SW-PBM #164 哀しみのラビリンス |
■ 水晶の瞳、その命名 ■ | ||
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【 ウォイル家別荘 】 |
作戦会議の夜が明けて、早朝にオランのウォイル邸前に集合した冒険者たちと依頼主のルークス、そして2人のメイド。
2台の馬車に分乗し、道中はこれといった事件もなく、
(お昼の食事でアイレンが再び創作料理に挑戦しようとしたり、ベルが配膳の途中で足を引っ掛けて皿をぶちまけたりする一幕はあったのだが)
一昼夜をかけて目的の別荘地へと辿り着いた。
既に夜も遅いという事で、その日は『明日に備えて、無理をせず休むように』とルークスに言われ、半ば強制的に各自に割り当てられた寝室へと案内された。
慣れないふかふかのベッド(しかも天蓋付き!)に包まれてその日の夜を過ごし、日が昇れば本日はいよいよ探索の朝である。
頬に当たる柔らかな日差しに、まどろんでいた意識が徐々に覚醒してゆく。
■クリス |
主よ、今日も無事に目覚められた事に感謝致します。 |
前夜の到着した時には日も落ちており辺りの様子を窺うこともできなかったが、改めて窓から見える範囲を見渡してみると、いかにもな別荘地である。
眼下に広がるのは緑も眩しい田園風景。
朝も早くから農作業に精を出しているのは、遠くに見える小さな村からやって来た働き手だろうか。
顔を上げた拍子にこちらに気付くと、気恥ずかしげに純朴な微笑を浮かべて会釈をしてくる。
■男性 To:ALL |
おはようございます。今日も良い天気で何よりですね。 さっき、食卓にお出しする野菜を届けにあがったところですよ。 ここらじゃあ、それしか自慢できるような物もありませんがね、その分だけ新鮮さと味は保証しますよ。 |
言いながらその手の中の、収穫したトマトをこちらに見えるよう持ち上げる。
■クリス To:男性 |
朝からお勤めご苦労様です。 心を込めて作って頂いた料理は全て美味しく感じるものですね。 |
視線を巡らせると、田園地帯とはまた別の方角にごろごろとした石の転がっている景色が見えた。
大きさは不揃いだが、中には人の背丈を優に越える物もある。
そしてそれらの殆どが、元は人の手が加えられていたのだろうという記憶を残していた。
おそらくは、その遥か向こうにパダが……そして、墜ちた都市《レックス》があるのだろう。
■クリス |
一度は己の力を試し、邪悪を滅ぼしに参りたいところですが、今はまだ力不足です。 |
■ベル To:ALL |
おっはようございま〜すっ。みなさーん、起きてますか〜? 朝ごはんの支度がもうすぐ出来ますから、顔を洗って食堂に集まってくださいね〜。 |
ベルが各自の部屋のドアをいささか乱暴に叩きながら、声を掛けて歩き回る。
■マリィ To:ベル |
ベルさん、おはようございます。 食堂ですね、分かりました。 |
マリィは朝の祈りまで終わらせて、既に身支度を終わらせていた。
■ヘイウッド To:ベル |
ふぁ、おっはよーぉ。んー、今行くよー。 |
あくびをしながらもとりあえず起きて装備品の手入れと確認をしていたヘイウッドはそう応えると、ベルトを締めなおし、柔らかいベッドでおかしな感触になった首をコキコキさせながら食堂に向かう。
■クリス To:ベル |
もちろん準備は全て万端に揃っております。 すぐに参ります。 |
言うか早いか全ての荷物を抱え部屋から出てくる。
荷物は置いて行っても大丈夫だと思うぞー。
■ヘイウッド To:リキュオス |
おっはよー。ふぁぁ……なんてーか、すごいトコだねぇ。お金のある人はいつもこんなんで寝てるのかねえ。 |
■リキュオス To:ヘイウッド |
…寝心地最悪やったで、あの寝台。 あないふわふわしとったら落ち着かんくて眠れるわけないわ。 寝不足でトラップにでも引っかかったらどないしてくれるんや、あのおっさん。 |
寝癖のついた髪の毛をばりばりとかきむしりながらリキュオスが眠そうに答える。
ふつーの人なら「最高」と評価をするようなベッドなんだけどなー。
■ルークス To:ALL |
やあ、おはよう。 昨夜は良く眠れたかい? |
既に食堂に姿を見せていたルークスが、身支度を済ませて集まる冒険者を出迎えた。
テーブルの上には、アイレンがちょうど配膳を終えたばかりの朝食が並んでいる。
焼きたてのふっくらとしたパンが籠に山と盛られ、皿のポーチドエッグには軽く焼いたベーコンが添えられている。
別の器に盛り付けられたサラダは、水を弾いてその瑞々しさを誇っていた。
おそらく先ほどの男性が届けた『新鮮な野菜』だろう。
■リキュオス To:ヘイウッド |
ま、タダ飯にありつけるだけでも充分ありがたいことやけど(苦笑) |
■ヘイウッド To:リキュオス |
だねえー。 見た目のいい食事をアイレンさんが支度してるのが若干不安なトコだけど…… まあ味付けするものは少なそうだし、だいじょぶかな。野菜は美味しそうだしねー。 |
いや、アイレンだってまともな料理を作れるんデスヨ?
