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SW-PBM Scenario#163
かわいい絵筆

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伝えられしものがたり

〜 1 〜


  フェンデ孤児院

オランの港は、何事もなかったかのように普段通りの――都会的な賑わいで、冒険者たちを出迎えた。
平和な船旅を満喫した一行は、久しぶりの銀の網亭やそれぞれの住居で体を休めたあと、ふたたび「宿題」を持ち寄って集合する。
ひどく懐かしく感じられる、陰気で殺風景な裏路地を歩いていくと、以前来たときに見た野良犬が寝そべった通りに、鮮やかなオレンジ色の屋根が見えてきた。
■ライチ To:ALL
……ここ?
「そうる おぶ あーと」……。な、なんかすごそうだね……。

ライチは真新しい眼鏡のおかげで目をこらすこともなく、アーチに掲げられた文字を苦笑しつつ、読み上げた。
■リコリス To:ライチ
うん、そうだよ。

■リュナ To:ALL
昔とぜんぜん変わってない。

懐かしさに目元がほころんでいるリュナ。
■ウーサー To:リュナ
昔っからコレだったのかよ!? やっぱり「ゲイジツ」ってのは、いまひとつ理解らねぇなぁ……?

■リュナ To:ウーサー
フェンデのおっちゃん、ああ見えて「アツイ」男だから。

■スクワイヤ
ニャ〜ゥ♪

ごきげんなスクワイヤは、いつものようにリュナの足元に寄り添い、嬉しそうにひと声鳴いた。
■シグナス To:ウーサー
まあ、一朝一夕で成るようなモンじゃなさそうだしなあ。

■ウーサー To:シグナス
じゃあ年季が入ったアツさ、って事かよ?
やれやれ、あんな形の「魂」の持ち主だってんなら、会うのが怖くなってきたぜ?

■ゾフィー To:つぶやき
「魂」ね……。
それが絵であれ、歌であれ、装飾であれ、げーじゅつという世界には相当な活力が必要ということだけは確かなようだわ。

手書きのペンキ文字を眺めながら、ゾフィーはぼそりとつぶやいた。
■シグナス To:ゾフィー
ついでにね、魂っつか、自分の何かを一部分でも形に残せる。ってーモンでもあんのよ。多分。

■ゾフィー To:シグナス&ALL
あら、でも何かを形にあらわす行為というものは、「芸術」に限らず、「創造」すべてに言えることではありませんこと?
職人がすべて芸術家になれるわけではなし――もちろんそうなる必要もございませんけれども。
あえて「芸術」という形で残るには、器用さや真面目さでは補えないモノがある。
ゴルボロッソさんが求めていたもののようにね……こちらではそれをソウルという言葉で表現しようとしたのではないかしら。

■子どもたち
♪おおきな ももの〜 きのしたで〜♪
♪あなたと〜 わたし〜♪
♪な〜か〜よ〜く〜 おにごっこ〜♪
♪おおきな ももの〜 きのしたで〜♪

■ユーミル To:子どもたち
♪もういちど〜、さんはいっ!

……あっ! みんな、見て!!!

木製のアーチをくぐって中に入った瞬間、青空の下、手をつなぎ輪になって踊る子どもたちの姿が見えた。
たくさんのきらきらした視線が、いっせいに冒険者たちに向けられる。
■リコリス To:子ども達
こんにちは〜♪

■ウーサー To:子どもたち
よう、ボウズども! ちゃんとメシ食ってたか!?

■シグナス To:子供達
おう、待たせたなひよっこどもー。

■ゾフィー To:ユーミル&子ども達
ただいま、ですわ。みなさん。

■ジェスト To:ぼうけんしゃたち
かえってきたーーーー!!

■サラ To:ぼうけんしゃたち
おかえりなさ〜いっ!!

■アスル To:ぼうけんしゃたち
えふで! えふで見つかった!!?

■ネイビー To:ぼうけんしゃたち
いっぱい、すっごいぼうけんしたの!!?

