涙雨のあとで
ゾフィーは、話が終わった様子のウーサーとナギに声をかけた。
心配そうに顔を覗き込むナギに、レヴィーヤはこくりと頷いた。
少しだけ表情が陰るも、泣き出すこと無く先を続けるレヴィーヤ。
「このくらい」と両手で大きさを示す。人間の頭くらいの大きさだ。
レヴィーヤはそこまで話すと、夢見るような瞳で空を見上げた。
首が折れるくらいにぐぐっとウーサーを見上げて言う。
そう言うレヴィーヤの表情は、ちょっぴり誇らしげ。
ナギは黙って、レヴィーヤと手を繋いだ。
心の奥底でうっすらと理解し始めたことを、か細い声で口に出したとたん、レヴィーヤの目元にふたたび涙がにじんできた。
ウーサーはレヴィーヤの前に屈みこみ、自らを奮い立たせるようにひと呼吸入れてから、静かな口調で話しはじめた。
涙をためた瞳で、ウーサーの話に聞き入るレヴィーヤ。
喰いつくような必死の表情で、まっすぐウーサーを見つめる。
鈴なりのように響いたその声は、まるで自分に言い聞かせているかのようだった。
ガリガリと頭を掻きながら、なんとか考えをひねり出してみる。
一度言葉を切り、リコリスに、続いてナギとレヴィーヤに視線を動かしたゾフィーはわずかな間を置いた後、ゆっくりとした口調で言葉を続けた。
ゾフィーは懐中に手を入れ、黒い短剣を示してみせた。
リコリスは予備のリボンを取り出し、手馴れた手つきで髪の上部を二つに分けて結った。
レヴィーヤは不思議そうに目を丸くして、かわいらしく結ばれたリコリスのリボンを見つめた。
荷物から手鏡を取り出すとレヴィーヤに手渡す。
リコリスはレヴィーヤの髪を後ろで一つに纏めると高めに結い上げる。
嬉しそうにぴょんぴょん飛び跳ねるたびに、緑と青のポニーテールが揺れた。
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