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SW-PBM Scenario#163
かわいい絵筆

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モザイクな午後



  イーンウェン・モザイクガーデン

雲が徐々に濃くなり、厚くなってきた午後。
雨足の強まった「白波通り」を、ゾフィーとイェンスは連れ立って歩いていた。
もはやこの程度の雨では驚きもしないのか、町の人々はカフェの軒下でお茶を頂きながらの おしゃべりに余念がない。
籐籠を下げてお使いに走る、元気いっぱいな子どもたちの姿も見える。
■ゾフィー To:イェンス
あちらに見える公園のテントが、くだんの武道会の受付場になっているようですわ。
試合会場もおそらくはあそこでしょうね。

■イェンス To:ゾフィー
なる程。ここが先ほど言っていた武道会ですかぁ。
試合は明日でしたっけ? ハードスケジュールですねぇ(ウーサーが)。

賑やかな通りをひとつ折れて、人通りの少ない「月影通り」に入っていくふたり。
地面のそこかしこで生まれた小さな水たまりを避けながら歩いて行く。
やがて、海を思わせるモザイクが施された建物が視界に入った。
「モザイクガーデン」の看板が、しっとりと濡れた状態で下がっている。
■ゾフィー To:店内>イェンス
ごめんくださいませ。
……って、あら御来客のようですわね。

■ミガク To:男の子
……ふ〜む……そうじゃな、あのペンダントに合わせるなら、こんな色でどうじゃ?

■男の子 To:ミガク
うん、いいよ。ぼくが同じものを持ってても、へんじゃない?

中に入ると、先客が居た。
作業着を身に着け、みごとなヒゲを蓄えたずんぐりむっくりのドワーフの職人── ミガクが、小さなブレスレットのようなものをランタンの炎にかざすようにしながら、 人間の男の子に品定めをさせているようだ。
■ミガク To:男の子>ゾフィー、イェンス
大丈夫じゃろう、男の子らしいデザインに仕上げて──おおっと!
これはゾフィーさん、気がつかず失礼を。
……何か、お忘れ物ですかな?

イェンスに軽く会釈をしつつも、さほど間をおかない再訪問に、つぶらな瞳を大きく見開いて驚いていた。
■ゾフィー To:ミガク
いえいえ、接客中ごめんあそばせ。
こちらはイェンスさん、護衛の依頼を受けた仲間ですの。
さしつかえなければそちらの方の話が終わるまで待たせていただきたいのですが。
お尋ねいただいた件について、ご相談したいことがございまして……。

■ミガク To:ゾフィー>イェンス
ふむ? ああ、わしは構いませんぞ、こんな狭苦しいところでよければ、どうぞかけていてくだされ。
どうも初めまして、モザイク職人のミガクと申します。

イェンスに握手の手を差し出す。
■イェンス To:ミガク
初めまして。短期集中でゾフィーの付き人をしていますイェンスと申します。

ガッチリ握手。
■ゾフィー To:イェンス
(下位古代語)
あら、オランの学院に籍を置かれるほどの家柄と財をお持ちの方が、ご自分を安売りなさるものではございませんわ。
わたくしは、良い品でしたら遠慮なく購入いたしますから、「付き人」云々が冗句とやらでしたら、訂正なさるのはいまのうちよ。

■イェンス To:ゾフィー
…………もちろん冗談ですよ〜。ははは…。

第六感が危険を察知したらしい。
■ゾフィー To:つぶやき>ミガク
(下位古代語)
……まったく、近頃の若い者は芯が細いこと。

(共通語)
……ああ、失礼いたしました、では席を拝借させていただきますわね。

つかつかと椅子に歩み寄って腰を下ろしたゾフィーは、続いて少年に声をかけた。
■ゾフィー To:男の子
(ドワーフ語)
こんにちは。
素敵な色遣いですわね、贈り物ですか?

