SW-PBM #164
哀しみのラビリンス

■ 復帰、祝い ■
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【 銀の網亭 】

あの迷宮探索から既に一週間。
仕事を共にしたメンバーは落ち着かない時間を過ごしていた。
それというのも、今日は無事に蘇生儀式の成功したヘイウッドがようやく動けるようになって、戻ってくるはずの日だからだ。
■おやじ To:ALL
……今日で一週間だよな。
奴さん、そろそろ戻ってきてもいいはずだとは思うんだが……。

ちなみに神殿に運ばれた際、
『このまだら模様は……ひょっとして、死因は毒ですか?』
『いえ、これは染料です。おもちゃのナイフの』
……というやり取りがあったりなかったりしたのは割とどうでもいい話である。

カラン、と音を立て、店の扉を開いて入ってくる者がいる。ターバンを巻いたハーフ・エルフだ。
■ヘイウッド To:ALL
や、たっだいまー。……ただいま? うん、ただいまー。

「ただいま」でいいのかな?と一瞬首をかしげつつ、とぼけた声をかけてくる。幾分やつれた感はあるが、飄々とした猫のような笑顔は相変わらずだ。
■ヘイウッド To:ALL
いやー、まいったまいった、死ぬかと思った。

■リキュオス To:ヘイウッド
というより死んでたんやろ実際。

すかさずツッコミをいれるリキュオス。
わざと視線を合わせようとしないのは照れているからだろうか。
あれからリキュオスは、ヘイウッドを心配して毎日のように神殿に通っていたらしい。
■リキュオス To:ヘイウッド
…………。
……おかえり。

相変わらず視線は窓の外で大あくびをしている片目の茶色猫に向けたままだ。
■ジン To:ヘイウッド
おかえり、ヘイウッド。
ふむ。元気そうでなによりだ。

■ヘイウッド To:ALL
みんなにはイロイロと面倒と負担をかけちゃったねえ、ごめんねえ。ありがとう。

■マリィ To:ヘイウッド&ALL
面倒だなんて……パーティを組んだ以上、協力するのは当然ですわ。
最後に守れなかったわたし達も悪かったですし。
でも、こうしてまた会えて嬉しいです、ヘイウッドさん。

■クリス To:ヘイウッド
元気になれて良かったです。
私が言葉通り魔神へ挑戦していればこんな事態にならずに済んだのに……

■ヘイウッド To:ALL
僕はさ、その日ぐらしで、先のこととか考えてないし、希望にあふれてたってワケでもないから、魔神に裂かれた時も、「やれやれ、これでオシマイかー」ってくらいの想いだったけど……

ヘイウッドは一呼吸置くと、冒険を友にした仲間の顔を1人ずつ見回していった。マリィ、クリス、ジン、ゼファ、……そしてリキュオス。そして、目をつぶって話を続ける。
■ヘイウッド To:ALL
今はね、うん、みんなにまた会えてよかったなあ、って……思うよ。
んー、あんまり変わらない気だったけど、やっぱりね、どーも……死んでるより、生きてるほーが楽しいこと多いみたいだ。

そう言って屈託なく笑う。
■ジン To:ヘイウッド
それを知ることができただけでも、値千金の価値はあったんじゃないか。
人は死を恐れぬ者を勇者と呼ぶようだが、死を恐れ、それに抗いながらも立ち向かう者が勇者なのだと俺は思う。…まあ、決死の戦を皆に強いた俺が言えることではないがね。

■リキュオス To:ヘイウッド
死んじまった時はほんま驚いたけど、よみがえってくるとはもっと驚いたわ…(笑)

そう言いながらヘイウッドに差し出したグラスの中身は、相変わらず水のようだった(ぇ
■ヘイウッド To:リキュオス
んね、僕もおどろいたよー。

例によって緊張感のない受け答えをしながら、グラスを受け取る。
■ヘイウッド To:リキュオス
……けっこう懐あったまったと思うけど、兄さんは兄さんだねえー。

どこか安堵めいた笑みを浮かべながら、ごくごくと水を飲む。
■ヘイウッド
しかし……せっかく『デーモン・スレイヤー』の詩をつくれそうなのに、肝心な退治シーンを見れてないんだよねー。

ま、聞いた話に尾ひれつけて詠うかねえ。

■リキュオス To:ヘイウッド
お前の場合、それ以上に貴重な体験してたと思うけどな。

■おやじ To:ヘイウッド
ま、冒険者やってりゃ命を落とす危険はどうしたってついて回るものだけどな。
生き返れるチャンスがあっただけ、儲けモンと思っとけ。
チャンスすら与えられずにそのまま土に還っちまう奴だって山といるんだからな、少しは命の重みを噛み締めても良いんじゃないか。

■リキュオス To:おやじ
……そういや、おやじはなんで冒険者の店なんて始めたんや?

