SW-PBM #172
“死にたがり”のメアリ

■ お買い物タイム ■
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【 キャラバン 】

ひとまずメアリの依頼を保留にし、フランネル家をあとにしたパーティ。
当初の予定通り、次の目的地であるキャラバンへと向かう。

ちなみにその道中でも、
頭上から植木鉢が落ちてきたり、店先の水撒きに巻き込まれてずぶ濡れになったり、暴走する馬車に轢かれそうになったり、人違いでインネンを付けられたり……。
といったアレコレがあったかもしれない。
げに恐ろしきは呪いの効果である。
■カラレナ To:ALL
な……なんだか、外を歩くだけで精一杯ですね……。
帽子とか、持ち歩いたほうがいいのかも……。

また何かが落ちてこないかと、上を見ながら慎重に歩く。
■アイライ To:カラレナ
帽子じゃ、足りないと思うのでありんす。

ぼそりと漏らすアイライ。なぜかたんこぶが出来ていたり、びしょ濡れだったり、蹄の痕が背中についていたりする。
■カラレナ To:アイライ
……あ、アイちゃんいつの間に!?

気付かなかったのか。
そんな天然なカラレナに呆れた……訳ではないのだろうが、アイライがしみじみとした口調で言う。
■アイライ To:カラレナ、ALL
カラレナさんが「普通の女の子」って言ったとき、メアリさんとても切なそうでやんした。呪いを解く方法、見つけてあげたい…。

■カラレナ To:アイライ&ALL
そうですね……。
そのためにも、私たちが「不幸です」って顔してちゃ、ダメですね。
元気に行きましょう〜。ふぁいと、ですっ。

ぐっと握りこぶし。
■アイライ To:カラレナ
うん。そうでありんすな。

ちょっと眩しそうな表情でカラレナを見つめつつ、つられて握りこぶし。
■客引き To:ALL
はいはい、寄ってらっしゃい見てらっしゃい。
大陸各地を巡って旅してきたキャラバンだ。
そこらじゃ見かけないような珍しい品物が色々取り揃ってるよ〜。

目的地であるハザード川沿いへと近付くと、客引きの威勢の良い声が聞こえてきた。
向こうには二頭立ての馬車が整然と並び、その手前で広げられたシートには客引きの言う「珍しい品物」の数々が並べられているようだ。
馬車の横並びには、10人程度が入れそうな大きさのテントが組み上げられていた。
恐らくはキャラバンの隊員たちが寝泊りに使っているのだろう。
■カラレナ To:ALL
結構にぎやかなんですね〜。
えっと……セラさん、でしたっけ? いるかな?

あたりをキョロキョロ。
■カラレナ To:客引き
こんにちは〜。
えっと、お人形とかお洋服とかで、珍しい品物ってありますか?
私、西方生まれなので、オランより東方か北方の品物に興味があるんです。

とりあえずキャラバンの様子を確認しようと、品揃えを観察してみる。
すると、シートの前に座り込んで冷やかし客の相手をしていた隊員の方が声を掛けてきた。
■隊員 To:カラレナ
東方の人形かい?
だったらこれなんかどうかな。
イーストエンド伝来のやつだけど。

手に取って見せてきたのは、黒髪のおかっぱ頭に、前合わせの衣を着た人形だった。
衣にはボタンが使われておらず、腰のところで帯で締めるようになっている。
■アイライ To:隊員
あ、この人形、なんか、わっちに似てるでありんす♪

■カラレナ To:アイライ
本当ですね〜。このお洋服、アイちゃんに着せてあげたい〜。

■隊員 To:カラレナ
服もあるよ。まるきり同じって風じゃないけど、似たデザインのやつがね。
あ、ちなみに【洋服】とは呼ばない。向こうの言葉で【キィモノ】って呼ばれてるんだ。

■カラレナ To:隊員
きぃもの……ですか?
変わった発音なんですね〜。

■隊員 To:カラレナ
で、この人形だけど。
なんでも、夜中にケタケタ笑ったり髪が伸びたりする事があるんだと。
でも残念ながら俺は見たことがないんだ……見る側にも、何か特別な力が要るのかな?

■カラレナ To:隊員
わ〜、楽しそうですね〜。
おいくらなんですか?

