SW-PBM #164 哀しみのラビリンス |
■ 乙女、乙女? ■ | ||
---|---|---|
Prev page | #164 Index | Next page |
【 下層ブロック 】 |
ゲートとして示された光の輪を潜って一瞬。
目を開けると、そこは今までの迷宮とは明らかに造りの違う部屋であった。
明るく照らし出された室内には、所狭しと様々な物が溢れかえっている。
調度品、衣装類、魔法具、果ては一見しても用途の不明なものまで。
乱雑に積み上げられ、散らかっているその部屋で、見慣れたウサギの執事が恭しく冒険者たちを出迎えた。
■レントン To:ALL |
皆様、ようこそいらっしゃいました。 ここがルナクリア様の屋敷であります。 |
ぺこりと一礼して、伸ばした手の先にある扉を指し示す。
■レントン To:ALL |
この向こうに、ルナクリア様がいらっしゃいます。 ……念のため申し上げておくでありますが、くれぐれも失礼のないようにお願いするであります。 |
■ジン To: |
お。これは… |
レントンの案内も耳に入らず、室内の珍しいものを見つけてはなにやらブツブツとつぶやくジン。
■クリス To:レントン |
ここはいつもこんなに汚いのですか? |
■レントン To:クリス |
失礼のないようにと言ってるそばから、そのような物言いをしないでくださいであります。 お機嫌を悪くさせますと、取り成すのが大変なのであります。 |
■クリス To:レントン |
これは失礼致しました。 このような状態の方が落ち着くと言う方もいらっしゃいますからね。 |
そしてレントンが率先して扉に向かい、ノブに手をかけた瞬間。
ずっどぉん!!
……という派手な音が、件の扉の向こうから響いてきた。
■リキュオス To:ALL |
!!Σ( ̄Д ̄;; 中でなんかあったんとちゃうか!? |
■クリス To:ALL |
罠でも発動しましたか!? |
流石に武器は構えないが、すぐに構えられるように警戒する。
■マリィ To:レントン |
(少し表情を固くして) こんな事(=派手な音)は、良くあるのです? |
■レントン To:マリィ |
ルナクリア様はいつも様々な研究や実験をされているでありますから、 こういった事は割と頻繁でありますな。 ……ま、気にせずどうぞ、であります。 |
カチャ、と軽い音を立ててドアを開く。
その向こうから、もうもうたる煙と埃がこちらの部屋にまで漂ってきた。
■クリス |
こんな事が頻繁にあるとは恐れ入りました。 |
感嘆(?)するクリスの横顔をなでるように煙は広がっていき。
それが拡散して、ようやく扉の向こうが見通せるかと思った時、その部屋の奥から女性の声が響いてきた。
■女性 |
けぽっ、けぽっ。……けっほ。 あう〜、また失敗したぁ。 ……何がいけないのかしら? |
扉の向こうの部屋は何らかの研究施設のようで、これまた見慣れない機具が山と積まれている。
壁際には背丈の倍ほどもあろうかという水槽のようなものがいくつも並べられ、その中で様々な形状の生き物……だろうか。それが、ゆらゆらと揺れ動いている。
そして注意深く観察すれば、その中には人の形をしたものも混ざっているようだ……。
■女性 To:レントン |
あら? レントン、帰ってきてたの? ずいぶん遅かったわね。心配してたのよ……ほんの少しくらいは。 |
■クリス To:女性 |
お忙しいところ失礼致します。 レントンさんに案内して頂きここまで連れて来て頂きました、クリスと申します。 今は何の実験をされていたのですか? |
■女性 To:クリス |
……ん? あれ? 共通語? ……えっと。 クリスさんと仰ったかしら。あたしはルナクリアよ。 ……初めまして、ね。 |
クリスの言葉に対応して、ルナクリアと名乗った女性は途中から自らも共通語で話しかける。
その言葉遣いは、とても流暢だ。
そして何故かごく自然にクリスに近づき、当たり前のようにその身体を触れ合わせる。
■ルナクリア To:クリス |
