SW-PBM #175
伝説の…

■ 情報求めて ■
Prev page #175 Index Next page

【 紅毛の猫亭 】

常闇通りの奥深く。
光の当たる道を歩むものは決して近付かない場所に、その店はある。
表向きは酒と料理を供するごく普通の酒場である……が、常闇通りに存在するというだけでそれは「普通」の枠から外れる。
一皮剥けば、盗賊ギルドの息の掛かった情報売買の場。それが「紅毛の猫亭」の真の姿だ。
■店員 To:ALL
……おう。

無愛想を絵に描いたような店員の男が、入ってきたカラレナとリオンを見ると声を掛ける。
■カラレナ To:店員
こんばんは〜。

いつもどおり、深々〜とお辞儀。
■リオン To:店員
こんばんはー。

初めてなのか思わずキョロキョロと見まわす。
■店員 To:ALL
今日はなんだ。酒か? メシか?
……それとも、あっちか?

くい、と指で示した先は、本来は符丁を示さなければ通行を許可されない区域である。
それを平気で示すのは、この店員が怠惰なためか、それとも二人の顔を知っているためか。
■カラレナ To:店員
えと、ごはんは食べてきたので……じゃなくて。
はい、そっちです。

一応、「情報」の符丁を左手で描いてみせる。
昔はぎこちなかったそれも、今ではごく自然な動きで出せるようになっていた。
■店員 To:カラレナ
リューの姐さんは、今取り込み中だ。
少し待ってな。

言われて待つことしばし。
暗がりの奥から声が掛けられた。
■女の声 To:ALL
……いいわよ。お入りなさい。

■カラレナ To:中
失礼します〜。

許可を得て進んだ先には、物思いにふける表情の女性が座っていた。
赤いベルベットのテーブルクロスをかけた上にタロットカードを並べ、神秘的な目でそれを眺めている。
■リュー To:ALL
……失った半身を求めるもの。光への手掛かり。されど答えは彼の地にあらず……。
ふぅ。どうにも厄介ごとを持ち込まれそうな感じねぇ。
もっとも、この商売やってればいつもの事だけれど。カードが示すのは、貴女たちのことかしらね?

顔を上げた拍子に、艶のある長い紅色の髪が流れ、細長い耳があらわになった。
店の主人であり、ギルドの情報を管理するハーフ・エルフのリューである。
■カラレナ To:リュー>リオン
リューさん、お久しぶりです。
リオンさん、彼女はリューさん。
いろんな情報を持ってる、ギルドの偉いひとなんですよ。

■リオン To:カラレナ>リュー
あのおねーさんが…?
へぇ…偉い人と知り合いとか凄いね。
えーと…よろしくお願いします。

カラレナに教えられ、ぺこと頭を下げる。
■リュー To:リオン
新顔ね。
これから贔屓にしてくれると嬉しいわ。

■カラレナ To:リュー
えと、半身はここにあります。
ポートー村に伝わる宝……伝説の武器のありかを示しているみたいなんですけど、見てのとおり半分だけじゃ見当もつかなくて……。

そう説明しながら地図の複製をテーブルに広げ、その横に50ガメルの山を2つ作って並べた。
■リュー To:カラレナ
ポートーの宝、ねぇ。
在り処を示すって言っても、この半分には目印の欠片もないのね。
で、聞きたいのは地図の片割れの事?
それとも、宝が何なのか、とかかしら?

■カラレナ To:リュー
まずは、地図の片割れの情報があれば……。
その後で、宝の正体についてをお願いします。

提示した「情報料の山」で足りるのかドキドキしながら。
そんなカラレナの服の端を軽く引っ張った。
■リオン To:カラレナ
足りないようだったらぼくも手伝うし、大丈夫だと思うよ。
まぁ…足りるのが一番良いんだけどね。

■カラレナ To:リオン
そ、そうですね。ありがとうございます。

■リュー To:ALL
それじゃ、まず地図の事ね。
伝わっている話では、宝を所持していたスレイという男にはドワーフの親友がいたの。
地図を残した際、そのドワーフに友情の証として地図の半分を預けたそうよ。
名前はちょっと分からないけれど、このオランからそう遠くないギルダー村の出身という事よ。

手を伸ばし、50ガメルを引き寄せながら。
■カラレナ To:リオン
えっと……スレイさんの伝説は、百何十年前……って、ジノさんがおっしゃってましたよね。
もしかしたらそのドワーフさん、まだご存命かもしれないですね。

■リオン To:カラレナ
そうだね。
ドワーフだとまだ居るかもしれないね。
当時の年齢によるけど…

■リュー To:ALL
で、宝の方だけど。
これは残念ながら、まともな伝承が残っていないのよね。
大地を割り、大岩を砕く……なんて威力の割には、全然そういった話が残ってないのが不思議なんだけど。
そのあたりがこの宝の信憑性を疑われる点なのよね。

今度は手は伸びてこない。
金を取るほどの情報ではない、という事らしい。
■カラレナ To:リュー>リオン
そうですか……。伝説って大げさになったり、別のお話に発展しちゃったりしますもんね。
リオンさん、次は何を聞きましょうか?