■男の子 To:ゾフィー
(ドワーフ語)
あ、えっと、こんにちは。
はい、贈りものです。

一瞬慌てたような表情を浮かべたあと、丁寧にドワーフ語で返す男の子。
後半は、どうやら「贈りもの?」しか聞き取れなかったような雰囲気だ。
その発音は、かなりの共通語訛りであった。
■ミガク To:ナギ>ALL
今のはのぅ、「素敵な色遣いですね」と褒めてくださったんじゃよ。
ああ、この子がハノクさんの息子さんの、ナギくんじゃ。

■ナギ To:ゾフィー&イェンス
初めまして、ナギです。
もしかして、おとうさんの船に乗ってきたひと……かたたちですか?
おとうさんが、おせわになりました。

後頭部が見えるくらい、ふかぶか〜とお辞儀する。
■ゾフィー To:ナギ
(ドワーフ語)
ええ、お世話しました。

にこりともせず、真顔で応じるゾフィー。
■ナギ To:ゾフィー
(ドワーフ語)
あぅ、ごめんなさい。(TT)

何を想像したのか反射的に謝るナギ。
■イェンス To:ナギ
(横目でチラとゾフィーを見つつ)ハノクさんの息子さんですか。こちらこそ大変お世話になりました。

こちらも深々とお辞儀〜。
ナギもそれに合わせるように、もう一度深々〜とお辞儀。
■ゾフィー To:ナギ
(共通語)
………。
冗談はともかく、新しい言葉を習得しようと思ったら、どんどん話してみることです、その言葉を使える人が相手の時はね。
「素敵」という言い回しはいろいろ使えますわ、ドワーフ語に限りませんが。

おっと、話がそれましたわね、わたくしはゾフィーと申します、ごべっこんに。
ナギさんの御丁寧な応対に感心したところですの。
身近でそういう挨拶をなさる方がおられまして?

■イェンス To:
身近で…(;^_^

■ナギ To:ゾフィー
おかあさんです。
あいさつとお礼は、きちんとしなさいって言われてました。

(ドワーフ語)
えっと、すてきな、お母さんです。

背筋を伸ばして、にこにことおだやかな口調で答えるナギ。
■ゾフィー To:ナギ
そうでしたか、ご立派なお母様のようですわね。
あなたに似て聡い方なのかしら、おめにかかる機会があったらよろしいのに。

(ドワーフ語)
素敵で美人な、お母様でしょうね。

■ナギ To:ゾフィー
おかあさん、いそがしくてあんまり会えないの……。
でも、武道会でおとうさんが優勝したら、戻ってきてくれます、きっと。

(ドワーフ語)
はい、かわいいです。

「かわいい」という単語を初めて使った、使ってみたかった──というような表情で、嬉しそうに、そして「合ってるかな?」という表情で発音するナギ。
もちろん、とても聞き取りにくい共通語訛りで。
■ゾフィー To:ナギ
わたくしが若い頃は“愛くるしい”(ドワーフ語)というような言い回しをしておりましたが、今の時代なら“かわいい”(ドワーフ語)で結構でしょう。
むしろ、一音ごとにはっきりと、さらにちょっと語尾を強めて“カワイイ!”(ドワーフ語)と言った方が都会風かもしれません。

あいかわらず、まじめくさった調子で指導を入れるゾフィー。
■ナギ To:ゾフィー
(ドワーフ語)
あいくるしい、カワイイ!

(共通語)
こんな感じですか?
こんど、使ってみます♪

新しい知識を得られて嬉しそうだ。
■ミガク To:ナギ
……うむ、できたできた。ナギくん、これでどうじゃ?
こっちがプレゼント用で、こっちが君のじゃ。
君のほうはちょっと大きめにしておいたからの、お揃いじゃがそれぞれ個性も出しておる、はっきり言ってかなりの自信作じゃぞ?

