SW-PBM #175 伝説の… |
■ 危険な気配 ■ | ||
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【 銀の網亭 】 |
明日にギルダー村への出発を控え、ゆっくり休んでおこうと早めに就寝した冒険者たち。
……その夜、酒場の喧騒も静まる頃。
■人形 To:かられな |
……くすくすくす。 うふふ……ふふ……きゃはは。 |
カラレナの枕元に置かれていた、東方渡りの人形が無邪気な笑い声を立てた。
同時に、ざわざわとその真っ直ぐな黒髪が震えながら、持ち主に絡みつくように伸びてくる。
■カラレナ To:??? |
う〜ん……かざーくさん……むにゃ。 |
寝ぼけているのか、髪の毛の感触には気づかずに人形をぎゅっと抱きしめる。
■カラレナ To:人形? |
ん……ん……?? ……?? |
微妙な違和感を感じ、ぱかっと目が開く。
まじまじと人形を見。伸びている黒髪を見て、半開きの眼のまま小首を傾げる。
それと時を同じくして。
カラレナから少し離れたベッドで眠っていたクローエも、何か不穏な気配を感じてふと目が覚めた。
そのまま意識を集中させていると……不意に空気を切り裂く音、そして何かが砕けるような音が耳を突く。
■カラレナ To:マリィ |
マリィさん、マリィさん……起きて……様子が変です。 |
■マリィ To:カラレナ |
なんでしょう? |
掛け布団を除けて起き上がる。
クローエもその向こうでもぞもぞ。
■クローエ To:マリィ |
…マリィさん…その…カラレナさんの首が…首に…首を…お人形の毛がぁ!? |
一応冷静に見えてるマリィのむこうで、髪の毛に絡みつかれてるカラレナをみて仰天するクローエだが…
■ジノの声 |
うわひゃあ!? |
そして、直後。
廊下を隔てたジノの泊まる部屋から、何かに驚くような声が聞こえてきた。
■カラレナ To:ALL |
い、今の声!? ジノさん!? |
仲間に目配せすると、とっさに武器とシーフツールをひっつかんで部屋を出る。
クローエもあたふたと寝台から降りて、後に続く。
■カラレナ To:ジノ |
ジノさん、大丈夫ですか!? |
首に人形をぶらさげたまま登場。
■ジノ To:カラレナ |
そ、その声……カラレナさんだか? や、矢が……矢が飛んできただよ。 |
震える声の答えと、かちゃかちゃと扉の鍵を外す音が聞こえてくる。
じりじりとした時間が過ぎ、やっと扉が開かれると青い顔をしたジノが姿を見せた。
■ジノ To:カラレナ |
あれ……あれが、突然飛び込んできただ。 |
指差す先には、床に突き立った矢が一本。
閉じられていたはずの木戸は破られて、月明かりが差し込んでいる。
■カラレナ To:ジノ |
ジノさん、壁際に下がって伏せていてください。 すぐに、他の仲間が来ると思いますから……。 この木戸……破られてますよね……鍵は、かけてましたか? |
木戸の壁に背中を押し付け、身をさらさないようにしながら視線だけで外の様子をうかがう。
■ジノ To:カラレナ |
確か、かけておいたはず……だと、思うだ。 閉めておいた木戸を突き破って矢が飛び込んできた感じだっただよ。 |
■マリィ To: |
フィリー、外に誰か居ないか様子を見てきて。 |
使い魔を木戸の外に放つ。
とん、と軽い着地音をさせて木戸の外の細いひさしに立ったフィリーは主人に言われたままに辺りを見回すが、そこから見える範囲では何も気付くものはない。
マリィの方は床に刺さった矢を抜き、様子を見る。どうやらボウガンに使われるクォレルのようだ。
■マリィ To:ALL |
ちっ、もう射手は逃げた後ですか……。 クロスボウを使うとは、殺る気満々ですね。 |
■カラレナ To:マリィ&ジノ>フィリー |
あの屋根から、逃げる気配が…… 私、追ってみます。フィリーちゃん、一緒に来て! |
カラレナはひらりと木戸から飛び降りると、人影が逃げ去った屋根の下を目指して走って行く。
フィリーもカラレナの後を追って駆け出した。
目的地まで数十秒。
ようやくたどり着いたその場所には、しかし既に誰の気配も残っていなかった。
ただ、狙撃をしたと思われる建物の壁に、いくつかのくさびが打ち込まれたまま残っている。
■カラレナ To:フィリー |
これを伝って上っていたんでしょうか…… 追うのはもう、無理そうですね……。フィリーちゃん、戻りましょう。 |
あきらめて、きびすを返す。
一方、クローエはこけそうになりながら、男性陣の寝る部屋の扉に急いでいた。
せわしく扉を叩く。
■クローエ To:男性陣 |
起きて、起きてみんな? たいへんなの! |
せわしなく叩かれる扉を開け叩いているクローエを確認すると、オスカールは質問を口にした。
■オスカール To:クローエ |
クローエさん大変なのはどっちだ、女部屋か?、それともジノさんか? |
■クローエ To:オスカール |
ジノさんなの。悲鳴が…。 今マリィさんとカラレナさんが見に行ってるわ。 |
開いた扉につんのめりそうになりながら、急いで伝えるクローエ。
■オスカール To:クローエ>ウルス、リオン |
分かった、俺達も行くぞ! |
オスカールは角材とベンチを持つと、ジノの部屋に走り出した。
実は銀の網亭に帰ってきたときにそれとなく危険性を伝え「同室の方が良い」と提案していたのだが、ジノの方から「そこまで迷惑はかけられない」と遠慮されてしまっていたのだ。
■ウルス To:オスカール、 |
はいな! |
斧をひっつかんで、オスカールと共に走りだす。
■リオン To:オスカール,ウルス |
