SW-PBM #164 哀しみのラビリンス |
■ 依頼人、その屋敷にて ■ | ||
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【 ウォイル邸 】 |
アイレンとベルの案内でウォイル邸へとやってきた冒険者一行。
丘の上のいわゆる『高級住宅街』と呼ばれるあたりに差し掛かった頃から、明らかに銀の網亭が店を構える地区とは雰囲気が変わるのを感じる。
まず往来を歩く人々の姿がこざっぱりとしており、清潔な服装に身を包んだ彼らからは仄かに香水の匂いすら漂うほどだ。
その所作の一つ一つも嫌味がなく洗練されている。
そしてそこに紛れ込んだ冒険者というのは明らかに『異質』であり『場違い』であった。
さすがに無遠慮に、という事はないものの、チラチラと奇妙なものを見るような視線を向けてくる。
そんな街並みを抜け、更に一際豪奢な邸宅が立ち並ぶ通りに差し掛かったところでようやく先導していたアイレンが歩みを止めた。
目の前に立つ邸宅は、正しく『お屋敷』と形容できるものである。
大人の倍の背丈はあろうかという柵で敷地を囲み、覗き見える中庭は丁寧に刈り込まれた芝生が青々と茂っている。
建物自体は二階建てと、周囲に多く見える三階建ての邸宅に比べて背が低いが、その分広い敷地を有してどっしりと構えた印象だ。
外から眺めるだけでこうなのだから、中は果たしてどれだけの手をかけて造られているのか。
■アイレン To:ALL |
こちらです。 応接間にご案内をいたしますので、そちらでしばらくお待ちください。 |
広く、長い廊下を抜けてようやく辿り着いた応接間で、しばしの時間を待たされる。
手持ち無沙汰に周りを見渡せば、さしたる知識がなくとも値打ち物と判断できるほどの調度品が数多く、しかし決して出しゃばらずに配置されている。
慣れない者ならばうっかり触って壊さぬようにと腰が引け、あるいは盗人ならば垂涎の風景だろう。
やがてノックの音と共に扉が開かれ、先ほどのメイド2人を従えた若い男が現れた。
■ルークス To:ALL |
やあ、お待たせしました。僕が依頼人のルークス・ウォイルです。 |
■クリス To:ルークス |
これはご丁寧に。 私はクリス・サリバンと申します。 ファリスの信徒で御座います。 |
■ルークス To:クリス>ベル |
至高神にお仕えする方ですか。これは心強い。 今回の依頼も安心してお任せできそうですね。 ……さ、楽にしてください。ベル君、お茶の用意をお願いするよ。 |
■ベル To:ルークス |
はぁ〜い。 今日のお茶は西方から仕入れたやつです。 ちょっと渋味がありますけど、甘いものと一緒に飲むとちょうど良いですよっ。 ……で、おやつはこれですっ。 さっき銀の網亭から買ってきました、ケーキセット! |
一目で高級品と分かるカップに温かな湯気を立てるお茶が注がれ、全員に配られる。
続けて、先ほどベルが買い込んできたケーキ。
5、6種類はあるだろうか。それが全員に全種類、1つずつ差し出された。
……組み合わせれば、1ホール分くらいにはなりそうである。
■ルークス To:ベル&アイレン>ALL |
相変わらずだなぁ……。 ま、いい。2人とも座って、一緒に食べようじゃないか。 あ、すまないがこの2人も同席させて貰うよ。ウチではお手伝いさんとも一緒にお茶を楽しむのが習慣でね。 |
苦笑しながらも2人を自分の隣に座らせる。その様子を見るに、こんなお茶会は日常のことらしい。
■ゼファルディート To:ルークス |
わあ、おいしそうだね〜 やっぱり、人間の料理って創造性が高くっていいなあ♪ あ、紹介が遅れちゃったけど、僕はゼファルディート、よろしく。 |
■クリス To:ルークス |
結構な習慣ですね。 私も館持ちになれたら見習いたいと思います。 |
