#178 星から降る夢

☆ 黒曜石の門 ☆

前のページへ トップページへ 次のページへ


【エストン山脈山襞】

谷の先にある通路は、進むに連れて少しづつ細まって いく構造になっていた。
やがて道というよりは岩の裂け目といった方がいい位の隙間にまで狭まり、装備や武具を身につけた者はウーサーはもちろん、オスカールの体格でも通るのが 精一杯というありさまだ。
天井はなく、高みから細々と入ってくる陽光が、曲がりくねった一本道を照らしている。
■ウーサー To:ALL
こいつぁ、凄ぇなあ……まあドワーフの体躯だったら、問題無ぇのかもしれねえけどよ?
それにしたって狭いぜ。
馬も通れねぇだろ、コレ?
上に誰ぞ潜んでたりしねぇだろうな?

■オスカール To:ウーサー、ALL
使ってるやつを基準に、最小限の仕事をするのが基本だからな・・・・・。
上から襲撃されたら大ピンチは確定だな。

■カラレナ To:ALL
でも、この狭い道のおかげで守りは強そうですよね。
この先どんな街が広がっているのか、わくわくします。

そんな道を1キロほど歩いただろうか。
急な曲がり角を折れたとき、それは見えた。

細い岩の隙間を埋め尽くす

おおよそ、建物3階分の大きさはあるだろう、石で造られた巨大な門。
その一部が、行く手に顔を覗かせている。
裂け目のような通路はその先でまた開け、小さな谷に繋がっているようだった。
■カラレナ To:ALL
わぁ…すごい。

■オスカール To:ALL
立派な門だな、何が攻めて来ても守りやすそうだ。

■ウーサー To:ALL
やっぱり凄ぇなあ……、ドワーフの仕事ってヤツはよぉ……!!

谷に出ると、門は一層の厚みをもって目の前に迫ってくる。
扉となる部分の上には威圧感をいや増すかのように、「左のかしらのみ青い双頭の鷲」が 翼を広げた意匠の紋が大きく刻み込まれていた。
岩壁に嵌め込まれた扉部は閉ざされ、その前に5人の人影が並んでいる。
彼らは冒険者達の姿に気がつくと、一斉に気をつけの姿勢をとった。
■ウーサー To:ALL
…………。
どう思う? どなたでも御歓迎、ってえ雰囲気じゃあ無いみてぇだぜ?

■オスカール To:ウーサー、ALL
そうでもない、今から戦おうってやつが“気をつけ”などせんよ。
むしろ形式的には・・・、他は知らんが俺たちは歓迎されてんじゃないかな。
気をつけは、えらいさんを迎えるときの姿勢だからな。

■ウーサー To:オスカール、ALL
ん? そんなもんなのかい?
なんていうかオレ様の故郷じゃあ、衛士ってなあもうちょっとこう、フランクな連中ばっかだったか らなあ……?

■オスカール To:ウーサー
そりゃそうだろ、仲間内にはフランクなもんさ。
俺も徴兵されてたときは貴族相手によくやらされたもんだが、だからといって街の顔見知り相手にまでかしこまったりせんかったよ。

と言いつつ、スキットルを口にする。・・・・中身は水だが。
■カラレナ To:オスカール&ALL
警備隊がきちんと組織された街なんですね。
想像以上に大きな街みたいですね〜。

■オスカール To:カラレナ
そうだな、このデカい門といい かなりの街のようだな。・・・城かも知れんが。

蜂蜜色をした髭をかっちりとした二本の三つ編みに編み込み、、若めの外見だが上質な鎧が目に付くドワーフが、一歩前に進み出る。
■上質の鎧のドワーフ(エイベル) To:来訪者
オランからのお客人ですな。
わたしは、エイベル・フェルゼン。
守護の長を勤める者です。
遠路はるばるようこそおこしくださいました。

片手で支えたハルバードを後ろに引き、素早く腰を折る。
訓練された身のこなしが伺える挨拶だ。
彼に合わせるように左右のドワーフ達も頭を下げた。
金属鎧を身につけた両隣のドワーフはそれなりの礼を、皮装束ーーヴィルトが着ていたそれよりはきちんとしているがーーを身につけた外側に控えるふたりは、慌てて合わせるかのように。
彼らの様子にはやや緊張の色がみられる。
だかそれは敵意や警戒というよりも、異種族と接すること自体に慣れていないことから来ているのかもしれない。
■オスカール To:ALL
・・・丁重すぎて先が恐ろしいな、何を依頼されることやら。