気に入ったらしい。
■隊員 To:カラレナ
お、買うかい?
そうだなぁ、100ガメルと言いたいけど……よし、少しおまけしてあげよう。
70ガメルでどうかな?

■カラレナ To:隊員
わ〜、いいんですか? ありがとうございます。

うきうきと70ガメルを支払うカラレナ。
■隊員 To:カラレナ
はい、まいどあり〜。

■アイライ To:隊員
・・・。
と、ところで、オランにはよく来るのでありんすか?

自分に良く似た姿の人形が夜中にケタケタ笑うのを想像して気味が悪くなったらしい。
慌てて話題を逸らす。
■隊員 To:アイライ
いや? そんなに頻繁には。
せいぜい年に一回、多くても二回かな。何年も立ち寄らない時もあるし。
だから残念だけど、注文の要望は受け付けていないんだ。
次にいつ来られるか分からないからね。

品物のオーダーをされると勘違いしたようだ。
■アイライ To:隊員
あ、いや、そういうわけじゃあ。
結構、薄気味の悪いものも扱ってるんでありんしな。
あ、いや、えっと…。

カラレナが手に持っている人形が気になるのか、どうにもしどろもどろ。
■隊員 To:アイライ
ん? ひょっとして、服の方を探してる?
じゃ、これだ。この人形が着てるのと殆ど同じ作りだよ。
サイズもいくつかあるから、多分ちょうど良いのがあると思うけど。

言いながら、いくつかの「キィモノ」を取り出してくる。
サイズももちろんだが、色も取り取りに揃えられているようだ。
その中には、どんな糸で織り上げたのか。陽の光を反射して七色に煌いている物もあった。
■カラレナ To:アイライ
すごい、とってもきれいですね〜。
アイちゃん、濡れちゃったし、テントを借りて着替えたほうがいいかも。

■隊員 To:アイライ
ふむ。お嬢ちゃんのサイズならこれかな。
黒髪に良く映えると思うよ。150ガメルでどうだい?

言いながらさっと取り出したのは、炎のような紅色のキィモノ。
■アイライ To:カラレナ
うわぁ、キレイでありんすなぁ…
って、ひゃ、ひゃ、ひゃくごじゅうっ?!

赤は何気に好きな色。美しい紅に一瞬、うっとりとしたアイライだったが、値段を聞いて硬直。
アイライの手持ち・・・現在15ガメル也。
■隊員 To:カラレナ
で、こっちは人形を買ってくれたお嬢ちゃんだ。
お揃いでどうだい?

続いてカラレナに差し出したのは、静かな森林を思い起こさせるような深い緑色のもの。
■カラレナ To:隊員
わぁ、すてきな色……。ちょっと、森が恋しくなっちゃいます。

■隊員 To:カラレナ&アイライ
セットで買うなら、少し安くしてあげるよ。
買うなら今のうちってね。

■カラレナ To:隊員>アイライ
ホントですか? アイちゃん、それならセットで買いませんか?

ノリノリだ。
■カラレナ To:隊員
セットで、おいくらになりますか?

■隊員 To:カラレナ
2着セットで買うなら、合わせて200ガメルにしようか。
良ければ、裏に着替えるスペースも用意してあるよ。

■アイライ To:カラレナ
カラレナさん……えっと、えっと…。
わっち、これだけしか持ってなくて…。
ちゃんとお仕事(←シーフ)して返すから、
そ、そのう…ちょこっとだけ、お金貸してくださいでありんす。

顔を真っ赤にしつつ、おずおずとカラレナに自分の持ち金15Gを差し出す。
■カラレナ To:アイライ
え? え? ……あ、ごめんなさい。
私も冒険者になりたての頃って、お金が無くて大変でした……。

おとがいに手を当ててちょっと考え。
■カラレナ To:アイライ
じゃあ、私とアイちゃんとシロちゃんで、3つセットで買いませんか?(^^
この七色のキィモノ、シロちゃんに似合いそうな気がしますし……。
今回は、私にプレゼントさせてください、ねっ。

■アイライ To:カラレナ
ぷ、ぷれぜんと…。
嬉しい…。大事にするでありんす。

感動で目頭が熱くなる。
人に優しくされるのには慣れていないらしい。
■カラレナ To:隊員
すみません、その緑と紅のキィモノと、さっきの……七色のキィモノも、3つセットでください〜。