単純に関心。
クリスの言葉に微笑みを返しながら、カップを口元に運んでゆっくりとお茶を味わう。
そして全員が一息ついたのを見計らってから、ルークスは用件を切り出した。
■ルークス To:ALL |
さて、依頼の件だけど。 お願いしたいのは我が家の別荘地に発見された地下迷宮の調査と探索。 もちろん、その過程で脅威となるものがあれば取り除いて欲しいし、何か宝物が発見されたなら持ち帰って貰いたい。 |
■マリィ To:ルークス |
マリーラナ・ファリアスです。マリィとお呼びください。 これから皆からも質問があるでしょうが、まずどういった経緯で地下迷宮が発見されたか、お聞きできますでしょうか? |
■ルークス To:マリィ |
愛称で呼んでいいのかい? 嬉しいなぁ。 マリィだね、よろしく(きらーん☆) |
真っ白な歯を輝かせて爽やかに笑う。陽の光に当てたら乱反射するかもしれない。
ルークスのその表情を見て、マリィは後悔の念に駆られた。
少々、彼は警戒する必要があるだろう。
■ルークス To:マリィ |
迷宮……というか、その入り口なんだけどね。それ自体は、ウチのひい爺さんの代くらいに既に発見されてたんだ。 けれどその時には入り口がどうやっても開かなくてね。 放ったらかしておくのも気持ちが悪いって事で、上から石を積んで封印しておいたんだそうだ。 ところがつい最近、長年の風雨で積み上げてた石が崩れてね。 また積み直そうとした時に、ひょいと覗いてみたら奥の入り口もぽっかりと開いてたんだ。 |
ちなみに、と説明を追加しておおまかな別荘の位置を教えられる。
それによるとオランから北西へ馬車で1日ほどの距離。パダにも程近い場所にあるようだ。
そのためか、周囲で大なり小なりの遺跡が発見されるのはそこまで珍しい事ではないらしい。
■リキュオス To:ルークス |
「脅威となるもの」が俺らの手に負えんような場合は? いざ調査してみたら魔神の巣窟でしたとか洒落にならんで? |
■ルークス To:リキュオス |
その辺は無茶を言うつもりは無いから安心していいよ。命が危ないと思ったら、退却してもらって結構だ。 中で全滅でもされて何の情報も得られないよりは、逃げ延びて危険を教えて貰う方がよほど建設的だしね。 |
■クリス To:リキュオス |
いえ、リキュオスさん 意地でも邪悪は殲滅しなければなりません。 最初から勇気ある撤退を考えていては成せる事も成せなくなりますよ? |
怖いもの知らず(笑)
■リキュオス To:クリス |
意地でなんとか出来るんやったら苦労せんがな。 …あんたそんな調子でよう冒険者なんて続けられるなぁ。 なにげに凄腕?(ぼそっ) |
■クリス To:リキュオス |
全ては信仰の力によります。 腕はまだまだ過信出来る程ありませんよ。 駆け出しです。 |
妙に謙虚。
■ゼファルディート To:リキュオス、クリス |
まあ、今回の冒険だって、僕たちの経験や技量を上げる機会になるんだから、おっきなコトを成すのはこれからってコトで。 大樹も最初は小さな苗木なんだから、ね。 |
■クリス To:ゼファルディート |
その通りです! 近い将来我々は世界を救う事になるんです!! |
どこまでも夢はでっかい。
■リキュオス To:クリス |
!!Σ( ̄Д ̄;; さりげなく我々とか言うのやめてくれや(笑) |
すかさずツッコむ。
■クリス To:リキュオス |
我々はパーティーを組むのでは? 組めば一心同体です! |
殆どわからんちん状態なんでスルーしてください(笑)
■リキュオス To:クリス |
………。 |
クリスから視線を逸らし、疲れたような表情で溜息をつくリキュオス。
■リキュオス To:ルークス |
