#178 星から降る夢

☆ 朝の出来事 ☆

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【「別館」西翼】

「第16地区」の調査を終えた冒険者達は、「別館」の西側に用意された2部屋に戻った。
夜半の時間まで勤めがあるというクライン、アインスと別れ、そのまま休息に入る。
馬車の行程の後、立て続けに起こったあれこれ、そしてその後真夜中近くまで行った調査のせいもあってか、皆、寝つきは早かったようだ。
そして翌朝。
この地区には採光穴はないのか、天井に穴らしきものは見当たらない。
そのため正確な刻はわからないが、日頃の習慣から夜明けがしのびよってきたのではないかと思われる頃。
西翼の部屋のひとつでは……。
■ウーサー To:
ん……ぐ、あぁ……如何、して……なんだっ……?!
ど、どうしてオマエが……う、ぅう
、ウウ……ッッッ!!

ウーサーは普段なら目を覚ましているどころか、朝の軽い鍛錬を終えて仕事先で仕込みを初めていてもおかしくない時間になっても、未だ目を覚ましていなかった。
しかも、滅多に見ない種類の悪夢??架空の戦場でも、幼少時代に怯えた「悪夢」でもない、はじめて見る種類の??に魘され、異様な形相を浮かべ全身を痙攣させていた。
■ウーサー To:
嘘だ???っ!!!

そして、その悪夢の向こうの相手が、最悪の真実を、視覚のかたちで己に突きつけてくる、その直前で。
ウーサーは己の頭を抱え、突き立てたその爪の痛みで、現実に引き戻されていた。
■ウーサー To:
……夢……か……?
チッ。そうだよ、な……まさかアイツがよぉ、結婚式の日なんざに…伝説の
ハッ! バカバカしいぜ……。

自分としたことが妙な雰囲気に呑まれたか、と自嘲混じりの欠伸をこぼしながら、ウーサーは周囲の精霊たちの気配を「嗅いでみた」。
存在する精霊がかなり少ないのは、環境のもたらす条件によるものだろう。
その事実も含めて、特に不自然な所は感じられない。
ウーサーは着替えを済ませると、割り当てられた部屋を後にした。
■ウーサー To:
さぁて、と……ちょいと散歩でも、してみっかなぁ……?

人間の目には、塗りつぶされたような暗闇が広がる。
松明の灯りで照らし出された範囲は、昨晩の記憶にある構造のとおりで、長い廊下の左右に一定の間隔で扉が並んでいた。
廊下の先は途中で短い通路が分岐し、その先に金槌と腕とが彫り込まれた扉があったはずだ。
昨晩、ドワーフ達と分かれた後、その扉が閉ざされる重々しい音が思い起こされる。
分岐とは反対側、冒険者達が泊まった西側の廊下は少し先で突き当たり、円卓のある大きな部屋で終わっていたように記憶している。
■ウーサー To:
ええっと確か、こっちは嬢ちゃんたちの部屋だったっけか……。

ウーサーは仲間たちが休んでいる部屋を避け、それ以外の部屋の扉の向こうの気配を探りながら、円卓のある部屋のところまで歩いていった。

泊まった部屋と同じような扉。
並んだそれぞれの向こうに、ひとけは感じられない。
生活臭などなにもない、殺風景な連なりの先に、円卓のあった部屋の、そこだけは両開きとなっている扉がある。
夕飯時の記憶では円卓のあった部屋に他に出入り口らしきものはなく、「西翼」とドワーフ達が呼んでいた側は、この部屋の中で行き止まりのはずだ。

ウーサーは扉を押し開け、中に入っていった。
円卓の間は、明かりもなく、しんと静まり返っている以外、昨晩と違った様子は見受けられない……。
■ウーサー To:
……ま、そりゃあそうか。ていうか、そうそう色々と起きちゃあ、ソレはソレで困るってなあモンだよなぁ?

その頃、オスカールは悪夢にうなされ、はっと目が覚めた。
気が付けば、全身に汗をかいてシャツもべったりしている。
周囲を見渡し ここがドワーフのヤマだと再確認すると、スキットルを取り出し名も分からぬドワーフの酒を舐めて舌を焦がした。
まるで呑んでる気がしないが、酔えれば何でも良かった。
■オスカール To:
ちゃんと仇は取っただろ・・・あいつらももう立派な・・・・・。

遠い目をしながら、夢であった相手に話しかけた・・・意味の無いことだと分かっていながら。
のうのうと第2の人生を送る自分に恥じつつ、夢の相手の冥福を祈った。
■オスカール To:
さて、いつまでも過去に煩わされてても仕方ないな。
・・・・・ウーサーの若さんも仕事始めてるようだし、俺も動くとするか。
それにしても・・・あの若さん、いったい いつから起きてるんだ?