■ウーサー To:子どもたち
おお、すげぇ冒険だったぜ!
絵筆も見つかったんだが――お〜い、ちょっと落ち着け! ええとナニから答えりゃいいんだ!?

■ユーミル To:子どもたち>冒険者たち
こらっ。みんな、そんなにいっぺんに聞いたら、こたえられないでしょっ。

……みなさん、おかえりなさい。よかった……無事で。
あ、狭いですけど、とりあえず中に入ってくださいね。

■ウーサー To:ユーミル
おお、悪ぃな! じゃあちょいとまた、お邪魔するが……長いハナシに、なりそうだぜ?

■ユーミル To:ウーサー
……ええ、大丈夫です……全部、聞かせてくださいね。

■リコリス To:ユーミル
うん、任せて♪
あの絵本、持ってきてもらってもいい?

■ユーミル To:リコリス
はい、もちろん!
ネイビーちゃん、お願いできるかな?

■ネイビー To:リコリス&ユーミル
がってんだ〜♪

■ゾフィー To:ユーミル
まあ、あいかわらず元気ね……ああ、御丁寧にどうも。
それでは失礼いたしますわよ。

軽く礼をしながら、それに紛れるようにゾフィーは小声でユーミルに尋ねかけた。
■ゾフィー To:ユーミル
ところで、院長先生は今日はどちらにいらっしゃいまして?

■ユーミル To:ゾフィー
……ずいぶん前に、「レモネィ」へ買い出しに出かけられました。
そろそろ戻られても、いい頃なんですけど……。

振り返ってみても、入口のアーチの向こうから人影が戻って来るような気配はないようだ。
■ゾフィー To:ユーミル
あらあら、それは残念ですこと。
話している内にお帰りいただけますとよろしいのですが。

依頼の話を車座になって聞いたあの遊戯室には、相変わらずボロボロのおもちゃが散乱していた。
ポフトがそれらを慌てて片付け、リエッタが――相変わらずウーサーに熱い視線を送りながら――お茶を配り終えたとき、改めてユーミルが口を開く。
■ユーミル To:ALL
……それで……どうでしたか?
この子たちに、教えてあげてもらえますか……?

子どもたちは息をのんで、一行の顔を見つめる――。
■ウーサー To:ユーミル&子どもたち
勿論だ。
とはいえ、最初にコイツだけは、言っておかなくちゃならねえ……魔法の絵筆は、確かに見つけた。
だが、持って帰ってくることは、できなかった。オレ様たちには、その資格が無かったんでな。
でもな。誰の手にも、二度と入らなくなっちまった、ってワケじゃあ無ぇ。

■アスル To:ウーサー
……?!

■サラ To:ウーサー
……???

子どもたちに落胆の声を挙げさせる暇を与えないように、わざと早口気味になって、ウーサーは先を続けた。
■ウーサー To:子どもたち
良く聞いとけよ、ボウズども。
今から話してやる事にゃあ、おめぇらが「魔法の絵筆を手に入れる資格」を得られるかも知れねぇ、そのために必要なことだって入ってるんだぜ?

それによ。今回の冒険は、そりゃあ凄いヤマだったんだ!
なんたって古代の悪魔と、竜と、海の姫君と出くわしちまったからな!?
まあ、えらくおっかない事件もあったし……大昔の哀しい恋の成れの果てなんてぇ、切ないハナシもあったんだが……。

今度は渋面を作ってみせて、子ども達の顔に視線を一巡させる。
それから、ニヤリと不敵に哂いながら、子ども達を誘うように問いかけた。
■ウーサー To:子どもたち
どうだい、ボウズども。それでも聞いてみたいか?

■ジェスト To:ウーサー
聞きたい!!

■ネイビー To:ウーサー
ぜ〜んぶ、聞きたい〜!!

■子どもたち To:ぼうけんしゃたち
話して〜! 話して〜〜!! ぼうけんのはなし!!