独創性あふれるシロモノの数々は、単に彼女の趣味の産物なだけであって。
■ルークス To:ALL |
身体が資本の君たちだろうから、少し多めに用意したんだけど。足りるかな? 飲み物はコーヒーか紅茶、好きな方を選んでくれ。 |
■クリス To:ルークス |
全ては程々が良いので調度良かったですよ。 何でも度が過ぎると人間は堕落しますので。 私は紅茶をお願い致します。 |
■マリィ To:ルークス>アイレン |
おはようございます、ルークス様。 わたしには十分過ぎる量ですわ。 あ、アイレンさん。わたしには紅茶を頂けますか? ミルクを多めに入れてください。 |
■ヘイウッド To:ルークス>アイレン |
おはよーっす。んじゃ、遠慮なくいただくよー。 あ、僕もミルクティーをもらおうかな。 |
■リキュオス To:ジン |
こいつは普通にミルクで平気か? |
いつの間にかタークスをしっかり抱えている。
■ジン To:リキュオス |
ああ。でも熱いのは無理だぜ? |
にゃあと間延びした鳴き声をあげ、されるがままにされているタークスであったw
■リキュオス To:ジン>タークス |
自分も熱いのは苦手やねん(笑) おし、ほんなら一緒に飯にしよか。 |
そう言って少々乱暴にタークスの頭をわしゃわしゃ。
■ルークス To:アイレン&ベル |
じゃあ、僕も紅茶を。 用意が済んだら君たちも席に着いて。 |
相変わらず、使用人と席を共にする事に何のためらいもない様子。
そして一通りの食事を終え、食後のコーヒーとデザートもあらかたがお腹に収まった頃合を見計らって。
■ルークス To:ALL |
さて。じゃあ、君たちに同行するお目付け役を紹介しないとね。 みんな、こっちに付いて来てくれ。 |
そう言って案内されたのは、1階の一番奥の部屋。
本来は書庫として使っているのだろう。
壁際には背の高い書棚を配置され、場所柄なのか下位古代語で綴られた背表紙の本が多く収められている。
部屋に入ってすぐ気付いたのは、中央に据えられていただろう机が現在は隅に追いやられている事。
代わりに、その場所には複雑な文様で図形化された円陣が描かれていた。
心得のある者が見れば、その文様が下位古代語を下敷きにしているという事はすぐに分かる。
円陣の外周には、12個の魔晶石が均等の距離を保って配置されているが、そこに込められた魔力はほとんど尽きているようだ。
そして一際目を引いたのが、その円陣の真ん中に置かれている物だった。
子供の頭ほどのサイズの透明な水晶球。そこから、蝙蝠の様な翼が一対生えている。
■クリス |
……………… |
■ジン To:ALL |
すごいな。生き物みたいだ。 |
物欲しげに水晶球を見つめるジンw
■ルークス To:水晶球? |
そろそろ、魔力の充填も済んでいる頃だと思うんだけど……。 おーい。起きてるかい? |
ルークスが翼の生えた水晶球に声を掛けると、それに呼応するかのように水晶球が微かに震え淡い光を放ちだす。
そして水晶の中心に小さな種のようなものが生まれたかと思うと、次第にそれが大きくなり……やがて一つの瞳となった。
一度ぱちくりとその瞳を瞬きさせると、一つ目水晶は蝙蝠の翼を震わせてフワリと浮かび上がり、ぱたぱたと飛び回り始める。
■水晶球 To:ALL |
ケケケッケッケッ。 やっと目を覚ませるだけの魔力が貯まったぜ。まったく、昔と比べて不便極まりないな。 ……ん? 見ない顔があるな。お客さんかい? |
水晶の中心に浮かぶ大きな瞳が、冒険者たちの顔をじっと覗き込む。
■ヘイウッド To:水晶球 |
おお、すげ、喋れるんだー。こりゃまたオモシロそうなものが見れたなぁー。 |
■ジン To:水晶球 |
