SW-PBM #172
“死にたがり”のメアリ

■ 見つけた記録 ■
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【 エリスの酒店 】

エリスに案内され居住用の母屋の方へと足を踏み入れる。
そのまま裏庭へと通されると、目の前には巨大な倉庫が立ちはだかった。
■エリス To:ALL
読み返さなくなった古い記録は全部この中なのよ。
それ以外にも家の方で使っていた古い品物やら詰め込んでしまっているから、まずはそれを引っ張り出さないといけないの。

■マリィ To:エリス>ALL
結構厄介ですわ……。

ぼやいても仕方有りませんし、片付けを始めましょうか。

■シロノワール To:ALL
…全員で此処に来て良かったと、今しみじみ思います。

■クローエ To:ALL
あらあら、これは力仕事ねえ。がんばらないと。

■アイライ To:ALL
…ほんとに。でも、力仕事なら少しは役に立てるかな。

山と積まれた荷物をどけるため、とにかく人海戦術で片付けていく。
ちなみに女性陣が真っ先に仕事を始める中、パーティただ一人の男手であるジンがぼんやりとそれを眺めていた事はしっかりと付記しておく。
……まぁ、女性陣に睨まれてちゃんと手伝ったけど。
エルフの細腕といえど、女性だけに働かせちゃ悪いよね。

全員で搬出作業を行なった結果、2時間ほどであらかたの荷物が倉庫の外へと運び出された。
■エリス To:ALL
やっぱり、大勢でやると早いわねぇ。
今度、家の大掃除をする時にも手伝って貰おうかしら。

ころころと笑いながら、エリスがそんな冗談を飛ばす。
■アイライ To:エリス
お駄賃がもらえるなら、いつでも来るでありんすよ?

エリスの言葉にアイライも冗談っぽく返す…が、目は本気。
■エリス To:アイライ
まぁ、本当?
それじゃあ、年末の大掃除の時には是非お願いするわね。

■アイライ To:エリス
わーい。絶対、呼んでくりゃんせ。絶対、でありんすよ♪

■クローエ To:アイライ
あ、アイライさん…そのときは是非銀の網亭で、筋肉をもてあましてる人たちに募集かけてあげてね?
わしはもう…ダメ。

見るからに手足に筋肉のないクローエは青息吐息でそんなことを言っている。
■アイライ To:クローエ
んふ。
じゃあ、クローエさんの分も働くー。
お小遣いもらったら、ちょっとだけなら分けてあげるね。

それはともかく、さて本番の資料捜索である。
荷物を取り除いた倉庫の奥にあったのは、大人の背丈を越す高さにまで積み上げられた資料の束。
過去、何十年分に渡る記録の積み重ねである。
■シロノワール To:ALL
……ん、では誰が一番最初に見つけるか競争ということで。

休む間もなく、続けて資料を引っ張り出しては次々とページを繰っていく。
■クローエ To:シロノワール、アイライ
元気ねえ…わしにもその元気をちょっと分けてもらいたい気がするわ。
まあ、いまが踏ん張り時かしらねえ。もうひと頑張りしましょうか。
…あら?

アイライの様子がおかしい?
■アイライ To:ALL
頭が……スポンジ……でありんす。

アイライの死にそうな声を横で聞きながら黙々と作業を続けた結果、数時間を費やしてようやくマリィがそれらしい記述を見つけ出した。
15年ほど前の記録に当たるそこには、
【フランネル衣料品店。店長:マーク・R・フランネル。副店長:レミーナ・フランネル】
と記載されていた。
■マリィ To:ALL
やっと見つけましたわ……。

何だか、嫌な予感が当たったとしか思えないのですけど。

■ジン To:ALL
ふむ。大した偶然だな。

■アイライ To:マリィ
マリィさぁん、どうしたでありんすかぁぁ(よれよれ)!……これって……。

ふらふらとマリィに近づくアイライ。死んだ魚のようだった目がマリィの手元の字を捕らえた瞬間、大きく見開かれる。
■シロノワール To:マリィ
は、…マリィ様お見事にございます……僕はもう、げんか(ぺふ)
出来れば読み上げていただけると……

資料の海に突っ伏しながら、マリィの手元に力なく視線を送る。
マリィはその視線に応えて全員に聞こえる様に記述を読み上げた。
■クローエ To:ALL
フランネル…。
こういうのを、運命とでもいうのかしらねえ?
本当だとしたら、ちょっと出来すぎていて怖いようだわ。

■アイライ To:エリス
エリスさん。
きっと、このレミーナさんが探している人でありんす。
……このお店、今はどうなってるでありんすか?

■エリス To:アイライ
あら、見つかったの?
どれかしら……あ。このお店……。

アイライの指し示す記述を目にすると、エリスのそれまで楽しそうだった声は急にトーンを落とした。
■エリス To:ALL
そう……あなた達の探しているお店って、フランネルさんの事だったのね。
そのお店は今から15年位前、この通りがまだナッツ通りと呼ばれていた頃に最後に出店したお店なの。
お店は綺麗で品揃えも良くて、店員さんの人柄もとっても素敵だったんだけれども……それなのに、何故かお客さんが付かなくてね。
結局、1年も経たないうちに行き詰ってお店を畳んでしまったのよ。
その後すぐに、不審火が出てお店は全焼。商店街にも大きな被害が出て、その時に改装と合わせて通りの名前を変更したの。
店長のフランネルさん夫妻は、そのときの火事が原因で……お二人とも亡くなったわ。

■シロノワール To:ALL
……見事に、見事なまでに不幸ですね……(ぽつりと)

■アイライ To:ALL
ということは…あの呪いのせいで……。

■ジン To:ALL
・・・メアリの証言と矛盾しないし、セラの出生が伏せられた理由も妥当といえる。
フランネル夫妻はセラだけでも幸せになって欲しかったのだろうな。

■マリィ To:エリス
お二人にお子さんがいらしたと言う事は覚えておられませんか?

■エリス To:マリィ
そういう話は聞かなかったから、ちょっと分からないわ。ごめんなさいね。
少なくとも、私の知る限りではお店でそれらしい子供さんを見かけた事はなかったけれど。

■マリィ To:エリス>ALL
そうですか……ありがとうございます。

これでセラさんの依頼は粗方解決できたと思いますが……。
メアリさんの話と繋がって仕舞いましたね。
一旦、今後どうするか相談しませんか?

■ジン To:マリィ>ALL
ふむ。明日にでもメアリに確認するのが手っ取り早いのではないかな。
ペンダントを見せて、対になるもう1つのペンダントが出てくれば確実だ。
呪いの範囲の外から確認するのが少々やっかいだが、まあ不可能なことではないだろうしな。

■アイライ To:ALL>エリス
えと……。
メアリさんに確認するのは賛成でありんすが…。

セラさんの両親は死亡、兄弟はいなかった。
…ということ、でありんすよね。
これで……解決なんて……。

エリスさん…
レミーナさんを探していたのは、生き別れの娘さんなのでありんす。
せめて、形見の品とか、思い出話とか…
セラさんに伝えれることは何か無いでありんすか?

■エリス To:アイライ
残念だけれども、私は何も……。
ただ、そうね。フランネルさんのお屋敷になら、縁者の方がまだいるかもしれないわ。
そちらを訪ねてみたらどうかしら?

記憶を頼りにエリスが教えてくれた場所は、どうやらメアリが住まうあの屋敷の事のようだ。

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GM:倉沢まこと