#178 星から降る夢

☆ 続・会話がもたらすもの ☆

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【「別館」東翼】

蹴散らかされた瓦礫を越えて、再びT字路に戻った通路を覗くカラレナ。
と、外へと繋がる道を、マクシムと名乗った老ドワーフが足早に戻って来るのがわかった。
彼はカラレナに気がつくと、軽く手を上げて駆け寄ってくる。
■カラレナ To:マクシム
あっ、どうでした?

■マクシム To:カラレナ
とりあえず、ここの外が崩れとるってこたァない。
他の連中にひとッ走り回ってこいと言ったが、なんで揺れたんだかはさッぱりだ。

首を傾げつつも、先の部屋へと戻ったマクシム。
二人の親に気がつくと、ドワーフ語で何かを話しかけた。
若い父親は、その言葉にに応じた後、腕組みを解き、早足で戻って行く。
■マリーエ To:冒険者達>マクシム、ケーファー
奥様に話をなさりにいかれました。

この子も部屋に戻っていいのかしら?
問題がないようでしたら、少し休ませてやりたいですし。

なにか言いかけたケーファーを、軽く手で制して。
年老いたドワーフは大柄な身体を折り曲げ、少年の目丈に合わせるように膝を落とした。
■マクシム To:マリーエ&ドレイク
あー、すまンがちょッとだけいいかな。
閣下の姿が見えン。
まだ、そんなに遠くには行ッとらんはずなンだが。

閣下は坊主にィ何を訊いた?
何処かに行くとは言ッてたか?

■ドレイク To:老ドワーフ
うん…それが……。

老ドワーフが話しかけてきたことに一瞬ひるんだ様子をみせたものの。
ドレイク少年はまず母親、次にウーサーを尋ねるように見上げる。
■マクシム To:マリーエ、大男
ん?
なんとか言ッてやッてくれンか。

その時、開け放たれた扉の向こうから足音が響いて来た。
2人のドワーフが顔を出し、マクシムを呼ぶ。
ドレイクの前から離れて、2人に近寄る老ドワーフ。
ドワーフ語らしき会話を耳にしたマリーエとケーファーとが顔を見合わせた。
■ドレイク To:ALL
あの……もしかして、それ、全部おいらのせい?

■マリーエ To:ドレイク>ALL
ちょっと待って、なにを言っているの?
その前にどなたか、状況を説明してくださいません?

■ケーファー To:つぶやき
閣下が……まさかぁ…。

全員を見回した老ドワーフは、やれやれというようにため息をついた。
■マクシム To:冒険者たち
さッきの揺れと関係があるのかわからンがな。
工事をしてィる場所のいくつかで崩落があッたらしい。
他にも水漏れェやら、水断ちィやら、通路の組み替えェやら。
あちこちで騒ぎが起こッとるようだ。
ああ、それぞれ応援の手配はしィてるそうだから大丈夫だろうが。

■カラレナ To:マクシム
通路の…組み替え??

ちらりと、腰をおとしたままのケーファー、立ちすくむマリーエとドレイクの親子に目をやった後、マクシムは冒険者たちに視線を投げかける。
■マクシム To:冒険者たち
お嬢とでっかいの。
お前さんたちィ「壁」をぶッ壊してくるほど、こいつの確保を急いでおッたようだが。
別に閣下が出ていくのは止めンかッたな。
どこまで状況をわかッとるんだ?

■ウーサー To:膜シム
ん? ああ、細けぇこたぁ気にしねぇでくれ。たぶん空回りってヤツだ。
それより、そっちから見た状況ってなあ如何なんだよ?