丁重に慣れてないオスカールは、反射的に頭を下げた。
小市民丸出しだ。
■ウーサー To:エイベル
オランの「銀の網」亭に所属する重剣士、ウーサー・ザンバードだ。

ウーサーとしては、初見で警戒心を抱かれるのは、見てくれのせいで割と馴れている。
大して気にも留めずに、わりと何時もの調子でずいっと前に出、堂々と名乗った。
■ウーサー To:エイベル
ヤマ主のバルバラ・オーバーシュタイン殿の、面接を受けに来た冒険者だ。話は通ってるか?
ヴィルト・ライデンシャフトに同道して来たんだが、馬車を返しておくから先に行けと言われたんだよ。

■エイベル To:ウーサー&ALL
はい、もちろんです。
本来でしたら、谷まで迎えに出るべきところ、失礼いたしました。
差し支えなければ、ただいまより山主バルバラの元へ案内いたしますが、よろしいでしょうか?

■ウーサー To:ALL
……だ、そうだぜ。
別に構わねぇ、よな?

太い首を巡らせて、仲間の確認を求めてみる。
■オスカール To:ウーサー、ALL
ああ、構わんよ。

■マリィ To:ウーサー&ALL
どうぞ、わたしも構いません。

■カラレナ To:ウーサー&ALL>エイベル
はい、大丈夫です。
よろしくお願いします。

深々〜とお辞儀。
■エイベル To:冒険者達>号令
かしこまりました、では。

開門〜っ!!

■木霊
開門〜。
かいもん〜。
かいもーん。
かいもーん。

■カラレナ To:こころのなか
(あ…シルフが音で遊んでる)

一歩下がったエイベルが、ハルバードを片手でくるりと回す。
号令か動きか、あるいはその両方が合図だったのだろう。
何処かの高みから突如、銅鑼の音が響き始めた。
それに合わせ、目の前の巨大な扉がゆっくりと動きだす。
■ウーサー To:ALL、ドワーフの守護兵たち
おお……こんなにバカでかく作って如何すんのかと思ってたが、こりゃあどうやって開けてんだ?
やっぱ、人力なのかい?

■エイベル To:ウーサー&ALL
そういう時代もあった、とは聞き及んでおります。
ですが今は、歯車と滑車と梃に助けられているのが実情です。

■オスカール To:エイベル、ALL
・・・・それ(歯車と滑車)は人力と言っていいと思うが。

上がり、下がり、耳新しいリズムを刻みながら、深みのある金属音が谷に深く響き渡る。
跳ね返るこだまを背景に、巨大な門は音も立てず滑らかに開いていった。
扉の先に覗いているのは、入り口の幅を保ったまま、高みへと続いていく長い長い階段。
■エイベル To:冒険者達
わたしが案内いたします。
道中ところどころに採光穴はありますが、念のため灯りも持たせましょう。
アインス、ツヴァイク。

扉の内側に準備してあったのだろう。
皮服のふたりが駆け出し、石の灯り受けを手に取り火を入れた。
ひとりが先頭に立ち行く手を照らし、もうひとりは後方から明かりを補う。
金属鎧のふたりを門の外に残し、エイベルは一行を階段へと促す。
炎の明かり、または天井に穿たれた穴からーーおそらくは鏡を用いて導かれているのだろうーー差し込む光が、柱や壁に施された彫刻、刻み込まれた彫像を照らし出していった。
■オスカール To:エイベル
すまんな、俺たちは夜目が利かないんでな。

■ウーサー To:エイベルと部下(?)たち
なあ。
この壁に彫ってあるのは、やっぱ、此処の地じゃあ謂れのある連中なのかい?

