【エストン山脈近くの谷】 |
■ヴィルト To:ALL |
着いたぞ! |
国境の長いトンネルを抜けると、そこは山国だった。
■カラレナ To:ALL |
わぁ、雄大な眺めですね〜。 |
■ヴィルト To:冒険者達>馬's |
いゃぁ、道中疲れたろう。 今朝方山路に入ってからは、ちっと荒い走りになってしまったが……なんとか6日で着けたでな。 こいつらもよくがんばったよ。 |
■カラレナ To:馬たち |
本当に、偉いですよ(^-^) |
■シルフィ&クルフィ To:ヴィルト |
ヒヒュン! |
誇らしげに鼻を上げる馬達
飼葉に大麦を、飲み水にエールを混ぜて与える、ドワーフ式強壮術のおかげか、きつい行程だったにもかかわらず、彼らに疲れは見えない。
■ウーサー To:ヴィルト |
いやまあ、確かに疲れたぜ……精神的な意味でな! |
道中での「ちっと荒い走り」で感じたヒヤリやハッとをつらつらと回想すると、あらためて嫌な汗が滲んできたり、こなかったり。
■マリィ To:ヴィルト |
もう少し慎重にして頂ければ……快適でしたのに。 落ち着いて本が読めませんでしたわ。 |
馬車に揺られて疲れたのか、もしくは本を読んでいたのが悪かったのが、少し顔色が悪そうだある。
■ヴィルト To:マリぃ |
おおっと、それは失礼しましたな。 なになに……「本を快適に読みたい」ですな。 伝えときましょう。 |
■オスカール To:ALL |
新兵器のサガだな・・・・乗り手が追いつかん。 |
スキットル片手に誰にとなくつぶやいた。
舐めるように飲んできた安酒も、6日の行程により遂に尽きた。
■オスカール To: |
・・・・まあ、持った方か。着いたんで良しとするか。 |
馬車か止まったところは、深い山肌に切り開かれた、細い谷間のような場所だった。
灰色の岩が左右にそそりたち、その隙間から遙かに遠く青空が覗いている。
前方には、行商人のものと思わしきテント小屋が3、4件ほど立ち並んでいるが、買い物をしている者らしき姿はない。
テントのさらに先で、谷は通路とも言うべき細さにまで狭まり、薄暗がりへと消えていた。
■ヴィルト To:つぶやき(?) |
ん?今日は商人どもが少ないのう。 年がら年中こんな場所で商いとは、ご苦労なことだが。 |
■ウーサー To:ヴィルト |
まあ確かに、不便そうな所じゃああるが……何時もはもっと、店が出てるのかよ? それに随分と、景気が悪そうじゃねえか? |
■ヴィルト To:ウーサー&ALL |
ん?ああ、あいつらな。 わしらは基本、ヤマによそ者は入れないのじゃが……「門」より外に立ち入ることまでは止めないでおる。 で、商売のネタを探している連中はどこにでもおるんじゃのう。 ヤマでは珍しいモノを売ったり、ヤマのモノを買ったりしに来とるんじゃよ。 いつもなら、もうちょっと集まっているんじゃが。 まぁ、わしも外に出られるようになったのは最近だからの。 商人にも、時期というものがあるのかどうかはわからんが。 |
■カラレナ To:ALL |
面白そうですね〜。 ちょっと覗いてみたいな。 |
■ヴィルト To:冒険者達 |
そうそう、ここから先は馬車が通れんでの。 すまんが、歩いてもらわんといかん。 なぁに、四分の一時ほどの距離じゃ。 |
■ウーサー To:ヴィルト、ALL |
四分の一時……まあ、楽勝だな。 オレ様は大した荷物があるワケじゃ無えからよ、なんか担いでくモノは有るかい? |
手早く武器を身に着けて外に出、山の空気をひとしきり深呼吸し終えると、ウーサーは自分の食材を取り出しにかかった。
■オスカール To:ALL>ヴィルト |
俺も荷物無しだ、運ぶもんがあれば言ってくれ。 あと酒を切らしちまった、安いので構わんが どっかで手に入らないか? |
■マリィ To:ウーサー&オスカール |
わたしは元より軽装ですし。 お願いする荷物はありませんわ。 |
