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SW-PBM Scenario#163
かわいい絵筆

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リンゴの迷宮



  イーンウェン・リンゴ畑

突っ走っていったヤツメは、リンゴの木がこんもりと生い茂る畑の入口にてシグナスを待っていた。
その場でたったかと足踏みをしているところを見ると、待ちきれないほどうずうずしているらしい。
■ヤツメ To:シグナス
さー、スタートは同時なのでぃす!
行っくですよぅ〜!!

しかし、シグナスがヤツメと同じ位置まで足を踏み入れた瞬間。
まるでふたりの姿を覆い隠すかのように、突然あたりの霧が濃くなった。
見回す限り乳白色に包まれ、まるで雲の中に迷い込んだかのようだ。
手が届くほど近くにあるリンゴの木がかろうじて見える程度の視界の狭さだった。
■ヤツメ To:シグナス
……Σヽ(゜∀゜;)ノ……
み、みみみみえないのでぃす!!
ボ、ボクが狭いところがだだだだいきらいと知ってのことでぃすか!!?

さっきまでの勢いはどこへやら、ヤツメはみるみるうちに縮こまってシグナスの足にしがみついた。まるでコバンザメのような吸着力だ。
■ヤツメ To:シグナス
あ、あぅあぅあぅ。フリオ、離れないで欲しいのですぅ〜〜(T∀T)ノひしっ

■シグナス To:ヤツメ
……あのばあさん、やってくれるぜ……。
この霧じゃあ、アイゼン呼んでも見渡すのは難しいな……仕方ない、如何小細工して行くかね。
……っつかお前、うーん、そりゃまあ変わってるとは思うが森みたいなもんだろ。何か使えそうなモン持ってないか?

■ヤツメ To:シグナス
つつつつかえそうなモノでぃすか〜?
えーとえーと、ロープ(30m)、くさび、火口箱、ハンマー、ハッカ味のキャンディ、シーフツール、あとあと武器もろもろ! 以上なのでぃす!(T∀T)ノ

見ると腰にはダガーとハンドアックス、鞭。
そして背中にはショートスピアが装備されていた。
■シグナス To:ヤツメ
……成る程、思ったよりマトモでソツ無い装備だな。
ま、何時までも考えてても仕方ないな、とりあえず、戻り易いようにシンプルに進んで行くとするか。
もし逸れたら……面倒だからロープでも持っとくか?お互い。

■ヤツメ To:シグナス
おおーう。ナーイスあいであなのでぃす!!ヾ(゜∀゜;)いそいそ

ヤツメはさっそくロープを短く切り、両端を結んで輪っかを作った。
そして輪の中にシグナスを入れ、自分も輪の中に入り、両手でロープを掴む。
■シグナス To:ヤツメ
……まあ、有効な体勢には思えるけど霧で良かったなあ……。


  イーンウェン・リンゴ畑/入口→東

東へと進んだシグナスとヤツメ。
霧の深さは変わらず、視界はきわめて悪い。
リンゴを採取しつつ、探るように慎重に進んでいくと、ふと目の前の足元から「ピィ、ピィ」という小鳥のような鳴き声が聞こえてきた。
何だか弱々しい、今にも死んでしまいそうな声だ。
■シグナス To:ヤツメ
とりあえず、行き止まりまでは直進しながらリンゴ取るとして……ん、なんだ?

聞える鳴声の元を探そうと、視線を落とすシグナス。
■ヤツメ To:シグナス
(もぎゅもぎゅ)……ほへ? らんはみふへはれふは?

