SW-PBM #172
“死にたがり”のメアリ

■ 手紙の謎 ■
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【 キャラバン テント内 】

セラに案内されてテントの中へと足を踏み入れる一行。
大人二人分ほどの高さの屋根を支えるように支柱が立てられ、地面を覆うようにしてシートが敷かれている。
常に移動をする仕事柄か大きな家具などはないが、支柱の周りに置かれている小振りの箪笥や棚に必要な品物は整然とまとめられている印象だ。
テント中央は隊員たちの憩いの場となっているようで、休憩中らしい何人かが思い思いの時間を過ごしていた。
そして入り口部分を除いた壁際をぐるりと一周するようにして、カーテンのようなもので間仕切りをされているのが個人のスペースとなっているようだ。
■セラ To:ALL
あたしのスペースはあっち。
そんなに広くはないからね、ちょっと窮屈になるけど我慢して。

事前にそう言われたとおり、セラに加えて3人がそこに入るとかなりの手狭となる。
セラは「とりあえず使わないモノを」と言いながら衣服や小物の類をスペースの外に出して、少しでも場所を作ろうと試みる。
■セラ To:ALL
これでみんな、なんとか座れるかな?
で、さっきの話だけど……これが、その手紙。

古ぼけた木箱の蓋を開けると、その中には10通と少しといった程度の数の手紙が大事そうに収められていた。
■マリィ To:セラ>PT ALL
早速拝見させて頂きます。
手分けして読みますか?

■カラレナ To:マリィ>セラ
そうですね。
それじゃ、失礼します。

手紙をそっと手に取り、丁寧に中を開く。
カラレナの手に取った手紙は「娘」からセラの祖母へと宛てられたもののようだ。
ずいぶん古いもののようで、インクが退色し読みづらい。
それでもなんとか解読を進めると、内容はこのようなものだった。
◇◇ お母さんへ ◇◇

私が●●●へと嫁いでから、早いものでもう2年目になります。
お母さんと長年過ごしたキャラバン暮らしが身に染み込んでしまって、こちらの家風になかなか慣れずに失敗も多いですが、それでもなんとかやっています。
●●●も色々と良くしてくれるし、そんなに心配しなくても大丈夫ですよ。
そうそう、お腹がだいぶ大きくなってきました。ひょっとしたら、この手紙が届く頃にはもう生まれているかもしれません。
今度お母さんと会う時には、主役は私じゃなくて孫になるのかな?
●●●は今から良い名前を付けてやろうって頭を悩ませてます。男の子だったら何がいいとか、女の子ならこれにしようとか……。
そうやっていくつか挙げられた候補の中では、私は●●●というのがお気に入り。
生まれるのが女の子だったら、絶対この名前にしようと思います。
その代わり、男の子だったら命名権は●●●に譲るっていう条件になっちゃったけど……。

他の手紙も手に取ってみてみるが、どれも似たような近況報告ばかりだった。
その中でやはり奇妙に思うのは、どの手紙も個人を特定するような情報が全て塗り潰されてしまっていた事だろうか。
■カラレナ To:セラ
娘さんの名前……それと、嫁ぎ先の旦那様のお名前……でしょうか?
こんなにきっちりと消されているなんて……。

■セラ To:ALL
あたしが初めてこの手紙を見たときから、もうこうなってたの。
おかげで手掛かりになりそうな名前がまるで分かんないんだ。
多分ばあちゃんがやった事だとは思うんだけど、なんでこんな事する必要があったんだか……。

■マリィ To:セラ
お二人の仲は悪く無かったのでしたよね?
それとも旦那さんとおばあさまが仲が良くなかったとか?

■セラ To:マリィ
そんな話、聞いた事ないけど……。
それにもしそうだったら、わざわざ名前を塗り潰すよりも手紙を捨てたりするんじゃない?
手紙は残しておきたいけれど、個人を特定されるのは困る。
理由は分かんないけど、ばあちゃんはそんな風に考えてたんじゃないかな。

■カラレナ To:セラ
この手紙は、何年前にやりとりしてたものかわかりますか?

■セラ To:カラレナ
あたしが物心ついた頃には手紙のやり取りをしてた記憶はないから、少なくともそれより前のはずだと思う。
あたしが今15歳だから、15年か20年か……ひょっとしたらもっと前になるかも。

■アイライ To:セラ
あ、わっちも15歳でありんすよ。
なんだか今日は同じ年齢の方とよくお会いするでありんすなぁ。
そう言えば自己紹介がまだでありんした。
わっちはアイライ。姓は無いでありんす。どうぞよしなに。
あ、そういえば、セラさんの苗字って?

■セラ To:アイライ
あたしも姓はないよ。っていうか、分かんない。
自分の姓が分かってたら、家族捜すのにそこまで苦労してないってば。

■アイライ To:セラ
セラさんが産まれるよりだいぶ前のこと…、ということは、この手紙に書かれているお腹の子が、セラさんのお兄さんか、お姉さんになる、ということでありんすね。

■セラ To:アイライ
あまりアテにはなんないけどね。
あたしが知らなかっただけで、ほんの数年前までやり取りがあった可能性だってあるし。
手紙の赤ちゃんの事だって、ひょっとしたらあたしの事かもしれない。

■カラレナ To:セラ、ALL
確かに、そういうふうにも読めますよね……。

■アイライ To:セラ
そっか。だから、ご兄弟はいるかどうか分からないわけでありんすな。

■カラレナ To:セラ
お母さまもキャラバン暮らしをされていて、途中からそれなりの家柄のところへ嫁いだ……というふうに読めますけど……
そのお家についても、おばあさまは何も?