子どもたちは想像力が刺激されてしまったのか、興奮してぴょんぴょん飛び跳ねたり、 ウーサーにまとわりついたりし出した。
■ユーミル To:子どもたち
ああんもうっ、ぶらさがらないのっ。
ほら、みんな! おちついて座って、そう……じっと耳をすませようね。

ユーミルが小さい子を抱きしめて膝にのせたり、頭を撫でてやりながらなだめると、子どもたちは身体をうずうずさせながらも、もう一度床にぺたんと腰を下ろし始めた。
きらきらした瞳で、冒険者たちを見つめながら。
■シグナス To:ALL
……はは、まあ結果としちゃあ良かったかもな。
聞いて終わりじゃ無し、自分で伝説に挑める機会は残ってくれたんだし、な。
この子らだって、次の世代の冒険者かも知れねえし……っし、ちょいとバックミュージックでも弾かせて貰おうか!

リュートを取り出し、物語にあわせて弾きだすシグナスだった。無論、ロックで。
■ジェスト To:シグナス
うわぁ!?

■アスル To:シグナス
カッコイイ〜!!

一度は落ち着きを取り戻したものの。
おそらく初めて耳にする激しいリズムの波に、子どもたちの身体は左右そして縦に揺れ始める。
■ウーサー To:シグナス、ALL
おお、善いじゃねぇか……こりゃあ興が乗ってきたぜ?

■ゾフィー To:内心
(どんなに少なく見積もったとしても50年は早いと思うわ、この音楽の「ソウル」とやらは。
子どもは柔軟ですから、受けいれてしまいそうですけれども……それもどうなのかしらね。)

■ネイビー To:ALL
はい、えふでのえほん!

ネイビーが軽やかな足取りで棚から戻ってくると、車座の中心に絵本――『イーエンにかかる虹』――をぽんと置いた。
■ゾフィー To:ネイビー
ネイビーさん、いつもありがとうございます。

■ネイビー To:ぞふぃー
ぞふぃーさん、どういたま……いたしまして〜♪

■リコリス To:ALL
じゃあ、何から話そうか……。
そうだ! この絵本に書かれた時代、昔むかしの話からにしようかなっ?

リコリスはシグナスのリュートに合わせるように明るい声で話出した。
■リコリス To:ALL
昔々、まだ魔法使いがいっぱいいた時、イーエンという町に仲の良いエルフの夫婦が居たの。
輝くような銀髪と、透けるような白い肌をもったイザナク、そしてその妻の漆黒の髪を持ったイザナイ。
二人はとても国が滅びてしまうことを心配して、今あるものを残し伝えるために優秀な子どもが欲しかった。
そして禁じられた魔法を使ったんだけど、生まれた子どもは大きな波の怪物のような「ヴィルコ」。
二人はこの子を殺すために炎の魔剣を作り出したんだけど、そのときにイザナイは炎に焼かれて灰になってしまい、風に乗って海に散っていってしまったの。
イザナクはとても悲しんで、破壊の女神、カーディスに祈って、一日に千人の人を殺すことと引き換えに、イザナイを生き返らせようとした。

子どもたちはあっという間に物語にひきこまれ、固唾をのんで静まり返った。
そして、確かめ合うように顔を見合わせる。
■アスル To:ALL
こども……ころしちゃうの?

■ジェスト To:ALL
かいぶつだったから?

■サラ To:ALL
パパ……ママ……。

■ウーサー To:ALL
いや、怪物だったからじゃあ無ぇ。
そうしなけりゃあ、自分らの子供が国が滅ぼしちまうと思ったんだろうぜ?

だが、なにせ邪神と契約だ。真っ当に済むワケが無かったのさ……イザナクも願いを叶えるために、「ひと」であることを捨てさせられた。
デーモンに生まれ変わったイザナクは、イーエンの町を波の底に沈めさせて、一日で千人を殺そうとした――そう、「ヴィルコ」を利用してな。
ところがイザナクの計画に、気づいた奴が一人だけいたんだ。

■ネイビー To:うーさー&ALL
それは、だあれ……?