ヤツメはほほぶくろを膨らませながら、すでに両手いっぱいにリンゴを抱えていた。
■小鳥 To:しぐなす
ピィ、ピィ。

視線を落とした先には、体長12センチほどの小さな小鳥が地面に倒れてぱたぱたと暗褐色の羽根を動かしていた。
よく見ると、足の付け根に傷がついているようだ。
■ヤツメ To:鶏肉
Σ 焼 き 鳥 !!!(☆∀☆)ぎらーん

飢えた野獣のような目で鳥を見つめるヤツメ。
■シグナス To:ヤツメ
待たんか、まだ小鳥……いや、雛鳥じゃないな。
……足に、傷?なんでまた……まあ、良いか。

足を止め、倒れていた小鳥の手当てを行おうとしたシグナス。
■小鳥 To:しぐなす
ピ、ピピッ。

小鳥はおとなしくされるがまま。
応急手当が終わると、小鳥はよろよろと立ち上がり、せわしなく羽根を動かしてさっと飛び立った。
そしてピィピィと元気よく鳴きながら、シグナスとヤツメの上空をくるくると旋回すると、西のほう──シグナスたちが来た方向へ飛び去っていった。
■ヤツメ To:鶏肉>シグナス
Σ あ、あ、あーー……
ランチのおかずが飛んでっちゃったですぅ〜。(がっくし)
それにしてもフリ坊、意外とじぇんとるめんなのでぃす。(=゜ω゜)ノ

感心(?)したかのよーにシグナスを見上げるヤツメ。
■シグナス To:ヤツメ
ま、腹が減ってりゃ捕まえてたさ。あの小鳥が運が良かっただけさな。

軽く肩を竦め、飛び去った小鳥を見送るシグナス。改めて、東へ進みだした。

  イーンウェン・リンゴ畑/入口→東→東

どこまでも続く白い霧。
電車ごっこのポーズで進むふたりは、レンジャーとしての勘を発揮しつつ、この地点でも真っ赤に輝くリンゴを確実に見つけ出した。
■ヤツメ To:シグナス
(しゃりしゃり)……ん、んん!! でりっしゃぁすヽ(゜∀゜)ノ!!
フリフリラとボクのコンビなら、リンゴ畑も滅ぼせるのでぃす〜(=∀=)

手に取るそばから口の中に運ぶヤツメ。
シグナスも見つけたリンゴに手を伸ばそうとしたそのとき。
■ドリアード To:シグナス
(精霊語)
やめて、やめて。もがないで〜

悩ましげな声とともに、リンゴの木と重なるようにしてぼんやりと姿を現したのは、シグナスが良く知る姿──木の精霊ドリアードだった。
■シグナス To:ドリアード
……ええ゛ー……いや、えー。君等木の実は取られてナンボじゃん。種子広げて芽吹いてナンボジャン!?

思わず、共通語で反射するシグナス。
■ドリアード To:シグナス
(精霊語)
痛いの、痛いの。もがないで〜

悩ましげに腰をくねらせながらよよよと泣く。
■シグナス To:ヤツメ
あー……うん、もう、良いや。チクショウめ。ストップ、後で俺のリンゴやるからストップ。
けど合計20個は書確保な。最低でも一人分は浮かせてえし……。

がくりと項垂れつつ、リンゴの採集を止めるシグナスだった。
■ヤツメ To:シグナス
ほへー? フリナリ、何をひとりごと言っているでぃすかー?(小首傾げ)
アヤシイしとになっているのでぃす。
まーでも、ボクに収穫のすべてを捧げるとゆーココロイキは、しっかりばっちり受け止めたでぃすよーヾ(゜∀゜)

シグナスの足をぽむぽむと叩く。ヤツメには何も見えず何も聞こえてなかったらしい。
そしてドリアードは何も言わず、泣きながらすっと姿を消した。
■シグナス To:ヤツメ
いや、流石に精霊泣かしながらはちょっと厳しいからなあ……。一応、不足無い程度にゃ取れたし。

……つかもう消えやがったアンニャロウ!?

■ヤツメ To:シグナス
Σ にゃんと。せーれーさんが居たんでぃすか?(゜Д゜≡゜Д゜)キョロキョロ
ボクにはなーんも見えなくて、つまらないのでぃす。

にしてもフリ吉はせーれーつかいでもあったのでぃすねー。
ボクのビョーキの仲間と同じなのですぅ。(=゜ω゜)ノ

再び、感心のまなざし。
■シグナス To:ヤツメ
ま、ソコソコになら色々と覚えてるんでね。ん、精霊使いで病気のままって事は……男か?
女なら病気治せた筈なんだが……いや、アレって結構高度な魔法だったっけか?
いやいや、そう言えばそもそもお前の仲間の事何も聞いてなかったな。俺も言ってないから放っといたけど。