■エイベル To:ウーサー&ALL
はい。
この地が開かれた頃に遡る伝説や古の勲、また当時の支配者層や出資者達を刻んだものもあるようです。
とはいえ、数百年以上を遡るものであります。
正確な内容を伝えるには、我々は代を重ねすぎてしまいました。

■カラレナ To:エイベル、ALL
すごい彫刻ですよね〜。
今にも動き出しそう…。

■エイベル To:ALL
そうそう、申し忘れておりましたがこのふたり、アインスとツヴァイクとは、実のところ皆様の言葉でいう「共通語」を学んでおりません。
ここに住まう限り外と交わる機会もほとんどなかったものですから。
必要なら、わたしが通訳いたしますが、ご無礼と思えました折もその辺りを汲んでいただきますようお願いします。

そう語ったエイベルは、皮服の男たち向かって彼らの言語で何事か話しかけた。
それを聞いたふたりが、恥ずかしそうに頭を掻いたり、ぺこりと頭を下げたりしたところから、今の話を彼らに通訳したものと思われる。
■オスカール To:エイベル、ALL
郷に入れば郷に従え・・さ。
俺もドワーフの言葉は分からんが、お互い様ということだ。

■カラレナ To:アインス、ツヴァイク
あ、良かったら…ドワーフさんの言葉で「こんにちは」と「ありがとう」ってどう言うのか、教えてもらえませんか?

通訳お願いします、とエイベルにぺこり。
微笑みでそれに応じた青年は、頷くと、皮服のふたりに話しかけた。
■アインス To:カラレナ
(エイベル通訳)
おらたちだと、だいぶなまっちゅうけど、あいさつは「ターグ」ですだ。
えらいさんたちあいてだと、「グデ・ターグ・ヘア」いいます。

■ツヴァイク To:カラレナ
(エイベル通訳)
れいをいうにゃ「ダンゲ」です。
「ダンゲ・ジエン」でとーってもたすかったちゅういみになります。

■エイベル To:カラレナ&ALL
ああ、因みに「ヘア」は男性に対する尊称て、女性には「フラウ」を使います。
当然ながら皆様はお客人ですから、尊称をお付けになる必要はありませんが。

あまり上手いとは言えない訛りで、ふたりの口調を再現した後、会話の内容にまでしっかりと補足を入れるエイベル。
■カラレナ To:エイベル、アインス、ツヴァイク
わぁ、詳しく教えてくださってありがとうございます。
ええと…(西方語訛りで)だンゲ・じエん。(^_^)
む、難しいですね〜。

さっそくとばかりに発音して3人にお礼。
■アインス、ツヴァイク To:カラレナ
ビッデ・ジエン!!

にまっ!というような笑みを浮かべ、軽く小突きあいながら、皮服のふたりはカラレナに応えた。
■エイベル To:カラレナ
ビッテ・シェーン。
どういたしまして、という意味です。

そうこう話もしながら、百段以上は登っただろうか、階段の先には、長く緩やかな廊下が続いていた。
人間ですら3人が肩車をしてもまだ余裕がありそうな高い天井。
10人が並んで歩けるほどの広い廊下は、時折他の通路と交差する。
とは言え一行の進む道は、ほぼ門から真っ直ぐに続いており、戻ろうとしても迷うことはなさそうだ。
街でいうなら中心の大通りを進んでいるということなのだろう。
■ウーサー To:ALL
随分と歩くが……あの分厚い門に、この廊下。
こうなってくると、徹底して守りを固めてるみてえに思えちまうがなぁ……それとも、ドワーフの街ってなぁ、どこもこんなモンなのか?

■オスカール To:ウーサー&ALL
鉱山の採掘口みたいなトンネルに住んでるのは有名だが、同じ山でも ここの“城みたいで重厚なの”は聞いたこと無いな。

■カラレナ To:ウーサー&ALL
私、もっと天然の岩肌がむき出しの、ごつごつした感じを想像してました。
元気なノームに会えると思ってたんですけど…ちょっと残念です。

きれいに整備された通路を見回しながら。
そこからさらに数百数えるほど進むと、行く手に石の扉があらわれた。
床や壁の例にもれず、全面に蔦をあしらったような複雑な浮き彫りが施されている堅牢そうなつくりだ。
扉の手前で足を止めたエイベルは、ためらいを語尾にまとわせながら、一行に話しかける。
■エイベル To:冒険者達
失礼ですが、皆様の中で高いところが苦手という方は おられますか?
その方には、こういったもののご用意がありますが。

ドワーフ青年の手には、白く細長い布ーー目隠しと思わるーーが下げられていた。
■ウーサー To:エイベル>ALL
ん〜? いや、そんなモンは必要ねえって! ガキじゃああるましし……。
なあ?

