SW-PBM #164 哀しみのラビリンス |
■ 迷宮、第一歩 ■ | ||
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【 迷宮・入口 】 |
ルークスたちに見送られて迷宮の入り口から奥へと足を踏み入れた一行。
地上へと繋がる扉をくぐり、緩やかに下る通路をしばらく進むと螺旋階段に突き当たる。
さらにその階段を降る。……建物にして、三階分ほども降りた頃だろうか。ようやく眼下に地面が見えてきた。
降り立ったその場所は、シフの言葉通りに一辺が20mほどの何もないがらんとした部屋だった。
『区画』と形容したほうが、よりそれらしいかもしれない。ここは白塗りの場所のようだ。
四方の壁の中央には、これもシフの情報どおり、黒光りする金属製らしい扉が配されている。
■クリボー To:ALL |
なぁーんにも無いトコだなー。 こんなところ調べて、何か得になるようなことがあるのか? |
■リキュオス To:クリボー |
なんも無いかどうかはこれから調べるんや。 |
■ルークス(通信) To:ALL |
《何も無ければ、それはそれで安心が買えるよ。 なにより、僕らが今いる別荘を放棄しなくて済むからね。 損失を出さずに済むという意味なら、それで充分に『得』なわけさ。》 |
■リキュオス To:ALL |
ほな、とりあえずざっくりと見て回るかね。 |
そう言ってさっさと部屋を調べにかかる。
■ジン To:リキュオス、ALL |
よろしくな。 前回の探索と違っているかもしれんし、「念には念を」だな。 |
■クリス To:リキュオス |
では調査は任せるとして私は危険に対する警戒をしておきますか。 |
リキュオスが念入りに地面を調べるが、これといって発見できた手がかりはない。
複数の石材を組み合わせて造られているようだが、その全ては丁寧に磨き上げられて僅かな凹凸も見当たらない。
所々に見える継ぎ目も、髪の毛一本すら入りそうにない精巧さで塞がれている。
■リキュオス To:ALL |
足跡みたいなモンは見つからんな。 床も不自然なくらいぴかぴかや。 |
続けて四方の扉に近づき、聞き耳と罠の有無を確認するが、こちらもこれといった発見はないようだ。
■クリボー To:リキュオス |
まどろっこしいなー。 いちいちそんな真似をしないと進めないのか? そんなんじゃ、いくらも進まないうちにオイラの魔力が切れちまうよ。 |
リキュオスの手元を映し出すかのようにぱたぱたと飛んで近づいては、その動きを眺める。
が、その声には早くも退屈そうな響きが含まれ、欠伸でもしそうな感じだ。
■リキュオス To:クリボー |
早けりゃええっちゅうモンでもないねんて。 トラップに引っかかって死人でも出たら、むっちゃ後味悪いやんけ。 |
■マリィ To:クリボー |
こういった迷宮では、慎重にしないと命の危険があるの。 あなたも永久に機能停止したくないでしょう? |
■クリボー To:マリィ |
うっ……そりゃ、確かに。 分かったよ、黙って見てる。 |
■ベル(通信) To:ALL |
《さあ、いよいよドキドキワクワクの大冒険ですねっ。ううっ、ベルなんだか緊張してきましたっ。》 |
クリボーが黙るとこっちがうるさくなったりする。
■リキュオス To:ALL |
見た感じ、特に手がかりになりそうなモンはないな。 |
■ヘイウッド To:リキュオス、ALL |
うーん、兄さんが調べてもダメかー。シフさんたちがつけてったっていう印っぽいものもなさそうだね? シフさんとこの盗賊も足跡やなんやらは見つけられなかったっていうし、しばらく経つと勝手にクリーニングされるのかな。 シフさんたちは一応印を辿れたみたいだから、書いた端から消されるってわけでもなさそうだけど……。 隣の音も聞こえずかあ。まあ、いるとしても魔法生物だと考えると、音は立ててないかもね。あるいは…… ま、罠に関しては調べていくとして、次の区画には行ってみるっきゃないってコトかねえー。 |
■ジン To:ALL |