■ヤツメ To:シグナス
聞きたいでぃすかー? かー?(゜∀゜)ノ゛フリミィはがっくしかもしれないでぃすけどー、男なのでぃす。
名前はロシュと言うのでぃす。剣と楽器とせーれーを使いこなすマルチなBOYでぃす。

■シグナス To:ヤツメ
いやまあこれ以上人間関係拗れさせたかないし。二人だったか、他に仲間居るんだっけか?
こっちは今分散してっけど、6人パーティーでやってるよ。縁が続くようなら紹介すらあ。

■ヤツメ To:シグナス
ほへー。ずーいぶんと大所帯なのですぅー。
ボクのパーティはロシュの他に、お絵描き魔法少女がいるのでぃす!(゜∀゜*)ノ゛
けど、アルバイトが忙しーとかで、最近会ってないのでぃす。

■シグナス To:ヤツメ
お絵描き?楽師と絵描きか、そいつは賑やかなモンだな。……ん、ああこの街で冒険者やってたのか?てっきり旅の途中かと思ってたわ。

■ヤツメ To:シグナス
この町が気に入って、住み着いているのでぃす。
訳あってもーオランには帰れないでぃすしー……あ、何でも無いナンデモナイのでぃすよ?(゜∀゜;)
さー、ちゃっちゃか進むのでぃす!(びしっ)


  イーンウェン・リンゴ畑/入口→東→東→東

リンゴの収穫をあきらめ、さらに東へ進むふたり。
今度は霧の中から、ふたつの気配を感じた。レンジャーでなければ気付けないような、 息を殺し身を潜めるかのような繊細な気配だ。
■ヤツメ To:シグナス
ぎらーん(☆∀☆)
今度こそチッキーンの丸焼きを……(じゅる)

ひとつはリンゴの木の枝の上、立派な大人の体格をしたフクロウ。
もうひとつは──地べたをてってってと走り去ろうとする、赤ちゃん野うさぎ。
時折立ち止まるうさぎの様子を、狩人のごときするどい眼光でフクロウが見つめている。今にもとびかかりそうだ。
■シグナス To:ヤツメ
放っとけ、アレだって喰わなきゃ生きていけねえんだ。俺らはリンゴでも充分だろ。

……まあ、通っただけで狩りの邪魔になったっつわれても、文句言われる筋合いはねえけどな。

■ヤツメ To:シグナス
え゛ー。お肉も食べないと力が出ないのですぅ〜〜〜(ぐぅぅぅぅ)

ヤツメの腹の虫が壮大に鳴り響くのと同時に、フクロウは空気を切り裂くような素早い動きで飛び立った。
あっという間に赤ちゃんうさぎを足でかっさらい、そのまま見事な翼をひろげて西のほうへ飛び去っていく。
■ヤツメ To:フクロウ&うさぎ
Σ あ、あ、あーー……
うさぎ鍋……(がっくし)


  イーンウェン・リンゴ畑/入口→東→東→東→東(入口)

さらにさらに、東へと進む。
霧の中に目をこらし、辺りをよく見てみると、妙な既視感に襲われた。
リンゴの木の生え方、地面の様子、そして何より──リンゴ畑を囲む柵の入口。
そこは明らかに、一番最初にリンゴ畑に入った時にふたりが立っていたスタート地点と同じ風景。
■ヤツメ To:シグナス
……(゜∀゜)……ほへー?
ボクたち、知らない間に迷っていたんでぃすかねー?(小首傾げ)

砂時計を見てみると、ちょうど砂が落ちきったところ。
リンゴ狩りの制限時間が経ってしまったようだ。
そしてシグナスの腹時計も、そろそろお昼が近いことを告げていた。
■シグナス To:ヤツメ
……いや、俺とグラスランナーのお前が同時に迷うなんて、そんな筈は……まさか。
(上位古代語)
マナよ、万物の根源たるその力、我に見せ示したまえ……

シグナスが「センス・マジック」の魔法を紡ぐ……が、なぜか1回目は失敗。
すぐにもう一度再挑戦し、今度は確かに魔法が発動した。
シグナスの目には、あたりに漂う白い霧が光って見えた。
■ヤツメ To:シグナス
おおー。魔法少年なのでぃす。(=゜ω゜)ノ
何かわかったでぃすかー?

