SW-PBM #164 哀しみのラビリンス |
■ 終結、脱出 ■ | ||
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【 実験室 】 |
激しい戦いの後が生々しく残るその場所は、奇妙な静寂に包まれていた。
ようやく打ち倒した魔神を見下ろしても、何の感慨も沸いてこない。
その理由は……傍らに横たわる、ヘイウッドだ。
魔神の鉤爪に引き裂かれた無残な鎧の下から、未だに止まりきらない鮮血が流れている。
■ジン To: |
…勝ったぞ、ヘイウッド。 |
ジンらしくない力強い言葉。
それは倒れているヘイウッドに向けられたものでないようだ。
■クリボー To:ALL |
お、おい。 血が止まってないぞ。早く治療した方がいいんじゃないのか? ぱぱっと治しちゃえば、また普通に起き上がるよな? なっ? |
■クリス To:ALL |
むろんです。 |
おもむろに魔法を唱え始める。
■クリス |
聖なる至高神ファリスよ、この者の傷を癒したまえ。 |
癒しの魔法がヘイウッドの身体を包む。……効果は無いようだ。
■クリス To:マリィ |
私の魔力では効果が無いようです! あなたからもお願いします!! |
■マリィ To:クリス>詠唱 |
分かりました……。 ラーダ神よ、彼の者の傷を癒し給え! |
しかし、効果は発揮されない。
ヘイウッドの手を取って、脈を取るマリィ。
だが、脈は感じ取れなかった。
悲しい事に、彼の心臓は既に血液を送る役割を果たして居ないのだ……。
■マリィ To:ALL |
皆さん……。 大変悲しい事ですが、ヘイウッドさんはもう手遅れです……。 |
沈痛な面持ちで一同を見る。
■リキュオス To:マリィ、クリス |
手遅れ!? 手遅れてなんやねん!? こない血ぃ出とったらほんまに死んでまうわ!! さっさと傷治してやってくれよ! なあ頼むよ、仲間やろ!? |
マリィにすがりつくようにして喚きたてるリキュオス。
■マリィ To:リキュオス |
(もう一度キュア・ウーンズを掛けるが、効果無し) ……何度やっても、もうヘイウッドさんの生命は戻りません。 わたしだって、こんな事は言いたくありません。 が、現実は現実です。 ヘイウッドさんは、既に死亡しています……。 |
■クリボー To:ヘイウッド |
……儚いもんだな、人間って。 |
■リキュオス To:ヘイウッド |
おい、起きろて。 いつまで寝とるんや、さっさと目ぇ開けんかい。 頼むから目ぇ開けとくれや、なあっ!? |
長衣が血まみれになるのも構わず、動かなくなった弟分を必死で抱き起こそうとする。
■リキュオス To:ALL、ジン |
こんなのってありかよ!? これがリーダーの言ってた「最も安全で確実な方法」? なんとかしてくれよリーダー、なんとか…えぐ、えぐ。 |
自分が無力であることを思い知らされ、仲間に当たることしかできない。
■ジン To:リキュオス |
…俺達に為せることではない。 神にでも頼まなければ、不可能なことなのだ。 |
「まあなんとかなるでしょ。最悪でも死ぬだけだしねぇ〜。」
緊張感のない口調でヘイウッドが言っていたのが思い出される。
■リキュオス To:ヘイウッド |
阿呆かっ!! ほんまに死なんでもええがな!! |
泣きながらもしっかりとツッコミをいれるリキュオス。
リキュオスとヘイウッドはこれまでにも何度か一緒に冒険をしてきた仲で、オランに来る前にもしばらく同じ旅一座(実態は野盗団だったが)にいたことがあった。
お互い両親に大事にされた経験がないこともあり、リキュオスにとってヘイウッドは仲間というより家族、みたいなものだった。
■リキュオス To:ジン |
そ、そうや。あれは駄目なんか…? 迷宮で手に入れた「死者支配の杖」。 あれを使って魂を呼び戻すとかできひんの!? |
■ジン To:リキュオス |
無理だ。例え最高位の古代語魔法が使えたとしても、魂を呼び戻すことはできん。 |
■クリボー To:リキュオス |
気持ちは分かるけど、落ち着けって。言ってる事が錯乱してるぞ? あれは「死者を支配する」杖なんだから、生き返らせるわけじゃないよ。 |
■マリィ To:ALL |
……ならば、オランのラーダ神殿にお願いできるでしょう。 もっとも、無償、と言う訳にはいかないでしょうが。 |
■リキュオス To:マリィ |
神殿? 神殿にお願いすりゃなんとかしてもらえるんか!? |
■マリィ To:ルークス |
ルークス様、交渉を仲介して頂く事は可能ですか? |
■ルークス To:ALL |
そうだね。 君たちがヘイウッド君を生き返らせたいというのであれば、僕にも協力できる事はある。 そのためにも、まずは一刻も早くその場から戻ってくるんだ。 時間が経てばそれだけ、彼が蘇生する可能性は下がっていく。 |
■リキュオス To:ALL |
おっしゃ、頼りにしてんで若旦那!! |
■ルークス To:ALL |
なんにせよ、まずはオランに戻らないと話にならない。 君たちはそれ以上ヘイウッド君の身体が傷つかないように気をつけて、遺体を連れて帰ってきてくれ。 死した身といえど、それがあるとないとでは蘇生される可能性が大幅に違ってくる。 |
■マリィ To:ルークス |
分かりました。 可能な限り速やかに帰還致します。 |
■リキュオス To:ALL |
クリス、運ぶの手伝ってくれ!! ゼファはレントンに声かけといてや。 |
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GM:倉沢まこと