■リコリス To:ALL
イザナクとイザナイのお友達のエルフの魔法使いのおばあさん。
名前はネホ・ハホ。
ネホ・ハホはイザナクの計画を知って、子殺しをさせないようにと急いで魔法の絵筆を作ったの。
そして、ネホ・ハホの友人のドワーフの画家に絵筆を渡したの。
そのドワーフの画家が、この絵本を描いたゴーギッシュ。

リコリスは絵本の表紙を示した。
■ジェスト To:ALL
ごぎ、っしゅ?

■アスル To:ジェスト
ごーぎっしゅ、だよ!
絵本に出てくるみたいな、まほうつかいのおばあちゃんと、ともだちだったんだ!

■リコリス To:ALL
イザナクは「姫」って呼ばれていた「ヴィルコ」の子を殺し、「ヴィルコ」を怒らせてイーエンを襲わせた。
この絵本では、ゴーギッシュはすぐに虹を描いてるよね。
でもね、本当は違ったの。
絵筆は全部の色を使い切っちゃうと壊れてしまう。
虹は全部の色を使うから、絵筆は描くの嫌がったの。
なんでかっていうとね、絵筆は「こころ」を持ってたから。

リコリスはライチをちらりと見た。
■ライチ To:子どもたち
おかしくて笑ったり、不安になったり、誰かを好きになったり。
……寂しくて泣いたり。
「こころ」はいろんな色を持ってるの。

みんなの胸の中にあるこころもそう、虹のようにきれいで、自由で……毎日、いろんな色をくるくると繰り返してる。
「こころ」はやさしいから、誰かのためじゃないと絵筆を使っちゃいけないよって言ってくれるんだ、いつも。

■リコリス To:ALL
この絵本にも書かれていた「我が友ハプルマフル」っていうのは絵筆のことだったの。
「ハプルマフル」は津波で家々が流されるのを見て、虹を描く決心をし、そして虹を描いてばらばらになったの。
そして穂はシンメという馬に、柄はうすまきという木に、そして「こころ」は……黒髪のエルフの一族に受け継がれた。

■ライチ To:子どもたち
でも、遠い昔からのともだち……ずんぐりむっくりな絵描きさんに呼び掛けられなければ、大切な思い出は沈んだまま……。
「ここ」に宿っていることも、知らなかったんだよ。

ライチはそっと自分の胸元に手を当ててみせた。
それを見て子どもたちは、自分の胸に同じようにして両手を重ね合わせたり、シャツの丸首を広げて中を覗き込んだりし始める。
■リエッタ To:子どもたち
だめだべ、襟がのびちまうだよ〜?

■リコリス To:ALL
そして200年ぐらいの時が過ぎた時、ゴーギッシュの子孫のドワーフの画家ゴルボロッソは、絵筆の「こころ」ハプルマフルを見つけたの。
だけど、魔法の絵筆を得ることは出来なかった。
絵筆はね、白馬のシンメさまに絵の技術を、ウズマキさまに精神を試されてこの二つをクリアしないと手に入れられないの。
そして、ゴルボロッソはシンメさまの試練を乗り越えられなかった。
そして心残りのままに亡くなってしまい、幽霊になってしまったの。

■アスル To:りこりす
ゆーれい?

■ネイビー To:ALL
絵本で読んだよ! 白くてひょろひょろしてて、浮いてるんだよね!

■ジェスト To:ALL
かわいそう……。
お絵描き、じょうずじゃなかったのかなぁ……?