ほんで? 報酬はなんぼ出せるんや? 遺跡の広さわからんけど、調査の期限とかは? |
■ルークス To:リキュオス |
まあまあ、順に説明するから落ち着いて。 まず、経費は依頼書にも書いてあるように支給する。但し無駄遣いをされても困るからね、基本は宿と食事代だ。 これは僕らも調査地の別荘まで同行するから、その間のベッドと食事を用意すると考えてくれればいい。 その他に、探索の上でどうしても無いと困るというような消耗品などは、申告してくれれば準備する。 もちろん、こちらも常識の範囲内だよ? |
■クリス To:ルークス |
我々は常識を持ち合わせておりますのでその辺はご心配無く |
■ヘイウッド To:クリス |
……。(リキュオスの兄さんのツッコみ待ち体質かねぇ?) |
■ルークス To:クリス |
うん、助かるよ。 ついでに命を大事にする常識も持ってね。なんだか、話を聞いてると不安だから。 |
心配された。
■ルークス To:ALL |
で、報酬だけど。 まずは前金として、各自に1500ガメルずつ支払おう。2、3日中には出発するつもりだから、必要な物があったらその間に揃えておく事。 後金は、迷宮探索で持ち帰った宝物があったら、鑑定価格の3割を報酬としよう。 その中に現物で欲しい物があるなら、残りの7割を支払ってくれれば君たちのものになる。 |
■リキュオス To:ルークス |
前金1500に、追加報酬で3割か。まあ、そんなもんやな。 危険手当てとか欲しいとこやけど? |
■ルークス To:リキュオス |
どれだけの危険があるか想定できないからね。 ひょっとしたら、もぬけの殻で単に見て回ってきましたってだけになる可能性もある。 というわけで、その辺の交渉は調査報告を聞いてからにしよう。 |
■クリス To:ルークス&リキュオス |
後から聞く方が楽しみが増えるかも知れませんよ? |
■リキュオス To:クリス |
んじゃ、まあせいぜい楽しみにしておくかね。 |
■クリス To:リキュオス |
そうです。 楽しみは最後まで取っておきましょうね(笑) |
■ルークス To:ALL |
調査期限は、これはさっき説明した退却の判断とも重なるけど、お目付け役を準備する。 後で紹介するけど、そのお目付け役が動いている間に帰って来て欲しい。 一応、私有地内の地面の下だからね。無茶をされて上の建物に影響があっても困るから、監視の目は付けさせてもらうよ。 そういう理由だから、万が一期限の時間内に戻ってこれなかった場合は、事情の如何に関わらず後金の報酬を1割減とさせてもらう。 |
■リキュオス To:ルークス |
そいつぁ調査が終わらんでも、期限切れになりそうやったら引き上げてこいっちゅうことか? 拘束日数はどれくらいになりそうなん? |
■ルークス To:リキュオス |
そういう事になるね。なにしろ、まだまだ調査が不十分で、全体としての広さがどれくらいあるのかも不明なんだ。 だから無理して全部を見て来いなんて言っても現実味がないし、それよりは時間を区切って引き上げて貰った方が君たちに対する危険や負担も考慮できる。 拘束日数……というか、迷宮探索に充てられる時間という意味だけど。 これは多分、1日から2日くらいのものになると思う。 |
■リキュオス To:ルークス |
お? 思ってたよりずっと短いな。7日くらいは平気でかかるもんやと思とった。 1日2日やと、たいした調査はできんと思うけど?? ちゅうか1日2日で調査終わるようなら迷宮とは呼ばんよな…。 |
■ルークス To:リキュオス |
踏破に10日も20日も掛かるような大迷宮だったら、伝承に残るくらいはしていないとおかしいからね。 そういった言い伝えを聞かないところから逆に、迷宮とはいえ然程の規模はないんじゃないかと当たりを付けてるんだ。 もちろん、この推測が外れてる可能性もあるけれど。 それと、実は君たちの前にも一度別の冒険者パーティに調査に入ってもらっているんだけどね。 どうもそこが迷宮といわれる所以は規模の大小よりもその構造の特殊性にあるらしい。 |