よし。これといってどの方角も特徴は無いようだし、ここで行く方向を悩んでも仕方あるまい。 とりあえず北の扉から。行き止まりなら時計回りに、って感じでどうだ? 迷路探索の常道「左手の法則」に倣ってな。 |
■ヘイウッド To:ジン |
りょーかい、異論ないよー。じゃ、進む先だけ僕も調べるかね…… |
次の区画に進む前に、ヘイウッドは入り口の床と、進もうとする扉の足元の床に進行方向を示す「△」を、開けようとする扉に「×」印を黒炭で手早く書き付けた。
……扉は手前に開く作りのようだ。
罠がないのを改めて確認すると、慎重に、ゆっくりとドアノブを握って扉を開く。
その先には、大人が二人ほど並んで歩ける程度の幅の通路。
それが10mほど先まで伸びており、突き当りにはヘイウッドの握る黒い扉と対照的な白の扉があった。
■クリボー To:ALL |
お、今度は白い扉か。 こんな風に、白黒で交互になってるのかな? |
■マリィ To:ALL>シーフs |
まだこの段階で法則性は何とも言い難いですわね……。 通路、念の為調べてくださいますか? |
■リキュオス To:マリィ |
あいあいさー。 |
マリィの言葉を受けて、念入りにリキュオスが通路とその先の扉を調べる。
ここにも足跡は見つからず、不審な物音も聞こえない。
罠も調べた限りでは見つからないようだ。
ヘイウッドも調べ始めようとしていたが、その動きを止めるように通信が入ってきた。
■ルークス(通信) To:ALL |
《そうそう、言い忘れていた。 前の冒険者パーティが探索した時なんだけど、罠やその類は全て『部屋の内部』に設置されていて、部屋を繋ぐ通路にはそういったものは一切見受けられなかったという話なんだ。 まあ、その話自体がアテになるのか、今回もそうなのかまでは分からないけどね。参考になればいいけど。》 |
■ヘイウッド To:ALL |
ふーむ。調査時間に制限もあるし、信用してみようかねえー。 迷宮を計算して設計するよーな人間は、ヘンなところで自分ルールに忠実だったりするからね。 ま、どっかで通路にも罠があるようだったらその後は慎重にするってことで。 |
その一回で死ぬかもしれないというのにのんきな話だが。
■リキュオス To:ヘイウッド |
シフたちが探索したのは限られた範囲だけやし、今回も同じっちゅう根拠が無いんやから、なんの参考にもならんで? |
■ヘイウッド To:リキュオス、ALL |
まあねー。僕が思うには、多分このヘンな構造で組むって神経は侵入者を根絶やしにってより「リドルタイプ」で、なんらかの法則性を示したがる作者な気がするけど…… ま、根拠が無いのは確かだし、時間を食いすぎない範囲ならきっちり調べてくのを否定する気はないけどね。僕も最下層に近づいてそうになったらもちょい慎重に行くと思うし。 さて、ともかくここはさくさく進んじゃうよー。 |
ヘイウッドは突き当たりの白い扉の前に立ち、足元に「△1」と扉に「×1」と書き付けると、ゆっくりと扉を開けた。
【 迷宮・部屋ア 】 |
通路側からは押し開ける作りとなる扉を開き、次の部屋へ足を踏み入れる。
前の部屋、そしてヘイウッドの開けた扉と対照的な漆黒に塗りつぶされた光景が目の前に広がった。
一辺は20mの広い造りは同様のようだ。足元も同じ石造りで、足跡などもない。継ぎ目の細工もまったく同じに見える。
違うのは部屋を彩る色と、四方の壁にあるはずの扉。
この部屋は、向かって正面と右。入ってきた扉と合わせてその3箇所は白い扉だが、左に配置されているものだけが灰色をしていた。
そして、目を引くのは部屋の中央。
ぽつんと、古めかしい木箱が一つだけ置かれている。だが放置されているといった気配はなく、埃も被っていない。
■クリボー To:ALL |
おっ、なんか箱があるぞ。 お宝か? お宝かなっ? |
■マリィ To:クリボー |
罠かもしれませんわ。 慎重に調べた上で近づかないと危険よ。 |
■リキュオス To:ALL |
ちゅうか露骨に罠くさいけど。 |
■クリボー To:マリィ |
「罠は嵌まって踏み潰す」とかいう格言を聞いた覚えがあるけど。 あれは違うのか? |
■クリス To:クリボー |