■隊員 To:カラレナ
おっと、これ(七色)もかい?
悪いけど、こっちは糸が他と違って特別なんで少し割高になるんだけど……。
そうだなぁ、普通は250ガメルなんだが……よし、特別だ。
3着セットで350ガメルにしよう。

紅色と深緑色はそれぞれ50ガメル、七色は100ガメルの割引である。
叩き売りすぎて、かえって不安になりそうな値段だ。
カラレナは素直に言われた金額を支払う。
■カラレナ To:アイライ
セラさんに話を聞いたら、着替えましょうか。
そのままだと風邪ひいちゃいますし。

にこにこと、先ほどの黒髪人形を両手で抱きしめながら。
しかしアイライは余程その人形が気になるのか、助けを求めるようにマリィを振り返る。
■マリィ To:隊員
ところで、こちらのキャラバンにセラさんと言う方はいらっしゃいます?
銀の網亭から来た、と言えば分かると思うのですが。

■隊員 To:マリィ
なんだ、セラに用事なのかい。
セラだったら、さっきまで馬の世話をしていたから……その辺にいると思うけど。

肩越しに馬車の脇で餌を食んでいた馬たちを指差す。
■マリィ To:セラ
セラさーん!
銀の網亭から来た冒険者なんですが、お話を伺えますか?
聞こえていたらこちらに来てください。

声に気付いたのか、テントの中から少女の顔が覗く。
■セラ To:ALL
はーい! あたしがセラだけど。
銀の網亭の冒険者って、今朝に依頼を持ち込んだ?
へえー、もう来てくれたんだ。

おやじの渋る表情から、あまり期待はしていなかったのかもしれない。
銀の網亭に来たときに付けていたマントとターバンは外され、動きやすい服装に健康的な笑顔の少女がそこにいた。
■カラレナ To:セラ
こんにちはセラさん、私はカラレナっていいます。精霊使いです。

ぺこりとお辞儀。
■セラ To:ALL
で、わざわざ来てくれたのは、何か聞きたい事があるんでしょ?
何を話せばいいのかな。

■マリィ To:セラ
依頼の内容は既に伺っていますけど、やはり子細を聞かないと捜すも何もありませんし。
特に、
「自分の物と対であるペンダントを所持している『かもしれない』事」
って言う事でしたから、あなたがお持ちのペンダントを拝見したくて。

■セラ To:マリィ
あ、ペンダントね。
今付けてるけど……これだよ。

首から提げていたペンダントを、一同が良く見えるように手に乗せる。
シンプルだが蒼い宝石が印象的な一品だ。
もっとも随分と古いものらしく、台座の銀部分はくすんで黒ずんでしまっている。
ちゃんと手入れをしていればそれなりの値段がしそうだが、今の状態ではとてもそんな高価な品物には見えなかった。
■カラレナ To:セラ>こころのなか
きれい……。
(で、でも、よくわからない……)

■セラ To:ALL
ばあちゃんの形見の一つなんだ。
いつか役に立つときが来るかもしれないから、肌身離さず持っていなさい、って。

■アイライ To:セラ
ふーむー。そんなにお金になりそうなものでもなさそうでありんすな。
店のおやじ様からは、ご家族がこれと対であるペンダントを持っている「かもしれない」と聞いているでありんす。「かもしれない」というのはどういうことでありんすか?

■セラ To:アイライ
別に難しい意味じゃないよ。
元々、このペンダントは対で作られたらしいんだけど、何しろ古い話だから。
今でももう片方が残されているのか、残っていたとして手元にあるのか。
そこらへんが分からないってだけ。

■アイライ To:セラ
古くても大事なものなら、ご家族の方も売ったりはしないと思いんすが。
よく見ると、どうやら20〜30年前に作られたもののようでありんす。
ということは、セラ様のお父様やお母様が作らせたのかな。
「いつか役に立つ」とはどういうことでありんしょ?
何か目的があって作ったものでありんすか?
おとぎ話みたいに、二つ揃うと何か効果があるとか。

■セラ To:アイライ
ぜーんぜん、分かんない。
ただ単に、お金に困ったらこれを売れって意味で言ったのかもしれないし。
まあ、対で作られたって事だけは確からしいから。
だから、あたしが勝手に何かの手掛かりになるかなと思ってるだけ。

■マリィ To:セラ
念の為、ペンダントに魔法が掛かっていないか調べさせて貰います。
マナよ、隠された力を示せ!