■リキュオス To:ルークス |
というと? |
■ルークス To:リキュオス |
同じような部屋がいくつも続いて、距離感や自分たちの居場所を掴み辛くしているそうなんだ。 まるで同じ場所をいつまでもぐるぐる回っているみたいにね。 さらには魔法的な仕掛けがしてあるらしく、どうやっても開かない扉がいくつもあったらしい。 もっとも、一度通過した場所が閉じられるといった事はなかったみたいで、戻る時に迷う事はなかったと言っていたけれど。 |
■ジン To:ルークス、ALL |
・・・なるほど。それは興味深い。 となると、その経験者の話を聞きたいところだな。 |
■リキュオス To:ルークス |
その「別の冒険者パーティ」からは話聞けるん? 予備知識あるかないかはえらい違いやで。 |
■ヘイウッド To:ルークス |
ああ、さっきアイレンさんが前回も6人組に頼んだって言ってたのは同じ内容の依頼だったのかな? うんうん、前の人たちがつかんだ情報があったら詳しく聞きたいねえー。 |
■ルークス To:ALL |
うーん、どうだろう。 その時はたまたま銀の網亭に手の空いている冒険者がいなくて別の店に頼んだし、そのパーティもどうも流れの冒険者みたいな風だったからね。 もちろん雇ったお店と彼らの特徴は教えてあげるけど、それで見つけられるかは難しいんじゃないかな。 |
■ヘイウッド To:ルークス |
うーんと、まあその人たちに直接話を聞ければそれもいいのかもしれないけど、ルークスさんは調査報告を受けた……んだよねえ? その人たちが調べた区域の地図だとか、罠や仕掛けの情報があれば二度手間が防げる気がするんだけど〜。 あと、なんか敵対的なモノと遭遇したかとか言ってたかな? そんだけ永いことふさがってた中でいるとしたら不死者とかまほー生物とかくらいかな。 まあ他に通じてる出口があれば別だけど……。 |
■ルークス To:ヘイウッド |
地図は受け取らなかったな。 さっきも言ったけど、探索中に距離や方向感覚が怪しくなってきて、書いててもアテにならなくなってしまったそうなんだ。 罠は迷宮や遺跡にはお定まりの物は一通り見かけたと言っていたね。 毒針やガス、落とし穴とか……。しかも未だに機能して動いている物がほとんどだそうだ。 魔物は彼らはあまり出会わなかったと言っていたが、それでも出ない訳じゃあなかったみたいだね。 倒すのに苦労するほど強いのに遭遇する事はなかったようだけど。 |
■リキュオス To:ルークス |
ん…。ちょいと探索の目的を確認させてくれや。 結局、俺らってなにを求められてるん? 迷宮の地図作ればええのか? それとも危険の排除? もしくは、たまたま財宝見つかったらラッキーくらいの探索なんか? そのへんはっきりしてもらわんと行動の優先順位つけられんがな。 |
■ルークス To:リキュオス |
最初から言っているように、探索の目的は調査だよ。 迷宮の存在意味を調べて貰う、と言い換えてもいい。そういう意味では、その辺の優先順序は君たちに一任する。 曖昧な言い方だと思われるだろうけどね、何しろどう対処したらいいかの判断材料さえ欠けているのが正直なところなんだ。 迷宮がどんなものなのか。どんな目的で作られたのか。危険なのか、そうでないのか。宝物が残っているような遺跡なのか。 ……それらを全て含めて、これからどう対処していくべきかの指針となりそうな手掛かりを探してきてくれ、と言えば分かるかな? 逆に言えば、魔物が出ても逃げてきたって構わないし、宝物だって触ったら危険だと思えば無視してくれていい。 ……まあ、怖い魔物が出れば退治して欲しいし、宝があれば手に入れてほしいのは本音だけどね。 地図も君たちが役に立たないと判断すれば、別に作らなくても結構だ。 君たちが直接見て感じてきたことを報告してくれればいい。 遺跡を埋めるか、放っておくか。調査を続行するか、手を引くか。 これからの判断をその報告次第で決めようという事だよ。 |