再び机に向かっていたミガクが振り返り、手のひらにふたつ、革紐のブレスレットをのせてナギに差し出した。
 両方とも青と緑、そして白とで構成された小さなモザイク板をあしらったものだ。
■ナギ To:ミガク
わぁ……、すごい。かっこいいね。
ありがとうミガクさん。
明日まで、ないしょにしておいてね。

ほほを赤らめながらそう念をおすと、大事そうに小さなショルダーバックにそれを仕舞い込んだ。
■イェンス To:ナギ
彼女へのプレゼントですか?

なんて。大人のセクハラオヤジなツっ込みしてみたりして。
■ナギ To:イェンス
え、え、え。お、おともだちにあげるの。(///
もうすぐ、ともだちになってもらって、1年たつから。

耳まで赤くなって、もじもじと答える。
■ゾフィー To:ナギ
あら、それが明日ですの?
そのお友達は、今日はどちらにいらっしゃるのかご存知かしら。
こんなお天気の時も、元気に外にでておられるのね。

■ナギ To:ゾフィー
これからいっしょに、リンゴ畑でスケッチしに行く約束なの。
ぼく、雨の日も楽しくなりました。

はにかみながらそう答えるナギ。特に荷物を持っていないところを見ると、これから道具を準備して向かうのかもしれない。
■ゾフィー To:ナギ
それはそれは……素敵でしょうね。
あの畑は霧が多いと聞きましたけれど、雨の日はそうでもないのかしら。

■ナギ To:ゾフィー
あの場所だけ、いつも雨降ってないの。でも、霧がすごいから、服とかしっとりします。
冷たくて気持ちいいよ。

■ゾフィー To:ナギ
あらあら、そんな濃い霧だったりいたしますの。
よくスケッチするだけのものが見えますわね。

■ナギ To:ゾフィー
はい、霧が濃くない場所もあるんです。
……あっ、ぼくそろそろ行かなくちゃ。

そう言いながら、フード付きの上着をはおるナギ。
■ゾフィー To:イェンス
(下位古代語)
ええと…確か「しろ」さんとお呼びでしたわね。
念のため、彼につけておやりになったらいかが。
本人の了解をとるかどうかは、あなたの判断におまかせいたしますわ。

■イェンス To:ゾフィー
(無言で右手を挙手してOKサイン)

■ナギ To:ミガク&ALL
それじゃ、ぼく、失礼します。
さようなら〜。

■ミガク To:ナギ
うむ、あまり遅くならないようにの。晩ご飯までには帰って来るんじゃぞ〜。

ナギはドアの前でぺこっとお辞儀をすると、まだ雨の降りしきる町へと出て行った。
■イェンス To:しろ
さぁ、しろ、出番ですよ。

ナギが出て行くのを確認すると素早くベルトポーチの蓋を開けてしろを取り出す。
そして飛ぶのを促す様にふわりと手のひらのしろを持ち上げた。
小さなフクロウしろは、開いていた窓からぱたぱたと出て行く。
イェンスの視界には、元気よく「白波通り」のほうへと戻って行くナギの後ろ姿がしろの目を通じて届いていた。
■イェンス
うぅ〜ん、雨で重そうですねぇ。

■ミガク To:イェンス
おや、ペットですかな? あんな小さなフクロウは、初めて見ましたぞ。

素直に感心したかのように、ヒゲを撫で付けながらしろの姿を見送るミガク。
■イェンス To:ミガク
お目が高いですねぇ〜。山にこもって何十日で初めて見た時はもう感動ものでしたよ。

■ミガク To:イェンス
ほほぅ、やはり珍しい種のようで。
フクロウはリンゴの樹に巣を作ることもあるとか聞きますなぁ。
いやはや、かわいらしい。

微笑ましげに目を細めたあと、ふと思い出したかのように手元の道具を仕舞い始めた。
■ミガク To:ALL
ふぅ……おっと失礼、ひと仕事終えたあとの気分というのは、いいものですな?
……それで、相談というのは?