あ。ちょっと!2人共待ってよ! |
オスカールがバタバタし出してようやく目が覚めたのか、慌ててベッドから飛び降りた。
■クローエ To:リオン |
リオンさんも早く… |
クローエはリオンが起きてくるのを待ってジノの部屋へ促した。
■ウルス To:ジノ、マリィ、カラレナ |
どうしたんですかい!? |
リオンの声を尻目に、ウルスは大声で訪ねながらジノの部屋の戸を押し開け、斧を構えて部屋に飛び込んだ。
■カラレナ To:ALL |
ごめんなさい、逃げられてしまいました。 向かい側の屋根から狙撃されたみたいです。 何か証拠が残っていればと思ったんですけど、何も見つけられなくて……。 |
寝間着のまま飛び出したカラレナが、やや息を上げて戻って来た。
相変わらず首に怪しい人形が巻き付いたままだが、本人は緊張のせいか気づいていないようだ(笑)
■オスカール To:カラレナ |
おい、首になんか憑いてるぞ! 敵にやられたのか? |
■カラレナ To:オスカール |
え、えっ? ……きゃー!? |
今更気がついた。
■ウルス To:独り言 |
…変わった首巻きなのか、それともあんな風に抱いて眠てるんですかね。 見なかったことにするのがよさそうですな…。 |
それはさておき。
■マリィ To:ALL |
これが証拠ですわ。 |
全員に、床から抜いたクォレルを見せる。
■ウルス To:マリィ、ALL |
…なるほど。 鎧戸をぶち抜いて刺さるとは、かなりの力ですな。 確実に当てるつもりは無かったようですが、警告にしては強烈ですな。 |
■オスカール To:ウルス、ALL |
いや、むしろ射手の腕のようだな。 みんなもここを見てくれ。 |
木戸を見てみると、矢はちょうど掛け金のところを狙って放たれたようだ。金具の部分が綺麗に吹き飛ばされている。
その勢いで木戸が破られ、矢はそのまま飛び込んできたのだろうと推察できた。
■オスカール To:ALL |
おやじさんに怒られるからな、掛け金は朝一番で直しとくよ。 |
■クローエ To:オスカール |
さすがお手の物ね。でもわしらの所為になるのはなんだか釈然としないかしら。 犯人がわかったら修理料金を請求してやりたいような気がするわねえ。 |
驚いたのが抜けてきて、襲撃犯人への怒りがだんだんわいてきたようだ。
■カラレナ To:ジノ |
ジノさん……大丈夫ですか? 今夜はもう襲って来ることはないと思いますけど……念のため、オスカールさんたちと同じ部屋で休んでいただいたほうがよさそうです。 |
怯えているであろうジノを気遣うように、ゆっくり語りかける。
■ジノ To:カラレナ |
う、うん……そう言ってもらえるのはありがたいだし、オラもそうしたいけど……。 でもオラ、護衛して貰う事のお礼までは払えないだよ……。 |
護衛の報酬として礼金の上乗せがされる事を心配している……というよりは、上乗せされたその金額が支払えない事を申し訳なく思っているようだ。
昼間に同室を断ったのも、つまりはそういう理由からなのだろう。
■リオン To:ジノ>ALL |
うーん、でもこういう非常事態だし。 そういう事は考えなくていいんじゃない? ぼくは依頼人を守るのは当然の義務だと思ってるし… |
他のメンバーの方をちらりと見ながら。
どう思っているのか気になっているようだ。
■ウルス To:ジノ、ALL |
そうですな。 依頼人が護衛が必要なのが分かっていて黙っていたとか、護衛を依頼する費用を値切ろうとしたとかいうのならともかく…。 今回の場合は、事情が事情ですからな。依頼人の安全確保も最初の依頼費にコミと考えていいんじゃないですかね? |
リオンの視線やウルスの発言にうなづいたオスカールは、ジノの肩に手を回すとおっさんくさい笑顔で言った。
■オスカール To:ジノ |
みずくさいぞ、護衛の報酬は工夫と労働で返せばいい。 俺達は仲間だ、俺達も仲間としてあんたを守る、あんたも今回の件でやれることを一緒に頑張れば良いんだ。 まあ、あんたは何もせず一方的に守って欲しいなら報酬がいるがな。 |
■クローエ To:ジノ |
意訳すると、みんな今回の依頼人のことは気に入っているってことよ? |
■ジノ To:ALL |
あ……ありがとう。ありがとうだよ。 オラ、何ができるか分からないけど……精一杯のことはするだ。 |
■カラレナ To:ジノ |
よかった。 一緒に頑張りましょうね。 |
■マリィ To:ALL |
ジノさんの部屋が割れてる事から、私達の部屋も割れてるかもしれません。取り敢えず、おやじさんに大部屋を空けて貰う様に言ってきます。 皆で一室に固まって、念のため交代で朝まで見張りをしましょう。 皆さん、それで宜しいです? |
■カラレナ To:マリィ |
そうですね、みんな一緒の方がよさそうです。 |
首から人形を丁寧に取り外しながら。
■クローエ To:カラレナ |
…このお人形、もしかして、危険を知らせてくれたのかしらねえ? それにしては心臓に悪い知らせかただけれど… |
■カラレナ To:クローエ |
えっ、そうなんでしょうか…… だとしたら、とっても良くできた子ですね〜。 |
まんざらでもない表情で、人形の頭をなでなで(笑)
■リオン To:カラレナ |
危険を知らせてくれるのは良いけど…もっといい起こし方をしてくれればいいのに。 良くできた子というか…怖いんだけど…それ |
人形をじーっと眺めながら。
まんざらでもないカラレナとは違い、そういう類は苦手なようだ。
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GM:倉沢まこと