平たく言えば【潜った迷宮はどんなものだったか】を知りたいということらしい。
そういう意味では、無理をして中で全滅するような事態に陥るよりも、無様に逃げ帰ってでも命を繋いでその報告をするというのが最優先課題となる。
■リキュオス To:ルークス |
んー。せやけど、俺らより先に別の連中がひと通り見てるんやろ? そいつらの報告では不足、ていうかあんまり役に立たんかったっちゅうことか? |
■ルークス To:リキュオス |
まあ、そんなところだね。 宝物を見つけるたびにそれに飛びついて、迷宮そのものの調査がかなり杜撰になってたんで。 ……冒険者としては正しい姿なのかもしれないけどね。 まぁ、そのお蔭で今回君たちに付けるお目付け役や、他にも有用な魔法具を手に入れてきてくれたんで、あまり悪く言う気はないけど。 |
そしてその魔法具で冒険者たちの様子をリアルタイムで確認できるようになったため、第二次の調査をする事にしたのだという。
■リキュオス To:ルークス |
ちっ。そうするとめぼしいお宝は取り尽くされてそうやな。 財宝にゃあまり期待できんてことか。 …そいつらのパーティ構成は? |
■ルークス To:リキュオス |
別に珍しくもない、ごく普通のパーティ構成だったよ。 戦士に盗賊、神官と魔術師の6人組。2:2:1:1の比率だったかな。全員人間だったせいか、精霊使いはいなかったね。 |
■リキュオス To:つぶやき |
盗賊二人に魔術師までおって「どうやっても開かない扉がいくつもあった」ねぇ。 俺らでほんまにどうにできるんやろか。。 |
■ルークス To:リキュオス |
まあ、行き止まりになる事はあまり無かったようだから、とにかく進める方へ行ってみたということだけど。 |
冷めたお茶を飲み干し、ベルがお代わりを注いで回るのを待ってルークスが言葉を続ける。
■ルークス To:ALL |
それから、話を戻して調査期限の事だけど。 期限を設けるのにはもう一つ理由があってね。 君たちに付けるお目付け役の方の問題で、稼働時間に限度があるから一度に長い調査時間は取れないんだ。 |
先ほどからお目付け役の『動ける時間』『稼働時間』という言葉が耳につく。
……ひょっとしてお目付け役って、人間ジャナイ?
■マリィ To:ルークス |
ルークス様、その”お目付け役”って何なんでしょうか? 先程からのお話を伺っている限りでは、人では無い様に思えるのですが……。 |
■ルークス To:マリィ |
うん、お察しの通り。君らに同行するお目付け役は人間じゃない。 さっき話した、先に調査を依頼したパーティが迷宮から持ち帰った魔法具の一つでね。 簡単に説明すると、離れた場所にいる人間とも会話できる……つまり、待機している僕らにも探索中の君たちの様子を伝えられる機能を持っているんだ。 まぁ、ちょっと都合があって今すぐ会わせるのは無理なんでね。向こうに着いたら、改めて紹介するよ。 |
■ジン To:ルークス |
様子を伝えるということは、視覚的な情報も伝わるものなんですか? |
■ルークス To:ジン |
そうだね……単純に道具としての機能を言うなら、【通話の護符】と【遠見の水晶球】の能力を併せ持ったものだと考えて貰えばいい。 値打ちものだからね。壊されないように、しっかり護衛を頼むよ? |
と、悪戯っぽく微笑んでみる。
