SW-PBM #172 “死にたがり”のメアリ |
■ コルテロの話 ■ | ||
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【 キャラバン 】 |
セラと一通りの話を終え、なんとなく訪れた沈黙の時間。
それを遮るようにして、馬のいななきが一つ聞こえてきた。
■セラ To:ALL |
あ。……帰ってきたみたいだよ。 じゃ、紹介するからついてきて。 |
セラが立ち上がり、パーティを促す。
一足先にテントの外へと出たセラが隊長と思しき男性に声を掛けると、男性は一つ頷いてこちらへと向き直った。
■コルテロ To:ALL |
俺がこのキャラバンの隊長を務めているコルテロだ。 あんたら、何か聞きたい事があるんだって? |
40絡みに見えるコルテロは、キャラバンを率いるだけあって日焼けした肌とがっしりした体躯の持ち主だ。
短く切り揃えた髪と精悍な顔つきからは想像できないほどに柔和な笑顔を見せてくる。
とてもセラが言うような頑固な性格には思えないほどだ。
■カラレナ To:コルテロ |
初めまして、カラレナといいます。 私たち、セラさんの依頼を受けにきた銀の網亭の冒険者です。 えっと……セラさんからは、ご家族を捜して欲しい、という依頼を受けているのですが……セラさんのお母さまが、キャラバンにいらした頃のことを、隊長さんならご存知だと聞いたので……。 |
コルテロの表情の変化に気をつけながら、ゆっくりと丁寧に話す。
だが、気を付けるまでもなく「セラの母」と聞いた途端にコルテロの表情がこわばるのがはっきりと分かった。
■コルテロ To:カラレナ |
……あまり話したい事じゃないんだがな。 第一、昔の話だ。詳しい事なんて忘れちまったよ。 |
カラレナから視線を外しそう答える。
……嘘の下手な人物のようだ。
■アイライ To:セラ |
……。 …セラさん。少し外してもらっても、良いでありんすか? |
声を潜めて、セラに声をかける。
■セラ To:アイライ |
あ、うん。分かった。 ……後で、話の内容は聞かせてね。 |
セラ姿が遠ざかるのを確認すると、コルテロが自らパーティを促してテントの裏手へと誘った。
一つ深いため息をついてから、視線を向けてくる。
■コルテロ To:ALL |
……セラに頼まれたと言ったな。話を聞いて、どうする気だ? ……知らない方が幸せだった、なんて事はこの世の中、掃いて捨てるほどあるんだ。 |
■マリィ To:コルテロ |
本人に伝えます。 セラさんの人となりは隊長たるあなたが一番ご存じかと。 私達も単なる好奇心でやっている訳ではありません。セラさんが出来れば幸せになって貰いたいと思ってます。 少しでも良いのです、何か彼女の祖母と母の事について知っておられる事をお教えください。 |
■カラレナ To:コルテロ |
あの手紙を見れば、切実な事情があることは想像できます……。 きっと、セラさんのためにああするしかなかったのかなって……。 でも、……自分のルーツを知らずにいることは……とても辛いことです。 まだ幼い子どもなら、話さないのも優しさかもしれません。 でも、セラさんが大人になった今なら……。 知る権利が、受け入れる強さが彼女にはあるって、コルテロさんが思ってくれるなら……。 |
遠く故郷に住む家族を思い、我が事のように切実な表情でコルテロを見つめる。
■コルテロ To:ALL |
……む……。 まぁ、興味本位で聞きたがってる訳じゃあないのは分かった。 しかし、セラ本人にも今まで黙っていた事だ。それにあいつの婆さんとの約束もある。 だから、一人一問だ。それだけ答えてやる。 俺が知らない事を聞いてきたら「知らない」として回答に数えるからな。よく考えろ。 |
■カラレナ To:コルテロ |
……ありがとうございます。 えっと、それじゃ……セラさんのお母さまのお名前を教えていただけますか? 姓も含めて……。 |
■コルテロ To:カラレナ |
【レミーナ・アマンダ】。それがキャラバンに居た頃の名前だ。 嫁ぎ先の事は詳しく聞いてないんでな、今の姓は知らん。 |
■カラレナ To:コルテロ |
レミーナさん……ですね。 |
■アイライ To:コルテロ |
えっと、では次に…。 セラさんのお婆さんが、セラさんをここに引き取った理由を教えて欲しいんす。 セラさん、物心ついた頃からここにいるって言ってやんした。そんな小さい子供を引き取るのは、ちょっとした事件だったと思いんす。何か知ってることがあれば、教えてくりゃんせ。 |
なんとなく自分を育ててくれた大人たちや、子育てに慣れていない彼らの奮闘ぶりを思い出す。この人も泣き叫ぶ赤子を前に、途方にくれたり、必死で変な顔をしてなだめたりとかしたのかなー、そんなことを思いつつ、コルテロに問いかける。
■コルテロ To:アイライ |
………………。 セラが15だから、もうそれだけ前になるのか。 キャラバンが久しぶりにオランに立ち寄った時の事だ。 レミーナが、まだ乳離れをしたばかりのセラを抱いて訪ねて来た。 そして婆さんに「自分の元では育てられない。預かって、代わりに育てて欲しい」と言ってきたんだ。 自分の耳を疑ったよ。キャラバンに居た時からレミーナとはずっと一緒にやってきたが、決してそんな事を言うような女じゃなかった。 当時は俺も若かったからな。まさか嫁ぎ先で何か言われたのかと早合点して、殴りこみに行こうとしたくらいだ。 だがレミーナは、そんな俺を引き止めた。両目に溢れんばかりの涙を溜めながらな。 それで悟ったんだ。どうしても自分の下には置いておけない、止むに止まれぬ事情があるんだと。 婆さんもそれを感じ取ったんだろう。黙って頷いて、セラを引き取ることにしたんだ。 婆さんならもう少し詳しい理由を聞いていたのかもしれないが、俺はそこまで立ち入った話は聞いていない。 ……あまり役に立つ話ができなくてすまんな。 |
当時の事を思い出してか、遠い目をしながら語る。
■カラレナ |
…………。 |
■マリィ To:コルテロ |
では、セラさんが持たれてるペンダントについて何かご存じな事は有りませんか? 些細な事でも結構です。 |
■コルテロ To:マリィ |
あのペンダントの宝石は、元々は婆さんの持ち物だった。 それをレミーナが結婚する時に婆さんから譲り受けて、旦那と対のペンダントに加工したらしい。 だから、もう一つのペンダントにも同じ宝石が嵌められていて、宝石は繋ぎ目でぴったり合わさるようになっているはずだ。 |
■マリィ To:コルテロ>ALL |
……ありがとうございます。 これでかなり色々な事が分かりましたね。 |
■カラレナ To:マリィ&ALL |
そうですね……。 でも、嫁ぎ先のことはわからないままなので…… このあとは、ナッツ通りで「レミーナ・アマンダさん」の名前を頼りに、聞き込みするしかないんでしょうか……? |
時間を計るかのように、空の様子を確かめる。
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GM:倉沢まこと