■マクシム To:ウーサー&ALL
はっきり言うと、わしにはよくわかッとらン。
閣下のやッとることをいちいち気にィしとッたら、ここでやッてはいけンでなァ。

ま、ヤツはヤツなりのルールで動いとッたし、若い頃出くわした…「事故」のせいで、死人と怪我人には敏感だッた。
少なくとも、そッちの心配だけはしなくて済ンだしな。
忠告してやるほどの仲ではないィが、こんな時ほッておくほどの仲でもねェ。
だから、お前さんたちに訊いとるンだが。

■ウーサー To:マクシム
オレ様たちゃあ、ドレイクの小僧が拉致られたんで取り返しに来たんだ。
だから事故だかなんだかで、急いで来たってワケじゃなくてな。

■カラレナ To:マクシム
私たち、ドレイクくんの無事を確認するのを最優先にしていたので…でもその理由は…彼との秘密の約束だから…ここでは…

ドレイクを気遣うように見て、
■カラレナ To:マクシム
でもあの、その事故がドレイクくんのせい、ってどういうことですか?
もしかして…

■カラレナ To:ドレイク
ドレイクくん、秘密の場所のこと、アイゼクセンさんに話した?

■ドレイク To:カラレナ&ALL
うん、ミ…ともだちの目を覚ましてくれるって言うから。

■マクシム To:カラレナ、ウーサー、ドレイク
「事故がドレイクくんのせい」だとォ?
名前は確かにィ大仰だが、こいつにそんな大それたことが出来るとは思えンが。

秘密の場所とは、どういうことだ?

ドレイク少年と冒険者たちとを交互に見やりながら尋ねるマキシム。
■カラレナ To:マクシム>ドレイク
原因がなんなのかは、私たちにもまだわかりませんけど…。
ドレイクくん、ちょっとこっちに来て。

ウーサーにも来るよう目線で合図してから、ドレイクの背中を押して促し、部屋の隅へ呼ぶ。
そして皆に聞こえないよう小声で、
■カラレナ To:ドレイク
ドレイクくん、あのね。
私は君たちの秘密の場所を、大人が勝手に調べたりするのは嫌だったの。
たぶん、ミ…ともだちもふくめてみんなが眠っちゃったのは、その秘密の場所にある魔法のせいかなぁって思った。
だから、案内してもらって、そのことを確かめてから、君に言おうと思ってたの。
違ってたときに、みんなの遊び場が大人に知れちゃったら、かわいそうだから。

ドレイク少年は、黙ったまま小さくうなずいた。
■カラレナ To:ドレイク
でも、アイゼクセンさんが言ってた、「死人が出てからでは遅い」…
そして、昔の悲しい事故…
もしかしたら、皆を助けるために、秘密の場所ではもう遊べなくなるかもしれない。
それでも、協力してくれる?
お母さんや、みんなの前で、秘密の場所のこと、お話できる?

■ドレイク To:カラレナ
うん、だいじょうぶ。
アイツには、おきてきたらおいらがはなすよ。
ねぇちゃん、きにスンナって。

にやり、とした笑いを浮かべようとしてまたしてもおかしな顔になりながら、少年はカラレナの腰の辺りをぽんと叩いた。
■カラレナ To:ドレイク
ありがとう(^^)
カッコイイ笑い方は、このお兄さんにもう一度、ちゃんと教えてもらってね。

ドレイクの頭をぽんと撫で。
■カラレナ To:ALL>ドレイク
すみません。
話してくれるそうです。

ドレイクくん、私たちを案内してくれるって言ってた秘密の場所って、どこにあるの?

■ドレイク To:カラレナ&ALL
えっと……6番サイコウコウに入って、3つめの分かれ道を右に行ったら、すぐにうしろをむくんだよ。
そうすると、鏡の裏にもういっぽんのアナが見える。
そのアナがおっきな部屋に明かりをいれてるんだ。
部屋の中にはドアもあるんだけど、おいらには開けられなかった。

■カラレナ To:ドレイク
それは、大人が言う「行っちゃいけない場所」だった?