■カラレナ To:ウーサー&オスカール |
私も大丈夫です〜。 よっ…しょっと。 |
荷物と武器を背負い、片手にヤシの実入り布袋を大事そうに持って馬車を降りた。
■ヴィルト To:オスカール |
酒か、ふむぅ、とりあえず連中に尋ねてみるか? |
御者台から、ひょいと飛び降りた砂色頭のドワーフは、前方のテント小屋へと近づいてゆく。
顔を出した行商人達ーーいずれもドワーフだーーと、彼らのものと思われる言語でやりとりをした後、ヴィルトは肩をすくめて戻ってきた。
■ヴィルト To:オスカール |
残念ながら、誰も商う酒は持っておらんそうじゃ。 わしも、今回は酒抜きで出たからのう。 馬車の下には、馬どもにやったエールがちと残っておるが、まさか客人に差し上げるわけにもいかんしな。 |
■オスカール To:ヴィルト |
いや、わざわざ手間かけさせて すまん。 俺のはタダの気付けだ、水でも入れて その気になっとくことにするよ。 |
■ヴィルト To:オスカール |
すまんの。 できるようなら、後で差し入れさせるで。 それから馬車には「人間用の酒樽も装備する」ようにと伝えておこう。 |
■カラレナ To:ひとりごと |
…なんだか、どんどんすごい馬車になってしまいそうです…。 |
一行がそんなやりとりをしている間に、小屋から逆にこちらに近づいて来る者があった。
一行から7、8歩離れた距離にまでやってきた、詰襟の見慣れぬ衣装を纏った男は、ドワーフには珍しく顎鬚を生やしていない。
大きな鼻の下から細く長く伸びた髭が二本左右に垂れていた。
■細髭の大地妖精To:ALL>蜜柑髮の半妖精&鴉髮の人間 |
お客サン! 山ン中は、海魚貴重品アルね。 土産に買わないアルか? オジョウサンたち、自分で料理するにもオススメアルよ。 |
海が近いオランから来た者の目には、貧弱とさえ映る干物をぶら下げて。
妙な訛りの共通語で、どうやら売り込みをかけにきたようだ。
■カラレナ To:細髭の大地妖精 |
(あれ? 同業者の方みたい) |
左手が示した盗賊の符丁を見て小首を傾げる。
■マリィ To:細髭の大地妖精 |
まあ、珍しい。 その訛は東方のご出身かしら? ごめんなさいねえ、わたし達今来たばっかりなので。 帰りに言ってくれれば少しは考えましたのに。 |
■細髭の大地妖精 To:鴉髪の人間 |
そのとおり、ワタシ東のほうから来たアルね。 帰りに寄ってくれてもいいアルが、商品ははもう残っていないかもしれないアルよ? |
■カラレナ To:細髭の大地妖精 |
東…(キラキラ) こんにちは、私たちオランから来たんですけど、オランでも手に入らないような珍しいお魚とかありますか? |
東方フリークの血が騒いだらしい。
言いながら盗賊の符丁を返した。
■細髭の大地妖精 To:蜜柑髪の半妖精 |
お、オランから? ………。 ……。 こ、こいつぁ、ぶったまげたアルねー!! |
■カラレナ To:細髭の大地妖精 |
え? そ、そんなに驚くことです?? |
乾物商人(?)は本気で驚いたようだった。
左手を宙に突き出したまま、一行と馬車とを交互に見やり。
次の瞬間、あわてたように小さな干物ごと両手を袖の内側につっこむ。
■細髭の大地妖精 To:蜜柑髪の半妖精&ALL |
め、珍しい魚だったアルね。 ちょっと、ちょっと待つアルよ。 |
ドワーフにとって精一杯の早さで小屋に駆け込んでいった商人は、すぐになにやら手にして現れた。
からからに干からびているものの、蛇のごとく長い胴体を持ち、巨大な頭と大きな口、長い触覚を持つ目のない魚(?)らしきものである。
■細髭の大地妖精 To:蜜柑髪の半妖精 |
オジョウサン、これならどうアルか。 このヤマで採れる珍しい魚アルよ。 地底の川で、長い長い年月をかけて大きくなるアル。 他の街では、まず見たことないアルねー。 |
■カラレナ To:細髭の大地妖精 |
