銀の網亭 |
銀の網亭の片隅で集った四人の冒険者達。
ベテランから新人まで揃ったメンバーである。
そこに、おやじがやってきた。
■おやじ To:ALL |
お前達、この依頼を受けてくれるんだってな? 取り敢えず依頼人を連れてくるから、飯でも食って待っててくれ。 注文を聞くぞ? |
■ゾフィー To:おやじ |
ではわたくしは、クランベリージュースをフレッシュでお願いしましょうか。 食事は、白パンをベースに、旬もののクラブとアボカドに、朝取りのレタスとオニオンを加えたサブをロングで。 デザートに、ザッハトルテの生クリーム添えを頼むわ。 それから、皆が楽しめるように、お茶をポットでふたつね。 ああもちろん、ポットを持ってくるのは食後でいいわ。 茶葉は、そうね、ロマール産のストレートと、エレミアあたりの庶民的なブレンドにしましょうか。 そうそう砂糖と、新鮮な牛乳もお忘れなく。 |
初老の域にはいるだろうドワーフは、悠然とした態度で注文を並べ立てる。
同席のクマめいた若者などは、その細かな注文ぶりに感心したようすで小さい目をさらに小さな点にしている。
おやじが注文を把握しているか念を押した後、彼女は、真新しい装備を身につけた少女に顔を向けた。
■ゾフィー To:新顔風の少女(ホト) |
あなた、こちらの店はお初めて? こと飲食に関しては、この店は界隈の立地にしては、かなり充実した品揃えでしてよ。 せっかくですから、遠慮なくお頼みなさいな。 お財布の中身でしたら、気にしなくて結構。 誰でも最初はやりくりに苦労なさるものでしょう? |
■ホト To:ゾフィー→おやじ |
なんと!ありがとうございます。 この店…というか街には来たばかりで。恥ずかしながら右も左も(苦笑) え〜っと…それでは遠慮なく… 硬めのパンに野菜スティックにブータンブラン、オニオンスープとフレッシュジュース〜を、お願いします! |
紫色の長布を巻きつけた頭が、今度はふたりの青年に向き直り、軽く傾げられた。
■ウルス To:ゾフィー、ALL→おやじ |
さすがベテランの姐さん、太っ腹ですな。せっかくだから、みんなでご馳走になりましょうかね。 ええと… おいらは、旬の青魚か秋鮭の甘酢漬けとさらしタマネギを、焼いたパンにたっぷり挟んでお願いしますわ。 それに揚げジャガそえて、濃い味のビールをジョッキで。 |
次の方どうぞ、と言うかのようなしぐさで残りのメンバーの方に腕を振る。
■エル To:おやじ |
では、せっかくのご好意なので。 黒パンを二つとじゃが芋のスープを。ミルクはジョッキでお願いします。 |
いつも通りの注文。ミルクがジョッキになったのが唯一のグレードアップ。
■おやじ To:エル |
なんでい、この前の仕事でそこそこ金が入ったんじゃ無かったのか? まあそれで良いなら俺は構わんがね。 |
■エル To:おやじ |
過度の贅沢は好ましくありません。 それに前回の報酬は、殆どがこの金属鎧に化けましたので。 |
新調した金属製の鎧に視線を投げる。
■ウルス To:独り言 |
過度の? …贅沢? …ねぇ?? |
注文が出揃った後、おやじは厨房へ戻っていった。
■ウルス To:ALL |
さて。…見たところ、初顔合わせがほとんどですし…依頼人がおいでになる前に、手早く自己紹介といきましょうや。おいらはウルスと申します。 |
■ゾフィー To:ALL |
ゾフィー・フランベルクと名乗っております、お見知りおきを。 ウルスさんとは、先の冒険をご一緒させていただきましたわね。 気がつけば、オランにもかなり長居をしてしまっておりますが……ま、わたくしにできることなら、相談に乗りますからご遠慮なくおっしゃってくださいな。 |
長衣の袖から取り出した銀の扇を、口元覆うように広げると。