ほう。過去の記憶があるのか・・・。 俺はジン。今回迷宮を探索する冒険者だ。 君は何て呼んだらいいんだ? |
■水晶球 To:ジン |
おぅ、オイラの名前か? 聞いて驚け、オイラはな……。 ……。 …………。 ……名前……オイラの名前……は……。 |
ぱたぱたと。
飛び回りながらしばし黙考。
■水晶球 To:ALL |
……名前……。 そぉいえばオイラ、名前付けてもらってねぇ!(ずがーん) 前のマスター、そーいうトコロめっちゃ無精者だったからな〜。 |
今頃気付くコイツもコイツだと思うが。
■ジン To:水晶球 |
ふむ。名は無いのか。まあ、それはそれで不思議ではないが・・・ |
■名無しの水晶球 To:ALL |
仕方ねぇ! お前らにオイラの名前を付ける名誉を与えてやる! さぁさぁ、つぉくてカッコ良くてステッキィな名前を考えてくれよっ。 |
■リキュオス To:水晶球 |
……「羽根水晶」とか。 |
思考時間わずか2秒。見たまんまだ。
■名無しの水晶球 To:リキュオス |
オイオイオ〜イ!? それのどこがカッコ良いんだよ? そのまんまじゃねぇかっ。 ダメ! 却下! やり直しっ! |
お気に召さないらしい。
■クリス To:ALL |
この物体は見るからに邪悪その物ですが…… |
串刺し公を構える。
■リキュオス To:クリス |
いや多分その槍よりマシやと思う。(ぼそ) |
■クリス To:リキュオス |
そんな事は御座いません! これは由緒正しき「串刺し公」の槍なんですから!! |
■名無しの水晶球 To:クリス |
オイこらっ、そこ! ナニ物騒なもん向けてやがる。 由緒正しいカストゥール魔法具のオイラを邪悪呼ばわりとは、非道い奴もいたもんだ。 |
■クリス To:名無しの水晶球 |
何ですって!? この「串刺し公」に向かって物騒なものとは!! 主に代わって成敗してくれるわ!! |
■マリィ To:クリス>ALL |
クリスさん、ご安心下さい。 これは古代魔法王国産の魔法生物で、別に暗黒神の力が関わっているものではありませんわ。 能力は、先日ルークス様が言われた通り。 この水晶球が見たものが台座に映り、台座を通して双方向に会話も出来ます。 現在は、マナが希薄ですからあまり活動出来ない様です。 |
■名無しの水晶球 To:ALL |
そーゆーことっ。オイラはすごいんだぜ〜? もうちょっと敬意を払って扱えよなっ。 |
活動時間の部分は華麗にスルー。
都合の悪い事は聞こえない。
■クリス To:マリィ |
つまり古代王国時代の出来損ないと言う事ですね。 出来損ない、これはお前と同じく古代王国時代の由緒正しき名槍です。 今後物騒な物など呼んだりしたら覚悟するように。 |
■名無しの水晶球 To:クリス |
出来損ないって言うなっ! オイラみたいな意思を持つ魔法具なんて、当時でもレア物なんだぞっ。 |
■クリス To:名無しの水晶球 |
性格が歪んでいるからやはり出来損ないだと思うのですが…… |
■名無しの水晶球 To:クリス |
そんな怪しげな槍を振り回して喜んでる奴に言われたくないぞっ。 |
■クリス To:名無しの水晶球 |
物騒なものだの怪しげな物だの、物を一面からしか捉えられないなんて…… |
■名無しの水晶球 To:クリス |
オイラをそれだけこき下ろしておいて、どの口がそんな事を言ってやがるっ!? |
延々続きそうな罵りあいに、リキュオスが口を挟んでストップを掛ける。
あっさり却下された名前候補の第二弾。
■リキュオス To:水晶球 |
ほんなら「覗き屋」で。 |
■名無しの水晶球 To:リキュオス |
……お前、なんかオイラに恨みでもある? |
ちょっと涙目。
瞳がデカイだけに泣かれると鬱陶しい。
■リキュオス To:水晶球 |