■リコリス To:ALL
さて、虹に邪魔をされたイザナクは、ネホ・ハホによって2重円の封印の中にかえるの姿になって封印された。
でもそのときに、ネホ・ハホに呪いをかけたの。
イザナクの起こした事件を他の人に伝えられない呪い、もし伝えようと知ればイーエンに居られなくなるか、白い霧の中に閉じ込められてしまうっていうもの。
ネホ・ハホの子孫にもその呪いは振りかかり、子孫の一人ネホリーナはイーエンの地を離れオランに向かった。
そしてもう一人、ネホリーナの姉妹ハホリーナは白い霧の呪いが薄れるときに、この話を伝えようとしていた。
そして、ネホリーナの勧めでこの絵本を外に出したの。
誰かに伝わるように、と。

子どもたちは一斉に、身を乗り出すようにして輪の中心にある絵本を見つめた。
瞳にいっぱいの好奇心の光を宿して。
■リコリス To:ALL
そして、この本を「冒険者」に見せてくれた人たちがいた。
そう、この「フェンデ孤児院」のみんなだよっ。
みんなが絵筆を探して欲しいって依頼を出してくれたから、物語が大きく動き出したの。

■サラ To:ALL
うわぁ……。

■ネイビー To:ALL
それで、それで、どうなったの〜!?

リコリスはゆっくりと子ども達を見回した。
■リコリス To:ALL
みんなに依頼を受けて、リコたちは手分けしてまずはオランで情報を集めたの。
ウーさんとフィーさんは、カエルの落し物をとどけに占い師のネホリーナの所へ。

■ウーサー To:ALL
まあオレ様たちもそん時は、今回の件と関係がある、なんて思いもよらなかったんだが……。
なあ、姐さん?

■ゾフィー To:ウーサー
え……ええ、そうね。



あなた、まさかわたくしにもいっしょに話をさせるおつもり?

■子どもたち To:ぞふぃー
+*.゜. o('▽')o('▽')o('▽')o('▽')o .。*.+

左手を懐中に差し込みつつ、続けて口を動かしかけたゾフィーだったが、期待を込めて向けられるあまたの視線を受け止め、たじろいだように動きを止めた。
■ゾフィー To:ウーサー
……こほん。

そうね、たまにはいいでしょう。
ただし、わたくし子ども向けの語りは、もう何十……ぃぇ、何年もやっておりませんからね。
退屈されても知りませんわよ。

右の眉頭を普段の位置に戻すと、ゾフィーは戻した左手の中に収められた扇をさっと広げた。
銀色の薄板の繋がりに口元を隠しながら、ひそやかな声で語りはじめる。
■ゾフィー To:ALL
ぼうけんしゃのみせにね、わすれものがありまして、落とし主にとどけにいきました。
お店に入ったら……テーブルの上にまっ白なお皿が1枚、その中にはまっ赤なカエルが1匹、ゆったりと泳いでいるだけ。
ほかにはだあれもいませんでしたの。

もちろん、カエルはにんげんのことばを話してくれません。
こまってしまって、みまわすと、床の上にちいさなカエルの置物がありました。
真っ赤なカエルがゆびさしたので、ウーサーさんがその置物にくちづけすると。
なにがおきたとおもいます?

■こどもたち To:ゾフィー
……!?

ウーサーの前に開いた扇と共に子ども達の視線を移動させたゾフィーは、ぽんと音を立てながら、素早く銀扇を閉じてみせた。
■ゾフィー To:ALL
こっちのおおきな鬼ィさんが、緑の小さなカエルに変わってしまったのです!
2匹のカエルは、わたくしにはわからないカエルのことばで話しをはじめました。

■ジェスト To:ウーサー
鬼いちゃんが?!

■サラ To:ウーサー
すっご〜い!! いまもなれるの、カエルさんに!?(わくわく)

■ウーサー To:ALL
まぁ、確かに真っ赤なカエルとハナシはできるようになったがな!? こちとら危うく姐さんのケツに……いや、なんでもねぇ。
赤いカエルは、忘れ物の落とし主……占い師のネホリーナだったんだ。もちろんカエルの占い師だったんじゃあ無ぇぜ?
間抜けなことにオレ様が使った、床の上のカエルの置物を試しに使ってみたはいいが 、 戻り方が判らなくってカエルになってたってんでな。
仕方ねぇからオレ様は、カエルのまんまでハナシを聞いて……ああそうだ、このネホリーナって婆さんは、カエルのグッズ集めが趣味っていう変り種でな?