改めてふたりに向き直り、椅子に座り直してから問いかける。
若干神妙な面持ちで。

誰かが聞こえる場所にいないか、耳を澄ませるだけの間をとったゾフィーは、なにも聞こえなかったことを確認するとあらためて口を開いた。
■ゾフィー To:ミガク
ミガクさん、あなたが由来を知りたがっておられた石…なのですけれど。
仲間内に詳しい者がおりまして、正体が判明いたしました。
答えをお話しさせていただいてもよろしいかしら。

■ミガク To:ゾフィー
……うむ、聞かせてくだされ。

もう一度椅子に座り直して、ゾフィーをまっすぐに見つめながら応じた。
■ゾフィー To:ミガク
ありていに申しあげると、水棲生物を人間に変えるアイテムだそうです。
おそらく、とりあげると元の姿に戻るのではないかしら。
雨やお風呂が好きという話など状況を伺う限り、間違いないかと思いますの。

■ミガク To:ゾフィー
…………なんと…………水棲生物とは。
ということは、つまり……レヴィーヤは、元はくじらか鮫か、トビウオか……
ああ、タコやヒトデという可能性もある、ということですかな……?
むぅ……。

にわかには信じられない、といった表情で、困惑したように自らの額を撫で付け始める。
■ゾフィー To:ミガク
ハノクさんを投げ飛ばすほどの力をお持ちだったとか。
鯨はともかく、飛魚や海星だという可能性は低いのではございません?
直接お目にかかれれば、何かわかるかもしれませんけれども。

■ミガク To:ゾフィー
……ふむふむ、あの尋常ではない剛力は、そのアイテムによるものではないと?
漁船すらも握りつぶしてしまうという、巨大タコか、はたまた伝説のシードラゴンか……いやまさか、うむむ……。

■イェンス To:ミガク
もちろん泣かせる様な事はしませんので、確認のため影からでも様子を伺いたいんですが。

■ミガク To:ゾフィー&イェンス
……うむ……それは、わしからもお願いしたいくらいじゃが……しかし、レヴィーヤ自身は、その事実を知っておるんじゃろうか?
自分の正体の、自覚はあるんじゃろうか……?
……親が、迎えに来る……とは、どういうことなんじゃろうか……?

次々と浮かんでくる疑問を、すべて口に出していると言った様子のミガク。
ぎこちない指先で、テーブルの上のモザイクの破片を弄んでいた。
■ゾフィー To:ミガク
まあ、突然の話ですからね、混乱なさるのもわかりますわ。
で、ここから先は推測の話になるのですけれど……。

ああ、その前にお伺いしてもよろしくて。
レヴィーヤさんの正体が判明した場合、周りの人々はそれを受け入れることができるでしょうか?
よくある話ですわよね、異分子を……突き上げたり、孤立させたり、不満や恐怖のはけ口にしたり……特に不意打ちで知らされた場合には。

■ミガク To:ゾフィー
難しいことを、お聞きなさる……もちろん、ここイーンウェンの人々は、概して穏やかで、陽気で、小難しいことを考える気質ではない。
しかし、正体が漁師たちの天敵であるモンスターであった場合、いくら外見が人間の幼い子どもで、本人に害を加える気が無かったとしても、容易に受け入れられるものかどうかは、わしにはわかりかねます。

……真実は、ごく親しく、彼女を護ってやれる者だけに知らせるのがよいでしょうな……具体的には、わしとライチのみ……。
ナギくんになら受け入れることができるやもしれませんが、ハノクさんに伝わった場合、漁師たちにも伝わる可能性がありますからな。
そのときレヴィーヤを護れるかどうか……。

■ゾフィー To:ミガク
やはり、そうなりますかしら。
武道会での話などを耳にする限り、レヴィーヤさんはそのことをわかってはおられない気もいたしまして。
といって、急に彼女の立ち居振る舞いが変わったら、かえって周囲は気にしそうですわね。
そういえば、明日のお祭りに彼女は参加なさいますの?