あまり深く考えることなく、大嗤いしながら仲間に問いかける。
■オスカール To:ウーサー、エイベル、ALL
ああ、“目が見えん”では むしろ危険だろ。

■カラレナ To:エイベル
はい、私も大丈夫です。
木登り大好きですし。

■エイベル To:冒険者達
そうですよね!
大きな種族は肝も大きい!!
いやいや、ご無礼つかまつりました。

ウーサーの言葉にどこか重荷を祓ったような声を上げたドワーフの青年は、閉ざされた石扉に手をかけ、 軽々と押し開いた。
■エイベル To:冒険者達
ではどうぞ。
こちらが、わたしたちのヤマ、現在のロートバッハ中心部です。

■ウーサー To:エイベル
へえ、こっから先に昇降機……

開いた扉の先は、底なしとも思える深みへと続いていた。
一行の目に飛び込んできたのは、巨大な裂け目。
左右の果ても闇に消え、頭上の空間はどこまでも突き抜け……。
ただどこかにあるのであろう、天井からさしこむ細々としたいく筋かの光が、かろうじて前方を照らしだしている。
■うーさー
o( ̄ ^  ̄ o) ・ ・ ・( ̄〜 ̄;) ・ ・ ・ ・ ・ ・(οдО;)

■カラレナ To:ひとりごと
ふ、深…。

あまりの深さにくらくら。
■エイベル To:カラレナ
大丈夫ですか?
よろしければ、誘導いたします。
どうぞ手をお取りくたさい。

ドワーフという外見からは意外なほどスマートに。
エイベルは手のひらを受けの形にして、カラレナの前に差し出した。
■カラレナ To:エイベル
あ、ありがとうございます。
まさか、こんなに深いと思わなくって…。

恐縮しながら手を乗せるカラレナ。緊張からちょっと震えていた。
エイベルの動きを一行の後ろに控えていたドワーフ、ツヴァイクはじっとみていた。
いきなり石松明を左手に持ち替えた彼は大きく息をすうや、右手をマリーラナの前に差し出す。
■ツヴァイク To:黒髪のお方
(共通語らしきもの)ダ、ダィジョブデスゥカ?
ヨロシケ?……ぁ…ユウドー…??

そこまでしか覚えられなかったらしく、皮服のドワーフは片手を差し出したまま、小さくうつむいてしまう。
■マリィ To:ツヴァイク
(ドワーフ語で)普通通りにお話しくださいな、ツヴァイクさん。
わたしは貴方がたの言葉は理解出来ますので。
さて、紳士のお招きを受けぬ訳には参りませんね。
どうぞ宜しく。

ツヴァイク氏の手を取りながら。
■ツヴァイク To:マリィ
(ドワーフ語)
お 、おみそれいたしやした。
お嬢さ……じゃなくって、フラウ。
コウエイですっ!
ありがとうございますっ!!

こちらも緊張のためか、かなり硬い動きであるものの、ツヴァイクはしゃんと背を伸ばし、マリーラナをエスコートしはじめる。
■アインス To:ツヴァイク
ヒューヒュー!

■エイベル To:ツヴァイク>カラレナ、マリィ
(ドワーフ語)よくやったな、がんばれ。

(共通語)
では、参りましょう、こちらへ。

光を頼りによく見れば、開いた扉の前に岩を削り出して作ったかのような細い橋がかけられているのがわかる。
オランの河にかかる橋を3つは繋げた長さはあるだろう。
ひとが二人並べるかどうか、という幅の橋には手すりはなく、緩やかな弧を虚空に描きつつ一行を裂け目の対岸……更なる山の奥へと導いていた。
■エイベル To:冒険者達
古の時代、この橋は「王国」の防衛の要とされていたそうです。
ここを落とせば、外のモノはもはや侵入してくることは出来ない。
今、この時代に残された我々にとっては、この場所こそが生活の中心であるのですが。

アインスが、足元を照らしながら先に立つように橋へと踏み出す。
その横で、橋への道を開くように、右に動きながら説明するエイベル。
彼の声からは、誇りと諦観とが入り混じった複雑な思いが伝わってくる。
■エイベル To:冒険者達
あ、気をつけてください。
ゆっくりと、1列でお願いします。

自身は身体を斜めにとり、前に立ってカラレナを誘導するエイベル。
ぎこちなくそれを真似ながら、マリーラナの手をとったツヴァイクが、それに続いた。
■ウーサー To:エイベル
(=・ω・)/

■オスカール To:エイベル、ALL
おう、分かった。

■カラレナ To:ALL
そ〜っと、そ〜っと行きましょうね…。

■ウーサー To:エイベル、ALL
あ、いや、どうってことねえ、どうってことねえよ?