魔力を込めて言葉を紡ぐが、ペンダントは何の反応も示さない。
どうやら、魔法の類は掛かっていないようだ。
■マリィ To:ALL
駄目元でしたけれど、やっぱり魔法の類は掛かっていませんね。

■カラレナ To:マリィ
そうですか……。ありがとうございます。

■アイライ To:セラ
何か仕掛けがあるとか…。少し触らせてもらっても良いでありんすか?

■セラ To:アイライ
構わないよ。はい、どうぞ。

首紐を外し、アイライに手渡す。
だが、手に取って観察した程度では特に気になるものは見つからなかった。
■カラレナ To:セラ
あの、このペンダント、しばらくお借りする事はできませんか?
大切なものだとは思うのですが、唯一の手がかりですし、これといって特徴が無いので、形状の説明だけで聞き込みになるかどうか……。

■セラ To:カラレナ
ん〜……できれば、あまり手元から離したくはないんだけど。
まあ、貴方たちなら信用できそうだし。うん、預けてもいいよ。
万一の事があったら【銀の網亭】に補償を訴えても良いよね?(笑)

■マリィ To:独り言>セラ
その時はわたし達生きているか分かりません……。

そうですね。おやじさんに言ってみてください。

■アイライ To:マリィ
う…。マリィさんってば、冷静でありんすな。

■カラレナ To:セラ
あの……セラさんは、生まれたときからおばあさまと一緒にお暮らしに?
キャラバンに参加する前は、どちらにお住まいでしたか?
それと……おばあさまは、母方のおばあさまだったんでしょうか?

■セラ To:カラレナ
生まれた時からなのかは分からないけど、物心ついた時にはばあちゃんと一緒だったよ。
ばあちゃんがこのキャラバンに参加してたんで、あたしもちっちゃな頃からずーっと旅暮らし。
手紙はばあちゃんの娘さん、て人とばかりやり取りしてたみたいだから、母方の方なんじゃないかな。

■アイライ To:セラ
物心ついてからずっと…。じゃあ、このキャラバンがセラさんにとっての家族みたいなものなんでしなぁ。

そのお婆様の娘さんが、セラさんのお母さんかもしれないと。
その方からの手紙とかは残っていないんでありんすか?

■セラ To:アイライ
もちろんあるよ。
ばあちゃんの娘さんから届いたって手紙が、結構な数。後でそっちも見せてあげるよ。
他には、ばあちゃんの書きかけのが何通か残ってるくらいかな。

■アイライ To:セラ
なるほど。
とりあえず、それを見せてもらった方が話は早そうでありんしな。

■カラレナ To:セラ
えっと……手がかりは、おばあさまの残されたお手紙に書かれていたことだけ、ということでしたが……その手紙以外には、本当に何も手がかりらしきことはおっしゃられてませんでしたか?
言葉以外にも、おばあさまの顔立ちとか、仕草とか……教えとか、得意なお料理とか、そういったことでもいいので……。

■セラ To:カラレナ
なにしろあちこち旅して回ってるキャラバンだからねー。
あたしもそうだけど、ばあちゃんもその土地その土地の風習がごちゃ混ぜになっちゃってて。
ただ、いつもこの辺の地方……オランに近付くと、なんとなく嬉しそうな顔してたかな。
ばあちゃんの故郷なのか、知った顔がいるからなのかとか、その辺は聞いたことがなかったんで分かんないけど。

■カラレナ To:セラ
そうなんですか……。
そういえば、ご家族を捜そうと思われたきっかけみたいなものは、何かあったんですか?

■セラ To:カラレナ
うーん……一番はばあちゃんが死んじゃったのが切っ掛けかな。
キャラバンのみんなは家族同然の付き合いだけど、それでも血が繋がってる訳じゃないし。
やっぱり、他に血を分けた家族がいるののならその存在を知りたいなって。

会話が途切れたのを見計らって、セラがテントを指差す。
■セラ To:ALL
じゃ、テントにどうぞ。
手紙はまとめて保管してあるから。


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GM:倉沢まこと