レントンの連れて来たお客様? それはそれは……ここまで大変だったでしょう? 御免なさいね、あたしに群がるくだらない連中を相手にするのに疲れちゃって、こんな所に引っ込んじゃったものだから。 |
■クリス To:ルナクリア |
いえいえ、当方も存分に楽しませて頂きましたので。 |
今までの苦労を苦労と思っていないようだ。
そんなクリスに一つ頷きを返して、ルナクリアはその後ろに目をやる。
■ルナクリア To:ALL |
あら……他にもたくさんお友達がいるのね。 どうぞどうぞ、狭いところだけれど。 |
煙の向こうから現れたルナクリアは、20代半ば程度といった容姿に見える。
一目見て断言できる美貌の顔立ちは、可愛いというよりは艶めいたというべきか。人によっては『派手』と形容するかもしれない。
少なくとも、古代王国期からまともに生き延びていただけでは保てない姿だ。
スタイルを自慢するかのように、身体のラインにぴったりとした服装の上から白衣のようなものを着込んでいる。
……ひるがえる裾の隙間から見える白い足がなまめかしい。
気になるのは、ルナクリアの額には古代の魔術師たちに多く見られた『無限の魔力』を引き出すための魔水晶がないことだろうか。
■ヘイウッド To:ルナクリア |
どもども、おじゃましまーす。 僕ら上の、よくできた迷宮の調査を頼まれて来たんだけど、ひょんなことからレントンさんやチェイミーさんと仲良くなってね。 んで、レントンさんが美しくて聡明なご主人さまの話を聞かせてくれたもんで、ぜひご挨拶させてもらいたいと思って伺ったんだー。 |
■ルナクリア To:ヘイウッド |
共通語でいいわよ。分かるから。 そっか、レントンがお世話になったのね。じゃあ、お礼しなきゃね〜。 ……って、美しくて聡明で可憐で健気な素晴らしい女性だなんて、そんなに褒められたら困っちゃうわ。あぁん、どうしましょ。 |
余計な修飾が増えた。
■マリィ To: |
なんか、こういうタイプの人の前では目立たない方が良さそう……。 |
そそくさと、ルナクリアから見えにくい所へ移動する。
■クリス To:マリィ |
懸命な判断だと思います。 |
■クリス To:ルナクリア |
して、ルナクリアさんは何の研究をされていたんでしょうか? |
■ルナクリア To:クリス |
いろいろやってるわよ。 『更なる魅力の引き出し方』とか『若く美しい体を保ち続ける方法』とか。 あとは『理想の恋人の作り方』とかもね。 ……あ、レントン。みなさんにお茶を出してあげて。 |
室内の一角に据えられた応接スペースのような場所に案内され、着席を促される。
しばらく待つと、レントンがお盆に人数分のお茶を載せてやって来た。
■マリィ To: |
わたしは、一番遠くの席に、っと……。 |
ルナクリアから一番遠くて見えにくい席に着く。
■ルナクリア To:ALL |
で、そっちの彼があたしの話を聞きたいとか言ってたけど。 ……用件はそれだけなの? あたしの恋人に立候補したいとか、そーゆーのは? |
『そっちの彼』ことヘイウッドに流し目を送りながら。
■クリス To:ルナクリア |
あなたに釣り合うような男はなかなかいないと思いますよ。 |
彼的には古代王国時代の人間と現代人とは無理だと暗に言っている。
■ヘイウッド To:ルナクリア |
どもども、ヘイウッドって呼んでくださいな。 いやー、クリスさんの言うとおりで。魅力的な挑戦だけど、ものすごい美人を前にすると身の程を知ってるっていうかね、そもそも根無し草生活が性に合ってるもんでねぇー。 でも、確かにルナクリアさんのことはもっと知りたいねえ。この迷宮を「哀しみの乙女」って呼ばれる美しい女性が造った、って話は語り継がれてたもんで僕らも知ってたんだけど、何しろまほー王国時代の話なもんで、当然もうお亡くなりになってると思ってたんだよね。 どうやってこの時代まで?いや、女性に年齢にかかわることを聞くのは野暮かな? |
■ルナクリア To:ヘイウッド |
ん〜、気になるのは分かるけどね〜。 貴方の言うとおり、女性に年齢の話はタブーよ。 それは乙女のヒ・ミ・ツ♪ |
■リキュオス To:ヘイウッド |