隣のベッドには、寝てるはずのウーサーが居ない。
武器も持っていってるようだが、争った形跡が無い。ならば、探索に出かけてるものと思われる。
オスカールも木の柱を担ぎ 盾を背負うと、部屋の松明を持って外に出かけた。

先ほどまでの憂鬱な表情は すっかり影を潜め、いつものオスカールに戻っていた。
■オスカール To:
だが困った、どこに行ったのやら・・・。
まあ、追わんでも構わんが。

当ても無く、寝る前に来た道を戻る。
作業に対して堅実な性格が、冒険心に勝ってしまう。
■ウーサー To:
さぁて、と……そろそろ戻??

円卓の間では、卓と椅子の間をぐるりと見て回ったウーサーが、両開きの扉から再び廊下に踏み出したところであった。
その時ーー
■??? To:
うわっ!?

松明の明かりに、驚いたように壁際に張り付く小さな姿が照らし出される。

その驚きの奇声は、廊下を歩いていたオスカールにも届いた。
周りが静かだと、なにかと聞こえすぎて困る。
■オスカール To:
まだ、明け方だってのに、悲鳴かよ!
行ってみるしかないな。

奇声の先に向って、走り出した。

その行く手、円卓の間の前では。
■ウーサー To:???
……誰だ?

■ドレイク(仮) To:ウーサー
なんだよー。
いきなりでてくんなよ?。

照れ隠しなのか、寝巻きのポケットに両手をつっこみ、室内履きをつっかけた足を壁に押し付けるようにしながら。
それでも少年はまっすぐ背を伸ばし、頬をやや膨らますようにしてウーサーを見上げていた。

ウーサーは抜きかけた鉄刀を鞘に戻したが、それでも柄に手はかけたまま、じろりとドワーフの少年を見下ろしてみる。
■ウーサー To:ドレイク
なんでぇ、ええっと……ドレイク、だっけか?
おめぇ、何で此処に居るんだ?

■ドレイク(仮) To:ウーサー(仮)
なんか、早く目さめちゃってさ。
トイレ……う、嘘じゃないぜ。
それから、ちょっとだけ冒険者のいる所、見てみようとしたら、兄ちゃんが歩いてったから……。

そう答えながら、少年の視線はウーサーの鉄刀に釘付けになる。
そこにあるのは怯えではなく、きらきらとした好奇心のそれだ。
■ウーサー To:ドレイク(仮)
ん、どうした坊主? コイツに興味があるのかよ?
なんならオレ様が、ちょいと遣い方ってヤツを……んあ?

その時、ウーサーの目には廊下の反対側に明かりが浮かび上がるのがわかった。
なにやら大きな柱のようなものを担いだ人影が、足音を立てて走り寄ってくるのが見える。
■ウーサー To:
今度は何だぁ?

そして、暗がりに目を凝らしつつ廊下を走る、オスカールには見えてきた。
突き当たりの扉の前に立つ、片手で松明を持ち、もう一方の手は腰に手をやったままの大男と、彼を見上げる子どもの姿。
■オスカール To:大男、子供
おおーい、何かあったかー。

■ドレイク(仮) To:オスカール
あ、オスカーのおっちゃん!
おっちゃんもトイレ?

■オスカール To:ドレイク(仮)
トイレ?、ここはトイレなのか? みんな早起きだなぁ。

■ウーサー To:オスカール
いや違ぇよ旦那! オレ様はちょいと散歩に来てみただけなんだが……そういやあコイツ、どっから入って来たんだ?

■ドレイク(仮) To:オスカール
ううん、おいらのしってるトイレはあっちだよ。

オスカールの来た方向を、ドレイク少年はまっすぐに指差した。
■ドレイク(仮) To:オスカール、ウーサー
ねーねー、冒険者の朝ってみんな早いの?
おっちゃんと兄ちゃんは、これからなにすんの?
おいら、ちょっとだけみててもいい?

■ウーサー To:ドレイク(仮)
オレ様はまあ、部屋に戻って武器の手入れだな。この館にゃあ面白そうな場所は、なさそうだしよ。
ボウズもヒマだってんなら見せてやっても構わねぇが、オマエ、朝飯はどこで食うんだ?