■ジン To:ルークス |
稼動時間が短いとはいえ、かなり強力な魔力を持っているようですね。 肝に銘じましょう。 |
■リキュオス To:ルークス |
そんな便利な道具あるんやったら、そいつに探索させればええんとちゃう? |
■ルークス To:リキュオス |
どんなに便利なものでも、それ自身は単なる道具に過ぎないからね。 自立判断が出来るわけじゃないし、人間……特に冒険者の勘や判断が必要な部分だってあるだろう? |
■ゼファルディート To:ルークス |
ん〜、なにわともあれ、会うのが楽しみだなあ♪ |
■ヘイウッド To:リキュオス、ALL |
ん、調査完了って何をもって判断するのかなーと思ってたけど、時間が決まっていたほうがむしろ助かるねぇ。 広がってたら地下100階まででも見て来いって言われても泣き入るし。ぱくぱく。 |
遠慮なくケーキをぱくつきながら。
■ベル To:ヘイウッド |
ぱくぱく。もぐもぐ。うにゃあ〜、おいし〜ですねぇ。 専門店でもないのにこれだけのケーキを出せるなんて、冒険者の店侮りがたし! ……ですねぇ。もぎゅもぎゅ。 |
ヘイウッドに負けず劣らず、こちらもすごい勢いで食べている。
メニューの豊富さにかけては、銀の網亭は他の追随を許さない……というか、異常なレベルかもしれない。
それもこれも、店を利用する冒険者たちが好き勝手な注文をしてくれるからなのだが。
■アイレン |
……もくもく。 |
と、こちらも静かにケーキを味わっている。
心なしか、一見冷たい印象を受けるその瞳が柔らかく感じたり。
■ジン To:ルークス |
その地下迷宮の出自は調査されましたか? いつ頃作られたとか、誰が作ったのかなどが判わかれば、事前に迷宮の構造やトラップの傾向などが推測できるかもしれません。 |
■ルークス To:ジン |
うん。分かった限りでは、迷宮は古代魔法王国の終末期頃に作られたものということだ。 建造した人物の名前までは分からなかったけど、哀しみの乙女とか呼ばれていたそうだよ。 |
■ヘイウッド To:ルークス |
へえ、哀しみの乙女……なにやら詩的だねえー。 (しばし目線を斜め上に走らせ、思案した後) んー、なんかかすかに聞いた覚えあるような……。 |
古代魔法王国終末期、何故かいつも哀しげな目をしていた線の細い美しい女性でそう呼ばれていた人物がいた、と昔聞きかじった話を皆に話す。
嘆きの淑女、薄幸の佳人とも呼ばれ、原因不明だが、いつしか世俗を離れ人との関わりを断って過ごすようになったとか。
■クリス To:ALL |
作った方のお名前だけですと邪悪は感じられませんね〜 |
■ゼファルディート To:ALL |
もしかしたら、哀しみの精霊バンシーにも関わりがあるかもしれないね。 だとしたら、けっこうやっかいかも、バンシーは上級精霊だから。 今の僕にはとても手に負えない存在だよ。 |
■ジン To:ヘイウッド、クリス、ALL |
邪悪なのは、彼女の意思ではなく、別の存在だからなのかもしれんな。 彼女の不幸は呪いの類で、だからこそ世俗を離れて、周りに影響が出ないようにしたとも考えられる。 |
■リキュオス To:ジン>ルークス |
単に世の中に失望したとかかもしれへん。 おっさん、迷宮の使い道とか建造の目的は調べついとるんか? 人との関わりを断つために迷宮に閉じこもったとか、危険な魔獣を迷宮に封印してたとか。 |
依頼人、おっさん呼ばわりかよ。
■ルークス To:リキュオス |
僕はまだ20代だ。 おっさん呼ばわりされる謂れはないよ。 |
機嫌を損ねた。
■クリス To:ルークス |
まあまあ(苦笑) それほど落ち着きを持った方だと言いたかっただけなんですよ。 いわゆる言葉のアヤってやつです。 |
フォローを入れているつもりなのだろうか?