■サラ To:うーさー
カエルさんの、ぐっず?(きょと)

リコリスら絵本を受け取り、最後のページを示してみせる。
■ウーサー To:ALL
この絵本の、ほら、この印だ。
コイツについては、ネタが拾えた――。『港町イーンウェンで私設図書館をやっている、ネホリーナ婆さんの姉の、ハホリーナ。
この印は、ハホリーナの使っているシンボルだ』
ってな。

■ゾフィー To:ALL
イーンウェンという町は、ここオランからふねに乗って…そうね、西にむかって5日くらいすすんだところにありますの。
陸地ををとおっていく道はなく、オランからのふねがひとつきに1回くるかこないか。
そんなちいさな港町にも、おおきなひみつがありました。
いったいどんなひみつでしょう。

閉じた扇の先を口元にあて、ひとたび言葉を切ったゾフィーは、順番に子どもたちの顔を見回した。ゾフィーにつられて首をかくんと傾げたり、ほほに手を当ててにこにこしたり、隣の子の耳元にひそひそ話をしてみたり、まちきれずに抱いた膝をにじらせたり――。
■ゾフィー To:ALL
みなさん、かんがえておいてくださいね。
答えはわたしたちのはなしをきいていたら、わかりますわ。

■子どもたち To:ぞふぃー
はーい!!

■ゾフィー To:ALL
さて、ハホリーナさんのとしょかんね。
これは『ハホリーナの葉隠れ屋』とよばれています。
ばしゃに本をいっぱいいっぱい積んで……よみたいひとに貸してくれるの。
でもそのばしゃが、町のどこに出現するかは誰にもわかりません。
占い師のネホリーナさんと姉のハホリーナさん。
おや、このなまえ……どこかできいたことありませんか?

■子どもたち To:ぞふぃー
……(にこにこ)

首をかしげてみせたゾフィーは、それ以上は話をせず、右の手を促すようにウーサーに向けた。
■ウーサー To:ALL
ハナシを終えたオレ様たちは、宿に戻ることにしたんだが……せっかく占い師の店に来たんでな、オレ様はちょいと占ってもらうことにしたんだ。
そしたら見料代わりに、婆さんから「おつかい」を頼まれてな?
『イーンウェンに古くからある画廊から、「静謐」というタイトルの絵を受け取ってきてくれ』ってよ。
どのみちイーンウェンにゃあ行きそうな気配だったから、二つ返事で受けちまったんだが……。

■ジェスト To:ALL
せーひつって、どういういみかなぁ?

■ネイビー To:ALL
わたしも、うらないやってほしい〜!

■アスル To:うーさー
鬼ぃちゃん、どんなことうらなったの?(わくわく)

否応なく向けられる好奇心の瞳。ウーサーの隣の、赤褐色の髪から覗く耳もぴく、と動いた気がした(でも無表情)。
■リコリス To:ALL
そしてシグ先輩とイェンさんとソルさんは魔法学院の図書室へ。

■リコリス To:ALL
リコはね、この絵本がここに来る前の持ち主、レモネィっていう画材屋さんに向かったの。
そして途中で眼鏡を割って困っているライチに会ったの。
ライチは船の護衛をしているエルフで、昔の海図を探しにレモネィに向かってたの。
リコはライチとお友達になったんだ。
あ、それでね、レモネィではね、この絵本が元はイーンウェンにある「葉隠れ屋」という移動図書館にあったものってわかったの。

■サラ To:ALL
はがくれや、はほりーなさんの、としょかんだよね!

■ジェスト To:ALL
うごくとしょかん、行ってみたいな……(きらきら)

■アスル To:ALL
れもねぃは、いんちょーせんせいが、くれよん買ってきてくれるとこだよ!