ほ、ホントに変わったお魚ですね〜。 …えと、どうやって調理すれば…まるごと焼けばいいのかな? |
魚のようなナニカを上から下まで眺めて困惑ぎみ。
■細髭の大地妖精 To:蜜柑髪の半妖精 |
細かく砕いて飲むアルよ。 お肌スベスベになるねー。 街へ持って行くと長生き出来るって買っていく人間サンもいるネ! |
■カラレナ To:細髭の大地妖精 |
お肌すべすべで、長生きですか〜。 お薬みたいなものなんですね。 ゾフィーさんへのお土産にしようかな♪ |
もちろん他意は無いのだ…本人には…。
■細髭の大地妖精 To:蜜柑髪の半妖精 |
お土産!オジョウサン目が高いアルねー。 いまではヤマでもこんな大きいのは、殆ど生きていないアル。 このサイズの干物は珍重されるアルよ! 600ガメルでどうアルかー? |
カラレナの目の前に謎の魚(?)を突き出しながら、あやしげなドワーフは小声でささやきかけてきた。
■細髭の大地妖精 To:蜜柑髪の半妖精 |
あの…無理に買わなくてもいいんで……よかったら、皆さんなんでここに来たのか教えてもらえません? |
■カラレナ To:細髭の大地妖精 |
ええっ? あの…オシゴトで、バルバラさんに会いに…ですけど…内容については…まだ知らなくって… |
思わずしゃがみこみ、魚のようなモノを吟味するふりをしながら返答する。
■細髭の大地妖精 To:蜜柑髪の半妖精 |
やれやれ、オシゴトですか。 バルバラさんってゆーと、あの方おん自らってことですね。 いやね、あたしゃしがないツナギですけどね。 このところ連絡がこないんですよ……ヤマからも、その……本部からも。 で、皆さんに期待してみたんですが、そうですか……オランからですか……。 |
背中を丸めちいさくうなだれたドワーフは、がっかりしていると同時にどこか、途方に暮れているようにも見えた。
■カラレナ To:細髭の大地妖精 |
…?? あの〜、本部ってどこです? それに、私たちこれからヤマに入るので…ギルドへ言伝があるならお預りしましょうか? 私はよそ者だから無理かな…? |
■細髭の大地妖精 To:蜜柑髪の半妖精 |
おっと、こちらからお尋ねしていて、失礼を。 パダ…です、はい。 それじゃですね、ヤマのなかで、ええっと…組合に関わるようなことになったら、あ…無理だったらいいですよ。 アイデクセンさんが…お元気かだけ、みてやってくれません? あたしのこととか、全然言わなくていいんで……あと、結果も教えてくれなくてもいいんで。 ああその、お嬢さんの立場に、問題なければ…ですが? |
■カラレナ To:細髭の大地妖精 |
わかりました、アイデクセンさんですね。 あ、でも……その方と面識の無い私が、突然お訪ねして様子をお伺いするのも変ですよね? 良かったら、あなたのお名前と事情をお話ししても良いでしょうか? あ、私はカラレナと言います。 |
■細髭の大地妖精(チャン) To:カラレナ |
いやいや先方は、たぶんあたしが誰かなんてのも知りゃしないんです。 言ったでしょう、あたしゃタダのツナギだって。 とは言え、何年も何年もアイゼクセンさんからの伝言を運び続けていれば…そしてなんの連絡もなしにそれがなくなりゃ、心配にもなろうってもんです。 それだけなんでホントに無理はしないでと……あ、あたしゃチャンって名乗ってますが、あたしの名前を言ったところで、ヤマん中ではなんの役にも立ちゃしません。 そこんところは、どうかひとつ……。 |
■カラレナ To:チャン |
わかりました。 …あの、本当に結果をお知らせしなくても良いんですか? その方のことが気になられているんですよね……? |
■チャン To:カラレナ |
いいんです、いいんです。 結果がどうあれ、あたしの立場に変わりはないんで。 でも、カラレナさんのお心遣いにはありがとうと言わせてもらいますよ。 |
にやりと、としか表現せざるを得ない笑みを浮かべた後。