■リキュオス To:ルークス |
おっと失礼。育ちよくないもんで、粗野なんは堪忍したってや。 「兄ちゃん」より年上で「爺さん」より若けりゃ、みんな「おっさん」やねん俺(苦笑) 悪気はないねんで? |
■ルークス To:リキュオス |
じゃあ、僕が君をおっさんと呼んでも差し支えないわけだね。 |
言い返した。
■リキュオス To:ルークス |
「兄ちゃん」ではないからな(笑) |
■ルークス To:ALL |
……まあ、それはともかく。 僕の方で調べがついてるのは、造った人物がその哀しみの乙女と呼ばれていた女性だという事だけ。 迷宮の建造目的までは調べられなかった。 |
■ジン To:ルークス、ALL |
「哀しみの乙女」と呼ばれる者の文献は見たことがあります。 おそらく実在した人物でしょう。 私の記憶が確かならば、建造目的は「彼女自身が人目を離れる為」と言われています。 その迷宮が彼女自身が作成したものならば、ですが。 |
ジン、しばし思案して。
■ジン To:ALL |
古来より、迷宮は「何かを隠す」為に建造される例が多い。 その迷宮が「哀しみの乙女」を隠す為のものならば、迷宮内に「居る」可能性も捨てきれんな。 |
■リキュオス To:ジン |
うへ。そないな物騒な可能性、全力で捨て去っとくれ(笑) |
■ルークス To:リキュオス>ALL |
いや、可能性はなくもないだろうけどね。そんな存在がいたなら、それが調査の最大の目的になるだろう。 もし出来るならば、丁重に保護して迷宮の事を聞きたいけれど……。 |
さすがにそこまで無茶を要求する気はないらしい……が、期待しているのも確かである。
■マリィ To:ルークス |
念のために、賢者の学院で事前調査をする時間を頂くことは出来ますか? 1日頂ければ、有る程度は下調べが出来るかと思いますが。 |
■ルークス To:マリィ |
時間に切羽詰まってるわけでもないし、事前の準備をしっかりとして備えてくれるならその方が心強いね。 じゃあ、今日はもう遅いし……明日1日を調査や買出しの時間に充てよう。 こちらもその間に必要な食料なんかを揃えておくから。 出発は明後日の朝。集合は、またこの屋敷に来てくれれば良い。 ……そんなところでどうかな? |
■ジン To:マリィ、ALL |
いいんじゃないかな。 全員で書物を調査する必要はないし、自分の買いたいものを買出し組みに頼んでもいい。 |
■マリィ To:ジン&ALL>ルークス |
そうですね。 ルークス様、提案を受け入れて頂いてありがとうございます。 |
■ヘイウッド To:ALL |
だねぇ。僕もいちおー調べものしようかな。 買い出しは大して思いつかないけど、条件を聞くに帰り道迷わないほうが引き上げ時を見計れそうだねえ。 同じような部屋続くらしいから、なんか木炭とか、壁や床に書き付けできるモノがあると通り道記してこれるかな? |
■リキュオス To:ヘイウッド |
必要な道具とかは遺跡探索の経験者に聞くのが早いんとちゃうか? |
■クリス To:ALL |
光源類の類は言うに及ばず。 通常の探索で必要な備品は持って行った方が良いと思われます。 私は金銭に不足しているのであまり装備を持っておりませんが…… |
それでも自分が買うとは言わない(笑)
■ルークス To:クリス |
だから前金を渡すんじゃないか(苦笑) 準備不足で失敗しました、なんてのは一番洒落にならないからね。 ケチらず良い物を、しっかりと揃えて望んでくれ。 |
■マリィ To:クリス&ALL |
有る程度はわたしの懐に余裕はありますが、今回は念の為に魔晶石を揃えて置きたいのです。 それでも余裕が出たならば共用装備として買っても良いですよ? |
■ヘイウッド To:クリス、リキュオス、ALL |
とりあえずランタンは持ってるよ……兄さんも持ってたよね。 2日分くらいの油や食料はルークスさんに用意してもらうかな。 一応僕でも【ライト】くらいは使えるし、光源は持つと思うけど……けーけんしゃの方、他にいりそうなものあるかな? |
■マリィ To:ヘイウッド&ALL |
明かりがあれば、あとはロープとかくさびとか手鏡とかですかね。 あとは食料と水を少々多めに持っていけば大丈夫ではありません? |
■リキュオス To:マリィ |
手鏡? さすが女の子やなあ。 |
■クリス To:ALL |
ちなみに私は前回の探索で銀の武器が必要になった事がありました。 今回もそうなるとは限りませんが。 |
多分勘違いしているだけです。
実際には必要になっていません。
■ルークス To:ALL |
じゃ、よろしく頼むよ。また明後日に。 良い仕事をしてくれる事を期待するよ。 |
そしてルークス自らに玄関まで見送られ、一行は屋敷を辞した。
既に日は傾いている。
明日の調査と事前の準備に備えて、どう手分けするべきかを話し合いながら冒険者たちは銀の網亭への帰途を急ぐ……。
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GM:倉沢真琴