■ドレイク(仮) To:ウーサー
やったー!!ぶき、見せて!
あ、でもおいら、かあさんが目をさますまえに、もどらないと…。

ちらりとオスカールの背後に顔を向けた後、少年はいいことを思いついたとでもいうように、笑顔になって戦士ふたりを見上げた。
■ドレイク(仮) To:ウーサー、オスカール
朝ごはんはね、たぶんあっちの部屋。
おいら、カンサツタイショウ?、なんだってさ。
あ、でも、こっちに来ちゃだめとは言われてないよ。
ねーねー、かあさんがいいって言ったら、朝ごはん食べにきていい?

■ウーサー To:ドレイク(仮)
まあ、家族全員、商売で早く出ちまうってんなら構わねぇが……家族の誰かと一緒に食えるんだったら、一緒に食ってこい。オレ様の得物だったらあとで見せてやるから、慌てんなよ。
ところでボウズ、誰に「観察対象」なんて言われたんだ?

■ドレイク(仮) To:ウーサー
うー……わかった!
じゃあ、朝ごはん食べたらすぐだね!!
やくそくだよっ。

「カンサツタイショウ」って言ってるのは、エライひとたちー。
おいら、こっから出ちゃダメなんだってさ。

■オスカール To:
出ちゃダメなら、出るなよ・・・・って無理か。

■ウーサー To:ドレイク(仮)
ふぅ、ん……ああ、わかったわかった。
じゃあ、ゆっくりメシ食ってこいよ! オレ様は逃げやしねえからな!!

■ドレイク(仮) To:ウーサー、オスカール
わーい!!
兄ちゃん、おっちゃん、じゃあまた、あとでねー。

嬉しそうに声を上げたドレイク少年は小さく手を振ると、パタパタと室内履きを鳴らしながら円卓の間とは反対側の方向に走っていった。
折り重なる山並の向こうに錆色をした朝陽がその姿を現し、外界では光とともに人々が動き出す時間帯。
光の差し込まぬこの山中の一角、冒険者達に割り当てられた部屋の片方は、まだ静けさに支配されていた。
■マリィ To:
ふぅ……良く眠れましたわ。
おっと、ここでは明かりが有りませんでしたね。
今日は杖に掛けておきましょう。
「万物の根源たるマナよ。我に光を」

しかし明かりは灯らなかった。
若干気疲れをした感じはするので、稀に有る失敗だろう。
■マリィ To:
もう一回!
「万物の根源たるマナよ。我に光を」

マリィの杖の先端にライトの明かりが灯る。
■マリィ To:
何でしょう……朝からどっと疲れた気がしますわ。

■カラレナ To:
…っ!
…………。

急に灯ったあかりに救われ、カラレナは目を開けた。
肌掛けの端をきつく握り締めたまま。
■カラレナ To:
……お父さん……。
どうして…いまさら、こんな夢……。

肌掛けを頭までかぶり直しながら、何時の間にかあふれていた涙を必死に拭った。
■マリィ To:カラレナ
あら、起こしてしまったようですね。
ごめんなさい、こうしないとわたし、辺りが見えませんから。

■カラレナ To:マリィ
あ、いえ…。
嫌な夢を見ていたので、助かりました…。

■マリィ To:カラレナ
明るすぎたら布を被せて光量を抑えますから言ってくださいね。
わたしは朝のお勤めを。

毎朝欠かさないラーダ神への礼拝を始める。
■カラレナ To:こころのなか
(夢…めったに見ないこの夢…
どうして??)

マリーラナの祈りを妨げないように気を配りながら、カラレナは個室の扉を静かに開いた。
闇の中でも暖かさを見分ける、精霊使いとしての視線、さらには盗賊としての感覚を研ぎ澄まし、通路の様子を探ってみる。
しかし今の時間、廊下は静まり返り、動くものの気配は感じられない。
■カラレナ To:こころのなか>マリィ
(たまたま…?かな?)

あの…マリィさん、変な夢見ませんでした?

マリィの祈りがすんだ頃を見計らって声をかける。
■マリィ To:カラレナ
いえ? わたしはぐっすり眠れましたよ。

■カラレナ To:マリィ
そ、そうですか。
ごめんなさい、変なこと聞いちゃって…。

■マリィ To:カラレナ
カラレナさん、悩み事があるなら相談に乗りますよ?
これでも神官ですから。

■カラレナ To:マリィ
あ、いえ…大丈夫です。
もう、解決したはずのことなのに…今でも時々、夢に見ちゃうんですよね…。
心配してくださってありがとうございます。

外界では、人々が外に出、早い者は仕事に従事し始めているだろうか。
冒険者達が空腹も覚え、時間そのものも気になり始めた頃。
鈍い、どんっ!!どんっ!!という音が空間を切り裂いた。
しばしの間をおいて、重い石扉が床石と擦れ合う、じりじりした音が耳に飛び込んでくる。
■マリィ To:
あら、何かしら。

■ウーサー To:
ん……? なんだよ、漸っとメシかぁ?