ゾフィーはおほほと声に出しつつ、会釈をしてみせた。
■エル To:ALL |
エル・ココットです。 まだまだ駆け出しですが、なにとぞよろしくお願いします。 |
■ホト To:ALL |
ホト・ホルン言います。 見聞広める為に流れてきました。 暫くはオランにいると思いますので、どうかこれから宜しくお願い致します。 |
暫くして、一人の小さい女の子が冒険者達のテーブルに現れた。
まだ幼く、共通語もたどたどしい。
■レイシア To:エル |
おにーちゃん、おねーちゃんたちがあたしのおねがいをきいてくれるの? |
■エル To:レイシア |
期待に応えられるかは分かりませんが、全力をつくす所存です。 それで、お姉さんを探してほしいというお話のようですが? |
ゾフィーが多めに注文してくれた紅茶にミルクをたらして差し出しながら。
■レイシア To:エル&ALL |
ありがとう、おにいちゃん。 えっと、お姉ちゃんがお仕事からずっと帰ってこないの。 それで、こまったらこのおみせにおねがいしなさい、ってとなりのおばちゃんがいってた。 あたしのぜんざいさんをあげるから、おねがいきいてくれる? |
鞄に入れた丸い陶器らしき物をテーブルに乗せて言う。
見たところ貯金箱らしい。
レイシアが冒険者達のテーブルに座ったのを見たおやじが近づいてきた。
■おやじ To:ALL |
まあそう言う訳だ。 依頼料は10ガメル。うちの取り分もあるからお前らには8ガメルだな。 |
■エル To:おやじ |
ふむ。ということは、一人当たり2ガメルですか。 ……依頼書に報酬額が書かれていないのが気にはなっていましたが。 |
ものすごくまじめな顔で。
本気で2ガメルの報酬でどう生活するか考えているらしい。
■おやじ To:ALL |
そんな顔すんない……これは冗談だ。 一緒にこの依頼を受けてくれないか。 |
そう言っておやじが冒険者達に見せた依頼書は、
「失踪人捜索依頼 ――オラン衛視隊――」
とあった。
報酬は一人600ガメルとなっている。
■ゾフィー To:おやじ&ALL |
600ガメル? まさか、それでは10ガメルとほとんど違いがないではございませんか。 あら、そんな顔をなさらずとも……ちょっとした冗句でしてよ。 それで、こちらのおじょうさんが依頼を出されたことを、衛士隊側はご承知なのかしら? |
■おやじ To:ゾフィー&ALL |
俺の方から話はしておいた。 善良な市民の勤めと言う奴だな。 大体、こんな依頼、お人好し揃いのうちの冒険者じゃないと受けてくれないだろ? |
■ゾフィー To:おやじ |
あぁら、たった2ガメルで仲介を引き受ける、どこぞの斡旋業者に言われたくはござぁませんわね。 ともかく、よかったわ。 子どもをだしにした依頼の出し方だったら、もうひとつの依頼人とやらををとっちめてやろうと考えていたところでしたの。 |
これは冗句ではないわよ、とでもいうように、鋼色の視線がまっすぐおやじに向けられていた。
■ホト To:小さく独り言 |
銀の網亭の冒険者さんはお人好し〜っと…(めもめも |
■ウルス To:おやじ |
そりゃ、自覚はしとりますがね…。せめて情に篤いと言っていただきたいですな。 |
■エル To:おやじ |
レイシアさんの依頼と合わせて、というならば当然この「失踪人」にはお姉さんも含まれると考えるべきですね。 衛視隊の方からも捜索願いが出るとは、何か複雑な事情でもあったのですか? |
■おやじ To:エル&ALL |
詳細はあっちで聞いて欲しいが、まず数がそこそこだと言う事。 後は衛視隊にこう言う地味な捜査は難しいって事だな。 そこで何でも屋たるお前さんらの出番って訳さ。 |
■エル To:おやじ |
失踪した人数が「そこそこ」に達しているのに地味な捜査……ですか。 衛視隊の存在意義とはいったい……(悩) |