私もその言葉を聞いた事があります。 そうなれるよう、憧れの言葉ですね。 |
■マリィ To:クリス&クリボー |
(ジト目で) 何処の格言ですか! ……回復させる方の身にもなってくださいな。 |
■クリス To:マリィ |
精神を消耗したら私が融通させて頂きますのでご心配なく(笑) |
■マリィ To:独り言>クリス |
いや……そういう意味でなくて。 その踏み潰す一回で死んでしまったらどうするのですか! 只突進するだけと言うのは”勇気”ではなく”蛮勇”です。 真の勇者ならば、”蛮勇”は慎むべきですわ。 |
■クリス To:マリィ |
蛮勇ですか…… 慎みましょう。 |
リキュオスはまず左手の灰色の扉から調べてみることにした。
側に寄って調べて分かった事だが、扉は色が違うだけで構造そのものはこれまでのものと同一のようだ。
開閉時に擦れてできたような傷も見受けられ、使われていないという訳ではないらしい。
正面と右の扉も調べてみるが、こちらも色が違うという以外は同じ作りのようだ。
■リキュオス To:ALL |
罠の類いが仕掛けられとるっちゅうことはなさそうや。 |
部屋の周囲をざっと確認してから、改めて中央に置かれた木箱に注意を向ける。
ぱっと見たところ、作りは頑丈そうなものの粗末と言っていい木箱だ。
罠やその他、気になる点はリキュオスには特に気付くことはなかった。
■ベル(通信) To:ALL |
《ワクワク。どんな物が入ってるんでしょうかねっ。 可愛いものだといいなぁ〜。》 |
■アイレン(通信) To:ALL |
《木箱そのものが罠かもしれませんから、お気をつけて。 あ、でも切れ味の良い包丁とか入っていましたら、ぜひ持ち帰っていただきたいです。》 |
いかにも他人事っぽいコメントのメイド二人。
■クリス To:アイレン |
専門家が目利きをした方がいいかも知れませんよ? |
■アイレン(通信) To:クリス |
《ご心配なく。ルークス様のポケットマネーで鑑定していただきます。》 |
■ルークス(通信) To:ALL |
《あ〜……うん、そうだね。まぁ、いいや。》 |
はっきり『主人の金で』と言われてるのに苦笑している様子。
■クリス To:ルークス |
気のせいでしょうか? 依頼主は今までこの類の苦労をし続けてると印象を受けたのは? |
■ルークス(通信) To:クリス |
《はっはっはっはっは(乾笑) 何を言っているのカナ。そんな事は全然ナイヨ。》 |
明らかに声の調子が変わる。
身に覚えがありまくり。らしい。
■ジン To:リキュオス、ヘイウッドALL |
木箱については、もし万全を期したいんなら、投げ縄かなんかで箱を引っ掛けて倒してみるとかして、遠くから確認してみてもいいかもな。 中身が何かも倒れた時の音でわかるかもしれん。。 |
■リキュオス To:ジン>ヘイウッド |
いやそれ中身が割れ物やったらどないするんや。 ヘイも一応見てくれるかコレ。 |
振り返りもせずにツッコんでから、ヘイウッドに場所を譲る。
■ヘイウッド To:リキュオス |
ういうい、見させてもらうねえ〜。 |
■ジン To:リキュオス |
まあ、リキュオスが罠が無いと自信を持って言えるんなら、素手で空けてくれて構わんよ。 |
■ヘイウッド To:ジン、リキュオス |
……うん、罠も鍵もなさそうな感じだね。 つくり的に大切にされている感じでもないし……あけてみちゃうよー。もしなんか動くモノ出てきたら、クリスさんお願いねー。 |
そう言うと、ヘイウッドは木箱をゆっくり開ける。
■クリス To:ヘイウッド |
お任せください。 いつでも体勢は万全です。 |
中には、無造作に転がされている短剣が一本。
だがその刃はたいまつの光を照り返し、錆びている風はない。
刃の根元には製作者の銘だろうか、下位古代語が刻まれている。
■ヘイウッド To:ジン |
包丁に使えるかはわからないけど、切れ味は良さそうだねえ。 銘は……“「悪戯好きの」タッド”、かな?ジンさん、見てもらえる? |
■ジン To:ヘイウッド、ALL |
