レイシアの家 |
商業地区に近い、所謂下町の一角にレイシアの家があった。
画一的な出来の二間しかない家だ。
レイシアは冒険者をもてなす為にかまどに火を入れ、湯を沸かしている。
ホトはお茶が用意される間に室内をざっと観察する。
裕福とは言い難い室内には、荒らされた痕跡など無く、また何かを隠している様子もみられなかった。
暫くして湯が沸き、お茶と言うには薄い飲み物を欠けた器に入れて差し出した。
■レイシア To:ホト |
おねえちゃん、おちゃどうぞ。 おかしはきらしてるんだ、ごめんね。 |
■ホト To:レイシア |
おぉ…すみません。ご馳走に…あ、そうだ。 2人だけのお茶会も良いですが、折角なのでお隣のおばさんもお誘いしましょう♪ …もしかしたらお茶菓子もちゃっかりGetできるかもですしね 直ぐ、直ぐに戻って着ますので、お茶が逃げないように見張ってて下さいね!? |
ホトは思い立ったが吉日とばかりに『隣のおばさん』を呼びに席を立つ。隣のおばさんは、丁度井戸端会議に興じていたところで、ホトの話を聞くと自宅に一旦戻り、煎餅みたいな物? を持ってきて、レイシア宅に同行する事を承諾した。
そして、お茶が飲み易いくらいに冷めた頃、とたぱたとホトが帰ってきた。
隣のおばさんも一緒である。
■レイシア To:ホト |
ホーねえちゃん、おかえり! おばさんもいらっしゃい。 おしえてもらったとおりに「ぎんのあみてい」にいってきたよ。 そっちのホーねえちゃんが、「ぼうけんしゃ」さんなんだって。 |
■ホト To:隣のおばさん |
初めまして、銀の網亭からきました。ホトって言います。 レイシアさんのお姉さんを捜しているんですが…アラシアさんってどんな方なんでしょうか? ふらっと何処かに行ったり、誰かに付きまとわれてたりって話聞いてます? |
■隣のおばさん To:ホト |
そんな話は聞かないねえ。際だった美人って訳でも無し。 そろそろ嫁入りする年頃だろうけど、この子を置いていくわけにはいかないだろうから……。 真面目に仕事をしてる良い子だよ。 |
持参した煎餅をばりばり。
■ホト To:ALL |
そういえば…アラシアさんっていつ頃から居なくなってしまったんでしょうか? |
■隣のおばさん To:ホト |
二日前だったかねえ。 仕事が終わってるはずの時間になっても帰って来ないから、 近所の男衆に頼んで捜して貰ったんだけど、見つからなかった。 なんで、あんた達を頼ったって訳さ。 |
■ホト To:ALL |
ほむ…アラシアさん以外にも居なくなった方とかいます? |
■隣のおばさん To:ホト |
この近所では居ないね。 そんな事が何件もあったら、そりゃあ大騒ぎさ。 |
■ホト To:ALL |
外出歩けなくなっちゃいますもんね〜。 |
ほふ〜っとお茶を口に運ぶホト。
■ To:ホト |
まあ、ご近所づきあいって物もあるし、この子の事はあたしらでしばらく面倒見るから。 あんた達は安心して依頼に専念しておくれ。 |
■ホト To:隣のおばさん→レイシア |
おぉ、それは安心ですね〜 お話いろいろとお茶会ありがとうございました。おいしかったです♪ ではではぁ〜頑張って探してきますから…良い子で待ってて下さいね。 |
お茶を飲み干し、お礼を言ってから、ホトは家を出た。