■ドレイク To:カラレナ&ALL
「しろ」にいくことはキソクイハンじゃないよ。
「鏡当番」のとき、サイコウコウは動いてよかったし。
だから、おいらたち、そのときしか行かなかったし。
それに、あそこに「行っちゃいけない」とは、だれもいわなかったし。
せつめいしたら、エライひとたちも、なんにもいわなかった!

■カラレナ To:ドレイク
じゃあ、そこまでの通路が規則違反なのかな?

■ドレイク To:カラレナ
だから、おいらたちそんときはサイコウコウしか使ってないって。
……通路だと、行き方よくわかんないし。

少年は、カラレナの言葉にちょっとむくれた後、上目遣いにぽつりとつぶやく。
■カラレナ To:ドレイク
アイゼクセンさんは、そこに行くって言ってた?

■ドレイク To:カラレナ&ALL
アイザ…えっと、赤い服のエライひと?
うーん、わかんない。
でも、ひみつのちずみたいなの出してなんか話してた。
名前みたいなのア、ア……アイザ……じゃないよ、アルト?アルド?
なんかそんなの。

■カラレナ To:ドレイク
どうして、事故がじぶんのせいだと思ったの?

■ドレイク To:カラレナ&ALL
ア……さっきもはなした、赤い服のエライひとが言ったんだ。
おいらたちが「ひみつのしろ」で遊んだせいで、みんな寝たんだって。
ほっておくと、もっとひどいことが起きるかもしれないって。

■ウーサー To:ドレイク、マリーエ
ひっでえオッサンだなぁ? だがよぉ、安心しな。
結果が判って悪意でやったことじゃなけりゃあ、ソレは「じぶんだけのせい」じゃあ無ぇのさ。
ソイツを誰か1人のせいにするなんざぁ、そりゃあ押し付けってモンだぜ!

マリーエが、両手をぎゅっと握り締めるのがわかった。
■カラレナ To:マリーエ
大丈夫、まだ取り戻せますよ。
みんなを無事に起こせばいいんです。
そのために、私たちがいるんですから。

■マクシム To:ドレイク>カラレナ&ALL
よく言ッた!
坊主、お前さん見所あるな。

さて、お嬢とでッかいの。
お前さんたちは、またぶッ壊しにいくんか?
こいつの言う「しろ」を探して。

■カラレナ To:マクシム&ALL
ぶ、ぶっ壊したのは止むを得ずですよ〜。
ともかくまずはひみつの城へ行って、何が原因なのか確かめてこなくちゃ。

■ウーサー To:マクシム
そうだぜオッサン、壊すか如何かはまず、モノを見てからだろ?
だいたいオレ様は、こう見えても穏健で理知的なんだぜ? 腕力沙汰は極力避けてぇのさ?

ウーサーは身につけまくった武器の山をガチャガチャ言わせながら、したり顔で頷いてみせた。
■マキシム To:巨漢>カラレナ &ALL
けっ、言いィよるわ。

ならば、わしも行こう。
ヤツ…閣下に追いつけるかもしれンしな。
かまわンか?

■カラレナ To:マクシム
あ、はい。よろしくお願いします。

■カラレナ To:ウーサー
ドレイクくんにも、一緒に来てもらったほうがいいですよね。
守ってあげてくださいね。

■ウーサー To:カラレナ&ALL
任せろ。
プレートメイルを取りに行く余裕は無さそうだが、まあ盾もあるし、なによりオレ様はあの石壁なんぞよりゃあ、万倍頑丈だからな!

■カラレナ To:ドレイク、マリーエ
ドレイクくん、お母さん、…いいでしょうか?

■マリーエ To:カラレナ
わかりました、この子をよろしくお願いします。
わたしにも、できることがありましたら、なんでもおっしゃってください。

■ドレイク To:カラレナ
いいよ、ボウケンだね。
おいらもがんばる。
おっちゃんや、もうひとりのねーちゃんもくるの?