よし、見てみよう。 ……ふむ。 強い魔力が込められているが、これはまるで……おもちゃのナイフだな。 『トイ・ナイフ』という業物だ。 ただ、これを使いこなすには少なからぬ覚悟が必要だよ。 この柄の部分から様々な色の染料が飛び散って身体中を汚し続けるし、下手に使えば、刃の部分がバネ仕掛けのように飛び出してしまう。 まあ、魔力が強いことは確かだから、それなりの価値があると思うが。 |
■ヘイウッド To:リキュオス、ALL |
ふむふむ、けっこーお金になりそだねぇ。 んー、探索中は、兄さんが使ってみる? 軽いからジンさんでも使えるくらいだけど、使わないよねえ。ゼファくんが投げナイフにっていう贅沢な使い方もあるけど。 |
■リキュオス To:ヘイウッド |
ん? おもちゃのナイフなんか使わんで俺。 |
■ヘイウッド To:リキュオス |
えー、緊迫したトコで刃が飛び出たら馬鹿っぽくてオモシロイのにー。 |
判断基準が基本「オモシロイかどうか」だ。
■ヘイウッド To:リキュオス |
まあそれはともかく、それ以外の、短剣としてはかなりいい出来っぽいよ。バランスもいいし、刃も鋭そうだし。魔法を帯びてないと傷つかないタイプの魔法生物にも使えるだろうから、悪くないと思うけどなあ。 兄さんが使わなそうならゼファくんに渡しとくよ。ゼファくんも使わなそうなら僕が持とう。オモシロそうだから。 |
■クリス To:ALL |
私に似合いそうな魔法の鎧ではありませんでしたか…… |
■クリボー To:クリス |
お前に似合うっていうと……着たら呪われる鎧とか? |
■マリィ To:ALL |
念の為、センス・マジックを使った方が良いですか? |
■リキュオス To:マリィ |
当然ナイフにゃ魔法かかっとるやろ…? って灰色の扉のことか? |
■ジン To:マリィ、ALL |
灰色の扉の方は、後回しでもいいかもな。 魔法がかかっていれば、古代王国期の魔力を破れるとも思えんし、かかってなければ、ただの壁、フェイクってことだしな。 運が良ければ迷宮を進むうちに、この反対側の部屋にも辿り着けるかもしれん。 |
■リキュオス To:ジン |
開閉した痕跡が残っとるから、ただの壁ってこたないと思うけど。 つか、魔法がかかってるかどうかって見ただけじゃわからんのか? |
■ジン To:リキュオス |
うむ。見た目だけでは分からんな。 精霊が宿っているかどうかなら、見ればわかるんだがね。 |
■クリボー To:ALL |
精霊はオイラにも分かんないなぁ。 |
■クリス To:クリボー |
あなたの専門分野は何になります? |
■クリボー To:クリス |
監視と通訳だってば。 魔神とか出てきても、口を開いてしゃべる奴なら通訳してやれるぞ。 もっとも、そんな暇があったら逃げ出すけどなっ。 |
■クリス To:クリボー |
一人で逃げると帰り道に罠へ引っ掛かる恐れもありますよ? |
■クリボー To:クリス |
その場で壊されるの確定するよりマシだと思う。 それとも、お前たちが退治してくれるのか? そーゆー魔神とか。 |
■リキュオス To:クリボー>ALL |
無茶言うなや(苦笑) ほんで? どないしよか? |
■ジン To:ALL |
正面と右の扉もさっきと同じか。 であれば、「左手の法則」に準じれば「正面の扉」へ進むことになる。それでいいか? |
■マリィ To:ジン |
宜しいです。 |
■クリス To:ジン |
結構ですよ。 |
■リキュオス To:ジン |
特にアテもないし、リーダーに任せんで。 |
■クリボー To:ALL |
じゃ、こっちだな〜。 罠がないならどんどん進もうぜっ。 |
ぱたぱたと、正面の扉へ近づいて様子を窺ってみたり。
■ヘイウッド To:クリボー |
ういうい、じゃあ進もうー。 |
入ってきたときと同じように正面の扉とその床に「△1」と「×1」を書き付け、扉を開ける。
扉を開くと、再びそこは通路。
10mほどの距離、二人並べる幅、突き当たりの扉と全て同じ構造だ。
前方に見える扉は再び黒塗りのものに変わっている。
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GM:倉沢真琴