■セラ To:カラレナ
うん。ばあちゃんが生きてた頃に何度か聞いてみた事があったんだけど、一回も答えてくれなかった。
口をへの字に曲げて、絶対に言えない……って感じで。
今の隊長はその頃からこのキャラバンにいたから、話を聞ければ少しは分かるかもしれないけど……こっちも口が堅いんだよね。

■アイライ To:ひとりごと>セラ
まるで関わるのを避けているようにも聞こえるでありんす…。これまた似たような話をよく聞く日でありんすな。
隊長さまに話を聞くのは構わないでありんすか?

■セラ To:アイライ
構わないけど、教えてくれるかなぁ……。
隊長、そーいうトコは頑固だから。

■カラレナ To:セラ、ALL
セラさんのために、口を閉ざしているなら、難しいかもしれませんけど……。
できるところからやってみなくちゃ。

■マリィ To:セラ&ALL
そうですね。
少しでも分かれば何か掴める筈ですし。

■アイライ To:セラ
手紙を見れば、どの辺りに家があったかとか、何か分かるかと思ったのでありんすが…。

もう一度、何か手がかりが無いかと手紙に目を通すアイライ。
が、手紙のほとんどは自分たちの近況の事ばかりで、直接に住まいを示すような記述は見られなかった。
その中でもどうにか手掛かりになりそうなのは、
「当主の義兄夫婦と同居」「ナッツ通りに新しく出店した」「旦那が店長に抜擢」
といったあたりだろうか。
■マリィ To:ALL
うーん……。この辺の記述を手がかりにして、実際にナッツ通りに行ってみるしか無いですね。
15年〜20年前の事だから、誰も覚えていないかもしれないけど……。

■カラレナ To:マリィ、ALL
ナッツ通りって……ハザード川の東西にひとつずつ、それとお城の近くにももうひとつ、そんな名前の通りがあった気がします。
う……あんまり、ちゃんと思い出せないです……。

■マリィ To:カラレナ&ALL
あ、確か王城の側に有るヘーゼル通りが、昔ナッツ通りと呼ばれて居ましたわ。
ハザード側の東がカシュー通り、西がココナツ通りの筈です。
なので、王城の側が正解ですわね。

■アイライ To:マリィ
おお。さすがでマリィさんでありんす。
それにしても、美味しそうな名前でありんすなぁ。(そわそわ)

■カラレナ To:マリィ>アイライ
わぁ、よかった〜。ありがとうございます。
って、アイちゃん、心配しなくても通りは逃げないですよ(^^

そわそわするアイライに笑みをこぼす。
■アイライ To:カラレナ
はっ。なんで考えてることが分かったでありんすか?

■アイライ To:セラ
そう言えば、お母さまの姓が「A」から始まるというのは?手紙にはそれらしいことは書いてなさそうでありんすが……。

■セラ To:アイライ
そうそう、それ。
えっとね……ちょっと待って。

間仕切りを潜り、表に出した衣類を広げる。
やがて目当ての物を見つけ出したのか、戻ってくると手にした衣服を広げて見せた。
■セラ To:ALL
これなんだけど。
「母さんのお古だ」って言われてた服。

よくよく見ると、襟の部分にうっすらと何かが書かれていたような痕跡がある。
掠れてほとんどは判読不能だが「○○○・A」となっているようだ。
■セラ To:ALL
見ての通り、ほとんど読めないんだけど。
それでもなんとか、姓に「A」が入るかなってのが推理……できるかな? って。

■カラレナ To:セラ、ALL
ん……本当ですね。
でも、「A」で始まる姓って、いっぱいありますよね……
もう少し、手がかりが欲しいですよね。

■セラ To:カラレナ
嫁ぐ前はキャラバンに居た訳だから、隊長が話してくれれば分かるかもしれないけど。
なんでああまで意固地になってるのかが分かればなぁ……。

■アイライ To:セラ
そんな普段から頑固な方なんでありんすか。
なんだか会うのがおっかないけど……これから会うことはできりゃんすか?

■セラ To:アイライ
いや、普段はそこまででもないんだけど。
この件になると、途端に口が重くなるの。なんでだろうねぇ、本当に。
隊長は今、生活物資の買出しに出てるけど……うん、もうそろそろ帰ってくる頃だね。
少し待ってれば会えると思うよ。

■カラレナ To:アイライ、マリィ
それじゃ、少し待たせてもらいましょうか〜。
あまり、歩き回らないほうがいいかもしれませんし……。

また何か降ってきたり飛んできたりしないかと、周りをキョロキョロ。
■セラ To:カラレナ
ん?
なんかあるの?

事情を知らないセラはきょとんとするばかり。
■アイライ To:カラレナ
あはは。なんでもないでありんすよ。

ぼろぼろのアイライが言っても説得力は無いですが。

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GM:倉沢まこと