■リコリス To:ALL
そして、次の日、さっそくイーンウェン行きの船に乗ったの。
ちょうど護衛のお仕事があったからそれに応募してね。
船の名前は「フレンジィ号」、船長さんの名前はハノク。
数日間はゆったりとした船の旅が続いたんだけど……4日目のこと。
大ダコと幽霊船と白銀に輝く精霊の乙女とコウモリのような翼を持つ生き物が襲ってきたの。

■ウーサー To:ALL
ところが船の上だから、重装備じゃあ落ちたら海の藻屑になっちまうってんでな?
鎧はいつものコイツじゃあなく、薄っべらい皮鎧一枚だけ。
いやぁ正直あん時は、陸の上じゃ無ぇところに来ちまった自分を恨んだね!

■アスル To:ALL
船のうえで、戦うんだ! カッコイイ!!

■ウーサー To:ALL
そのとき、オレ様はソルと一緒に、船の後ろのほうに居たんだが……。
何処からともなく目の前の海に、いきなり不気味な船が現れた……船乗りの死体がアンデッドになって蠢いている、ボロボロの幽霊船がな!
そこから死体の戦士が1人、こっちの船に飛び乗ってきて……迎撃してやろうと思ったとたん、オレ様とソルの目の前に、今度はとんでもないヤツが現れやがったんだ……!!
この世のものとは思えないような美少女の姿をしていやがるくせに、オレ様でさえ肝が冷えるような残忍な瞳をした、戦場の狂気と蛮勇を司る精霊――死に征く者たちを守護する戦乙女、バルキリーがな!!

■ジェスト To:うーさー
びしょーじょ!? ばるきり?!

■アスル To:うーさー
おんなの、せんしだ!!

■子どもたち To:ALL
ゆーれーせんだ〜〜!! カッコイイ〜!!

主に男の子を中心に、一気に盛り上がりをみせる遊戯室。
■ウーサー To:ALL
バルキリーなんてモンを見るのは、さすがのオレ様も初めてだった。
勿論そいつがバルキリーだって、判るワケも無ぇ……だがオレ様も経験積んだ重剣士だ、こう全身にビリビリ感じたぜ!
「コイツは尋常じゃあなくヤバい。下手すりゃこの女怪いっぴきで、こっちは全員あの世行きだ」ってな!?
そこでオレ様は腹ぁ括って、死体の戦士はソルに任せて、こいつに掛けての一騎打ちに出ることにしたのよ!!

あぐらをかいて座ったまま、鞘に収めた銀の大剣の切っ先をどんっと突き立て、また鬼のような嗤いを浮かべる。
■ウーサー To:ALL
コイツはオレ様が昔の冒険で手に入れた、銀の刃の大剣でな?
アンデッドだろうが精霊だろうが、当たりさえすりゃ何でもぶった斬れる破邪の太刀だが、見ての通りの大業物だ。オレ様でさえ、ちと重過ぎる。
そこでオレ様はリコリスに、オレ様の力を増す魔法をかけてもらう事にした――バルキリーの一撃の方が、魔法の届くより早いって判ったうえでな。

ウーサーは鞘に入れたままの剣を、あの船上での戦いと同じように構え、名乗りを再現してみせた。
■ウーサー To:ALL
オレ様はウーサー・ザンバード! 見ての通り、命知らずの重剣士だ!!アンタさえ良けりゃあ、オレ様とアンタと二人――こいつで語り合おうぜいッッッ!!!

■アスル To:うーさー
お〜!

■ジェスト To:うーさー
すっごい!!

■男の子たち To:ALL
けっとうだ〜!!!