小さなリオンに視線を移し、小首傾げ。
■リオン To:カラレナ
え…?!ぼく?

話が振られるとは思わなかったのか、吃驚している。
■カラレナ To:リオン
はい(^^

■リオン To:カラレナ
うーん…そうだなぁ…
キュール家の噂…とか?
大まかなことは調べてくれてるけど、何か噂でもないかなぁ…なんて
あと…ぼく、ギルダー村ってよく知らないんだよなぁ…
おねーさんは知ってるの?

いきなりだと、これぐらいしか思いつかないようだ。
■カラレナ To:リオン
えっと、ギルダー村は……オランからポートー村を挟んで3・4日行った所にある村、だったと思います。
ドワーフの職人集団が集まる村で……やっぱりドワーフさんたちですから、お酒好きで、血気盛んな方々が多いみたいですよ〜。

おとがいに指を当てて、思い出したことを話す。
■リオン To:カラレナ>独り言
ドワーフの村か。熱そうな村だね。

そこに行けば情報がありそう…と。

■カラレナ To:リオン>リュー
じゃあ、キュール家について聞いてみましょうか?

リューさん、キュール家についての噂や、最近の目立った動きがあれば……
嫡男のウェスさんも、伝説の武器を狙っているみたいなんです。たぶん、敵対しちゃうので……
誰かを雇ったっていう話があれば、それもお願いします。

50ガメルになった山の横に、もう50ガメル積み上げてみる。
■リュー To:ALL
キュールの現当主はマクラインという名前ね。これはオランでも名の通った立派な人物として知られているわ。
騎士叙勲はマクラインからさかのぼって三代前。だから、ポートー村が大地の恵みで栄え始めてしばらくした頃かしら。
最近はあまり表舞台に出てこないようだけど、これは年齢のせいで体調を崩し気味なのと、一人息子のウェスの成長を促したいということらしいんだけどね……。

■カラレナ To:リュー
成長を……ですか……。

複雑な表情。
リューはそこで言葉を切り、積まれた50ガメルに手を伸ばしながら話を続ける。
■リュー To:ALL
問題は、嫡男のウェスの方ね。
これがマクラインとは似ても似つかない放蕩者で、マクラインが体調を崩している理由もウェスのことで心労が重なっていると噂されるくらいよ。
ポートー村一帯を治めさせているのも、領民の暮らしを目の当たりにして心を入れ替えないかと期待してのことらしいけれど……。

再び言葉を区切り、残った50ガメルを引き寄せる。
これで積まれた金はすべてリューの元へと移動した。
■リュー To:ALL
で、そのウェスだけど。
数日前からオランに来ているという情報が入っているわね。
なんでも、あちこちの冒険者の集まる店に声を掛けて腕利きを探しているという話よ。
現時点ではうちは一切関与していないわ。もし盗賊が与していても余所者かモグリのはずだから、遠慮はしなくて良いわよ。

■カラレナ To:リュー>リオン
う〜ん……やっぱり、諦めてなかったんですね……。
でも、うちとは関係ないってわかって、安心しました。

他に、何かあります?

■リオン To:カラレナ
そうだなぁ…ぼくは特に無いかな。
ただ、あの人がここと関わりがあったら厄介だな…って思っただけだし。

遠慮しなくて良いって聞いて安心したよ。
厄介ごとはごめんだからね。

■カラレナ To:リオン
もちろん、敵対せずにすむなら、それが一番ですよね。

■リュー To:ALL
聞くことがないなら、最後にこちらから一つ忠告しておいてあげるわ。
ウェスの雇った連中には何をしても構わないけれど、ウェス本人に手を出すのはよく考えなさい。
どんなに評判の悪い人間だろうと、仮にも貴族に名を連ねる者だからね。
例えこちらに正義があってその証拠を握っていても、それを簡単にひっくり返すのが貴族の力よ。
蹴落としたいなら、直接的な手段に訴えずにしっかりと方法を検討する事ね。

■カラレナ To:リュー
もちろん、わかってます。
私たち、冒険者っていうだけで、公の場では立場的に不利ですし……。
ただ……、ポートー村の将来のことを思うと、今回のことをうまくおさめたとしても、根本は何も変わらないと思うんです。
またいつ、権力をかさに村の人たちが苦しめられるか、わからない……。
だから、何とかしたいんです。
……もちろん、何をするにしても村の人たちとよく相談してからにします。

いつのまにか依頼以上のことを気にしていることを、自分では気づいていないようだ。
■リオン To:リュー
大丈夫。色々と言いたい事とかあるけど立場はわかってるつもりだよ。

ただ、円満にしたいよね。
その方がポートー村の為でもあるし。
依頼じゃそういうのは無いけど。
まぁ、冒険者ってそういうものじゃないかな。

カラレナの意見に頷きつつ言った。
■リオン To:カラレナ
これぐらいかな?
忠告も貰ったことだし、そろそろ集合場所に向かう?

■カラレナ To:リオン>リュー
そうですね、行きましょう〜。
リューさん、ありがとうございました。


Prev page #175 Index Next page

GM:倉沢まこと