まあ寿命なんて種族によって違うからな。 エルフやドラゴンかて何百年も生きるのがおるちゅうし。 「ニンゲン」言うても魔法王国のそれと、俺ら「剣の時代」の人間とは別種族やねんて。 |
■ヘイウッド To:リキュオス>ルナクリア |
まー、そういうもんかもねー。 で、さっきもちらっと話したけど、現在この迷宮の入り口近くの土地を持ってるおキゾクさまに頼まれてね、ほら、迷宮にゴブリンなんかも入り込んでたもんで、何か危険な場所なんじゃないかと思われちゃってねえ。 えーと、上の迷宮の建造理由は、さっき話してくれた『群がってくる連中を避けるため』ってことでいいのかな?群がってくる連中ってどんな人たち? |
■ルナクリア To:ヘイウッド |
今は貴方たちみたいなのが大陸を統治してるから、昔の理由になっちゃうけどね。 その当時はあたしに言い寄る男があんまりにも多くて、もうウンザリしてたのよ。 で、いい加減いちいち相手するのも疲れちゃって、のんびりと好きな研究をするためにここに篭ったの。 ……まぁ、若い身空で迷宮の主になっちゃうのも青春を無駄にしたかなーって、思わなくもないんだけど。 |
■リキュオス To:ルナクリア |
いやいや。その美貌なら今からでも全然遅くないんとちゃうか? こんなところでレントンに独占させておくのはあまりに勿体無い話や。 おおいに世の中の損失や。 |
視線を合わせずに適当なことを言うリキュオス。
■ヘイウッド To:ルナクリア |
なるほどー。しかしそれであれだけの迷宮を造れちゃうって、本当にすごいねぇ。まほー王国の人って、みんなこんなの造れちゃうの??ルナクリアさんが特別な技術を持ってるの?? そうそう、研究といえば、今さっきすごい音がしたけど、今は何を研究していたのかな? |
■ルナクリア To:ヘイウッド |
んー、実はこの迷宮、あたしが造ったんじゃないのよね。 昔付き合ってた人にお願いして造ってもらったやつだから、詳しいところはわかんないの。 さっきの研究はね〜、新しい創造の研究……って感じ? 失敗しちゃった実験だからねー、あまり詳しく話すのは恥ずかしいな〜。 |
■ヘイウッド To:ルナクリア |
え、そーなんだ!じゃあその人がかなり力のある術師さんだったんだねぇ〜。 僕らに伝わってる話じゃ、ルナクリアさんの名前しか出てこなかったからさ、その人は完全に忘れられてるんだねえ…… でも今でもずっと稼動してるのはすごいよね、ね、もし良かったらその人の名前教えてもらえない?何か伝わってるような人かも。 レントンさんとかもその人が用意したのかな?それともレントンさんはルナクリアさんが? |
■ルナクリア To:ヘイウッド |
忘れちゃった。……てへ♪ ここの施設を造ってもらったら、すぐにお別れしちゃったしね〜。 その後もここを生活基盤にして住むようになるまでに、いろんな人とお付き合いしたから。 最初の頃の人たちなんて、いちいち覚えてないわね〜。 |
■リキュオス To:ルナクリア |
ずっとケンキュウに明け暮れてたわけか? 何百年も? 生活は自給自足……ちゅうわけでもなさそうやけど? |
■ルナクリア To:リキュオス |
別区画に、ある程度は生活物資を作り出すためのスペースとかも確保してあるから。 それでも足りないものは、レントンにお願いしてお使いに出てもらうの。 特に、研究素材は貴重なものが多くてね。 外に出ないと手に入らないものとか多くって。 |
■リキュオス To:ルナクリア |
作り出す、ね。なるほど興味深い話や。 |
■ヘイウッド To:ルナクリア |
研究素材って、例えばどんなもの? |
■ルナクリア To:ヘイウッド |
竜の牙とか、巨人の骨とか、エルフの血とか。 さすがにここで作れるものじゃないから。 |
■ヘイウッド To:ルナクリア |
エルフの血……。まあ、量にもよりけりか……。 ところで、『理想の恋人の作り方』も研究してるって話だったけど、ルナクリアさんの理想ってどんな人?良ければ聞かせてくれると嬉しいなあ。 |
■リキュオス To:ヘイウッド |
聞いてどうするんやそれ。 |
■クリス To:リキュオス |