性能を的確に言い表したナイスなネーミングやろ? |
■クリス To:リキュオス |
的確になら出来損ないの方が良くありませんか? |
■名無しの水晶球 To:リキュオス&クリス |
どっ・ち・も・イ・ヤ・だ! |
二人の頭上を飛び回り、大粒の涙をぼったぼったと落とす。
が、避けるようにクリスはそれを躱して見せた。
■リキュオス To:水晶球 |
おお!? 器用なやっちゃな(笑) |
……リキュオスは食らったらしい。
■マリィ To:水晶球 |
それじゃあ、「スツーカ」なんてどうです? 何でも「空飛ぶ悪魔」と呼ばれた古代の魔術師の相棒の名前だったとか。 |
■名無しの水晶球 To:マリィ |
ん〜……悪くはないけど、それって別の誰かから持ってきた名前だろ? もっとオリジナル性ってやつが欲しいな、オイラとしてはっ。 例えば、そーだな〜。 レディンとか、エルウィンとか、ディハルトとか。 あ、ランディウスってのもいいかな〜。 |
全部、どっかで聞いたような名前である。
■ヘイウッド To:水晶球 |
じゃあ、東の方の言葉で以心伝心を表す言葉と組み合わせて、「スツーカー」。 |
■リキュオス To:水晶球 |
むしろ「ストーカー」とか。 見張る者って意味やったかな? ぴったしや。 |
駄洒落言ってる場合か。
■マリィ To:水晶球 |
……我侭ですねえ。 もう、クリスタル・ボールの略でクリボーか、名無しの意味でフーバー(foobar)のどちらかを選んで下さいな。 異議は認めませんよ?(にっこり) |
■名無しの水晶球 To:マリィ |
…………ぶるぶるぶるぶるっ(怯) |
笑顔の奥に潜む気配に気付いたっぽい。
■ヘイウッド To:マリィ |
え、じゃあ羽根具合を表現した「パタパタ」も選択肢に加えてあげて? |
■名無しの水晶球 To:ヘイウッド |
なんか、掃除道具みたいに聞こえるんだけど……。 |
■クリス To:マリィ |
そんな可愛らしい名前で宜しいのでしょうか? |
ちょっと納得いかなさそう。
■クリボー(決定) To:ALL |
う〜……フーバーは「名無し」って意味なんだろ? それじゃ名前をつけてもらう意味がない。 ……だから、クリボーの方がまだいい(渋々) |
消去法。
■ヘイウッド To:クリボー |
うい、よろしくねぇー、クリボー! |
■マリィ To:クリボー |
それじゃあこれから宜しくね。クリボー。 |
■クリス To:クリボー |
クリボーですか。 まるでイノシシの子供のようですね。 |
■クリボー To:クリス |
それは『うり坊』だろっ。 教養のない奴だなっ。 |
■クリス To:クリボー |
教養があるからそう言う事も思いつくのです。 |
負け惜しみ。
……負けてるのは認めるのか。
喧々囂々でようやく名前が決まった末、ジンがクリボーに質問を始めた。
■ジン To:クリボー |
君は迷宮内で発見されたそうだが、迷宮と関連するものなのか? 迷宮の事で知っていることがあれば教えて欲しいな。 |
先程と変わらぬ笑みを浮かべたままクリボーを見る。
■クリボー To:ジン |
ん〜? 迷宮? 迷宮ってどこの迷宮だ? オイラ、そんなトコで寝てた覚えなんてないけど? |
哀しみの乙女の迷宮で発見されたという事を自覚していない様子。
■リキュオス To:クリボー |
ほなどこで寝とったんや? |
■クリボー To:リキュオス |
ん? 最後に眠ったのはマスターの机の上だったけど。 で、次に起きたらこの部屋だった。 |
迷宮に保管されていたという事がすっぽり欠落しているようだ。
■リキュオス To:クリボー |
マスターっちゅうのは? お前を作ったんもそいつか? |
■クリボー To:リキュオス |
