のふたり。 彼女らは日中、それもちょっとした隙間時間に消えている。 やはりわたくしは、港に行こうかと思いますの。 皆様はどうなさいます? |
■ウルス To:ゾフィー、ALL |
なるほど。相変わらずのご慧眼ですな。 日中に人ひとりを抱えて街中を通るのは、人目にも付きやすいですしな。 その点、港湾地区内なら大きな荷物を運んで移動しても目に付きにくい。 港湾地区なら、大きな倉庫がたくさんあるから、隠し場所も確保しやすい、と。 これは、おいらも港をあたってみたくなりましたな。 |
■ゾフィー To:ファラハ |
バーベラさんとエミーさんと、それぞれが消えた、具体的な場所はこ存じ? あるいは、何処を訪ねたらわかるかしら。 |
■ウルス To:ファラハ |
港の船の出入りを管轄しているのはどこなんですかね? まさか、船主がなんの連絡もなく好き勝手に船着き場を使える訳じゃないでしょうし。 …まあ、密輸船が正規の手段で港を使うとは限らないでしょうが… |
■ファラハ To:ゾフィー&ALL |
港湾管理事務所と言う、主に船の出入りを管理する役所が有ります。 港周辺に関する具体的な情報はそちらで確認すると良いかと。 紹介状は用意します。 |
■ゾフィー To:ファラハ |
わかりました。 では、紹介をお願いしましょう。 どなたを訪ねればよいのかしら。 話が通じやすい方だといいのですけれども。 |
■ファラハ To:ゾフィー |
所長のマードック氏を訪ねてください。 その方が責任者ですので。 |
ファラハは羊皮紙を取り出して、紹介状をしたためた。
■ゾフィー To:ファラハ |
マードックさんね。 では、紹介状はいただきますわ。 |
紹介状を受け取るために手を伸ばしながら、ゾフィーは鋼色の視線で全員を見回す。
■ゾフィー To:ALL |
船だとしたら、今宵辺りに出港されるとやっかいよ。 わたくしは紹介状をいただけ次第、港湾事務所に直行しようかと思いますが。 ホトさんに連絡を取らないといけませんわね。 |
■ウルス To:ゾフィー、ALL |
それじゃ、おいらがひとっ走り行って、ホトさんに連絡してきましょうかね。後で港湾地区で落ち合う、ということで。 |
■ゾフィー To:ウルス>エル |
万が一会えそうになければ、銀の網亭に伝言を残す形でいいかしらね。 こちらの合流地点は、港湾事務所前ということで。 エルさんはどうなさいます? |
■エル To:ALL |
一度、ファリス神殿に戻ってみようかと思います。 これだけ失踪者が出ているとなると、神殿の方でも見回りに人数を割いて貰うくらいはできるかもしれません。 信者の方たちにも、夕方以降の一人歩きはしないように呼びかけておいた方が良いでしょうし。 |
■ウルス To:独り言 |
むう…おいらも、ついでにチャ・ザ神殿にも寄っとくべきでしょうな。 失踪者のほとんどは商業地区で消えてることですし… |