■ゾフィー To:エル&ALL |
本当にね、あるいは「地道な捜査」ならもう少し意味が通るかもしれませんけれども。 ま、お手上げなのか、人出が足りないのかわかりませんが、オランに通う者にとっても穏やかな話ではないことは確かね。 で、受けるんでしょう? |
■ホト To:ALL |
もちろん!ですよね〜? |
■ウルス To:ホト、ALL |
そりゃ、もちろん。ですわな? …しかし、衛士の皆様には、探す方を依頼する以上は、さらなる行方不明者が出ない方に気張ってもらいたいところですな。 |
■おやじ To:ALL |
役人様は融通が効かないってこったね。 もっとも、衛視隊からの依頼人はそこそこ話が分かると思うがな。 前に何度か依頼を貰ったし。 あっちにも色々事情があると思うぜ? |
■エル To:レイシア |
ではレイシアさん、お姉さんを探すためにもいくつか聞かせてもらえませんか。 まずはお姉さんの「名前」「年齢」「外見上の特徴」など、探す際の目印になること。 それから「いなくなったのはいつからか」と「そのころに何か気になる言葉や行動がなかったか」。 あとは「勤めていたお店」を知っていれば、お願いします。 ……ところで、レイシアさんには他にご家族は? |
ここまで両親の影を感じなかったことをふと気にして。
予想が外れてほしいという淡い期待もしながら尋ねてみる。
■ゾフィー To:つぶやき |
ふん、ここを頼るヒントが「となりのおばさん」、しかもそのひとが付き添っていないという時点で、後は推して知るべしといったところね。 |
■レイシア To:ALL |
えっとね、(指折り数えて)5ねん前にしんじゃったの。 いまは、おねえちゃんとふたりですんでるよ。 おねえちゃんの名まえはアラシアっていうの。 たしか7つうえだったから、16さいだよ。 ようふくやさんのおはりこをしてるんだ。 かみがちゃいろで、ながいからリボンでまとめてるの。 あとはあたしとおなじかんじだって。 |
鞄から羊皮紙に書いた似顔絵? を見せる。
しかし、レイシアは絵が上手で無く、子供の落書き以上では無い。
かろうじて、先程話した「髪が長い」「リボンで髪を縛ってる」と言うのが分かる位だ。
■ウルス To:レイシア |
…なるほど。それで、お姉ちゃんの仕事してるお店やお嬢さんのお家は、街のどこら辺ですかな?お店はお家から遠いんですかね? |
■レイシア To:ALL |
チャ・ザさまのしんでんのちかくだよ。 おうちもそのへん。 おうちとおみせはあるいてらくにいけるくらい。 |
■エル To:ALL |
なるほど。 では後ほどそちらにもお邪魔して、話を聞いてみましょうか。 |
■ゾフィー To:ALL>おやじ |
とりあえず、衛士隊の話とやらを聞かないことには始まらないわ。 早めに動いたほうが、後々余裕ができますわよ。 で、どこの詰所にいけばよろしくて? |
■おやじ To:ゾフィー&ALL |
本部だ。 ファラハ・ソーダック女史が責任者なので、彼女を訪ねる様にと聞いてるぞ。 時間は何時でも良いらしい。 |
■ゾフィー To:おやじ>ALL |
あっそう。 こちらを呼びたす位には、出世出来たということかしら? 便利屋に陥っていなければ、ですけれども。 さて、皆様、参りますわよ。 |
■ウルス To:ゾフィー |
はいな。 ゾフィーさん、お知り合いで? でしたら好都合ですな。 |
■エル To:ALL |
レイシアさんを送っていかなくて、大丈夫でしょうか……。 それとも、ここで待っていてもらいますか? |
■ホト To:エル |
よければ私が送ってきますよ〜 |
■レイシア To:ホト |
おねえちゃん、ありがとう。 それじゃ、いこういこう! |