話しには持って行き方と言う事もありますので。 |
■ルナクリア To:ヘイウッド |
そりゃあモチロン! 強く雄々しく逞しい、白馬の騎士みたいで〜。 常にあたしだけを見つめて、愛の言葉を囁いてくれるロマンス溢れる感じで〜。 でもでも、ちょっぴり野生的で哀愁漂う背中も似合うかな〜、っていう? |
それ以外にもどこを捜したらそんな完璧超人がいるのか、といった注文がずらずらと並ぶ。
■ルナクリア To:ヘイウッド |
……で〜。 ……更に〜 ……っていう感じの人かな〜。 どう? どう? 貴方たち、知り合いにそんな人、いない? もしいたら、ぜひ紹介して頂戴っ。 |
■ヘイウッド To:ルナクリア>クリス |
うーん、難しそうな条件だねえ。とりあえず聖騎士を目指してる人ならいるけど…… |
ちらりとクリスの方を見る。
■ルナクリア To:クリス |
……んー。 悪くはないんだけど、ちょっとタイプと違うかな〜。 なんてゆーか、堅物で融通が利かなそうな感じ? そーゆー人って、お付き合いするのに疲れるのよね。 |
■クリス To:ルナクリア |
融通が利きませんか!? 私は他のファリス信者と違って融通利きまくりのような気がしますが…… |
■ヘイウッド |
(なるほどなるほど、確かに男を見る目は割と鋭いんだねえ) |
■リキュオス To:ルナクリア |
本人の目の前で言いたい放題やな(笑) なんとなく気が合いそうや。うん、気に入ったで姐さん。 |
■クリス To:リキュオス |
その姐さんって言葉は禁句のような気がしますが…… |
■ルナクリア To:リキュオス |
どうせ呼んでくれるなら、お姉さまとかがいいなー。 |
■リキュオス To:ルナクリア |
ワカリマシタ、オネエサマ。 |
■ルナクリア To:リキュオス |
なんか、心こもってなーい。 |
■ヘイウッド To:ルナクリア |
いやいや大丈夫大丈夫、兄さんは普段から大抵心こもってないから。 |
全然フォローになってない。
■ヘイウッド To:ルナクリア>クリボー(ルークス) |
あと、逞しいかどうかはしらないけど、真顔で愛の言葉を囁きそうなお貴族様なら一人知ってるけど…… |
と言って、今度はクリボーを見る。
■ルークス(通信) To:ヘイウッド |
《失敬な。見境のない発情期の猫じゃないんだから。 いくら僕でも、時と場所と相手を選ぶくらいの判断はしている。》 |
■ルナクリア To:ヘイウッド |
……だ、そうよ。 オモシロそうな人だけど、相性が合わなくちゃ仕方ないものね。 |
ルナクリアはルークスの顔が見えないせいもあるのか、そこまで食いつく感じではないようだ。
■ヘイウッド To:ルナクリア、ルークス |
そうか、残念。お互い顔いいのに、見せられないのが惜しいねえ。 |
■クリス To:ルークス |
なんでしたら一度お見合いをしてみれば宜しいのでは? |
■ルークス(通信) To:クリス |
《……考えておくよ。》 |
■リキュオス To:ルークス |
まんざらでもないんかいっΣ( ̄Д ̄;; |
■ジン To:ALL |
なんだ、みんなこっちに居たのか・・・ おお!これが!? |
入り口側の部屋の珍しいものを一通り見てまわり、少々目が充血気味のジン。
今度は水槽の中にゆらめく物体を見つけて、食い入るように見ている。
■ルナクリア To:ジン |
あら、エルフさんもいたの? ……ふ〜ん。 ……不老の研究の実験素材に使えるかな。 |
今ナニか、不穏な事を口走った。
■マリィ To: |
(ルナクリアの小声を聞きつけて) 怖い、この人怖すぎる……。 早く交渉を終わらせて帰りましょうよ……。 |
■クリス To:マリィ |
もう暫くの辛抱です。 |
■リキュオス To:クリス>ルークス |
つか、迷宮の目的も持ち主もはっきりしたんやから、もう充分なんとちゃうか。 任務達成やんな? |
■クリス To:リキュオス |
当初の最低限の条件はクリアでしょうね。 ここからはボーナス追加査定に入ります。 |
Prev page | #175 Index | Next page |
GM:倉沢まこと