そうだ。オイラのマスターは「役立たずの」サイアロスって言われてた。 あっ、でもマスター自身が役立たずなわけじゃないんだぞっ!? 使い勝手が悪かったり、使い道に困ったり、そもそも使いようがなくて廃棄直行だったり。 そんな「役に立たない」ガラクタばっかり作ってるから、マスターまでいつの間にかそう呼ばれるようになっちゃったんだ。 ……あ、役に立たないってのは、カッコ『オイラを除く』カッコ閉じ、だからなっ!? |
■クリス To:クリボー |
多分ですが、あなたも含んでの意味なんでしょうね…… |
■リキュオス To:ALL |
「役立たずの」サイアロス、ね。知っとる? |
■マリィ To:リキュオス&ALL |
名前くらいは。 他にも幾つか作品を残しては居る様ですよ。 |
■リキュオス To:クリボー |
ほんで? 『オイラ』はどう役に立っとったんや? |
■クリボー To:リキュオス |
捕まえた蛮族を働かせてる現場で、見張り役の補助とかしてた。 これでも結構、重宝されたんだぞ。蛮族の言葉の通訳とかもしてたし。 |
確かに言われてみれば、今この場でもクリボーはごく普通に共通語で会話をしている。
■クリス To:クリボー |
補助って一人立ち出来ていない役立たずのような…… |
■リキュオス To:クリス |
いや普通マジックアイテムは一人立ちせんと思うが。 |
■クリス To:リキュオス |
所詮アイテムですからね。 |
■クリボー To:クリス |
オイラを使役してる魔術師を差し置いて、オイラだけで仕事するわけにいかないだろ。 分を弁えてるんだよ、オイラは。 |
■リキュオス To:クリボー |
そういう監視用のマジックアイテムて、わりと一般的やったん? |
■クリボー To:リキュオス |
オイラたちみたいな使い方が出来るのは他に聞いた事がないな。 【遠見の水晶球】とかは、機能は似ていても用途が違うし。 |
■リキュオス To:クリボー |
「オイラたち」? 他にもおったんか? |
■クリボー To:リキュオス |
オイラのほかにもいくつか作られてるって話は聞いた事がある。 会ったことはないけどな。 |
■リキュオス To:クリボー |
そいつらもやっぱりマスターが? |
■クリボー To:リキュオス |
そのはずだけど。 |
■リキュオス To:クリボー |
ふむふむ。 耐久性はどうなんや? 火の中とか水の中は平気? |
■クリボー To:リキュオス |
試した事ないから分かんないけど、多分平気じゃないかな。 オイラ、人間と違って息をしてるわけでもないし。 あ、でも感覚はあるから、火の中はさすがに熱いと思う。 |
■リキュオス To:クリボー |
ちゅうことは殴られるとやっぱり痛いん?(ぇ |
■クリボー To:リキュオス |
痛いに決まってるだろ〜。あんまり強く叩いたら壊れるかもしれないから気を付けろよ。 ていうか、さっきから何でそんな事ばっかり聞くのさ? ……お前、オイラをイヂメる気か? |
ジト睨み。『リキュオス=危険人物』の認定。
■クリス To:クリボー |
まさか。 あなたは監視者であって依頼者の代理人でもあるんですから。 例え出来損ないの役立たずでも |
■クリボー To:クリス |
聞・こ・え・て・る・ぞ。 依頼主の代理人だって理解してるなら、オイラにもそれなりに気を使えっ。 大体そっちこそ、初対面の相手に向かって罵詈雑言を浴びせるなんて程度が知れるね。 そんな中傷しかできないようじゃ、きっと人徳のない嫌われ者なんだろ、お前? |
『クリス=陰口野郎』の認定。
■クリス To:クリボー |
思った事を口にする。 それが私です。 主に誓って嘘は言わない代わりに本音を吐きます。 何か文句でも!? |
幾分尊大な態度?