■カラレナ To:ドレイク&ウーサー
そうですね…とりあえずさっき別れた場所まで戻ってみましょう。
おふたりが戻って来ていなければ、私が待ちます。ウーサーさんはみなさんと一緒に先に城へ行ってください。

■ウーサー To:カラレナ
オーケイだぜ。まあ、もし遅れてきたとしたら、オレ様と相棒が1人で全部解決してっかもしれねぇけどな?

「相棒」のところで、ドレイク(仮)の肩を軽くどつくウーサー。
■ウーサー  To:ドレイク
なあ、ドレイク。「誰のせいでもないこと」にケリをつける為に戦えるのが、英雄の資格のひとつだ。
でもってオレ様は、剣を使う英雄の「剣聖」を目指してる。ついでだから、オマエも目指してみるか? 英雄ってヤツを。

■ドレイク To:ウーサー
エイユウ?ケンセイ???
カミノオウさま、ドレッダールみたいなひとのこと?
おいらもなれる?
ホント???

きらきらした目でウーサーを見上げながら、ぱちぱちと手を叩くドレイク少年。
そんな彼の様子を、すこしほっとした表情で見守るマリーエの姿があった。
■カラレナ To:ドレイク
ドレイクくん、お城までの道順、私にもわかるように描ける?

羊皮紙とペンを取り出す。
ドレイクは、それを見て残念そうに首を振った。
■ドレイク To:カラレナ
ごめん。
おいら、ここからいく道はよくわかんないんだ。
6番サイコウコウなら、ダイサンギョウセイクの右下のダイコウドウからつながってるけど。
あと、3つの分かれ道を左にいくと、キネンヒロバに出るよ。
それでわかんないかなぁ?
昨日のダンチョウ?みたいに。

■カラレナ To:マリーエ、マクシム
???(・・;)
あの…今の説明で、わかります?

■マリーエ To:カラレナ
いえ、わたしはまったく。
我が子ながらお恥ずかしい話で。

■マクシム To:カラレナ
第三行政区は、わしらの管轄ではないしなァ。
おい、腰巾着、お前さン地図なぞ持っとらんか?

■ケーファー To:マクシム
はいぃ……地図なら閣下がぁ……。

ケーファーの答えにマクシムは小さく舌打ちをした。
■マクシム To:カラレナ
……てなありさまだ、すまんな、お嬢。

■カラレナ To:マクシム
いえ…。
エイベルさんと合流できれば何とかなるかもしれませんし。
じゃあ、行きましょう。

■マクシム To:カラレナ
エイベル…堅物守護長か。
確かにィヤマ中を知ッとる、表の道ならな。
ヤツは何処だ?
確実に会える場所はわからンか?

■カラレナ To:マクシム
さっきまで…壁を壊す前まで、私たちと一緒にいました。
いま、他の仲間ふたりと別行動をとっているんです。
成果があってもなくても、もう戻ってきておかしくない時間だと思うので…。

■マクシム To:カラレナ、大男
ふゥむ、で、お前さんらは何処へ行くゥつもりだ?
今、この近くはァ混乱しとる。
何処かでトラブルにィ出くわしていたら、ヤツのことだ、そいつが解決するまで帰ッてこンぞ。
工事現場、共同給水所、共同便所、第16地区周辺なぞに近づかせてはおらンだろうな?

■ウーサー To:カラレナ、マクシム
なんだよ、面倒臭ぇなあ!? 取り合えず、壁の前まで戻ってみっか?
でもって二人が戻って来なさそうなら、オレ様はあの大将を探しながら、ドレイクの理解るトコロまで出てって、ひみつの城まで行ってみようと思う。
まあ案外と、あンのアイゼクセン閣下様はすんなり見つかりそうだけどよ。相当目立つ御仁だろアレ?

■マクシム To:ウーサー
奴さんがわめいたりィしてくれればな。
この近辺は人払いィされたはずだ。
それでもうろつく連中は、ヤツにだけェは会うまいとするだろうよ。


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