詰襟ドワーフは、魚のような長い何かをひったくるようにかかえ直し、一歩後ずさりした。
■細髭の大地妖精 To:蜜柑髪の半妖精 |
あー、オジョウサン、買うアルか?買わないアルか? そろそろ決めるアルね! |
■カラレナ To:細髭の大地妖精 |
あ、すみません。600ガメルでしたよね。 えっと、えっと…たっ、高い…。 あの、もう少し量を減らして安くしたりとか、できないでしょうか? |
財布をまさぐったあと、ふと冷静になったようだ(笑)
■細髭の大地妖精 To:蜜柑髪の半妖精 |
そうか、買いたいけど大きいアルかー! でもこれ切ると価値ないアルね、もう少しだけ待つアルよ。 |
テントに戻っていったドワーフは、ほどなく、その前に見せた魚(?)に似ているが長さは半分位の干物を持って現れた。
■細髭の大地妖精 To:蜜柑髪の半妖精 |
これなら300ガメルで売るアルよ。 でも、オジョウサンへのサービス、だから転売しちゃ駄目アルね。 |
そう言いながらカラレナにだけ見えるように、干物の口を開いて見せる。
内側にチラリと畳んだ紙の様なものが覗いていた。
■カラレナ To:細髭の大地妖精 |
わぁ、ありがとうございます〜。 これならちょうど良さそうです。 大丈夫ですよ、大切なお土産ですから。 |
内側を確認すると、ひとつうなづいて300ガメルを支払い、大事そうに受け取った。
■細髭の大地妖精 To:蜜柑髪の半妖精 |
おお、決めると早いアルね。 そういうお客さん好きアルよー。 ありがとう、また買うアルね! |
■カラレナ To:チャン |
はい、またよろしくお願いします〜。 |
ぽんぽんと干物の頭を叩いた後、丁寧にカラレナに引き渡すと。
チャンと名乗った細髭ドワーフは、受け取ったガメルを何度も数えながら足早にテントへと戻っていった。
■ウーサー |
うむぅ……こ、コレは……。 |
そのころ、銀の網亭のおやじから譲り受けた食材を取り出していたウーサーは、専門家の目で点検を終えていた。
粉や砂糖はもちろん、バターの入った壺も「ちっと荒い走り」に耐え無事だと判明する。
しかし支える親がいなかったせいだろうか、1ダースあった卵のうち、無事だったものは7つ。
5個にはヒビがはいってしまっており、このまま無事に運びきれる保証はできなくなっていた。
■ウーサー |
これ以上は無理、かねぇ? とはいえ、あと四半時……いや、それにしたってなぁ……? こりゃあいっそのこと、もう飲んじまったほうが早いんじゃね? |
ヒビの入った卵を前に、とりあえず別な容器に移すなり、簡単な下処理をするなりして、なんとか転用できないかと頭をひねってみたりしてみる。
■ウーサー To:心の声>ヴィルト |
(あ、いや、ヒビいったのが旅程の最初のほうだったら、生食は危険だな……って、調理してもヤバい可能性がちっとはある、っちゃあ有るか……ま、冒険馴れしてるハラなら関係無ぇだろ……) なあ、ちょいと火ぃ起こして、10分ほど時間貰っていいかよ? このヒビ入っちまった卵、なんとかしちまいてぇんだが? |
■ヴィルト To:ウーサー>ALL |
あー、いや大丈夫…じゃと思うがの。 わしはこれから馬車を返しにいかんとならんでな。 悪いがお前さん達、準備が終わったら先に行っといてくれんか? あの商人どもがいる先の道をまっすぐ四半時じゃ、分かれ道はないから迷うこともない。 そこにはヤマの入り口たる「門」があって、出迎えがおるはずじゃ。 |
■マリィ To:ウーサー |
火起こしなら、わたしの「ティンダー」を使えば直ぐに終わりますよ。 まあ、燃料は必要なんですけどね。 |
■ウーサー To:マリィ |
お? う〜ん……いや、今回はいいぜ。 ちょいと温度が、重要なんでな? いつも使ってる炉とは違うからよ、着火したときの火量から、熱の廻りを逆算してぇんだ。 |
ウーサーは少し考えてからマリィに答えると、手早く調理器具を取り出し、手ごろそうな石を集めて組み上げていった。