■おやじ To:リキュオス
なんだ、知らんのか?
俺も元冒険者だったからな、引退した後はそのノウハウを利用して店のおやじを始めたってだけの事さ。

■リキュオス To:おやじ
初耳や。
…………。

躊躇ったように少し黙ってから、思い切って口を開く。
■リキュオス To:おやじ
前から気になってたんやけどな? そもそも冒険者ちゅう連中てのはさ……。

■おやじ To:リキュオス
いやちょっと待て。
その「冒険者って連中」にお前も含まれるんだぞ。
少なくとも、世間の目はそう見てるんだぞ?

それからしばらく。
リキュオスは「冒険者」について、熱心におやじに質問を繰り返すのだった…。
■リキュオス To:ALL>おやじ
さてルークスのおっさんにもだいぶ世話になったよな。
その後、おっさんから連絡はあるのか…?

■おやじ To:リキュオス
ああ、そうそう。
手紙を預かってるぞ。ほら、これだ。

引き出しにしまってあったらしいそれを手渡す。
封を開けて文面を見ると、迫力満点の勢いで「おっさんと呼ぶな」の文言が。
■リキュオス
おおっ!? どんだけ先読みしとるんや!?(笑)
あのおっさんもだんだんツッコミちゅうもんがわかってきたやんけ。

なんだか嬉しそうだ(ぇ
■ヘイウッド
うんうん、大分扱いになれたみたいだねえー。

■おやじ To:ALL
地下遺跡の事がどーたらとか言ってたな。
賢者の学院や神殿あたりと利権がどうだとか危険性がどうだとか騒いでたらしいが、結局は藪をつついて蛇を出しかねないって事で、それとなく監視をつけるって話で穏便にまとまったそうだ。

■マリィ To:おやじ
とりあえずは安心、といったところかしら。
それ以外には何か有りました?

■おやじ To:マリィ
いいや、至って平和な毎日だよ。
そうそう騒ぎが起きてちゃ堪らん。

■リキュオス To:ALL
いずれ顔出しに行かんとあかんやろな。
ヘイウッド2世も紹介してやりたいし(ぇ

■ヘイウッド To:リキュオス
おお、うまれかわってバージョンアップだ。強そうじゃーん!

子供か。
■おやじ To:リキュオス&ヘイウッド
生まれ変わったわけじゃあないだろ。
語弊のある言い方をするな。

■リキュオス To:おやじ
今度、おっさんから使いのモンが来た時に時間とれるかどうか聞いといてもらえるか?

■おやじ To:リキュオス
そういうのは、自分から出向いてアポを取って来い。
待ってるだけじゃ成果は出ないぞ。
第一、俺はお前さんの伝言役じゃあないんだ。
仕事の請負ならともかく、プライベートの問題まで付き合ってられるか。

■リキュオス To:おやじ
なんだよー、サービスわりぃなおい(笑)
まああのおっさんのことや、どうせいつも暇に違いないわ。

相変わらず勝手なことを言いたい放題だ。
■ヘイウッド To:リキュオス>ALL
んじゃそのうちまた顔見せに行こーか。ご執心のエルフの冒険者さんとかもどんな人かちょっと興味あるし。
迷宮はとりあえず現状維持なんだね。あの姐さん、またヘンなモノ創りださなきゃいいけど……。
ま確かに、さわらぬ神になんとやら、って感じもあったねえ。
いやいや、女のヒトはこわいこわいわあ。

■おかみ To:ヘイウッド
あら、女ってそんなに怖いかしら?
快気祝いにと思ってサービスで持ってきたんだけど……やっぱりお金取った方がいいかしらね。

ヘイウッドの後ろに立ったおかみがにっこりと微笑みながら言う。
手にしたお盆には、店でもかなり高級な部類に入る酒と料理が載せられていた。
■ヘイウッド To:おかみ
あー、ウソウソ!
いやほら、女のヒトのが想像つかないサプライズくれるもんで、かなわないなー、ってハナシだよー。

■リキュオス To:おかみ
おお? サービス!?
いやぁ、さすがオラン一の冒険者の店!! オラン一のおかみさん!!

■マリィ To:おかみ
まあまあ、ここは許してください。
同じ女のわたしでも、今回会った人は正直怖かったんですよ。
(急に辺りを見回して)
まさか、ルナクリアに聞こえてたら嫌だわ……。

そんな事を言われながら、当のルナクリアは地下迷宮の奥深くで今何を思っているのか。
その様子を確かめに行くという名目で再び迷宮に挑戦するのも、また一興かもしれない。

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GM:倉沢まこと