■ミガク To:ゾフィー
うむ、今回はまほうつかいとのペア部門で出る、とか言うておりましたな。
何でも、墓地で知り合った、新しいともだちと出るとか……。
「目のきれいなお兄ちゃん」だとか言って、楽しみにしとる様子でした。

■ゾフィー To:ミガク
墓地とは、また面白いところで出合われたのですね、昼間の話ですの?
ペアでの競技開催が成り立つほど、この町には魔法の使い手が多うございますのね。
どんなひとなのか、それ以上の話はご存知ですか?
あるいはその方のスケッチがあるとか……。

■ミガク To:ゾフィー
あの場所は散歩の名所として、また心を鎮める憩いの場所として、町の人々に愛されていますからな。
レヴィーヤは夜に出歩くことはありませんから、昼間スケッチに通ううちに、顔見知りが増えていったんでしょうなぁ。

ふむ、それ以上のことは……ああ、そういえば、一度だけ「にがおえ!」と言って、絵を見せてもらいましたが……
それがのぅ、可愛らしいカエルの絵でして。
「これはカエルではないかね?」と言ったら、楽しそうに「かわいい!」と……。
いやはや、レヴィーヤなりの冗談だったようですが、反応に困りましたなぁ。

本当に困ったような、しかし優しげな苦笑を浮かべてぽりぽりと頭を掻いた。
■ゾフィー To:ミガク>イェンス
…………。
……いえ、推測の話に戻しましょうか。
明日から始まるお祭り……「海竜祭」は、「大昔、嵐と津波を起こしてイーンウェンの土地を沈めようとした怪物を退治した逸話」が起源とライチさんから伺いました。
どうやらその「怪物」は“ヴィルコ”と呼ばれるらしいのですが、気性は荒くはないものの、水中ではわたくしたちでも太刀打ちできない強さを持っているようなのです。

レヴィーヤさんが発見されたのは約1年前、迎えに来るという親の話……降り続く雨……最近、海の中で波のような怪物を目撃したという漁師の話もございますし……。
でしたわよね、イェンスさん。

■イェンス To:ゾフィー
聞いた話しでは、それは遠くの様な近くの様なすり抜けて行く様な…実体の無いモノの様です。

■ミガク To:ゾフィー
……その怪物が、レヴィーヤを迎えに来ておると……?
レヴィーヤは、その“ヴィルコ”と呼ばれる怪物の子だとおっしゃる……?
……うむむ……。

ミガクはおでこを押さえつけたまま机に肘をついて、考え込んでしまった。
■ミガク To:ゾフィー
だと、すれば……親が迎えに来たところで、海に帰るつもりなんじゃろうか?
しかしそれなら、地上になど上がらず、海で待っておればすむこと……レヴィーヤは、どういうつもりで地上で親を待っているのじゃろうか?
まさか、あの子が親の力で、この町を沈めようなどと考えるはずはない……ゴルボロッソを生んだこの町を愛しておったし、港から見る風景も、リンゴ畑も、イチョウ林も、愛しておった……うむ、これは考え過ぎでしょうな……?

不安げな瞳で、ゾフィーとイェンスを交互に見た。
■イェンス To:ミガク
その怪物の“子”であると決まった訳ではないですが、何かしら関わりがあると思っておいて下さい。

■ミガク To:イェンス
うむ……。どうやら、その可能性が、高いようじゃな……。
なんとも実感がわきませんが……。

■ゾフィー To:ミガク
重い話で申し訳ないとは思いますが……レヴィーヤさんと一緒にお暮らしになっておられたのは、あなたです。
だからこそ、ご相談に参りましたの。
もし、今の話が繋がった場合、レヴィーヤさんは……
ミガクさん、あなたやナギさんが暮らす町を守ろうとしてくださるでしょうか。
もしあなたが彼女を信じられないのなら、ほかの誰もそれを信じることはできないでしょう。