■マリィ To:ウーサー |
あら、そうです? 滅多に料理しないからその辺の細かいことは分からないですね。 |
■オスカール To:マリィ |
じゃあ、これを機に覚えるのもいいかもな。 人の技は、滅多に見れん。 |
■ウーサー To:オスカール、マリィ |
おいおい。オレ様なんかのを参考にしたら、変なクセがついちまうぜ? そりゃあ勿論、剣技だったら話は別だがよ? |
そして諸々の準備を終え、種火を灯してニヤリと嗤うと、篭手を外した両掌を高らかに打ち合わせ、ヒビの入った卵たちとの格闘を開始した。
■ヴィルト To:冒険者達 |
それでは皆の衆、わしはもういくでな。 中に忘れ物はないかね。 |
いつの間にか、御者台に飛び乗っていたヴィルトが、手綱を取り上げながら呼びかける。
■カラレナ To:ヴィルト |
はい、大丈夫です。 ヴィルトさんもお気をつけて。 |
■ヴィルト To:カラレナ>冒険者達 |
ああ、お前さん達もな。 転びやすい道というわけではないから、頑張れよ。 ではまた、後でな〜!! |
軽く上げた片手を振ると、砂色頭のドワーフは手綱を振りつつ馬達に声をかけた。
超大型馬車は外観に似合ぬ素早さで向きを変え、山路にその姿を消してゆく。
■カラレナ To:こころのなか |
(あ、さっきの…確認しておかなくちゃ) |
仲間たちから少し離れたところで、魚のようなモノを丁寧に袋に入れ直すふりをしつつ、内部に仕込まれていた紙切れを取り出して確認する。
紙には、奇妙な線のようなものがあちこちに書き散らしてあった。
■カラレナ To:こころのなか |
(これは…地図? 何かから写したものかな…?) |
遠くの商人達も、カラレナの様子に気を止めた者はいなかったように思える。
紙を身終えた後も、周りの様子にこれといった変化は感じられなかった。
カラレナは線の全体像をできるだけ正確に「記憶」し、紙切れを素早くポケットに収めると、魚?を丁寧に荷物にしまい直した。
■ウーサー To:卵だったモノ |
っ、と……ええと、こんな感じ……だったか……? |
そして、遠目にだが見ていた「モノ」に似せて、卵を菓子へと変質させていく……。
■カラレナ To:ウーサー |
って、ウーサーさん…何火遊びしてるんですか? |
仲間のもとへ戻ってきたカラレナ。
ウーサーがお菓子を作ってるふうに見えなかったらしい(笑)
■ウーサー To:カラレナ |
ん?? ああ……まあアレだ、所謂錬金術ってヤツだ……もうちょっと待ってろ……よしっ、こんなモンか!? |
ウーサーはカラレナに適当なことを言って答えつつ、指先と知覚を集中させ続けていた。
そして……作業中には頑張って体で隠していた、遂に完成した「ソレ」を、会心の笑みと共に突き出してみせた。
■ウーサー To:ALL |
ホレ、どうだぁ!? あの「魚」だぜっ!! |
加熱しつつ泡立てることで軽い食感になるようにしながらも、焼き鏝がわりの加熱させたフォークで焦げ目をつけてリアルさを追求した、それなりに自身の持てる仕上がりとなった「メレンゲ製の怪魚」。
とはいえ、なにぶんモデルとなった物の形が奇怪すぎたうえに「干物」なせいで、元を知らなければ「魚ではない何か」のようにしか見えないモノ、となってしまったのだが……。
■カラレナ To:ウーサー |
え? こ、これって… |
■ウーサー To:カラレナ |
どうでぇ、出来は最高だろ? なんなら嬢ちゃん、お前が食うかい? |
■カラレナ To:ウーサー |
い、要りません〜。 何だかお腹壊しそう…。 |
それをお土産にしたのは誰だ。
■うーさー |
あ、しまった。卵黄忘れてた……。 とりあえずあれだ、バニラと砂糖と……? |
即席の竃に残った熱を利用して、手早く薄焼き卵が焼きあがっていく。
■ウーサー |
……よっし、こっちはこんなモンだな。あとで珈琲でも淹れて摘むかねぇ? |