■リキュオス To:クリス |
いやそこは威張るトコとちゃう。(つっこみ) |
■クリボー To:クリス |
嘘をつく、つかないの問題じゃないっての。 初対面の、大して知りもしない相手に向かって暴言を吐く態度はどうなんだって言ってるんだよ。 そんなんじゃ、その主とやらにも見捨てられるんじゃないのか? そんな事も理解できないのかね〜、まったく。 |
はぁ〜っ、と大仰なため息。
というか、アイテムに諭される神官ってどうなんだろう……。
■クリス To:クリボー |
主に見捨てられるのは由々しき問題ですね。 慎むと致しましょう。 |
■リキュオス To:クリボー |
別にイヂメたりせんがな(苦笑) これから一緒に迷宮潜ろうっちゅうんやから、スペックの把握は重要やねんて。 うっかり壊しましたとか洒落にならんわ。 他にも便利機能あるなら今のうちに言うとけよ? |
■クリボー To:リキュオス |
飛んで話せて、状況を伝えられて。 これ以上何が必要だって言うんだよ。 |
要するに、それ以外の機能はないらしい。
■リキュオス To:クリボー |
いやまあ一発芸とかあるかなて。 |
■クリボー To:リキュオス |
実用目的の魔法具に芸を求めるな。 |
■リキュオス To:クリボー |
んで、今のマスターはあのおっさんか? |
■ルークス To:リキュオス |
はっはっは、そのおっさんって誰の事かな? 今度僕の前でその言葉を使ったら、君だけ報酬を減らすからね。 |
■リキュオス To:ルークス |
!!Σ( ̄Д ̄;; すまん、俺が悪かった!! |
反応めちゃめちゃ早かった。
■クリボー To:リキュオス |
別にマスターと認めたわけじゃないけどな。 でもまぁ、魔力の補充とかしてくれたし。その分だけは働くけど。 |
■リキュオス To:クリボー |
カストゥールが滅亡したんは、おっ…いや若旦那から聞いたか? |
■クリボー To:リキュオス |
まあね。 でもオイラにはカストゥールよりも、マスターがもういない事の方が大変だったけど。 |
■リキュオス To:クリボー |
ま、一番致命的なのは魔力の補充が困難っちゅう点やろな(苦笑) |
■クリボー To:リキュオス |
昔みたいに簡単に魔晶石が手に入れば楽なんだけどな〜。 |
■クリス To:クリボー |
自分でエネルギーを補えないなんで欠陥○ですね。 |
■クリボー To:クリス |
じゃあお前は、何も食べなくても生きていけるのか? それと同じ事だろ。道具だってちゃんと使うには手入れが必要なんだ。 オイラの場合は、それが魔力の補充だったってだけさ。 |
■クリス To:クリボー |
無制限に動けるのがマジックアイテムだと思っていましたよ。 |
■クリボー To:クリス |
使い捨てのアイテムだっていくらでもあるじゃんか。 魔晶石が良い例だろ? |
■リキュオス To:クリボー |
いちいち腹立てとると、この先持たんぞ。 適当に聞き流すくらいで多分ちょうどいい(ぉ |
さりげなく暴言。
■クリボー To:リキュオス |
オイラもそんな気がしてきた……。 あいつ(クリスの事)ってアレか、朴念仁とかいう奴? |
■リキュオス To:クリボー |
ぶっちゃけ俺もパーティ組んでまだ3日やけど、まあすぐわかるで…。 |
苦笑いしながら呟く。
■クリス To:リキュオス |
何かおっしゃいました? |
■リキュオス To:クリボー |
ところで「哀しみの乙女」て知っとる? |
■クリボー To:リキュオス |
哀しみの乙女〜? ん、んん〜? ……あっ、あいつの事かな。 ルナクリアって女。なんか、そんな風にも呼ばれてたような記憶がある。 |
■リキュオス To:クリボー |
どんな女なん? |
■クリボー To:リキュオス |
あんまり詳しくは知らないぞ? オイラだって噂に聞いただけだし。 でも、すっごい美人で、すっごい変人だって噂だった。 確か『カストゥール・ゴシップ・プレス』で、5年連続で『男性関係スキャンダル』のトップを飾ってたな。 |
■リキュオス To:クリボー |
……カストゥールじゃ水晶球が週刊誌読んどったんかい。 |
思わずツッコまずにはいられない。
■クリボー To:リキュオス |
へっへーん、凄いだろっ。 これもオイラが自己意識を持ってるからこそだなっ。 |
ムダに偉そうだ。