男の子たちは近くにあったボロボロの長クッションをひっつかみ、剣に見立てて構えてみたり、お互いぽこぽこ叩き合ったりし始めた。
■女の子たち To:おとこのこたち
も〜、しずかにして〜!!(ぷんすか)

■ウーサー To:ALL
戦乙女の得物と言ゃあ、神代の昔の大昔から、どんな鎧でも防げねぇ、しかも絶対避けらねぇ、光の魔槍と決まってる。
来ると判って身構えていても、其処は流石はバルキリーの魔槍だ。
喰らったときの痛みと言えば、肩から先のこの腕が、丸ごと吹き飛ばされちまったかってくらいだった。
だが、腕の一本くらいなら、元より覚悟のうえでの勝負だ。
なんとか堪えたオレ様は、リコリスからの魔法を受けて、この銀刃を打ち込んで――戦乙女を打ち倒したのさ。

■サラ To:うーさー
こわいよぅ、いたいよ〜!
鬼ぃちゃん、勝ててよかった〜!(涙目)

■リエッタ To:ウーサー
……な、なんてりりしい戦いっぷりだっぺ(ぽ)

おぼんで顔を隠しつつこっそり赤くなるリエッタをよそに、ぱちぱちとウーサーに拍手を送る子どもたちであった。
■ゾフィー To:ALL
その間にソルさんは、ゆうかんにも死体の戦士とたたかっていました。
ゆうれい船には、まだまだなかまがいっぱいいるはず!
そう思ってよくみると……ふねいっぱいのおばけにみえたのは、ぼろぼろの帆と、カーテン。あれ、なにか変ですわね?
つぎつぎと襲いかかってくるはずのしびとのぐんだんも、それをあやつっているわるいまほうつかいの姿もありません。
これは、おかしい、このふねそのものがきっとまほうに違いない!
そう思ったわたくしは、ソルさんに手を貸して、死体の戦士を切り伏せました。こんな感じにね、えいやっと。

閉じたままの銀扇を剣の柄にみたてて、軽く握ったゾフィーは、その場でくるりと身をひるがえす。
■ネイビー To:ぞふぃー
えいやっ♪

マネをして、高く上げた右手を振り下ろしてみる。
■ゾフィー To:ネイビー>子ども達
そうそう、よくできました。
でもつぎにやるときは、もっとせなかをのばして、脇の下とおなかにちからをいれてね。

みなさん、たたかいも、おゆうぎも、あいさつも、すべてお作法につながります。
はじめに、きちんとした姿勢をとることががたいせつよ。
かっこうよくなるのも、すてきにみえるのも、まずはあいさつから。
どういうあいさつがいいのかは、こんど、せんせいに教えてもらってくださいね。

■こどもたち To:ぞふぃー
はーい!!

■ゾフィー To:ALL
さあて、えいやっ!とやったらどうなったか、でしたわね。
斬りつけると、グールとよばれる動く死体はふっとんでこなごなになりました。
するとどうでしょう。
そのからだは、ふいに溶けて絵の具になってしまったのです。
いそいで海をみますとね、あんなにおおきなゆうれい船が、やっぱり溶けていって、波の間にすっかりきえてしまいました。

■サラ To:ぞふぃー
えのぐ……!?

■アスル To:ぞふぃー
えのぐで、できてたんだ! なんで!!?

ざわざわ、子どもたちは顔を見合わせる――。
■ゾフィー To:ALL
そう、なんででしょうね?
そのなぞなぞがとけるのは、もっともっと先のことになるのです。

■リコリス To:ALL
そして、羽の生えた生き物――グレムリンって言うんだけどね――はリコに魔法を飛ばしてきたの。
でも、自分で「かかるな〜」って気合入れて抵抗したの。
そして、イェンさんが電撃の魔法を飛ばしたんだけど、残念だけど倒しきれない。
そのうちに皆が他の魔物を倒しちゃったの。
でも、そうすると、なんで魔物が襲ってきたのか判らなくなっちゃうでしょ。
だから、グレムリンを生け捕りにすることにしたの。
落っこちないように落下制御の魔法をかけて、イェンさんの眠りの魔法で眠らせて。
見事に生け捕りに成功したから、今度は船の中でグレムリンに話を聞いてみることにしたんだよ。



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