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SW-PBM Scenario#163
かわいい絵筆

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届けもの



  イーンウェン・海鳥と潮騒亭

田舎道を抜け、賑やかな商店街に戻ってきたところでシグナス・リコリスと別れたウーサー。
毛布にくるまれたライチを抱え、若干我が身に刺さる通行人の視線を感じながらも、最短コースで「海鳥と潮騒亭」へと向かう。
■ウーサー To:パティ
やっぱ、シグナスにやらせるべきだったか?
こういうのは、役者が違うぜ……。

肩をぽんぽんと叩くパティ。
「がんば♪」とでもいいたそうだ。
■ウーサー To:パティ
ああ、矢っ張りそう思うだろ? 色男担当はあいつだからな……いや、間男? 魔男……?

扉を開けると、幸いにして食堂には他に客はおらず、がらんとしていた。
ランチタイムが終了し、すでに「午後のお茶の時間」になっているせいだろう。
いつものスキンヘッド主人は顔も上げずもくもくとグラスを磨き、給仕の女の子はテーブルの上の花をかわいらしく生けていた。
■ウーサー To:給仕の女の子
よう。
悪いが、ソルに声かけて来てくれ。

■給仕の女の子 To:ウーサー
あっ、おかえりなさ……わっ、どうしたんですかライチさん!?
具合でも悪いんですか!!?

■スキンヘッド主人 To:ウーサー
………………怪我か?

ぎょっとしてウーサーとライチを交互に見る給仕の女の子。
異変を察知したのか、スキンヘッド主人がずかずかと近寄ってきて、ウーサーと並ぶ視線の高さからライチの様子をまじまじと見る。
■ウーサー To:給仕の女の子>スキンヘッド主人
墓地でな、トラブったらしい。怪我は塞いだんだが、意識が戻せねぇ。
意識に関しちゃオレ様達が何とかするから、それまで部屋で安静にさせといてくれ。

■スキンヘッド主人 To:ウーサー
………………解った。

スキンヘッド主人はエプロンからはみ出すみごとな筋肉を隆起させながら、かるがるとライチを抱え直し、2階の個室(リコリスとの相部屋)へと向かっていった。
以後はソルがついていてくれるだろう。
ウーサーの肩に乗ったパティは、ライチを心配げに見つめるものの、彼のそばを離れるつもりはないようだ。
■ウーサー To:パティ
取り敢えずは大丈夫、って所か?
じゃあ、今からそっち向かうぜ。

■給仕の女の子 To:ウーサー
あぁ、驚いた〜。何とかなるなら、良いんですけど……あっ、そうだ。
ちょうど今さっき、ウーサーさんにお客さまがいらっしゃったんですよ〜。

■ウーサー To:給仕の女の子
え? オレ様にか?
いったい誰が……ってうおおっ!?

■リュナ To:ウーサー
………………。

ウーサーの背後から刺さるもうひとつの視線。
入口からは死角となって見えなかったテーブルに、足をぶらぶらさせながら座っているリュナがいた。
甘いチョコレートの香りがするカップを両手で持ち、鼻先で停止させたまま、なんだか不機嫌そうな目線でウーサーを見つめている。
足元ではスクワイヤがしっぽを左右に振りながら丸くなっていいた。
■ウーサー To:リュナ
嬢ちゃん!? おいおい、店の仕事はどうしたんだよ?

「え? いかないの?」とばかりに動揺してきょろきょろしだすパティ。
■リュナ To:ウーサー
緊急事態が発生したから、閉めてきた。
ところで、今の誰?

ライチのことを尋ねているらしい。
スクワイヤのしっぽがてしてしと床を叩いている。
■ウーサー To:リュナ
ああ、ライチのことか?
オランから乗ってきた船で、一緒に護衛の依頼受けてた冒険者だよ。墓場の奥で、トラブったらしい。
他の仲間がその件の絡みで、「モザイクガーデン」に直行しててな。
オレ様は宿で待機してるソルって仲間に、ライチを預けに戻ってきた所だ。
ライチは美人なだけじゃなくて、なかなかに「遣る」女だった筈なんだが……。

■リュナ To:ウーサー
ライチ……あのひとが。
…………。
リュナの、友だちの友だち。会ったのは初めてだけど。

■スクワイヤ To:ウーサー
ニャゥ〜〜(--#

気のせいか、「美人」「遣る女」のところでぷっと頬を膨らませて視線を逸らすリュナ。
足元のスクワイヤがウーサーににじり寄って、ものすごい勢いでげしげしとねこぱんちを繰り出し始める。
■ウーサー To:スクワイヤ
お、おいおいおいっ、ちょっとオマエ、猫チャン! ナニするんだよ!?

■スクワイヤ To:ウーサー
ニャッ。(-"-#

■リュナ To:ウーサー
そのウサギ、うさぎのか?