■リキュオス To:クリボー |
で、ページをめくる時はどうやるん? |
■クリボー To:リキュオス |
捕まえてた蛮族にめくらせてた。 |
ケロリと。
■リキュオス To:クリボー |
……………ふっ。 |
あ、鼻で笑いやがった。
■クリボー To:リキュオス |
なんだよー! 仕方ないだろ、オイラはお前らと違って手がないんだからっ。 |
ばっさばっさと、翼を大きく動かして抗議のポーズ。
頭を押さえてないと髪が乱れたかもしれない。
■リキュオス To:クリボー |
で、「哀しみの乙女」とは直接面識あったわけやないんやな。マスターもそうか? |
■クリボー To:リキュオス |
んー、そういう話は聞いた事なかったけど。 でも、マスターの交友関係までは知らないし、ひょっとしたら友達だったりしてもおかしくはないかな。 |
■リキュオス To:クリボー |
ゴシップになるっちゅうこたぁ、有名人かなんかか? |
■クリボー To:リキュオス |
おうっ、すごかったんだぜ!? 恋人に逃げられそうになって、逆上して相手を閉じ込めて飼い殺しにしようとしたり。 自分の惚れた相手が別の女性と結婚したからって、その女性を殺そうとしたり。 恋文をポイ捨てされた腹いせに、毎日呪いの手紙を送り続けたり。 情の深い女なのは間違いないんだろうけど、その方向性が捻じ曲がってるって言うのかな。 |
■ヘイウッド To:ALL |
ははぁ……。 こりゃ、ジンさんの読んだ文献の悪意記述もあながち……かもだねぇ。 すごい文明があったからってそーそー理性的な生活してるわけでもないんだなあ。 じゃー迷宮構築の理由も色恋絡みだったりするかねえ? 最下層まで行って石化した恋人が封印されてたり、迷宮を突破できるおーじ様を待ってる本人がいたりなんてオチは…… いや、ま、それはそれで詩のネタにはなるな… |
■マリィ To:ヘイウッド&ALL |
むしろ、「何年経っても人間は変わらない」という事では無いかと。 ただ、歪んだ性格の持ち主と言うことは、迷宮の仕掛けも凶悪な可能性が否定できないのがきついですね。 |
■ジン To:ヘイウッド、マリィ、ALL |
例えルナクリアが非道な行いをする者だとしても、悪辣に書き立てられる理由は別にあるような気はするな。 著者がまともな奴なら、彼女に関する記述を冷静に、客観的に記すことは十分可能だし。 色恋絡みなら、それこそ「嫉妬」の感情によって悪意は芽生える。 彼女がその「嫉妬」の対象なら、記事の捏造という可能性もあるぜ。 |
■リキュオス To:ALL |
ま、ゴシップなんざ面白おかしく書き立ててなんぼやからな。鵜呑みにすることもないと思うけど。 好きとか嫌いとかいうのは自分でコントロールできるモンでもないし、表現の仕方やて人それぞれや。 きっと不器用な女、やったんやろな。 |
どこか遠くを見るように呟いてから、なぜか同意を求めるようにルークスを見る。
■ルークス To:リキュオス |
ん? なにかな? |
にこにこと。
分かってないのか、とぼけているのか。
■ヘイウッド To:リキュオス |
んー、相手の自由を拘束するのはどーかと思うけど、ま、確かにそれぞれのやり方はあるんだろうねぇ。 ま、そもそも蛮族を使役するのが当然の時代の人間を今の感性で計ろうってのが間違ってるか。 とはいえ個人的には、あんま強い執着は今も昔もたいがいメンドーごとにつながりそうな気がするけどー。 |
■ルークス To:ALL |
さて、この水晶球の紹介はいいかな? あと、探索に有用と思われるものを貸し出すから、持って行ってくれ。 |
ルークスが声を掛けると、アイレンとベルがそれぞれの手にしていたものを差し出してくる。
■ルークス To:ALL |
二人の持っているのは【快眠の枕】といってね。 これを使って眠ると、通常の3分の1程度の時間で充分な休息が取れるそうだ。 |
■マリィ To:ルークス |
これは……素晴らしい品物ですね。 気力が無くなってしまった時に重宝しそうですわ。 |
■ジン To:マリィ、ALL |
・・・確かに。 探索行の戦局を左右しかねん逸品だな。 取引価格を聞くのが怖いくらいだ。 |
■リキュオス To:ヘイウッド |
つくづく魔法てやつぁ、なんでもありなんやな。 便利やけど、あんまり気持ちのええもんでもないわ。 |