■ミガク To:ゾフィー
……うむ…………。

ミガクは、ごつごつした指の間で弄んでいたモザイクの欠片を、机の隅にそっと置いた。
■ゾフィー To:ミガク
失礼いたしました。
正直、現段階で証拠がある話ではございません。
あるいは、そう推測させるように仕組まれた話という可能性もございます。
ただ、わたくしに考えつくことですから、同じ事を考える者は他にも出て来るかもしれません。
そんな時、レヴィーヤさんの味方になってあげられるのは、あなたです。
もしあなたまで彼女を疑うことになれば……
……この町は本当に沈められてしまうかもしれません。

■ミガク To:ゾフィー
……うむ。
いや、こちらこそすみませんでしたな、年甲斐も無く動揺してしもうて……。
連れの居ないわしにとっては、レヴィーヤは初めての我が子のような存在でしてな。
あの子は、多少のやんちゃに目をつむれば、よく遊びよく食べ、誰にも迷惑をかけずに、わしの言うことを良く聞く……いい子ですじゃ。
我ながら、親馬鹿じゃと思っとります……「本当の親が迎えに来る」ことに、一番動揺しておるのは……いいや、心の底から喜べていないのは、わしだけなのかもしれませんな。

机の上に置かれたモザイクの欠片を、等間隔に並べ始める。
まるで自らの心をひとつひとつ整理していくかのように。
■ミガク To:ゾフィー&イェンス
今日、レヴィーヤが帰ってきたら、少し……話をしてみようかと思っとります。
わしは、レヴィーヤの幸せを願っておる……たとえ親が迎えに来るまでの間だとしても、「地上の親」として、何があってもお前の味方じゃということを。
……うむ、わしは口べたじゃから、上手く話してやれるかどうかは、自信はないんじゃがのぅ。

並べたモザイクの欠片が、ランタンの暖かい光を受けて揺れるのを見つめながら、ミガクは言った。その横顔はどこか寂しそうにも見えた。
■ゾフィー To:ミガク
ミガクさん、レヴィーヤさんは来るべくしてあなたの元に来たのではないかと、わたくしはそう思いますの。
あなたはそれに足る器をお持ちだと…ライチさんの選択眼は大したものだわ。
ひとにとって何が最も幸いなのかは、誰にも、本人にすらも分からないことかもしれませんけれども、少なくとも今のレヴィーヤさんは幸せだろうと、わたくしにはそう感じられました。
実の親が誰であれ、迎えに来るのがいつであれ、あなたは胸を張ってその時にお向かいなさいませな。

■ミガク To:ゾフィー
……うむ……うむ。
そうじゃ、少なくともこんな辛気くさい顔で、可愛い孫娘を出迎えるようでは、いけませんな! ……いやいや、本当に。
かたじけない。
……失礼、少々、席を外してもかまいませんかな?

ミガクは両頬をぱちんと叩くと、ゾフィーとイェンスに感謝の気持ちを込めて目礼した。
そして顔を隠すかのようにうつむいたままそう言うと、席を立ち、キッチンへと向かった。
■ゾフィー To:イェンス
(下位古代語)
ところで「しろ」さんは、この雨の中いかがかしら?

使い魔しろが追うナギの姿は、一度港近くにある自宅らしき家の中へと消えていた。
ほどなくして肩掛けカバンを提げた姿で出てくると、そのまま町の北へ向かって軽やかな足取りで歩き出していた。今はちょうど、賑やかな商店街を過ぎて田舎道にさしかかったところだ。
そろそろ感覚共有できる範囲を超えてしまうだろう。
■イェンス To:ゾフィ−
(下位古代語)
商店街を抜けて行きましたねぇ。しかしそろそろ意識が曖昧になって来ました。
シンクロ出来る間に追い付くか戻すかしないといけないのですが…。

■ゾフィー To:イェンス
(下位古代語)
あら残念、意外と限界は短いのね。
では、こちらが動くしかありませんわね。



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GM:ともまり