■シグナス To:ヤツメ
少年言うな。もう色々責任取らなきゃならん歳なんだよ……チクショウめ……。けどまあ、何か調子悪かったが把握は出来た。
思いっきり魔法で迷宮化してやがる……道理で妙な所でドリアードが出る訳だ。
しかし……って事は試されたのか?……まあ、仕方ねえか。

まあ良いや、とりあえずリンゴ合わせて外に出るか。お前の籠に20個入れりゃ一人分は浮くしな。

■ヤツメ To:シグナス
ふむふむ。今の「チクショウメ」には、何かフカイ意味が……φ(..)めもめも
わほーい、やったーなのですぅー♪ タダリンゴ♪ タダリンゴ〜〜♪♪

■シグナス
……別に責任取る様な真似した事無い筈なんだがなぁ……。

小躍りするヤツメとともに、シグナスはふたたび案内所へと戻ってきた。
■ヤツメ To:案内所のドア
たのもー!(どげし)

■おばあちゃん To:ヤツメ&シグナス
おお、おかえりよ。どうじゃったかねぇ?
ひい、ふう、みー……ほほほ、20個と15個。頑張ったがもう一息、じゃったかねぇ〜?
それじゃね、これがひとりぶんの返金じゃからねぇ。

どうやら蹴り開けられるドアにも耐性がついたらしいおばあちゃんが、マイペースに対応してくれた。30ガメルの返金である。
■ヤツメ To:おばあちゃん
おばーちゃん、ボク、大切に食べるのでぃす!(^∀^)ノ☆

■シグナス To:おばあちゃん
おばあさん、あの森は何時からああなんですか?
っつか、リンゴ取ってたら精霊に泣き衝かれたんですが知ってて送り出したんですかね!?

■おばあちゃん To:シグナス
ん〜? せーれーとは何のことじゃね〜?
リンゴ畑はねぇ、わしのばあちゃんの、そのまたばあちゃんの……(延々続く)……代からねぇ、変わらぬすがたでここにあってねぇ〜。

ずずずと茶をすすりながら。
■おばあちゃん To:シグナス
「よこしまなこころのない」者には、リンゴの木が「導いてくれる」といういいつたえがあってねぇ〜。もちろん、おとぎ話、おとぎ話……。

そう言いながらうつらうつらし始める。
■シグナス To:おばあちゃん
……俺、よこしまだったんかなあ……。ちょっとショックだな。

■ヤツメ To:シグナス
ボクの見立てでは、フリっちは 純 粋 少 年 に見えたのでぃすけどー(゜∀゜*)

■おばあちゃん To:シグナス&ヤツメ
……おみちびき、に、したが…え……Zzzz……

■ヤツメ To:おばあちゃん>シグナス
ほへ〜〜〜、寝るの早いのですぅ〜。
ほら、フリガー、つんつんしても起きないのでぃす。( ´∀`)σ))∀`)ずびし

ヤツメはおばあちゃんにそばにあった藁をかけてあげた。
藁まみれになるおばあちゃん。
■ヤツメ To:シグナス
さってー、じゃあボクはお宿に帰るでぃす!!ヽ(゜∀゜)ノ♪フリエストはどーするのでぃすかー?
っていうかどっから来てどこに帰るのでぃすかー?

■シグナス To:ヤツメ
港近くの宿だよ。あーっと……確か……名前忘れたな。
まあ、昼も近いし一回集まりに戻るつもりだよ。

■ヤツメ To:シグナス
じゃー、港までいっしょなのでぃす!
さー、お腹もすいたしちゃっちゃと戻るのでぃす〜〜!!ヽ(゜∀゜)ノ

そしてふたりは20個と15個のリンゴを抱えて、それぞれの宿へと歩き出した。


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GM:ともまり