■ヘイウッド To:リキュオス |
ふふ、兄さんはあんがい地に足ついてるからねー。 僕なんかはベンリなら結構なんでもアリだけど。……あとで何かしわ寄せが来たりするとちょいメンドーだけどね。 |
■リキュオス To:ルークス |
そういや聞き忘れてたけどな。 探索中に発見した魔法のアイテムとかって、基本的には持ち帰って鑑定するまで使っちゃまずいわけか? |
■ルークス To:リキュオス |
ああ、説明するのを忘れていたね。 探索に有用だと思えば、その場で使ってもらって構わないよ。 但し、それが消耗品だったりして目減りした場合は、その分は報酬に考慮しない。 あくまでも、僕の元に持ち帰ってもらった分が後金報酬の計算の基礎だ。 それでいいかな? |
■リキュオス To:ルークス |
ん、オーケイ。 ちなみに発見したアイテムを持ち帰るのが難しい場合は? 持ち運びできひん装置とか、持ち歩くと著しく探索の邪魔になるようなモンとか。 |
■ルークス To:リキュオス |
そのあたりの判断も任せるよ。 最終的に君たちの報酬がどれだけになるかにも関わってくる事だしね、自己判断で決めてくれ。 どうしても持ち帰ってもらいたい物が発見された場合は、その都度指示するから。 |
■リキュオス To:ルークス |
で、こいつの護衛は依頼のうちか? 単なる通信アイテムとはワケがちゃうからな。 勝手にうろちょろされて壊れても責任持てんで? 追加報酬出るなら話は別やけど。 |
あたりを飛び回っているクリボーを半眼で見ながら言う。
■クリボー To:リキュオス |
オイラだって壊れるのは御免だからな、そんなに好き勝手に動く気はないって。 第一、お前らの監視が仕事なんだから、離れる気もないしな。 |
■ルークス To:リキュオス |
護衛の義務を与えるからには、失敗した場合の責任を負ってもらう覚悟がいるんだけど。 君たちに弁償しろったって、さすがに無理な話だろう?(苦笑) まあ、基本的にはもし何かがあっても不問にするから。その辺は心配しなくて良いよ。 明らかに君たちの過失であったり、意図的な行為によるものだったりした場合はその限りじゃないけどね。 |
■リキュオス To:ルークス |
緊急時にやむなく置き去りになった場合は不問? |
■ルークス To:リキュオス |
状況次第、と答えておこうかな。 あんまり都合の良い解釈をされて「置き去りを前提」で考えられてもさすがに困るからね。 |
■クリボー To:リキュオス |
そんな事したら、枕元に現れてやるからな。 |
■リキュオス To:ルークス、クリボー |
いやだから「緊急時にやむなく」て言うとるやんけ!(ビシッ) いざ潜ってみたら、いきなりドラゴンと対面とかあるかもしれへんやんか。 ってそれやと俺らみんなで若旦那の枕元コースか…(死) |
■ルークス To:リキュオス |
「やむなく」の意味を拡大解釈されたくないから状況次第、と言ってるんだよ。 それにクリボーくんの目と耳を通して僕にも状況は伝わるんだ。 そこまで君たちが一方的に損をする判断をする気はないって。 むしろ、報告を誤魔化されて僕の方が損する事がないために監視をつけるんだし。 あんまり食い下がるようだと「ドラゴンが出た場合は仕方ない」けど「それ以外は君たちの責任」とか条件をつけるよ? |
依頼主の強権発動。
■リキュオス To:ルークス |
食い下がったんとちゃうわ。今のは単なるツッコみ。 |
そう言って大袈裟に肩をすくめてみせる。
■ヘイウッド To:ルークス |
りょーかーい。 で、クリボーの稼働時間の内に探索を切り上げるってことだよね? それはどれくらいなのかな、わかるのかな? と、稼働時間の内に帰り着かないといけないのかな?探索済みの来た道を戻るだけなら、帰り道は稼動してなくてもいいのかな? |
■ルークス To:ALL |
とりあえず二日間くらいは動けるだけの魔力を与えたつもりだ。 で、可能ならば動いてるうちに帰ってきて欲しい。 信用しないわけじゃないけど、監視の目が切れた時点で妙な真似をされても困るからね。 一応クリボーくん自身にあとどれくらい動けるかの判断はできるみたいだから、それで帰り道に必要な時間を計算しておくように頼むよ。 |
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GM:倉沢真琴