■オスカール To:ALL
まだ、何かあるのか?
もう、一働きしてる気分なんだか・・・。

音から察するに、「別館」の入り口でもあり、出口でもある石扉が動いたようだ。
石の擦れ合う音はしばらくして止み、それ以上の音は響いてこなくなった。
■マリィ To:カラレナ
どうにもお呼びが掛からない様ですし、こちらから出向いてみましょう。
その前に皆さんと合流しておきましょうね。

■カラレナ To:マリィ
あ、はい。私も行きます。

マリィはカラレナにそう告げると、男性陣の部屋へ向かい扉を叩いた。
■マリィ To:ウーサー&オスカール
お早うございます。
お二人とも起きていらっしゃいます?
中々食事のお呼びが掛からないのでそちらの様子はどうかと思いまして。

■オスカール To:マリィ
ああ、実は色々あったが、これといって収穫なしだ。
ドレイク(仮)君に出会ったくらいだな。

■カラレナ To:ウーサー、オスカール
あの、変なこと聞きますけど…おかしな夢、っていうか…嫌な夢見ませんでした?

■オスカール To:カラレナ
変・・・なぁ。
悪い夢は見たが、いつものやつだったぞ?  知人がバタバタ死ぬやつ。

■ウーサー To:オスカール>カラレナ
いつも、なのかよ……。
嫌な夢、なあ……さあて、ねえ? なんだよ嬢ちゃん、彼氏につれなくされた夢でも見たかよ?

■カラレナ To:ウーサー
ち、ち、違います。(///
…最近じゃ、見なくなった嫌な夢を…でも、疲れてただけですよね、きっと。

■マリィ To:ALL
確か、昨日聞いた限りでは「朝食は7時」とのことでした。
それなのにお呼びが掛からないのは変じゃありませんか。
昨日ドワーフさん達と面会した部屋に行ってみません?

■オスカール To:マリィ
そうか、朝メシも出るのかサービスいいなぁ。
だが、手遅れみたいだ。 なんか聞こえてくる。

■ドレイク(仮) To:冒険者達
お〜い!姉ちゃんたち〜、おっちゃんや兄ちゃんもいる〜?

廊下の向こうから、元気な少年の声が響いた。
同時に、石畳の床になにかが軋む音が聞こえる。

やがて、重そうな石のワゴンをゆっくりと押しながら、「橋」のたもとで出会った少年が、明かりの範疇に入ってきた。
隣で支えるように、ほんの少しだけ手を添えている女性ドワーフの姿も。
■ドレイク(仮) To:マリーラナ、カラレナ
おっはよー…ございます!
朝ごはん持ってきたよー!!

■ドワーフ女性(マリーエ) To:冒険者達
おはようございます。
空気の流れが気持ちよい朝ですね。
マリーエと申します。
昨日も、明け方も、この子がお騒がせいたしまして、失礼いたしました。

茶褐色の髪を後頭部でまとめた、落ち着いたものごしながらはきはきとしゃべる女性は、優雅に腰をかがめて挨拶をした。
■カラレナ To:マリーエ
あ、おはようございます、カラレナといいます(深々〜とお辞儀)。
ドレイク君のお母さまですか?

■マリーエ To:カラレナ
はい、そうです。

マリーエはカラレナを見上げつつ、にっこりと笑みを浮かべて応えた。
■マリーエ To:冒険者達
朝食のワゴンです。
入口に置いたままになっておりましたので、お気づきではないのだろうとお持ちいたしました。

■カラレナ To:マリーエ
あ、わざわざありがとうございます〜。

■カラレナ To:ドレイク
ドレイク君もおはようございます(^^
よく眠れた?

■ドレイク(仮) To:カラレナ
おいら早く目が覚めちゃってさぁ。
でも、兄ちゃん達も早かったよぉ。
おっちゃん、トイレがわかんないっていうから教えてあげた!

■オスカール To:ALL
・・・・そんなこともあったな。

■マリーエ To:ドレイク>冒険者達
ほらほら、せっかくのおやきが冷たくなってしまうわ。

朝食はお部屋で召し上がられます?
それとも奥の大部屋までお運びしましょうか。

■オスカール To:ALL
折角運んでもらったんだ、ここで食べよう。


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