命綱を勧められなかった以上、重量的には大丈夫なハズ……と念じながら、堂々とした足取り(に、見えるように気合いを入れつつ)、率先して橋を進んでいく。
■ウーサー
(°〜°) . . . .

ウーサーの歩みはいつもよりも大股な気も、しないでもない。
■??? To:
……:→?÷*8→%*^4〒……

それは最初、風の音のように耳に入ってきた。
■??? To:ざわめき
\÷…l・+5・#$々……。

橋を進むに連れ、その音はささやきに、やがてざわめきとなり、折り重なる様に耳に響いてくる。
■ウーサー To:ALL
ん? 何だ……風? ……下?
いや、こりゃあ……?

薄暗がりの中、遥かな高みからか細く差し込む光。
その光の中、高く、低く、切り立った壁のあちこちで蠢く影、影、影。
太陽の光輝く外界から遠く離れたこの場所に息づいている住人達が、闇を見通すその視線で、一行を密やかに見つめていた。
警戒も、好奇も……その他外部との行き来が少ない土地で、いわゆる「訪問者」が受けられるようなあらゆる視線が遠くから、橋を渡る冒険者達に投げかけられている。
■エイベル To:冒険者達
この地に生を受けた者、或いはその配偶者以外で、「門」より内側に足を踏み入れることが許された者は、ドワーフ族であってすらほぼおりません。
皆様の入山は、本来伏せられるべき話であったのですが……。
想定外の早さで噂が広がり、このような事態とあいなりました。
ここに住まうもの皆、不安はあるかも知れませんが、悪意はありません。
ご容赦くださいますよう。

住人達の視線に堂々と身をさらしながら、一瞬歩みを止めたエイベルは、冒険者達を振り返りつつ小さく頭を下げるのだった。
■オスカール To:エイベル、ALL
そうか、そんな大変なところに通してくれるとは痛み入るな。

おっさんの笑顔で返したが、“門の外にも出られないほどの重要人物”からの依頼が予想される状況に先が思いやられた。
■カラレナ To:ドワーフたち
えっと…
(西方語訛りのドワーフ語)
た…たぁグ。

教えてもらった発音そのままを真似しながら、視界に入ったドワーフたちにぺこりと頭を下げる。
ざわざわといくつかの影が蠢いたものの、挨拶を返してくる者はいなかった。
■カラレナ To:
ぅ、やっぱり聞き取れないですよね…(しゅん)

■ウーサー To:エイベル、ALL
……はっ! こりゃあ相当、期待されてるってか!?
サービスで剣舞か魔法のひとつでも、披露してやったほうが良いか?

多くの視線が、ウーサーの「英雄を目指す気持ち」に火を灯す。
おかげで巨漢の剣士豪放磊落な面を取り戻し、陽気な軽口を叩けるようになっていた。
■エイベル To:ウーサー&ALL
問題が解決したあかつきには、そのような機会が設けられることを、わたし個人としては望むものでありますが……。

長い橋のようにも思えて200数える間もなかったかもしれない。
先頭を行くアインスの手にした明かりが橋の終点を照らし出す。
そこは10人ぐらいが集えるテーブル状にせり出した広場になっていた。
崖には、橋の手前にあったものとよく似たレリーフの石扉がはめ込まれている。
■ウーサー To:エイベル
ん? なんでぇ、もう終点かよ。
こっから先が、あんたたちの「街」ってワケかい?

■エイベル To:ウーサー
はい、そうです。
行政区、産業区、生産区、生活区と分かれておりますが、おそらく皆様のおっしやる「街」と似たような空間とみなしてよろしいのでしょう。
差し当たって皆様をご案内するのは行政区となります。
あとほんの少しだけご足労願います。

話しながら全員が橋を渡り終えたことを確認したエイベル。
会釈をしてカラレナの手を離し、明かり持ちの2人を前後の立ち位置に戻すと、彼は扉に手を伸ばし引き開いた。

前のページへ トップページへ 次のページへ


GM:IF