今度はちょっと目元を柔らかくして、もふもふの黒ウサギを見つめる。
■ウーサー To:リュナ
違ぇ! コイツはオレ様の仲間の、リコリスって女魔術師のファミリアーだよっ。
オレ様はウサギなんぞ飼わん! 断じて!? \(゜_゜)/

ふぁんしーでらぶりーなイメージを欠片でも抱かれては堪らないとばかりに、大袈裟な身振りのリアクション付きで否定してみたり。
■リュナ To:ウーサー
今のポーズ、いいぞ。
もっとやれ。

急に機嫌が良くなって、ぽんとジャンプするように椅子から飛び降りると、背伸びしつつ、パティに手を伸ばして指先でやさしく撫でる。
気持ち良さそうに、パティは目を細めた。
■ウーサー To:リュナ
そ、そんなことよりもアレだ。
緊急事態たぁ、穏やかじゃ無ぇだろ。デーモンでも出たか?

■リュナ To:ウーサー
ちがう。
お客さん、あんまり来なくてヒマだったから、倉庫の整理してた。
そしたら、変な絵を見つけた。

(西方語)
柳の下にカエルが3匹、座ってる絵。
ドワーフのアンデッドが取り憑いてる。絵筆がどうの、って喚いてる。
ここじゃ出せないから、うさぎの部屋に行ってもいいか?

店員たちに悟られないようにか、西方語で話すリュナ。
見ると足元には、油絵の具一式が入ったバッグと、布に包まれた30センチ四方程度の板状のものがあった。
■ウーサー To:リュナ
…………。

ウーサーは身を屈め、何気ない風を装ってリュナの荷物を抱えながら、彼女の耳元に小さく囁いた。
その気配にリュナはびく、と身体を小さくする。
■ウーサー To:リュナ
(西方語)大変だったな、恐かったろ?
だが、恩に着るぜ。コイツは、渡りに船ってヤツかもしれねぇ。

■リュナ To:ウーサー
(西方語)
べ、べつに怖くなんかない。
正体知ってる……、ファントム。憑依されなければ、何もできない。

こそばゆそうに長い髪を指先で梳きながら、小声で応じた。
ウーサーは彼女のその様子ににやりと哂いながら、さらにひそひそと囁く。
■ウーサー To:リュナ
(西方語)
ホントか? おしっこちびったり、しなかったか?
なあ、この絵のタイトルって理解るか?

■リュナ To:ウーサー
ばかっ。
(西方語)
資料漁ってみたら、『静謐』……っていうらしい。
それに、「未完成」って描いてあった。ゴルボロッソの絵。

■ウーサー To:リュナ>給仕の女の子
ちっ、ビンゴか……よし、じゃあ取り敢えず、部屋に来てくれ。
ちょいと二人で、部屋使うぜ。少々騒がしくなるかもしれねぇが……まあアレだ、オトナのハナシしてるから、暫く勘弁しといてくれよ?

■給仕の女の子 To:ウーサー&リュナ
あ、はいは〜い、お邪魔しませんから、どうぞどうぞ〜!!

■スキンヘッド主人 To:ウーサー&リュナ
………………。

ウーサーはリュナを伴って、部屋へと向かった。
2階には人の気配はない。おそらくライチとソル以外は、皆出払っているのだろう。
■ウーサー To:リュナ
(西方語)
あ、でもよぉ?
オレ様はドワーフ語なんて、からっきしダメだぞ? 魔法だって使えねぇしな。

リュナ自身の仲間ではなく、自分の元を訪れたことがふと気になり、何気ない素振りに見えるように気をつけながら、ひそひそと尋ねてみる。
■リュナ To:ウーサー
(西方語)
大丈夫、リュナは話せるし、文字も読める。
ひとりで憑依されたら困るから、うさぎのとこに来た。

■ウーサー To:リュナ
(西方語)
まあ、頼りになりそうな漢ってんで、真っ先に思いついたのがこのウーサー・ザンバード様だったって事なら光栄だがよ?

■リュナ To:ウーサー
ここか?

■ウーサー To:リュナ
痛ェッ!?

ウーサーの言葉を遮るかのように、ばんっと乱暴にドアを開ける。
そのドアに鼻を強打されたウーサーは、くらくらしながらリュナの後に続いて部屋に入った。
■ウーサー To:リュナ
おおっう、うがぁ……つつ、つ……。
と、とりあえず、このあたりで良いか……?

■リュナ To:ウーサー
うん。すぐ開ける。

絵の具セットと四角い包みをテーブルに置き、とりあえず席に落ちつくふたり。
リュナはスクワイヤを窓際に寝そべらせると、そっと包みの結び目を解いて、中身をウーサーの眼前に晒した。
■ウーサー To:リュナ
成る程、な。絵ってモノは良く理解らねぇが、それなりに纏まったカンジだぜ……いや?
う〜ん、だがなんていうか、こう……?

そこにはリュナの言葉通りの──「ネホリーナの穴」で聞いていたとおりの、「揺れる柳の下でカエルが3匹、空を見上げている風流な絵」があった。
油彩画のようだが、写実的な要素はどこにもなく、ものわびしい雰囲気がうすぼんやりした色彩で上品に表現された良作に見えた。
が、どこか描き込みの足りないような、未完成さが感じられる。
■ウーサー To:リュナ
……いや、やっぱり良く理解らねぇ。
でもよぉ、幽霊が取り憑いてるような、縁起の悪い絵には見えねぇがなぁ……?

■リュナ To:ウーサー
リュナはこの絵、好き。
だけど、写実派のゴルボロッソらしくない絵。

と、その時、どこからか不意に響く声がした──。


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GM:ともまり