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SW-PBM Scenario#163
かわいい絵筆

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木槌通り



  イーンウェン・木槌通り

この町にただ一軒だけだという武具屋、『Tog Tog factory』へ向かうことにしたウーサーとシグナス。
先ほどよりやや雨足の強まった商店街を、教えられた通りの道順で東へと歩いて行く。
相変わらず賑やかな通りには、ちょうど午後のお茶をカフェの軒先で楽しむ奥様方や、昼の休憩時間を一服して過ごす船乗りとおぼしき者たちの姿であふれている。
すでに人々は雨に慣れているのか、この程度で外出を控える気は無さそうだ。
シグナスの使い魔アイゼンは、彼らよりも先行して町の東の空へ。
主人とのリンクが切れないぎりぎりの距離を維持しながら、リコリスの姿を上空から探している。
■ウーサー To:シグナス
ええと、こっちだな……ソレにしても、野郎二人たぁうら寂しいよなぁ?
こんな時ゃあ子リスでもいいからこう、にぎやかしが無ぇと気が滅入るぜ……。

■シグナス To:ウーサー
俺は別に構わないんだがなあ。寧ろ気楽で良いや……ああ、でもリコリスやカラレナらなら変わらんか。

やがて大通りの賑やかさも影を潜め、服飾や雑貨などの職人の店が建ち並ぶ狭くて落ちついた通り──「木槌通り」に出た。
ウーサーの得ている情報では、この通りの5番目の角に、『Tog Tog factory』があるはずだ。
■シグナス
…………あん?

■ウーサー To:シグナス
どうした? 大人しくて控えめそうな美女でも見つけたか?

■シグナス To:ウーサー
それだったらゼッテーオシエネー。

ふたりがひとつめの角を通り過ぎた、その時。
シグナスは上空からのアイゼンの視界に、なにやら見覚えのある黒くて小さなもふもふした姿が映るのを確認した。
ちょうどこの通りをまっすぐ行った先、『Tog Tog factory』がある角で、その小さな黒うさぎは、せわしなくあたりをキョロキョロしているようだった──まるで、誰かを探しているような様子で。
■シグナス To:ウーサー
……兎?こんな所で珍しいな。ウーサー、アイゼンが妙なもん見付けた、リコリスのファミリアかも知れねえ。
あーっと、この通りの先の角。多分お前の言ってた武器屋の方だと思うんだが……ちょっと先に行って見ようぜ。

■ウーサー To:シグナス
いや、行くのは構わねぇが……大丈夫、なんだろうな? ダブラなんとかだったりしねぇか? あと、例の「絵」とか。
どうする? とりあえず有無を言わさず捕まえて、加減してぶっ叩いてみっか? 気を失わせりゃあ、ニセモノだったら絵の具に戻るだろ?

妙な連中が相手なので、警戒心が昂ぶってしまっているらしい…。
■シグナス To:ウーサー
只の兎だ!?いやまあモンスターの可能性もゼロ……じゃない、のかなあ?
まあ、とりあえず行って見よう。逃げるようなら捕まえて見るし、逃げなきゃOKだ。多分。

■ウーサー To:シグナス
……オーケイ。

ふたりが言葉を交わした直後。
黒うさぎは後ろ足で立ち上がると、鼻をひくひくさせてアイゼンを見上げ、その場で3回廻って、「わん」と鳴く代わりに後ろ足をペタンペタンと地面に打ちつけた。
そして、その後、いきなり東のほうへ向かって走り出した。
時々、ついて来て欲しそうに後ろを振り返りながら──。
■ウーサー To:シグナス
……当たり、と考えて良いのかこりゃあ?
やれやれ。こんな雨の中で兎狩りは、御免だぜ?

ウーサーは銀の大剣の柄に片手をかけながら、歩調を早めてシグナスの言う「兎」の居る場所へと向かった。
『Tog Tog factory』の前を通り過ぎ、しばらく田舎道を全力疾走したところで、ようやく一目散に駆けていく黒うさぎに追いすがる。
振り返った黒うさぎは、どう見てもリコリスと共にいた使い魔のパティ、そのものだ。
よく見ると黒うさぎの首には、リコリスがいつも髪に結わえつけていたリボン――いつも2本付けていたはず――が、まるで首輪のように1本だけ結わえつけられていた。
■ウーサー To:黒うさぎ
よう、どうしたよ? 何かあったってのか?

黒うさぎはウーサーの足に前足をテシッと乗せると、大きく1回だけ頷き、さらに東に向かって走り出した。
やはり時々ついて来て欲しそうに振り返りながら。
■シグナス To:ウーサー
やれやれ、如何にも素直に目的地に行けない街だねなんとも。
……リコリスとの繋がりが解けてる訳じゃ無さそうだな、急ごう。せめて間に合ったって安心してえし。

パティの進む先にアイゼンを先行させつつ、追い駆けるシグナス。
ウーサーも肩を竦めたあと、それに従って走り出す。
■ウーサー To:シグナス>黒うさぎ
罠の類だったら……まあ、そん時ゃあそん時か!
おい、もう振り返らないでいいから、とっとと案内しやがれ!!



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GM:ともまり